こんにちは。マニュアル作成・ナレッジ共有ツール「NotePM」ブログ編集局です。
エンゲージメント(engagement)は、「婚約、誓約、約束、契約」を意味する英単語です。人事領域においては、従業員が企業にもつ愛着・思い入れを現すものと解釈されます。このエンゲージメントは、少子高齢化や変化が一層激しくなっている現代社会において、企業経営における重要なポイントの一つとなっています。この記事では、エンゲージメントの意味だけでなく、注目される背景・高めるためのポイントについても解説していきます。
目次
エンゲージメントとは?
エンゲージメントは、使用されるシチュエーションによって意味が大きく異なってくる言葉です。ビジネス上での意味は、大きく分けて以下の二つに分かれます。それぞれの意味について解説します。
- 人事領域における意味
- マーケティング領域における意味
人事領域におけるエンゲージメントの意味
人事領域において、エンゲージメントは「個人と組織の成長の方向性が連動していて、互いに貢献し合える関係」を意味します。エンゲージメントが向上すれば、従業員一人一人が組織への信頼度を高めてくれます。すると、自身と組織のために意欲的に仕事に取り組んでくれるため、組織力が高まります。従業員と組織がお互いに好影響を与え合って、最終的に組織にとって好ましい結果(業績アップ)が得られるのです。
マーケティング領域におけるエンゲージメントの意味
マーケティング領域において、エンゲージメントは「消費者が企業や商品ブランドなどに抱く愛着」を意味します。またWebマーケティングでは、エンゲージメントはtwitter、facebook、InstagramなどSNSにおける「いいね」、「コメント」などの数を意味します。新規顧客の開拓に留まらず、消費者と交流を重ねることでファンを育てていくためにも重要な指標の一つです。なお、エンゲージメント率とは、ユーザーが積極的な反応を示した割合を表す値です。これが高いほどSNS上で消費者と交流できていると判断できます。
エンゲージメントと類語との違い
エンゲージメントと似た言葉に、「従業員満足度」、「ロイヤルティ」、「モチベーション」があります。それぞれの意味を簡単に解説した上で、エンゲージメントとの違いを解説します。
従業員満足度
従業員満足度とは、「従業員が、仕事の内容・報酬・待遇・職場環境・職場の人間関係などに対してどれぐらい満足しているか」を示す指標です。エンゲージメントとの大きな違いは、従業員満足度が高くても組織に貢献したいと強く考えているとは限らないことです。そのため、従業員満足度が高くても、さらによい条件で働ける職場があればそちらに移ってしまう可能性は少なくありません。一方、エンゲージメントが高いと組織自体の愛着が強いため、組織を離れる可能性は低くなります。
関連記事:労働生産性とは?計算式や従業員の労働生産性を向上する方法を紹介
ロイヤルティ
ロイヤルティ(Loyalty)は、「忠誠、忠実」を意味する英単語です。人事領域においては、従業員が組織に対してもっている忠誠心や忠実度を意味します。エンゲージメントとの大きな違いは、従業員と組織との関係性です。ロイヤリティが高い状態とは、年功序列や終身雇用などの制度によって、従業員が組織に従っている状態のことです。組織の方が立場が上で、従業員と組織の想いが必ずしも一致するとは限りません。反対に、エンゲージメントでは、従業員と組織は対等です。エンゲージメントが高いと従業員と組織が一致しています。
モチベーション
モチベーション(Motivation)は、「動機付け、目的意識」を意味する英単語です。大きく分けて以下の二つに分かれます。
内的モチベーション | 本人の気持ちからわき起こるモチベーション。「好きな仕事ができている」、「仕事が面白くて集中できている」など。 |
外的モチベーション | 外部からの働きかけで生じるモチベーション。「上司から評価される」、「給料が高い」など。 |
エンゲージメントとの大きな違いは、組織が関係するか否かです。モチベーションは、内的外的問わず、組織に関係なく個人の中で発生するものです。一方、エンゲージメントは組織への貢献が前提になります。
エンゲージメントが注目される背景
ここまで、エンゲージメントの意味や類語との違いについて解説してきました。ここでは、エンゲージメントが注目される背景について、以下の3つ解説します。
- 人材の流動性が増加
- 個人の価値観が多様化
- 従業員の生産性に影響
人材の流動性が増加
これまで、多くの日本企業では終身雇用や年功序列制度を前提としてきました。しかし、現在これらが崩壊しつつあり、成果主義、実力主義を採用する企業が増えてきています。それにより、人材の流動化が進みました。特に、優秀な人材ほどよりよい条件で働くことを希望して、一つの企業に留まらない傾向が強まっています。また、テレワークなど柔軟な働き方や副業も当たり前になってきており、働き方の多様性も増大しています。
このように、より自分に適した職場や働き方を求める傾向が強まっているため、今後も人材の流動性が増加していくことは確実です。そのような状況のため、エンゲージメントが注目されています。企業は、従業員と想いを共有してつながることで、優秀な従業員の流出を防ぎたいと考えているのです。
関連記事:非正規社員中心企業の課題|従業員満足度を高めるメリットや方法を紹介
個人の価値観が多様化
最近は、ワークモチベーションや雇用形態に関して個人の価値観が多様化しています。昇給や出世にあまり関心がなく、代わりに仕事の意義ややりがいを重視する従業員や、組織や仕事内容が自分と合わないと感じるとすぐに辞める従業員が増加しています。多様な価値観の従業員をマネジメントする場合、これまでのように「組織が従業員を従える」だけのマネジメントが通用しなくなってきました。
そこで、従業員と組織の信頼度を高めるエンゲージメントが注目されるようになりました。エンゲージメントを高めることで、組織が従業員を支配するのではなく、組織と従業員がお互いを信頼し合う関係が強まります。それにより、多様な価値観をもつ従業員がいても組織にまとまりをもたせることが可能となります。
従業員の生産性に影響
エンゲージメントは、従業員の生産性にも大きな影響を与えます。昨今、世界では変化が一層激しくなっており、企業間の競争も激化しています。この厳しい環境で企業が競争力を維持して成長を続けるには、従業員の生産性を向上させていくことが非常に重要です。そして、エンゲージメントを高めることは、従業員の生産性を向上させる効果もあるのです。
実際に、厚生労働省「令和元年度 労働経済の分析」において、エンゲージメントと労働生産性との相関関係が調査されました。その結果、個人・企業いずれの労働生産性においても、エンゲージメントのスコアが高いほど労働生産性が高まっていると感じるとの調査結果が得られました。これは、エンゲージメント向上が従業員だけでなく企業の生産性にも好影響を与えるであろうことを示唆しています。
エンゲージメントサーベイとその活用方法
エンゲージメントを高めることが重要であることを先ほど解説しましたが、従業員のエンゲージメントを高めるには、その前段で以下のプロセスを踏む必要があります。
- 現状を可視化する
- 重点的に取り組むべき課題を明らかにする
そのために有効な手段の一つである、エンゲージメントサーベイとその活用方法について解説します。
エンゲージメントサーベイとは?
エンゲージメントサーベイとは、従業員と企業におけるエンゲージメントの状態を数値化することで、社内の現状を把握するための社内調査です。アンケート形式で質問に答えてもらい、その結果を数値化します。年1回実施するのが一般的です。以下に、アンケートでの質問例を示します。ただし、あまりに質問数が多い、もしくは回答方法が自由記述ばかりだと従業員に負担を強いることになるので、質問数を絞ってシンプルに回答できるよう工夫しましょう。
【質問例】
・仕事で自分に何が期待されているか理解しているか?
・自分の仕事を遂行するために必要な設備や資源を有するか?
・仕事上、最も得意なことを行う機会が毎日あるか?
・最近一週間で、よい仕事をしていると認められたか?もしくは褒められたか?
・上司や職場の誰かが自分を一人の人間として気遣ってくれるか?
・仕事で個人の成長を応援してくれる人がいるか?
・仕事で自分の意見が頼りにされていると感じるか?
・仕事で自分の仕事が重要なものと思っているか?
・自分が得意なことを仕事にするチャンスがあるか?
・この1年で自分の成長を実感できているか?
エンゲージメントの向上を阻害する要因は、ビジョンの共有不足や上司のマネジメント不足など、様々です。エンゲージメントサーベイによって、その要因を明らかにします。
エンゲージメントサーベイの活用方法
エンゲージメントサーベイは、例えば以下の部分で活用できます。
フィードバック | 個人だけでなく、部門や管理職ごとにフィードバック。意識づけや改善策の実施に有効 |
人事施策 | 人事施策や評価制度の見直しや改善、組織開発にエンゲージメントサーベイの結果を活用 |
従業員へのフォロー | 成果を出せていない従業員に対するフォローに、エンゲージメントサーベイの結果を活用 |
エンゲージメントを高めるための5つのポイント
エンゲージメントが高いと、従業員が意欲的にやりがいを持って仕事に取り組んでくれます。ここでは、従業員のエンゲージメントを高めるためのポイントを、以下の5つ紹介します。
- ビジョンへの共感
- やりがいの創出
- 働きやすい職場づくり
- 成長支援
- コミュニケーションインフラの整備
ビジョンへの共感
ビジョンとは、企業が進むべき方向性を示すものです。従業員からビジョンへの共感を得られなければ、従業員は日々の業務に対して目的意識をもてなくなります。そうなると、従業員同士のまとまりやモチベーションの維持は期待できません。ビジョンへの共感を促すには、定期的に従業員向けの情報発信を行っていき、少しずつ浸透させていくことが効果的です。
やりがいの創出
仕事におけるやりがいを創出することも、エンゲージメントを高めるために重要なポイントの一つです。社内イベントや表彰、報酬アップなどの方法により直接的にやりがいを創出することもできますが、それだけでは短期的な効果しか得られません。長期的にやりがいを創出していくには、適材適所の人材配置や社内フリーエージェント制、適切な人事評価制度など、社員が自分の力を存分に発揮できる仕組みを構築していくことが重要です。
働きやすい職場づくり
従業員が働く環境も、エンゲージメントに大きな影響を与える要素です。そのため、エンゲージメントを高めるには、働きやすい職場を作っていくことが重要です。働きやすい職場とは、従業員の心身が健康で、意欲的に仕事を進められる職場です。例えば、社内コミュニケーションを活性化させることで、組織への愛着心が強まります。また、健康経営やワークライフバランスの向上により、従業員の身体面での健康を増進させることも、エンゲージメントを高めるために有効です。
成長支援
従業員が仕事への満足度を高めていくには、従業員が自分の成長を実感できる仕組み作りを行うことも必要です。そのためには、スキルアップやキャリアアップのための研修や、資格取得の補助など従業員の成長支援を促進する取り組みが有効です。また、上司のコミュニケーション力向上も有効です。コミュニケーション力が高い上司の元では、組織全体のコミュニケーションを活性化させ、組織全体のエンゲージメントを高めてくれます。
コミュニケーションインフラの整備
ここまで、エンゲージメントを高めるポイントとして、ビジョンへの共感、やりがいの創出、働きやすい職場づくり、成長支援と紹介してきました。これらを実現するために大切な要素が社内コミュニケーションです。そして、その社内コミュニケーションの活性化に有効な手段がコミュニケーションインフラの整備です。特に、テレワークが普及して社内コミュニケーションへのハードルが上がっている現在、ITツールによるコミュニケーションの促進がますます重要になっています。
まとめ
この記事では、エンゲージメントの意味だけでなく、注目される背景・高めるためのポイントについて解説してきました。少子高齢化で労働人口が減少している昨今、優秀な人材を確保し続けるにはエンゲージメントを高めることが重要なポイントです。エンゲージメントを高めるには、企業と従業員の双方が対等な立場でお互いを十分に理解し合うことが大切で、それには職場内のコミュニケーションを十分に取ることが必要です。職場内のコミュニケーションを強化するためには、社内wiki など情報共有ツールの活用が有効です。
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