介護業界で求められるDXとは?必要とされる背景・普及させる際の課題や導入事例などを徹底解説

2022年10月01日(土) DX

こんにちは。マニュアル作成・ナレッジ共有ツール「NotePM」ブログ編集局です。

DXがあらゆる業界で推進されているものの、DXの具体的な意味やそのメリットを理解できていない方もいるのではないでしょうか。DXとは、簡単に言うと「デジタル技術によって業務のやり方を改革し、効率化を図ること」です。また、経済産業省では以下のとおり定義しています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

※デジタルガバナンスコード2.0より抜粋

介護業界でも、DXを導入することで様々な課題を解決することが期待されていることをご存じでしょうか。本記事では、介護DXが必要とされている背景や効率化できる業務、普及させる際の課題などを解説します。

出典:デジタルガバナンスコード2.0 | 経済産業省
関連記事:デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?課題や進め方をわかりやすく解説

介護業界でも求められているDXの基礎知識

ここでは、介護業界で求められているDXの基礎知識として、以下の2つを解説します。

  • 2025年の壁
  • DXの類語

それでは、1つずつ解説します。

2025年の崖

基礎知識の1つ目は、2025年の崖です。2025年の崖は、2018年に経済産業省がDXレポートで提唱した概念で、「日本企業がこのままDXを推進できなければ、2025年以降巨大なリスクが日本に発生すること」を意味します。DXレポートでは、2025年の崖を克服できないと2025年以降、日本全体で最大12兆円/年もの損失が発生する恐れがあると試算しています。なお、DXを妨げる要因はDXレポートによると、主に以下の2つです。

  • レガシーシステムのブラックボックス化・老朽化・複雑化に伴い、運用保守が困難になって効率低下
  • 2025年までに、レガシーシステムの運用保守ができる多くの技術者が引退

出典:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~ | 経済産業省

DXの類語

基礎知識の2つ目は、DXの類語です。以下に3つ、表にまとめます。

類語 意味
IT化 ・今までアナログ媒体で行っていた業務をデジタルデバイスで実施

・事務的業務をIT技術で自動化
ICT ・ITに双方向型のコミュニケーションを加えた情報伝達技術

・遠隔受診や見守りカメラなどが該当
IoT ・これまでインターネットにつなげていなかったものを、インターネットにつなげてより便利にするという意味がある用語

・家電類をはじめ、多くの場面で活用

介護DXが必要とされる背景

ここでは、介護DXが必要とされる背景として、以下の2つを解説します。

  • 少子高齢化・人口減少への対応
  • 厚生労働省が科学的介護を推進

それでは、1つずつ解説します。

少子高齢化・人口減少への対応

背景の1つ目は、少子高齢化・人口減少への対応です。日本では、少子高齢化が進んでおり、その傾向は今後も続くと見られています。令和3年版高齢社会白書では、2065年には日本の総人口は8千8百万人まで減少し、現役世代1.3人が高齢者1人を支えることになると予測しています。介護業界も、その影響を見逃せません。なぜなら、今以上の人材不足に陥る可能性が高いからです。

そこで、以下のとおり介護DXを推進することで、少ない人手でも介護業務を進められるようにする取り組みが行われています。

  • 事務作業等の単純作業を自動化
  • 要介護者を遠隔で見守り

また、介護事業者の負担を減らすことで、結果的に離職率が低下して人材確保につながるかもしれません。

出典:令和3年版高齢社会白書(全体版) | 内閣府

厚生労働省が科学的介護を推進

背景の2つ目は、厚生労働省が科学的介護を推進していることです。厚生労働省は、令和3年4月にLIFE(科学的介護情報システム)の運用をスタートしました。LIFEでは、要介護者の健康状態などのデータを提出するとフィードバックが受けられ、介護サービスでPDCAサイクルを回しやすくなります。また、データベースに介護者のデータが蓄積されることから、データに基づいた適切な介護を促進することも期待されています。

ただし、LIFEへの情報入力やデータ管理に人的コストがかかると、日々の業務に影響が出る恐れがあることに留意しなければなりません。LIFEで得られたデータを有効活用することに加えて、LIFEに関わる業務の手間を削減するためにもDXを活用することを考えましょう。

出典:科学的介護とLIFE|厚生労働省 老健局 老人保健課

介護DXで効率化できる業務

ここでは、介護DXで効率化できる業務として、以下の2つを解説します。

  • 巡回業務
  • 事務作業

それでは、1つずつ解説します。

関連記事:医療業界で加速するDX推進とは?注目の背景・導入に向けた課題や活用事例など徹底解説

巡回業務

業務の1つ目は、巡回業務です。特に、規模が大きな介護施設であれば入居者も多く、入居者をケアするための巡回業務に大きな労力がかかります。認知症を患っている入居者がいれば、24時間体制で巡回業務を行わなければならず、その負担は一層大きなものになるでしょう。しかし、介護DXを用いることで、巡回業務の労力を削減できると期待されています。

例えば、人感センサーを設置して、センサーが入居者の徘徊などを検知したら、モバイルデバイスに通知を行うように設定します。これにより、いち早く徘徊などに気付けるため、巡回業務の手間を減らせます。また、入居者にウェアラブル型の端末を身につけてもらえれば、位置情報や健康状態を逐一把握でき、一層巡回作業の負担を減らせるでしょう。

関連記事:【2022年版】健康管理サービスおすすめ7選を徹底比較!種類・メリットや選定ポイントまで紹介

事務作業

業務の2つ目は、事務作業です。1人の要介護者に対し、複数の介護スタッフで対応する場合、要介護者に関する情報をスタッフ間で共有することが欠かせません。介護DXにより、要介護者の健康状態や服薬情報を自動で記録し、一元管理できれば、情報共有の手間が大幅に減少します。また、これらの記録を手入力する手間を削減できれば、事務作業の業務効率化も期待できるでしょう。

関連記事:業務効率化ツールの導入から活用方法までポイントを徹底解説

介護DXを普及させる際の課題

ここでは、介護DXを普及させる際の課題として、以下の3つを解説します。

  • 設備コスト
  • 社員のITリテラシー
  • セキュリティ対策

それでは、1つずつ解説します。

出典:介護DXに関する調査最終報告書|PwCコンサルティング合同会社
関連記事:DX推進の背景・課題と失敗しないための5つポイント

設備コスト

課題の1つ目は、設備コストです。介護DXを普及させるには、デバイスやインターネット環境などを整備する必要があります。しかし、これらの設備を導入・運用するためには、それ相応の設備コストが必要です。そのため、一度にDXに必要な設備を導入することが困難なことも、大いに考えられます。その場合、まずは小さく段階的に、DXに必要な設備を導入していきましょう。

社員のITリテラシー

課題の2つ目は、社員のITリテラシーです。介護事業者の社員が一定以上のITリテラシーを有していないと、どんなに優れたICT機器を導入しても使いこなせず、DXの効果を発揮しません。

また、DX推進のリーダー役をつとめられる人材も必要です。しかし、DX白書2021によると、事業戦略上の変革を担う人材の量が不足していると感じている日本企業は、76%にも達します。これは介護業界も例外ではありません。場合によっては、外部からDX推進のリーダー役をつとめられる人材を確保し、ITに関する知識や導入したメリットを根気強く浸透させることが求められます。

関連記事:ITリテラシーの意味とは?高めるメリットと方法とともに解説
出典:DX白書2021_第3部_デジタル時代の人材|独立行政法人 情報処理推進機構

セキュリティ対策

課題の3つ目は、セキュリティ対策です。介護DXの過程では、入居者の個人情報や身体情報を記録することになります。しかし、これらのデータが情報漏えいすると、入居者に損害を与えるだけでなく、介護事業者の事業活動にも多大な影響を与える恐れがあります。また、介護事業者がサイバー攻撃の対象になる可能性も、十分考えられます。そのため、十分なセキュリティ対策を行い、情報漏えいを防ぐことが重要なのです。

関連記事:【2022年版】セキュリティソフトおすすめ8選を徹底比較!

介護業界でDXを導入した事例

ここでは、介護業界でDXを導入した事例として、以下の3つを解説します。

  • 地方自治体
  • 社会福祉法人
  • 訪問介護事業者

それでは、1つずつ解説します。

地方自治体

1つ目は、地方自治体における事例です。地方自治体Aでは、ベンチャー企業や社会福祉法人などと連携し、地方自治体Aにおける介護事業所の課題分析を行いました。また、介護事業所とベンチャー企業とのマッチングや、ソリューション導入支援などを行っています。これにより、介護事業者の生産性向上や、地方自治体Aの住民が適切な介護サービスを受けるためのリソース確保を図っているのです。

社会福祉法人

2つ目は、社会福祉法人における事例です。社会福祉法人Bは、ITリテラシーを介護現場で活用できる「スマート介護士」を育成するため、新たな法人を立ち上げました。介護のノウハウを活かして、介護の現場で無理なく確実にDXを活用できるよう働きかけることで、介護業界を中から変革しようとする取り組みです。

訪問介護事業者

3つ目は、訪問介護事業者における事例です。訪問介護事業者Cは、要介護者への訪問状況を可視化できるシステムを導入しました。その結果、職員1人1人の勤務状況をリアルタイムで確認でき、訪問忘れをなくすことに成功しました。また、情報共有が促進された上に、現場スタッフの意識が向上し、サービスの質が向上しました。それにより、新たな利用者を獲得することにもつながったのです。

まとめ

本記事では、介護DXが必要とされている背景や効率化できる業務、普及させる際の課題などを解説しました。人材不足など、介護業界の課題解決に対し、DXは大きな効果を発揮する可能性があります。一方で、DX普及のみを目的にしては、介護現場の実情や社員のITリテラシーにより、十分に効果を発揮できないことも考えられます。それを防ぐには、DXの意味や効率化できる業務、実際の導入事例などを理解することが重要です。介護業界でDX推進を成功させたい場合は、ぜひ本記事を参考にしてください。

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