建設DXが建設業界を変える!?解決が期待できる課題や活用事例などを解説

2024年10月24日(木) DX

建設業界は、人手不足やノウハウの伝承など、様々な課題を抱えています。それらの課題を解決するために有効な手段の1つが、建設DXです。ただ、具体的に建設DXでどのような課題を解決できるか、もしくはどのような技術を活用できるのか分からない方もいらっしゃるかもしれません。また、建設DXをすでに活用している事例があれば、より建設DXを導入しやすくなるでしょう。本記事では、建設DXの意味を解説した上で、建設DXで活用される技術や実際の活用事例などを解説します。

建設DXとは?基礎知識を解説

ここでは、建設DXに関する基礎知識として、以下の3つを解説します。

  • DXの意味
  • 2025年の崖
  • 建設DXの意味

それでは、1つずつ解説します。

関連記事:デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?課題や進め方をわかりやすく解説

DXの意味

基礎知識の1つ目は、DXの意味です。DXという概念を最初に提唱した、スウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授は、DXを以下の通り定義づけしています。

ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる。

ただ、これは広義的なDXの意味です。日本のビジネスにおいては、より狭義的な意味で使用されることが多いのが現状です。例えば、経済産業省のDX推進ガイドラインでは、DXを以下の通り定義しています。以降は、この定義に基づいて解説を進めます。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

出典:デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)Ver. 1.0|経済産業省

2025年の崖

基礎知識の2つ目は、2025年の崖です。2025年の崖とは、複雑化やブラックボックス化、老朽化が発生した既存システムにより想定される、経済の停滞や国際競争力低下を指す言葉です。2025年までに予想されるIT人材の引退や、サポート終了がこれらが原因とされています。経済産業省のDXレポートでは、2025年の崖の影響として、以下のとおり予測を行っています。

  • 2025年には、21年以上稼働しているレガシーシステムがシステム全体の6割を占める
  • また2025年の崖が原因で、2025年から30年以上の間に最大12兆円の経済損失が生じる

出典:DXレポート~IT システム「2025 年の崖」の克服とDXの本格的な展開~|経済産業省

建設DXの意味

基礎知識の3つ目は、建設DXの意味です。DXはあらゆる業界で導入が進められています。建設分野をはじめとしたインフラ分野も例外ではなく、国土交通省もDX推進に力を入れています。建設DXとは、DXを建設業界に取り入れて活用することです。計画や設計、施工管理などにDXを取り入れることで、業務の効率化や人手不足解消などを目指しています。

出典:インフラ分野のDXに向けた取組紹介|国土交通省

建設DXにより解決が期待できる課題

ここでは、建設DXで活用される技術を、3つ解説します。

  • 業務の非効率性
  • ノウハウの属人化
  • 人手不足

それでは、1つずつ解説します。

関連記事:DX推進の背景・課題と失敗しないための5つポイント

業務の非効率性

解決が期待できる課題、1つ目は業務の非効率性です。例えば、最新の情報通信技術を活用し、計画や調査後の各段階で3Dモデルに置き換える技術が進歩しています。この3Dデータを共有することで、情報共有が容易になり、以下の効果が期待できるでしょう。

  • 速やかな合意形成
  • 作業の確実性向上
  • 作業の効率性向上

またゼネコンなどの営業においては、CRMやSFAなどのシステムを導入することで、営業業務の効率化を期待できるでしょう。

ノウハウの属人化

解決が期待できる課題、2つ目はノウハウの属人化です。建設業界では高齢化が進んでおり、生産性を維持するのが精一杯の企業も少なくなくありません。そのため、これまでと同じ感覚で社員教育を行う余裕がなくなってきているため、これまでと異なるノウハウの属人化防止策を考えなければなりません。例えば、後述するCIMを用いると、ベテラン技術者がどのような情報をもとにどのように判断したのか学ぶことができるでしょう。

人手不足

解決が期待できる課題、3つ目は人手不足です。3K(きつい、汚い、危険)のイメージをもって、建設業界を敬遠する人も少なくありません。また、少子高齢化が進み、ますます人手不足に悩まされている会社が増えてきています。それらの問題を、建設DXにより解決する取り組みが行われています。具体的には、以下の取り組みが行われています。

  • 遠隔地の事務所から施工状況などの確認を行うことで、現場にいなければならない人員を削減
  • 重機の遠隔操作により、掘削や運搬などの作業を実施

建設DXで活用される技術

ここでは、建設DXで活用される技術を、3つ解説します。

  • クラウド
  • IoT
  • 5G

それでは、1つずつ解説します。

クラウド

技術の1つ目はクラウドです。クラウドは、インターネット環境があればいつでもどこでも利用できます。そのため、例えば建設現場と事務所とでリアルタイムに工事状況を共有できます。これは、海外の工事においても活用できるでしょう。また、システムの維持や保守点検はクラウドのベンダーが行うため、コスト削減の効果も期待できるでしょう。

関連記事:情報共有はクラウド化が必須!メリット・デメリットや導入例を全解説

IoT

技術の2つ目はIoTです。 IoTは、「モノのインターネット」と訳されます。PC端末や重機など、様々なものをインターネットに接続するものです。これにより、自動認識や遠隔計測が可能になり、大量のデータを収集・分析して高度な判断や自動制御を実現します。建設DXにおいては、例えば建設機械の遠隔操作や、危険エリアのセンサー監視などにIoTを活用する取り組みが行われています。

5G

技術の3つ目は5Gです。5G(第5世代移動通信システム)とは、次世代の通信規格のことです。従来使われていた4Gと比較すると、以下の特徴があります。

  • より高速
  • 遅延が少ない
  • 同時に大量の接続が可能

これらの特徴により、これまでより多くの情報をより速く通信できるため、生産ラインやレイアウトの最適化を実現できるでしょう。また、今まで人が行なってきた作業を、より機械に代行させられるため、より人間にしかできない業務に集中できます。そのため、一層の業務効率化を図れるでしょう。

建設DXを活用している事例

ここでは、建設DXを活用している事例を、2つ解説します。

  • 行政機関
  • ゼネコン

それでは、1つずつ解説します。

行政機関

1つ目は、行政機関における事例です。この行政機関では、複数の工事・業務を一元化管理して、工程の調整をより効率よく行うための統合CIMモデルを構築しました。これにより、関係機関との協議をより円滑化して、関連する複数の工事・業務の工程調整などを効率よく行うことに成功しました。

※CIM(Construction Information Modeling/Management):3次元モデルを中心に、関係者間で情報共有を行うことで建設業務の効率化・高度化を図る取り組み。2012年に国交省から提言された取り組みで、以下の2つの両立を目指す。

  • ライフサイクル全体を見渡した情報マネジメント
  • Dモデルを活用した情報の見える化

出典:国土交通省におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の 推進について|国土交通省

ゼネコン

2つ目は、ゼネコンにおける事例です。このゼネコンでは、経営ビジョンに「デジタル化推進」を掲げ、組織作りや人材育成、社内業務のデジタル化を積極的に推進しています。例えば、建設運用のDXを支援するOSの商品化を目指しています。これは、建築設備やIoT機器など、各種アプリケーション同士の相互連携を容易にしてくれるソフトウェアです。また、ベンダーや設備機器メーカーと共同し、さらに幅広い建築設備システムとの連携ができるAPIの開発にも取り組んでいます。

まとめ

本記事では、建設DXの意味を解説した上で、建設DXで活用される技術や実際の活用事例などを解説しました。建設DXを適切に導入して活用することで、様々な効果を期待できます。ただDXの技術をよく理解していないと、十分な効果は得られません。また、建設 DX導入を目的にして、現場の実情に合っていない技術ばかり導入してもあまり効果は期待できないでしょう。しかし、成功事例を参考にしつつ、あなたの会社にとって最適な方法で建設DXの導入を進めることで、より大きな効果を期待できるでしょう。

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