飲食業界におけるDX推進とは?実現できることやツール・導入事例などを解説

2024年01月04日(木) DX

こんにちは。マニュアル作成・ナレッジ共有ツール「NotePM」ブログ編集局です。

近年、多くの業界でDX化が求められています。飲食業界においても、DX推進を課題に感じているお店は数多く存在します。しかし、具体的に飲食業界でDXによりどんなことが実現できるか、もしくはどんなDXツールが役立つのかよくわからない方も多いのではないでしょうか。本記事では、飲食業界においてDXで実現できることやDXの活用事例などを解説します。

飲食業界におけるDXの基礎知識

ここでは、飲食業界におけるDXの基礎知識として、以下の2つを解説します。

  • DXとは
  • 飲食業階は新型コロナウイルス感染症拡大で大きな影響を受けた

それでは、1つずつ解説します。

DXとは

基礎知識の1つ目は、DXの定義です。DX(デジタルトランスフォーメーション)には明確な定義はありませんが、「デジタルによってビジネスや生活の様式が変わること」を意味します。日本のビジネス界では、以下に示す経済産業省の定義が使われることが多いようです。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

※デジタルガバナンスコード2.0より抜粋

DXには、単なる業務プロセスのデジタル化に留まらず、ビジネスモデルを抜本的に変えるというニュアンスがあることに注目してください。

出典:デジタルガバナンスコード2.0 | 経済産業省
関連記事:デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?課題や進め方をわかりやすく解説

飲食業界は新型コロナウイルス感染症拡大で大きな影響を受けた

基礎知識の2つ目は、新型コロナウイルス感染症拡大が飲食業界に与えた影響です。一般社団法人日本フードサービス協会が行った調査によると、令和2年は飲食店全体で売上前年比が84.9%と、平成6年の調査開始以来最大の下げ幅を記録しました。新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、緊急事態宣言や時短要請が行われたことがその背景にあり、多くの飲食店が損害を受けたと推察されます。また、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、以下に示す取り組みに乗り出した飲食店も多数現れました。

  • テイクアウト事業
  • デリバリー事業
  • 非接触型接客

アフターコロナの時代になっても、これらの取り組みが完全に止まることは考えにくく、ますます普及が進む可能性が高いとみられます。

出典:新型コロナウイルス感染症禍の外食産業の動向
~需要側・供給側からの振り返り~ | 経済産業省

出典:外食産業データ | 一般社団法人 日本フードサービス協会

飲食店がDXで実現できること

ここでは、飲食業界がDXで実現できることとして、以下の5つを解説します。

  • フードロス削減
  • 人出不足解消
  • 顧客の映像データ活用
  • 非接触接客の促進
  • 柔軟なサービス設計

それでは、1つずつ解説します。

フードロス削減

DXで実現できることの1つ目は、フードロス削減です。令和2年度の統計では、日本国内では約522万tものフードロスが発生したと推計されています。フードロスは、環境面に加えて食材の購入コスト削減の観点からも、飲食業界では課題になってきました。しかし、AIにより来客数を的確に予測できれば、勘や経験に頼らずに過不足なく食材を購入できます。これにより、十分売り上げを確保した上でフードロス削減が期待できるでしょう。

出典:我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和2年度)の公表について|環境省
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人手不足解消

DXで実現できることの2つ目は、人手不足解消です。帝国データバンクが令和4年1月に行った調査では、76.6%もの飲食店が非正社員不足と回答しました。また、令和3年版高齢社会白書では、2065年の日本の人口について以下の予測がなされており、将来人手不足はますます深刻になると考えられます。

  • 日本全体の人口は8.8千万人まで減少
  • 65歳以上の者1人(約3.3千万人)あたり、1.3人(約4.5千万人)の現役世代(15~64歳の者)でサポート

そこで、AIを用いて正確に来客数を予測することで、人員配置を最適化しようする取り組みが始まっています。また、接客や集客においても、後述の非接触接客やQRコード、SNSなど様々なツールを用いることで、さらなる効率化が実現できるでしょう。これらの取り組みにより、人手が少なくても業務を遂行できる仕組みを構築できます。また、従業員の待遇を改善できれば、結果的に従業員のエンゲージメントが向上し、従業員の定着や新たな従業員確保にもつながるはずです。

出典:人手不足に対する企業の動向調査(2022年1月)|株式会社帝国データバンク
出典:令和3年版高齢社会白書(全体版)|内閣府
関連記事:従業員エンゲージメントとは?計測方法からメリット・デメリット・事例まで徹底解説

顧客の映像データ活用

DXで実現できることの3つ目は、顧客の映像データ活用です。今や多くの飲食店で導入されているPOSシステムに、顧客の年齢や性別などの情報を加えることで、より詳細に顧客データを分析できます。これにより、仕入れの最適化やサービス改善、さらには新商品開発を促進できるでしょう。ただ、これまでは人の目で判別して手作業で入力していたため、作業の手間がかかることが課題でした。また、人によって、顧客の年齢や性別を判定する際にはバラつきが発生することも課題でした。

そこで、レジ付近にカメラを設置して、そのカメラにAIを搭載することで、顧客の年齢や性別の判定を自動化する試みが行われています。AIを用いることで、判定のバラつきを抑えられます。また、カメラとPOSレジを連動させることで、入力の手間やミスを削減する狙いもあるのです。

非接触接客の促進

DXで実現できることの4つ目は、非接触型接客の促進です。非接触型接客は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点に加えて、業務効率化や人手不足解消の観点からも有効です。例えば、座席のQRコードを顧客のモバイル端末で読み込むことで、注文が可能になるシステムが既に実用化されています。このシステムには、顧客側には利便性向上の、店側にとっても注文や会計の手間を減らすメリットがあります。

柔軟なサービス設計

DXで実現できることの5つ目は、柔軟なサービス設計です。飲食店においては、CRMや会員証アプリなどを用いることで、顧客データの収集や管理がより簡単になります。また、店内においてデジタルツールでメニュー表示すれば、値段などの表示をより簡単に変更できるでしょう。そのため、DXにより柔軟なサービス設計が可能になります。

柔軟なサービス設計の一例としては、ダイナミックプライシングが考えられます。これは、時間帯や季節ごとの需要に合わせて、価格設定を調整するものです。これにより、需要が高いシーンでは高めの価格で収益性を向上させ、需要が少ないシーンでは低めの価格で集客しやすくしているのです。また、リピーター向けには顧客データを元に、好きな食材を使ったメニューをおすすめすることも考えられるでしょう。これにより、リピーターの満足度向上が期待できます。

飲食業界に役立つDXツール

ここでは、飲食業界におけるDXの基礎知識として、以下の7つを解説します。それぞれ、以下の表にまとめています。

ツール 詳細
予約管理システム※1 ・顧客の利便性向上に加え、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からも有効

・クレジットカードや各種QR決済、電子マネーなどを用いた決済が該当
予約管理システム※2 ・Web上で予約受付し、予約管理はクラウド上で一元管理

・仕事の忙しさや時間を問わず予約受付が可能になるため、機会損失減少や顧客満足度向上に有効
顧客台帳システム ・顧客情報の一元管理を行うシステムで、顧客体験の向上やマーケティング施策改善に有効

・顧客の来客時間や性別、好き嫌い、注文傾向などのデータを分析可能
集客販売ツール ・集客力や販売力の強化が目的

・ポイントカードのデジタル化や、アプリ経由のクーポン配布などが該当
モバイル・テーブルオーダーシステム ・顧客が自身のモバイル端末で注文

・新型コロナウイルス感染症拡大防止に加えて、キャンペーン告知などにも有効
POSレジ※3 ・会計と同時に、売上記録や在庫の管理も可能

・売上などの管理を効率化してくれるだけでなく、蓄積したデータは新商品開発などにも有効
非接触型注文 ・新型コロナウイルス感染症拡大防止に加えて、オーダーミス防止などの観点でも有効

・上述のモバイル・テーブルオーダーシステムやタッチパネルなどが該当

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飲食業界におけるDX活用事例

ここでは、飲食業界におけるDX活用事例として、以下の3つを解説します。

  • 社内情報伝達促進
  • デリバリー業務効率化
  • 集客促進

それでは、1つずつ解説します。

社内情報伝達促進

1つ目は、デリバリー業務効率化にDXを活用している事例です。レストラン運営会社Aでは、以下のとおりDXを活用しています。

  • 情報伝達ツールを導入することで、連絡ノートやマニュアルを共有
  • シフト管理にもDXツールを活用

これらの施策により、物理的な距離が原因で課題があった、別店舗間のコミュニケーションを促進できました。また、シフト管理など日常的に活用する機能を活用することで、よりDXツールの使用を促進できたのです。

デリバリー業務効率化

2つ目は、デリバリー業務効率化にDXを活用している事例です。デリバリーサービスも展開しているファミリーレストランチェーン店Bでは、以下のとおりDXを活用しています。

  • 配達員専用アプリを開発し、配達ルート案内や店舗からのサポートを最適化
  • 1つの店舗だけでデリバリー業務が成り立たないエリアにおいては、近隣店舗同士で連携してデリバリー業務を行うための、共同システムを開発

これらの施策により、配達業務の効率化やデリバリースタッフの定着率向上などを実現しています。また、将来的には他社のデリバリー業務も担うなど、新たなビジネスチャンスを創出することも期待されているのです。

集客促進

3つ目は、集客促進にDXを活用している事例です。焼肉店Cでは、以下のとおりDXを活用しています。

  • 紙のかわりにアプリの会員証を作り、それをCRMで管理
  • AIによる電話予約対応
  • 紙のDM発送履歴などを、紙ではなくデジタルツールで管理

これらの施策により、業務効率化や業務品質の平準化を実現しています。また、リピーター向けには、過去の履歴などを元に紙のクーポンとアプリのクーポンを使い分けることで、より集客効果を高めようとしているのです。

まとめ

本記事では、飲食業界においてDXで実現できることやDXの活用事例などを解説しました。新型コロナウイルス感染症拡大や人手不足などを背景に、飲食業界においてもDXを導入する事例が増えています。DX導入により、業務のムダを削減することに加えて、新たなサービスや商品の開発に活用することも期待できるはずです。また、DXに役立つツールは多数存在するので、目的に応じて最適なツールを選択しましょう。

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