労働生産性とは?計算式や従業員の労働生産性を向上する方法を紹介

2024年12月02日(月) 業務効率化

こんにちは。マニュアル作成・ナレッジ共有ツール「NotePM」ブログ編集局です。

労働生産性は、従業員の労働の効率性を示す指標です。定量的に示すことができるため、人事評価や経営判断に活かせます。一方で、日本は他国と比較しても労働生産性が低いと言われている国です。国際化がさらに加速する現在、市場競争力を高めるためには、労働生産性改善に向けた取り組みが重要になってきます。

この記事では労働生産性の定義や計算式、労働生産性が低い企業の特徴を紹介します。企業全体の労働生産性を高める方法も解説していますので、ぜひ自社に採り入れてみてください。

労働生産性とは

労働生産性は、従業員1人あたりまたは1時間あたりの労働の効率性を計る尺度です。企業の労働生産性を数値として算出することで、従業員の能力向上や効率改善に向けてどんな取り組みが必要なのか可視化できます。また、社会全体で労働生産性が向上していくことで、経済の成長や豊かさにつながると言われています。

業務効率化と労働生産性向上の違い

業務効率化は労働生産性を向上する方法の1つです。「業務効率化」は、リソースや工程のムダを排除して効率化を進めることを意味します。一方で「労働生産性向上」は、より多くの生産量・付加価値を生み出せるようにする施策のことです。そのため、設備や人件費への投資を増やすことも、労働生産性向上の方法に含まれます。


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労働生産性の種類と計算式

労働生産性の測り方にはさまざまな種類がありますが、代表的なのは「物的労働生産性」と「付加価値労働生産性」の2種類です。

物的労働生産性

物的労働生産性とは、商品の物理的な質量から見た労働生産性のことです。製造業で用いられることが多い指標で、1人あたりまたは1時間あたりの成果を算出できます。

<物的労働生産性の計算式>

物的労働生産性(1人あたり)=生産量÷従業員数

物的労働生産性(1時間あたり)=生産量÷従業員数×労働時間

付加価値労働生産性

付加価値労働生産性は、商品の価格から見た労働生産性です。販売価格から仕入れ価格を引いた付加価値(粗利)がどれほどあるかを示しています。サービス業、IT、金融、教育など、形のないサービスを提供する業界で用いられることが多い指標です。

<付加価値労働生産性の計算式>

付加価値労働生産性(1人あたり)=付加価値額÷従業員数

付加価値労働生産性(1時間あたり)=付加価値額÷従業員数×労働時間

※付加価値額=人件費+支払利息+賃借料+租税公課+営業純益

関連記事:生産性分析に用いる指標一覧|生産性の計算式や改善方法も紹介

「日本は労働生産性が低い」と言われる理由

公益財団法人日本生産性本部の「労働生産性の国際比較2022」によると、日本の時間当たりの労働生産性は OECD加盟38カ国中27位、G7で最下位です。前年比で1.5%上昇しているものの、順位は1970年以降最も低くなっています。他国は労働生産性が右肩上がりなのに対し、日本は横ばいのため、どんどん差が開いているのが現状です。

深刻な人手不足

少子高齢化により、社会全体で労働人口が不足していることが理由の1つです。2030年には644万人の人手不足になるという推計結果が出ています。とくにサービス業や医療・福祉業界などで深刻な人手不足が起きると予測されていいます。

出典:労働市場の未来推計 2030|パーソル総合研究所

設備投資の縮小

生産性を高めるために必要な設備が不足していることも、生産性が低い理由です。経済産業省の発表によると、宿泊業、飲食サービス業、医療・福祉業ではとくに設備投資(資本設備率)が縮小している傾向にあります。

出典:サービス生産性レポート|経済産業省

労働生産性が低い企業の特徴

社会全体で労働生産性が課題となっているなかで、とくに労働生産性が低い企業に見られる共通点を3つ紹介します。

中小規模のサービス業

中小企業庁の調査によると、企業規模が小さくなるほど労働生産性水準も低くなっています。また、業種別に見ると宿泊・飲食サービス、生活関連サービス業、娯楽業はとくに労働生産性の水準が低いという結果が出ています。

出典:2022年版「中小企業白書」 第6節 労働生産性と分配|中小企業庁

残業時間が多い

労働生産性が低いことで、残業時間増加に繋がっている企業が多くなっています。残業増加を引き起こす要因は、業務効率化が進んでいないことだけではありません。問い合わせ対応や他の人のフォローに時間がかかってコア業務に集中しづらいことや、定時までに終わらせるという意識が薄いことなどさまざまです。

評価基準が不明瞭

明確な評価基準がないことも、労働生産性低下に繋がります。スキルや頑張りと給与・ポジションが比例していないため、従業員のモチベーションが上がりづらいことが原因です。評価制度が整備されていない企業では、属人化や暗黙知などの問題も抱えていることが多くなっています。

従業員の労働生産性を向上させるメリット

労働生産性を高めることで、企業にとっても従業員にとってもメリットがあります。ここでは、従業員の労働生産性を高めるメリットを3つ紹介します。

人材不足への最適化

人手不足解消の方法として働く女性やシニア、外国人などを増やす策が提唱されています。しかし、人口全体がすぐに増えるわけではないため、根本的な解消は難しいでしょう。そこで、1人ひとりが生産性を向上できるよう働きかけて、限られたリソースで目標とする生産量・売り上げを達成できるよう目指すほうが現実的でしょう。

企業競争力の向上

人口減少により、国内では働き手だけでなく市場も縮小しています。企業が成長するためには、海外市場で労働生産性の高い他国企業と競争する必要があります。労働生産性を高めることで、そうした海外企業とも互角に競争できる力をつけられるでしょう。

ワーク・ライフ・バランスの向上

労働生産性向上は企業にとってだけでなく、従業員にとってもメリットがあります。以前よりも少ない時間で高い成果を上げられるようになるため、残業を減らせたり、有給休暇を取りやすくなったりと、ゆとりある働き方に繋がるでしょう。ワーク・ライフ・バランスを実現できる企業は求職者から選ばれやすいので、優秀な人材を集めやすくなる効果もあります。

従業員の労働生産性を向上する方法

では、従業員の労働生産性を高めるためには、どうしたら良いのでしょうか。ここでは、労働生産性向上の方法を事例とともに紹介します。さらに詳しくは以下の記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

関連記事:企業の生産性向上について徹底解説!定義やメリット・実現のための方法まで解説

業務を自動化できる設備を導入

業務の一部をツールや機械に任せることが、1人あたりの業務負担を減らすのに効果的です。業務自動化の代表例は、ファミレスの配膳ロボットや、物流倉庫で荷物配送用ロボットなどがあります。

<業務自動化の事例>

猫型の配膳ロボットを導入した、すかいらーくホールディングス。ロボットで料理の提供を自動化したことで、従業員の歩行数は42%削減、テーブルの片付けが完了するまでの時間が35%削減といった効果が出たそうです。

出典:【すかいらーく】約2,100店に3,000台のロボット導入完了 | 株式会社すかいらーくホールディングスのプレスリリース

業務標準化の推進

業務標準化とは、社員のスキルや経験を問わず同じ品質のサービスを提供できるようにする取り組みのことです。標準化によってスキルや経験が不十分な社員でも、ベテランと同水準のサービスを再現できると言われています。標準化を実現するためには、ナレッジ共有の仕組みを作ることが不可欠です。

<業務標準化の事例>

北部九州情報化推進協議会では、規模が異なる7つの自治体を横断するクラウドシステムを導入し、共通化できる業務の範囲を広げていきました。その結果、業務の再配分効果は実質5〜20%を達成しています。

出典:2-2 業務標準化のアプローチ|総務省

明確な評価制度を整備

評価制度を改訂し、社員の頑張りを定量的に判断して評価する形へと変えることにより、1人ひとりに適した待遇の実現を目指せます。頑張れば頑張るだけ評価される仕組みであれば、社員のやる気を引き出す効果があるため、労働生産性向上へと繋がるでしょう。

<評価制度整備の事例>

日本看護協会では、看護師の段階的なステップアップを目指す評価システム「クリニカルラダー」を定めています。モチベーションアップや人材定着率向上に繋がるシステムとして注目されていて、公益社団法人岡山県看護協会の調査では、2020年時点で県内の病院89ヶ所のうち41ヶ所でクリニカルラダーが導入されています。

出典:岡山県の病院看護師の クリニカルラダー導入の現状と課題|公益社団法人岡山県看護協会

補助金を利用しITツールを導入

中小企業・小規模事業者であれば、補助金を利用してソフトウェアやアプリなどを導入することができます。中小企業庁が運営する「IT導入補助金」で、ITツール導入費用の半額(最大450万円) が補助金として給付されます。補助金を利用して業務効率化に繋がるITツールを導入することで、労働生産性向上を目指せるでしょう。

<補助金を利用してITツールを導入した事例>

ネットワークの設計・構築・保守を行う協和テクノロジィズ株式会社では、IT導入補助金を使って導入したRPAツールを活用し、定型業務を自動化しました。それにより、残業時間を月平均25時間削減できたそうです。

出典:ITツール活用事例 – 協和テクノロジィズ株式会社| IT導入補助金2023

社員の生産性を上げるのに役立つITツール

ITツールを活用した労働生産性向上に取り組むのであれば、「NotePM」がおすすめです。 NotePMは業務マニュアルや社内文書を簡単に共有できる社内wikiツールです。レポート機能で社員ごとのナレッジの投稿回数や閲覧回数の多いナレッジが分かるため、ナレッジシェアリングの推進や評価制度の改訂にも活かせます。また、問い合わせもNotePM上で行えるため、問い合わせ対応の効率化も進められることも魅力です。


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まとめ

労働生産性の低迷は、日本社会全体の問題となっています。だからこそ、労働生産性向上に取り組むことで、市場競争力を高めることができ、盤石な経営基盤を手に入れられるでしょう。ITツールや機械などを活用して効率化することで、労働生産性を高めていきましょう。

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