出版業界におけるDXとは?基本知識から実施方法・導入事例まで幅広く紹介

2024年10月17日(木) DX

さまざまな業界でDX化への動向がみられる中、出版業界においてもDXを推進したいと考える経営者や企業内のIT担当者は多いでしょう。

デジタル媒体よりも紙媒体を得意とする出版社では、DX(デジタルトランスフォーメーション)と聞いても具体的にどのような方法で進めればいいのか想像がつかないこともあるかもしれません。

そこで本記事では、出版業界とDXについての基礎知識から、出版業界でDX化するための方法を解説していきます。実際に出版社がDXを推進している事例も紹介していきます。

出版社とDXについての基礎知識

まずは出版社とDXについて、以下の2点を挙げて、基礎知識を解説していきます。

  • DXとは
  • 出版社の現状

1つずつ、解説していきます。

DXとは

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル化やIT技術の導入を行うことによって、新しいビジネスモデルや価値を生み出すことを指します。よくDXというと単純に「デジタル技術をビジネスの場に導入すること」と混同されがちですが、DXの目的は、IT活用によって単純に業務の効率化を図ることだけにはとどまりません。

DXでは、ITを活用することで新しいビジネスモデルを生み出し、革新を起こしていくことがポイントです。出版業界においてDXを図るなら、従来とは違った出版事業のあり方をIT活用によって模索することが大切です。

出版社の現状

DXに向けて何に取り組むべきかを考える前に、出版業界の現状をみていきましょう。近年、紙媒体での書籍・雑誌の出版は減少傾向にあります。デジタル端末の普及により、現在の書籍・雑誌の出版は、紙ではなく電子書籍が主流です。そして書籍のデジタル化は、一見すると出版社への大打撃にも思えますが、デジタルダウンロードの気軽さが魅力となり、現在は電子書籍を含めた書籍・雑誌の発行部数は増加傾向にあります。そのため、電子配信に対応している出版社であれば、今後も売上の向上は見込めると考える経営者も少なくありません。

打撃を大きく受けやすいと考えられるのは、書店や、電子書籍に対応していない出版社です。出版業界において安定して事業を行っていくためには、デジタル版への対応は然るべき道とも言えるかもしれません。自社でDXを推進するのであれば、電子書籍への対応を検討したいものです。

出版社でDX化するための方法

出版社のDX化への取り組みとしては、以下の3つの方法が考えられます。

  • 編集工程のデジタル化
  • 社内SNSの利用
  • 稟議書・契約書の電子化

1つずつ、解説していきます。

編集工程のデジタル化

出版社でDX化するための方法の1つ目は、編集工程のデジタル化です。編集・校正などの行程をタブレット上やPC上で行えば、漫画や小説などの原稿を、紙に出力することなくデジタルデータのやりとりだけで校了まで完結できることも考えられます。

編集工程のデジタル化は、在宅勤務や社外勤務など多様な働き方への対応もでき、紙媒体の郵送コスト、印刷や紙の費用や保管するスペースの削減も期待できます。

社内SNSの利用

出版社でDX化するための方法の2つ目は、社内SNSの利用です。通常の業務連絡をメールからSNSに切り替えることで、業務上必要なアナウンス周知の迅速化が図れます。また、締め切り前の追い込みの作業中においては、既読か未読かの判別がつきにくいメールは制作の遅延につながりかねません。原稿チェック、デザインチェック、校正チェックなどの工程を、社内SNS上で確認することで、業務の効率化が期待できます。

また社内SNSによりコミュニケーションが活性化することで、社員個人の持つ専門知識やノウハウの共有を容易に行えることもメリットです。

関連記事:社内ナレッジをコミュニケーションツールで共有するメリットは?円滑化するおすすめITツールもご紹介

稟議書・契約書の電子化

出版社でDX化するための方法の3つ目は、稟議書・契約書の電子化です。出版社は書店や流通・取次店などの取引先が多いため、さまざまな書類のやり取りをすることになります。従来の紙ベースでのやり取りでは効率が悪いだけでなく、コストもかかるのが難点です。

電子化を図れば、よりスピーディーに稟議・契約の業務が進められるため、稟議・契約の業務フローが円滑に行えます。例えば社内稟議書のやり取りは、従来の紙ベースでの方法では作成と郵送などの手間がかかるため早くても数日の時間がかかりますが、電子契約を取り入れることで、最短即日での締結が可能となるでしょう。

関連記事:【2024年版】ワークフローシステム(電子稟議) おすすめ12選を徹底比較

出版社がDXを推進している実例

出版社でDXを推進する際には、他社の事例をみることで想像がつきやすくなります。ここでは、出版社がDXを推進している実例を3つ紹介していきます。

  • 事例1.総合商社と出版社による新会社
  • 事例2.大手出版社
  • 事例3.海外出版社

1つずつ、見ていきましょう。

事例1.総合商社と出版社による新会社

出版業界におけるDX化の実例の1つ目は、総合商社と出版社による新会社についてです。とある総合商社は、出版社3社とともに新会社を設立しました。DXを活用した主な取り組みとして専用AIシステムとRFID活用事業が挙げられます。

専用AIシステムでは、書籍や雑誌の流通傾向をチェックし、出版の最適化を図っています。これにより書店からの返本などの損失を抑える狙いがあります。RFIDは、電波を用いてタグのデータを非接触で読み書きするシステムです。出版業界でもRFIDを活用することで、取り扱う数多くの書籍・雑誌商品の管理を効率的に行うことが可能です。

事例2.大手出版社

出版業界におけるDX化の実例の2つ目は、大手出版社におけるチャットアプリケーションの導入事例です。ある大手出版社は、DX推進にあたって、まずコミュニケーションの手段の統一化を図りました。当該企業はスケジュールやカレンダーのアプリケーション、チャットアプリケーションを特定のソリューションに統一し、よりスムーズなコミュニケーションが行えるようになったといいます。コミュニケーション手段の統一化は、業務全体の効率化をもたらし、スピーディーな重版対応も可能にしました。

事例3.海外出版社

出版業界におけるDX化の実例の3つ目は、海外出版社における音声・動画配信サービスの事例です。ある外国の出版社では、従来どおりの出版事業にあわせて、音声・動画配信サービスを通じた配信事業をスタートさせました。配信内容は著者のインタビューや出版に関わるゲストの会話などです。

このような音声の配信は、コンテンツそのものを楽しめるだけでなく書籍のプロモーションにもなり、さらには自社・著者のブランディングにも貢献しました。結果として当該配信チャンネルは非常に人気の高いチャンネルとなり、デジタルと紙の書籍出版を掛け合わせたプロモーションの成功事例として注目されました。

まとめ

本記事では、出版業界とDXについての基礎知識から、出版業界でDX化するための方法と、実際に出版社がDXを推進している事例を紹介してきました。出版業界では、編集工程のデジタル化や、社内SNSの利用、稟議書・契約書の電子化などにおいてDX化が目指せるでしょう。さまざまな事例を参考に、自社にあった形でDX推進を行ってみてはいかがでしょうか。

おすすめの情報共有ツール「NotePM」

NotePM

NotePM(ノートピーエム) は、Webで簡単にマニュアル作成できて、強力な検索機能でほしい情報をすぐに見つけられるサービスです。さまざまな業界業種に導入されている人気サービスで、大手IT製品レビューサイトでは、とくに『使いやすいさ・導入しやすさ』を高く評価されています。

NotePMの特徴

  • マニュアル作成、バージョン管理、社外メンバー共有
  • 強力な検索機能。PDFやExcelの中身も全文検索
  • 社内FAQ・質問箱・社内ポータルとしても活用できる
  • 銀行、大学も導入している高度なセキュリティ。安全に情報共有できる

URL: https://notepm.jp/

NotePMについて詳しく見る >