労働安全衛生法が改正されてから、健康管理サービスを導入する企業数が加速しています。従業員の健康をより良く管理するために、どの健康管理サービスが良いのかを知りたい、と調べている推進者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。利用する従業員にとっても自分の健康を楽しく維持管理でき、達成感が得られるメリットがあります。本記事では、健康管理サービスのメリットや選び方について丁寧に解説していきます。
目次
健康管理サービスとは?注目・おすすめの3つの背景
健康管理に注目が高まる背景を以下3点紹介します。
- 労働安全衛生法の一部改正
- 過労防止のため
- 離職率の低下
それぞれ、一つずつ解説していきます。
労働安全衛生法の一部改正
健康管理に注目が高まる背景の1点目は、労働安全衛生法の一部改正です。労働安全衛生法とは「職場における炉同社の安全と健康の確保」と「快適な職場環境の形成」のために、制定された法律です。労働安全衛生法は、年に数回ほど改正されていますが、平成27年(2015年)12月1日の改正により、ストレスチェック制度が義務付けられました。
内容としては、従業員数が50名を超える企業に対して、年1回のストレスチェック義務付けを行うものです。さらに、従業員の定期健康診断を1年に1回行うことも義務付けられています。労働安全衛生法の一部改正により、従業員の健康管理に真剣に取り組む企業が増え、従業員が持つスマホ端末に導入できる健康管理サービスの利用が拡大しています。
過労防止のため
健康管理に注目が高まる背景の2点目は、過労防止です。労働基準法では、原則として1日8時間、1週40時間以内を法定労働時間と定めています。この時間を超えて社員が残業する場合は、36協定(労働基準法第36条にもとづく労使協定)を申請しなければなりません。
従業員にとって36協定を申請することはハードルが高く、トラブルやよほど仕事が忙しい場合ではないと基本的に申請が許されません。36協定は存在するものの、まだ業務時間超過問題を解決できていない会社も多数存在します。長時間労働や従業員の状態を把握するためにも、効率的に健康診断を行えるようシステムを活用すべきという理由により、健康管理に注目が高まっています。
離職率を低下するため
健康管理に注目が高まる背景の3点目は、離職率を低下するためです。近年、大企業でも新卒で入社した社員が長時間労働が原因で2~3年で辞めてしまう、という問題が多く起きています。中年層も働けるだけ働かされており、上司を含めて会社は自分の健康状態を全く気にかけてくれない、と企業に対して不満を感じる従業員も多いです。企業が従業員の健康状態をしっかりと管理できること、健康状態を知った上で働き方の見直しへの提案ができること、離職率を低下するために健康管理が改めて注目されています。
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健康管理サービスの種類を比較
健康管理サービスの種類を以下2点紹介します。
- クラウド版
- パッケージ版
それぞれ、解説していきます。
クラウド版
健康管理サービスの種類の1点目は、クラウド版です。クラウド環境で健康管理サービスが提供されており、契約Web接続すればすぐに使うことができる特徴があります。健康管理サービスを利用したいけど、社内に構築するのは初期費用もかかるしハードルも高い、と考えている方におすすめです。
クラウド版は従業課金制のため、契約後簡単な設定とユーザー登録をすればすぐにサービスが利用できます。また、従来の社内システムにありがちな物理サーバーの購入も必要なく、初期コストを抑えることが可能です。運用面においてもシステムサービスの運用・管理をクラウド上で行えるため、企業担当者に専門的なシステムの知識も少なく済みます。健康推進者は従業員の健康状態を把握することに専念できます。
パッケージ版
健康管理サービスの種類の2点目は、パッケージ版です。パッケージ版とは自社のサーバーやPCにインストールする必要があるサービスのことです。基本的に買い切り方のものが多く、社外ネットワークに接続しなくていいというメリットがあります。ただし、パッケージのアップデート管理などが発生し、自社運用担当者の対応が大変になる傾向にあります。
健康管理サービスの活用がおすすめの3つの理由・メリット
健康管理サービスの活用をおすすめする理由・メリットを以下3点紹介します。
- 従業員の管理が容易
- 職場環境の改善
- 従業員のサポートが容易
それぞれ、解説していきます。
従業員の管理が容易
健康管理サービス活用がもたらす1点目のメリットは、従業員の管理を容易にできることです。労働安全衛生法では、従業員の定期健康診断を1年に1回行うことを義務付けていますが、受けていない従業員も少なからずいます。従来の方法ではエクセルなどに手で入力して定期健康診断の履歴を管理していましたが、入力ミスや見落としもありました。健康管理サービスがあれば、健診を受診していない従業員や、健診結果を提出していない従業員の特定が容易であることはもちろん、本人に対して催促できます。
職場環境の改善
健康管理サービス活用がもたらす2点目のメリットは、職場環境の改善です。健康管理サービスで把握した従業員の健康状態を元に、従業員が属している部署ごとの職場環境を把握できます。また、健康状態が他に比べて良くない組織に対しては、働きやすい職場環境の構築を提案します。職場環境が良くなれば、従業員の健康状態や満足度が上がり、離職率低下にも繋がるでしょう。
従業員のサポートが容易
健康管理サービス活用がもたらす3点目のメリットは、従業員に対するサポートが容易であることです。健康管理サービスを使えば個人としてのデータだけでなく、グループや部署単位のデータとして一括にまとめることができ、各組織のトップや担当スタッフに結果を共有し、的確なフォローを行えます。健康管理サービスを活用すれば、組織内のメンバー間で健康管理への意識が芽生え、信頼関係が高まります。
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健康管理サービスを比較する上でのおすすめチェックポイント
健康管理サービスを比較する上でのおすすめチェックポイントを以下4点紹介します。
- クラウド型かオンプレミスか
- 対応ユーザー数
- 社内システムとの連携
- 入力方法は簡単か
それぞれ、解説していきます。
クラウド型かオンプレミスか
健康管理サービスを比較する上でのおすすめチェックポイントの1点目は、クラウド型かオンプレミスのどちらを選ぶかです。健康管理サービスの大半はクラウドサービスです。契約すればすぐに始められ、初期コストを抑えることもできます。ただし、与えられた機能を利用するのみでカスタマイズすることは基本的にできません。
一方オンプレミスは、健康管理サービスを構築するための物理サーバーを新規購入もしくは用意する必要があり、初期費用が高い傾向にあります。ただし買い切り型なので利用するユーザー数が多ければ多いほど、クラウドサービスよりも安く済む可能性もあります。また、自社の好きなようにカスタマイズすることも可能です。
クラウドサービス、オンプレミスどちらもメリットとデメリットがありますので自社に合った形態を選択しましょう。
対応ユーザー数
健康管理サービスを比較する上でのおすすめチェックポイントの2点目は、対応ユーザー数です。サービスによっては全ての従業員数分に対応していないものもあります。対応していないサービスを選択した場合、組織単位、グループ会社単位で利用するサービスを分ければならない、など管理者側の手間が増えてしまいます。
サービスを選ぶ際に、従業員数に適した健康管理システムかどうかをしっかりと確認しましょう。また、契約プランによって最大利用ユーザー数も異なるため、予め何人が利用するのかを明確にした上で、サービスや実際にかかる契約プランのコストも確認しましょう。
社内システムとの連携
健康管理サービスを比較する上でのおすすめチェックポイントの3点目は、社内システムとの連携です。健康管理サービスは単独で使うよりも勤怠システムなどと連携することで、より確実に従業員の健康状態を管理できます。
例えば、従業員が勤怠システムに入力した就業時間を自動的に健康管理サービスに渡すことができれば、「今週は多く働いたから週末ゆっくり休もう」「長時間デスクに座ってばかりで運動していなく疲れも溜まっているから、たまには身体を動かそう」と従業員に気づきを与えることができます。既存社内システムと健康管理サービスを連携することで、より確実に従業員の状態を把握でき、適切なサポートができるでしょう。
入力方法は簡単か
健康管理サービスの比較方法の4つ目は、入力方法は簡単かです。健康管理サービスは頻繁に見てこそ意味があるものなので、操作が簡単なことは極めて重要です。従業員に向けて健康に関するアンケートなども送ることができますが、その時にいかに答えやすい内容か、サービスの操作は簡単かで回答数や入力内容が大きく変わります。操作方法が簡単なサービスは、従業員も扱いやすく、素早く回答できる傾向にあります。
健康管理サービスを比較する際の2つの注意点
健康管理サービスを比較する際の注意点を2つ紹介します。
- 続けられるサービスを選ぶこと
- データに依存しない
それぞれ、解説していきます。
続けられるサービスを選ぶこと
健康管理サービスを比較する際の一つ目の注意点は、続けられるサービスを選ぶことです。新しいサービスを選ぶ際はどうしても目新しい機能に注目しがちですが、それよりも従業員が選んだ機能を長い期間しっかりと使えるかどうかが重要です。複雑に作られたものではなく、シンプルに操作しやすいものが続きやすいサービスとなります。
また、従業員がサービスに飽きて、健康管理を続けなくなるケースもあります。どんなに優れて使いやすい機能でも、単調なものだとどうしても続けにくいです。対策としては従業員にモチベーションをあげるためのイベントを用意することです。例えば季節ごとにイベント(ウォーキングイベントなど)を開催し参加する従業員にはポイントを与える、そのポイントを景品などに交換できるなどの利点があると、続きやすい傾向にあります。
また、従業員が健康管理へのToDoを設定し、毎日・毎週達成したらポイントを付与するなどの対策も良いでしょう。機能も大事ですが、まずは従業員の多くが長く続けられるサービスを選ぶことが重要です。
データに依存しない
健康管理サービスを比較する際の2つ目の注意点は、データに依存しないことです。健康管理サービスはデータベースで社員の健康状態を管理していますので、データを元に従業員の状態や、組織傾向などを判断してしまいがちです。実際には、データには表すことができない健康事情もあります。従業員は自分の状態全てを健康管理サービスに記録することはできませんし、自身が気づいていない問題もあり、突然体調異変が起きることもあり得ます。データに頼るのではなく、従業員との対面での会話や実際の働き方・雰囲気を見ながら、日々しっかりとコミュニケーションを取ることが大切です。
健康管理サービスおすすめ7選を比較
健康管理サービスのおすすめを以下に7選紹介します。
Carely
Carelyとは、健全な組織作りを支援するために働く人の実際の健康データに基づいて、予防措置をとる健康管理システムです。健康診断のWeb予約や健康データをまとめて一元管理することができます。プランの種類は、安価にアウトソースできる「スタータープラン」と「クラウドプラン」の2つです。企業が健康課題の可視化・改善・効果検証ができる環境を構築するためのコンサルサービスもあります。
Carelyの特徴
- 使いやすさにこだわったシンプルな操作画面
- 健康状態の可視化による保健スタッフの働き方改善
- 機能追加や法改正対応なども自動アップデートで対応
LAFOOL SURVEY
LAFOOL SURVEY(ラフールサーベイ)は人事施策の効果の定量化、組織間で異なる役職に対し、共通認識・共通言語化を実現するサーベイツールです。
「組織が良い方向へと動くためには、それぞれの目指すべきベクトルを揃える必要がある」とのコンセプトで、個人の心身の健康やセルフケア意識を芽生えさせることからスタートし、組織全体の生産性向上や組織対応力を高めていきます。
LAFOOL SURVEYの特徴
- 学術的観点を元にした質の高い調査項目・多角的分析を実現
- 分析結果から情報の抽出し自動でフィードバック実施
- 無料デモで体験可能
URL: https://survey.lafool.jp/
Wellness Eye
Wellness EyeはソフトバンクグループのSBアットワークが提供するストレスチェックツールです。東京大学の川上憲人教授との産学共同研究により、サービスを構築しています。使いやすさに徹底的にこだわり、操作性だけでなく共同研究による診断ロジックや、カウンセラーのノウハウを活かしたコメントを表示する、実用的なアウトプットを提供しています。
Wellness Eyeの特徴
- 使いやすさにこだわりマニュアル不要な操作性を実現
- ソフトバンクの実績を元にした活用ノウハウを提供
- 様々な要因から顧客情報を守るため頑固なセキュリティを実現
URL: https://www.softbankatwork.co.jp/wellness-eye/
STRESCOPE
STRESCOPEは株式会社こどもみらいが提供するストレスチェックサービスです。ストレスチェックを受けることに加え、組織としての現状把握、従業員の不調の原因を探り、会社へのアドバイスを行うことができます。仕事の要因のみを分析するBASICプラン、仕事に加え睡眠と生活習慣を中心として分析するADVANCEプランが用意されており、あらゆる面から従業員の健康状態を管理します。
STRESCOPEの特徴
- 心身の不調やうつ病との関連がある設問項目を独自に用意
- 産業医と実施者にあらゆる要因から要約した不調原因を共有
- 医療情報AIを通して100万通りのアドバイスを実現
ポケットセラピスト
ポケットセラピストは、従業員の生産性向上とうつリスク改善をサポートする健康経営ソリューション です。健康経営をサポートするために、従業員の健康の測定と改善、担当者側の可視化と分析を繰り返し実施することでPDCAサイクルを回していきます。生産性低下の原因の第1位である肩こりと腰痛対策を起点としており、従業員規模10,000人以上において、高い生産性向上を達成しています。
ポケットセラピストの特徴
- 肩こり・腰痛対策で9400万円以上の生産性向上を実現
- 「測定・改善」と「可視化・分析」のPDCAサイクル
- 従業員の整骨院等の受診率14%減少を達成
URL: https://pocket-therapist.jp/
O:SLEEP
O:SLEEPは生産性の低いチームやメンタルリスクを改善するために、睡眠データにこだわったサービスです。従業員が質の高い睡眠を取れるように睡眠トレーニング、管理者に対して従業員の睡眠状態を管理する睡眠マネジメントを提供します。ハイリスクのある従業員に対して産業医面談紹介や、睡眠不良者に対してセミナーを実施するなどを対応し、睡眠改善による生産性向上を目指します。
O:SLEEPの特徴
- 課題特定と改善プログラムによる睡眠トレーニング
- 睡眠マネジメントで従業員の睡眠状態の可視化
- 従業員の睡眠改善効果を金額に換算
URL: https://o-sleep.com/
M-Check+
M-Check+ はメンタルヘルス専門機関である株式会社マインが提供するトータルサポートサービスです。ストレスチェック、医師面談の実施、チェック後の事後対応までをしっかり行います。もオプションメニューも充実しており、実施に関わる付帯業務についても幅広くサポートしています。
M-Check+の特徴
- パソコン・スマートフォン・用紙チェックが可能
- 実施者の受託、医師による面接指導の実施などあらゆる面をサポート
- 顧客ニーズに合わせた分析軸で実施結果を分析
URL: https://www.tdc.co.jp/product/mcheckplus/
まとめ
本記事で、健康管理サービスについて詳しく紹介しました。健康管理といっても、健康診断結果からの分析、アンケートによるストレスチェック、または肩こり腰痛を起点としたものまで様々なサービスが用意されています。自社の現状と課題を知りどこに対策を打つべきなのかをしっかりと考え、サービスを選定していきましょう。
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