製薬業界のDX推進が有効な分野やメリットを知りたい、と調べている企業担当者もいらっしゃるかと思います。DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みは、研究開発が盛んな製薬業界においても広がっています。本記事では製薬業界のDXについて、注目されている背景や取り組むべき分野・課題・メリットについて解説していきます。
目次
製薬業界にDXが求められる背景
まずは製薬業界にDXが求められる背景について、以下4点を説明します。
- 住民サービスへの反映
- 創薬手法の変化
- 感染症対策
- 属人化
それぞれ、解説していきます。
住民サービスへの反映
製薬業界にDXが求められる背景の1点目が、住民サービスへの反映です。近年、自治体が扱う住民情報について、住民サービスへの反映が求められるようになりました。新型コロナ感染症の拡大によって、その流れが加速しています。例えば、住民の罹患情報を保健活動に生かすなどがあります。今後は製薬業界においても、地方自治体との連携がより求められるため、DXが必要になっています。
創薬手法の変化
製薬業界にDXが求められる背景の2点目が、創薬手法の変化です。近年製薬業界では創薬が以前よりも高コストで難易度が高くなりつつあります。そこで、AIによって、創薬手法への変化が起きています。例えばAIの活用によってビッグデータを集約し、医薬品の研究開発を改善する、といったものがあります。
多くの企業において、AI創薬が加速化しており、製薬業界も本格的にDXに取り組むべきと言えるでしょう。
感染症対策
製薬業界にDXが求められる背景の3点目が、感染症対策です。2020年から広まった新型コロナ感染症は、世界各地に甚大な影響を与えました。製薬業界においてもその影響は出ています。感染症対策として、製薬業界でもMR活動のデジタル化など、非接触の取り組みが広がっています。消費者に目を向けると、処方のオンライン化や薬の宅配など、さまざまな場面でオンライン化が進んでいます。製薬業界はこれからも続く感染症対策のためにもDXを加速するべきです。
属人化
製薬業界にDXが求められる背景の4点目が、属人化です。例えば製薬業界にはさまざまな経費処理業務がありますが、その量は膨大であり、業務そのものが属人化するという問題があります。DXの取り組みによって、属人化の問題が解決できるのではと言われています。
製薬業界がDXを取り入れるべき分野
製薬業界がDXを取り入れるべき分野について、以下3点説明します。
- 研究開発
- 営業活動
- 在庫管理
それぞれ、解説していきます。
研究開発
製薬業界がDXを取り入れるべき分野の1点目が、研究開発です。新薬の研究開発では、資金面のコスト以外にも人的コスト・期間など、多大なコストがかかり問題視されています。そこでDXを取り入れれば、コスト削減できる可能性があります。具体的には、データサイエンスの導入、臨床試験プロセスのリモート化、医薬品の管理業務で盗難や改ざん防止する方法があります。研究開発にDXを取り入れることで、コスト削減につながり製薬業界に大きなメリットをもたらします。
営業活動
製薬業界がDXを取り入れるべき分野の2点目が、営業活動です。製薬業界における営業活動は、MRと呼ばれています。MRでは、自社の薬製品の販売普及活動や医薬品の適正使用のために、医薬品情報を医療従事者に提供しています。新型コロナ感染症の拡大によって、一時期MR活動ができなくなるという重大な影響が出ました。そこで病院や医師に対する製品の情報提供をオンライン化するなど、DX取り組みの必要性を主張されるようになりました。営業活動のDX化は通勤費や紙資料のコスト削減にもつながります。
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在庫管理
製薬業界がDXを取り入れるべき分野の3点目が、在庫管理です。薬局での医薬品の在庫管理業務にDXを取り入れることで、従来人手を介して管理していたことを、デジタルで管理できるようになり、人材不足解消にもつながります。
薬局の現場では、未だにアナログ運用が続いているところが多く、DXを取り入れるべき分野といえます。
製薬業界におけるDXの課題
製薬業界におけるDXの課題について、以下2点を説明します。
- 患者の二極化
- コスト
それぞれ、解説していきます。
患者の二極化
製薬業界におけるDXの課題の1点目が、患者の二極化です。デジタルネイティブと呼ばれる20代・30代の若い世代は、スマートフォンを駆使して生活することが当たり前となっています。その一方で、病院に通うことが多い70代以上の高齢者には、スマートフォンやIT技術まだ慣れていない方も多いのが現状です。
IT技術が当たり前の世代と、アナログが主流の世代で患者の二極化の問題が起こっています。高齢者にも、DXの恩恵を受けられるように、施策が必要といえます。
コスト
製薬業界におけるDXの課題の2点目が、コストです。製薬業界の帳票、請求書・納品書などの運用は今もまだ紙が多いとされています。印鑑を押した書類を営業が回収して直接システムに入力・登録するなど、人が介する運用もまだ多く残っています。しかしながら、DX化によって利便性を向上するにしても、新たなシステムの構築、業務フローの変更など、多大なコストが必要です。コスト削減のためには、パッケージ化されたクラウドサービスを利用するなども視野にいれていかなければなりません。
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製薬業界にDXがもたらすメリット
製薬業界にDXがもたらすメリットについて、以下5点説明します。
- 非対面での薬受け取り
- 服薬情報の透明性
- 管理の手間削減
- BCP対策
- ノウハウの強化
それぞれ、解説していきます。
非対面での薬受け取り
製薬業界にDXがもたらすメリットの1点目が、非対面での薬受け取りです。例えば薬の自宅配送が実現することで、移動時間の削減や感染リスク防止など、患者にとって多くのメリットがあります。また、医師のオンライン診療に伴う薬の自動配送システムの構築が検討されていると言われています。病院や医師が少ない地方において、薬の自宅配送が実現すれば地方活性化にもつながるでしょう。非対面での薬受け取りのニーズは今後も高まっていきます。
服薬情報の透明性
製薬業界にDXがもたらすメリットの2点目が、服薬情報の透明性です。服薬している薬の状況、対応内容を共有することで、患者自身も薬の是非を判断できます。今後オンライン診療や薬の自動配送が進むめば、服薬情報の共有の重要性が高まることでしょう。DXを取り入れることで、服薬情報の共有が可能となり、透明性に繋がります。
管理の手間削減
製薬業界にDXがもたらすメリットの3点目が、管理の手間削減です。DXの推進によって、薬の処方をデジタル化し、患者・医師・病院・製薬会社間での管理の手間を削減できます。また、患者は所持するスマートフォンで処方を確認することもできるでしょう。処方箋は紙が主流ですが、薬処方のデジタル化はメリットが大きいと言えるので、今後進んで行くことが予想されます。
BCP対策
製薬業界にDXがもたらすメリットの4点目が、BCP対策です。BCPとは、地震災害などの緊急事態に際して、企業の事業活動を継続させるための対策を策定することです。DXを推進することで、製薬業界においてもBCP対策を取ることができます。具体的には、デジタル化したカルテや処方箋システムのバックアップを取っておき、災害時に本番機が壊れた際に、すぐに切り替えることも可能です。災害が発生する前にBCP対策を万全に整えておくことが重要だと言えます。
ノウハウの強化
製薬業界にDXがもたらすメリットの5点目が、ノウハウの強化です。従来の方法では、患者に関わる情報を担当者間で共有するためには、多くの手間が発生していました。DXを活用することによって、患者に関わる服薬情報や処方などの情報を自動共有できます。製薬業界の属人化しているノウハウをも強化することが可能です。DXの推進によるノウハウの強化は、今後製薬業界においても加速していくでしょう。
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まとめ
本記事では、製薬業界におけるDXについて、注目の背景と分野・課題・メリットなどを中心に解説しました。新型コロナ感染症の拡大を大きな契機として、製薬業界においてもDXの取り組みがより必要となっていることは確かなことです。取り組みの仕方として、まずは担当者が抱える情報を共有するための社内Wikiなどの活用からはじめてはいかがでしょうか。
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