不動産業界において、DXに取り組むべきなのか調べている方もいらっしゃるかと思います。日本のさまざまな業界でDX推進に取り組んでいるため、不動産業界も避けて通れなくなっているのではないでしょうか。しかし不動産業界では紙を中心としたアナログ運用がまだ主流であり、DX取り組みにおける課題でもあります。
本記事では、不動産業界でDXの取り組みが必要な理由、阻む要因、メリットと成功のポイントについて詳しく解説していきます。
目次
不動産業界にDXが必要な理由
まずは不動産業界にDXが必要な理由について、以下5点を説明します。
- アナログ運用
- 消費者ニーズの変化
- 感染症拡大
- 情報の非対称性の改善
- 属人化への対応
それぞれ、解説していきます。
アナログ運用
不動産業界にDXが必要な理由の1点目が、アナログ運用です。
顧客管理・物件管理・各種手続きなどの不動産業務では、手書き・紙ベースのアナログ運用が残っている場面がまだ多いとされています。
不動産業界がDXを取り入れれば、人手に頼っていた業務を自動化でき、ミスを防ぐ効果もあり、業務効率化を実現できます。
時には手書き・紙ベースの方が効率的な業務もあるかもしれません。手書き・紙ベースのアナログ運用では、業務の自動化への道のりが険しいため、DX化できる業務と、紙でしか通用しない業務を明確に分けることも重要と言えます。
消費者ニーズの変化
不動産業界にDXが必要な理由の2点目が、消費者ニーズの変化です。
不動産業界においてもDXを取り入れることで、消費者ニーズの変化に対応することが可能です。近年、消費者はスマートフォンで情報収集することが当たり前となっています。賃貸物件などの不動産においても、まずはネットで物件を調べることから始まります。
また、コロナ禍で非対面の接客が求められるようになったなど、消費者からのニーズは年々変化しつつあります。
中には、従来の業務手法を継続している企業もありますが、DXを推進すれば、変化する消費者ニーズに合わせることが可能です。
不動産業務のDX化は、消費者ニーズの変化への対応と、他社との差別化にも繋がります。
感染症拡大
不動産業界にDXが必要な理由の3点目が、感染症拡大です。
2020年に始まった新型コロナ感染症の拡大は、不動産業界においてもDXを推進しなければならない大きな理由ととなりました。企業の多くは感染対策のため社内業務ではリモートワークが推奨され、対面業務においても、オンライン会議など非対面で行うなど変化しています。
不動産業界において、感染症拡大への対策をしながら業績を維持するためにも、DX化は必要と言えるでしょう。
情報の非対称性の改善
不動産業界にDXが必要な理由の4点目が、情報の非対称性の改善です。
不動産業界における情報の非対称性の問題とは、買い手である消費者に売り手の不動産業者が、持っている不動産情報を十分に共有していないということです。
例えば、新築マンションの販売の現場では、階数や日当たりなどの条件で人気のある物件は値段を上げ、逆に人気のない物件は値段を下げるということがあります。
しかし従来の方法では、これらの情報は消費者には公にはされていませんでした。そこで、DXを推進することにより情報を公にでき、情報の非対称性の改善が実施され、消費者が適正な価格で不動産を購入できます。
不動産業界において、情報の非対称性の問題は長年の課題であり、DXによって改善できる可能性があります。
属人化への対応
不動産業界にDXが必要な理由の5点目が、属人化です。
不動産業界の多くの業務は、担当者のスキルに頼っており、属人化していると言えます。特に、不動産の価格査定などの業務では、個人に高いスキルが求められており、メンバー間で共有はありませんでした。
DXを取り入れることができれば、属人化している業務をメンバー間で共有でき、改善できる可能性があります。またこれまで多くの時間を取られていた引継ぎ業務も、DX推進によって情報共有を容易にし、業務効率化できます。
不動産にDXを阻む要因
不動産業界でDXを阻む要因について、以下2点を説明します。
- 従来の業務フローの浸透
- 変わり続ける消費者ニーズへの順応
それぞれ、解説していきます。
従来の業務フローの浸透
不動産業界でDXを阻む要因の1点目が、従来の業務フローの浸透です。
不動産業界の従来の業務フローは、長年の業務の積み重ねによって作られましたが、未だにデジタル化されていない業務が多いです。
具体的には、賃貸物件の契約において、電話・FAXや書類・紙の資料などアナログなやりとりが頻繁に発生しています。
また、対面の接客対応や内見についても、顧客が直接部屋を見たいと要望する場合も多く、デジタル化しにくい業務といえます。
従来の業務フローの浸透が、不動産業界でDXを阻む要因の一つと言えます。
変わり続ける消費者ニーズへの順応
不動産業界でDXを阻む要因の2点目が、変わり続ける消費者ニーズへの順応です。
消費者ニーズは日々変化しています。これまで対面が主流であった賃貸契約・物件購入に関して、非対面ニーズが増えており、今後も少なからず変わることが予想されます。
不動産業界の業務は、対面で顧客に与える価値も高く、非対面に変化することで様々なやり方や業務フローを変えなければならず、変わり続ける消費者ニーズにすぐに対応できる、といったものではありません。
しかしながら、新型コロナ感染症の拡大時は、不動産業界においてもリモートワークが増え、対面での業務をデジタル化で進めるなど、DX化に向けた取り組みが見られます。
不動産DX取り組みのメリット
不動産業界のDX取り組みのメリットについて、以下5点を説明します。
- 業務効率化
- 労働環境の改善
- 顧客満足度の向上
- 人材不足の解消
- ナレッジのデジタル共有
それぞれ、解説していきます。
業務効率化
不動産業界のDX取り組みのメリットの1点目が、業務効率化です。
例えば紙資料をデジタル化する、アポイント調整を自動化する、ツールなどを使って顧客情報やスキルを共有でき、業務にかける時間を今までよりも少なくできるなどがあります。
不動産業界がDX取り組みを行えば、これまでアナログで行っていた業務を自動化でき、業務効率化につながります。
労働環境の改善
不動産業界のDX取り組みのメリットの2点目が、労働環境の改善です。
従来の不動産業界の労働環境は、業務の忙しさと人手不足もあり、あまり良いものとは言えませんでした。DXを推進することで、従来の手作業や単純作業を実施する工数を削減でき、長時間労働を減らすなど、労働環境の改善に繋がります。
不動産業界は人材育成にも時間を要します。高度なスキルが求められる物件査定の業務においても、DXを取り入れて育成にかける時間を自動化することで、若手社員でも対応可能となります。
顧客満足度の向上
不動産業界のDX取り組みのメリットの3点目が、顧客満足度の向上です。
DXを推進することで、新規サービスを迅速に立ち上げることが可能になります。
新規顧客の獲得や顧客満足度の向上のためには、従来の業務の延長線ではなく新規サービスを立ち上げた方が効果が高いです。
DX推進によって消費者ニーズを取り込んだサービス改善や開発をするため、ビッグデータやAIなどのデジタル技術を活用できます。
不動産業界がDXを取り組めば、CS向上に繋がります。
関連記事:DX推進の背景・課題と失敗しないための5つポイント
人材不足の解消
不動産業界のDX取り組みのメリットの4点目が、人材不足の解消です。
不動産業界の業務は属人化しやすいことが特徴ですが、DXの取り組みによって社員のスキルに頼らない業務を可能にします。具体的には、不動産価格の査定など、長年のスキルが求められる業務において、AIを活用した査定システムを作ることができます。
DXの取り組みが人手不足の解消にも繋がります。
ナレッジのデジタル共有
不動産業界のDX取り組みのメリットの5点目が、ナレッジのデジタル共有です。
従来の不動産業務では、業務の引継ぎにも手間と時間がかかっていました。引継ぎの手間を解消するDXの取り組みとして、担当者が持つ知識をデジタルツールなどを使って共有する、などがあります。
DXの取り組みによって、顧客情報・問い合わせ内容・案件状況・成約事例などをデジタル共有することが簡単にできます。
不動産業界がDX取り組みの際に注意すべきこと
不動産業界がDXに取り組む際に注意すべきこととして、以下4点を説明します。
- ツール・サービス選定
- 長期視点で結果を捉えること
- 中途半端にしない
- 移行に時間をかけること
それぞれ、解説していきます。
ツール・サービス選定
不動産業界がDXに取り組む際に注意すべきことの1点目が、ツール・サービス選定です。
DXを取り入れるためにはIT技術を駆使して、最新の知識を活用して組織を変革していかなければなりません。その近道として、最新の優れたツール・サービスを導入する必要があります。
しかし、ツールやサービスが自社に見合ったものでないと、導入しても担当者が使いこなせず継続しない、改善効果が得られないなどの問題も生じます。
ツールやサービスを選定する際は、自社のイメージに沿っているか、操作感は問題ないか、費用対効果はどれくらいかをしっかりと確認するようにしましょう。
長期視点で結果を捉えること
不動産業界がDXに取り組む際に注意すべきことの2点目が、長期視点で結果を捉えることです。
DXの取り組みは、1年以内などの短期間で成果が出ることは少なく、5年以上運用して初めて効果が得られるものもあります。
DXを推進するにあたり、大幅な設備投資が必要な場合も出てくるかもしれません。
そうなると経営層が効果確認できないため、予算外の出費に判断が鈍ってしまう、という問題も発生する可能性があります。
そうならないためにも、DXに取り組む際は長期視点で結果を捉えること、社内で周知することが重要です。
中途半端にしない
不動産業界がDXに取り組む際に注意すべきことの3点目が、中途半端にしないことです。
DXの取り組みには、導入費用・ランニングコストなど多くの費用がかかります。計画・導入・運用まで中長期的な準備期間が必要です。
DXの取り組みが中途半端に終わってしまった場合は、お金だけでなく準備期間にかかった人的コストまで失う可能性があります。
DXを計画的に進め、十分な準備期間を取り、コストに見合う成果を得ることが必要です。
移行に時間をかけること
不動産業界がDXに取り組む際に注意すべきことの4点目が、移行に時間をかけることです。
例えば、従来のレガシーシステムを新システムに移行するためには、膨大な時間が必要です。しかし、経営においてもこれまで以上にスピードが求められる近年、時間ばかりをかけられる状況ではありません。
ある程度の移行期間は確保するものの、完了が見通せる移行計画が必要です。レガシーシステムを改めないまま利用するコストと、新システムに移行することで得られるメリットを勘案して、決断しましょう。
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不動産業界がDXを成功に繋げるためのポイント
不動産業界がDXを成功に繋げるためのポイントについて、以下3点を紹介します。
- 組織内の意識合わせ
- スモールスタート
- ツール活用
それぞれ、解説していきます。
組織内の意識合わせ
不動産業界がDXを成功に繋げるためのポイントの1点目が、組織内の意識合わせです。
DXを成功に繋げるために、経営側と実際の運用をする現場側で意識合わせを行います。その際、現場の声を汲み取り、経営層にしっかりと共有するために、組織を横断したプロジェクトチームを作ると良いでしょう。
スモールスタート
不動産業界がDXを成功に繋げるためのポイントの2点目が、スモールスタートです。
用意周到に準備した場合においても組織全体をDXに向けるには相当な労力が必要であり、スモールスタートが必要となります。
スモールスタートすることで、DXにかかるハードルを下げることが可能です。例えば、紙の書類を最初から全てデジタル化するのでなく、一部の帳票からデジタル化を始めるケースがあります。
ツール活用
不動産業界がDXを成功に繋げるためのポイントの3点目が、ツール活用です。
利用できるDXツールは相当数ありますが、不動産業界においては、担当者個人のノウハウを簡単に共有できる、社内Wikiの活用がはじめやすいと言えます。
自社の求める成果や目的によって、ツールを選定すると良いでしょう。
関連記事:【2024年版】ナレッジ共有ツール タイプ別おすすめ 10選
まとめ
本記事では不動産業界のDXについて、DXが必要な理由・メリット・DXを成功に繋げるためのポイントなどを中心に、解説してきました。時代の流れに淘汰されずに生き残る戦略として、DXは非常に有用です。不動産業界で効率良くDXを推進するためには、まずはNotePMでナレッジ共有から始めてみてはいかがでしょうか。
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