DXという単語がよく聞かれます。DXはデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略で、デジタル変革を意味します。現在、企業ではDXを推進しており、その中心メンバーが情シス担当者でしょう。情シス担当者の強力なリーダーシップがなければ、DXの成功は実現しません。
この記事ではDXにおける情シス担当者の役割について解説します。DX推進を成功させるためにも、ぜひご覧ください。
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目次
情シス担当者の主な役割
DXプロジェクトをフェーズごとに分けると以下のようになります。
- 情報収集
- 要件聞き取り
- 導入設定
- 教育
- 導入開始
- 効果検証
この各フェーズにおいて、情シス担当者の役割が変わります。
情報収集
DXを推し進める上で大事なのは、自社リソースをどう活用してビジネスを改革するかにあります。まったく新規の何かを導入するのではなく、自社リソース(人的、技術的、文化的、既存データ)を活かす形が求められるでしょう。
そのため、単にDXをやりたいという意見が出た時に備えて、自社に合ったDXの形をあらかじめ考えておくと良いでしょう。それは世の中の成功例が参考になるかも知れません。
DXは新しいビジネスを生み出す面もありますが、既存ワークフローの改善によってコスト低減や省力化を目指す方向性もあります。後者であれば情シス担当者にも考えやすいのではないでしょうか。前者の場合は新しいビジネスを生み出すにあたって材料になり得る自社リソースをリストアップし、その時に備えておくこともできるでしょう。
また、AIや機械学習など新しいテクノロジーも日々誕生しています。そうしたテクノロジーと自社リソースをどう組み合わせることができるか考えておくのも大事です。
要件聞き取り
いざプロジェクトが立ち上がったら、各部署へ要件を聞き取りが必要です。この時には技術面からの実現可能性、他の選択肢があるのかを検証する役割になるでしょう。特に良くないのはDXありきで進めてしまって、他の選択肢を考えなくなってしまうことです。また、自社リソースが活かせない方法であったり、単に目新しさ優先になっていないかを判断する必要があります。
ワークフローの改善を行う場合、特にシステムを導入しなくても進められる場合もあるでしょう。システムを導入するというのは、人手もお金もかかります。それだけに本当に必要かどうかを冷静に判断しなければなりません。
新しいビジネスの創出を視点にした場合、それを情シス担当者として成功するか否かを判断するのは難しいでしょう。ただし、実現可能性は判断できます。AIを利用すると言っても、できそうかどうかの判断はできるでしょう。
外部のシステム開発企業が関わる場合には、社内の要件を聞き取った上で要件定義書を作成したり、ベンダーとの折衝が主な役割になります。こうした時には、きちんとプロジェクトが達成できそうなベンダーかどうか判断したり、後で社内から意見が出ないように、きちんと聞き取りを行うと言った役割が大事になります。
導入設定
新しいシステムを導入するのに合わせて、設定などの準備が必要になります。既存システムから移行する場合には、既存データを移行する必要もあるでしょう。SaaSであっても、各企業に合わせて設定が行えるようになっているものは数多いです。運用がはじまった際に、問題なくスムーズにはじめられるように設定を行う必要があります。
プロジェクトによっては専用のハードウェア導入が必要なこともあります。ベンダーに任せられる場合もありますが、別途ハードウェアを用意する場合もあるでしょう。そうしたハードウェアの発注や置き場所の確認、サポートレベルについて確認が必要です。
SaaSを導入する場合には、その契約内容をしっかり確認しましょう。ライセンスがどのようになっているか、誰が契約主体になるのか、課金の方法について確認が必要です。従量課金の場合、使いすぎると料金が一気に跳ね上がる可能性があります。利用料が増えた時に通知が送れるようになっていると安心です。
システム連携する場合にはAPIキーなどを使いますが、そうした重要なキーが漏洩した場合の対応について協議しましょう。AWSなどパブリッククラウドでのキー漏洩は、大きな損害につながる可能性があります。ベンダーに渡したキーにしてもそのまま使わず、改めて発行するなどセキュリティについての検証が必要です。
教育
いざシステムを導入する段階になったら(その前後から)社員向けの教育が必要です。ただシステムを導入して終わりということはありません、必ず教育を行わなければなりません。そうしないと、誰も使わない無用なシステムができあがってしまうでしょう。
教育資料の作成や、ヘルプドキュメントなども作る必要があるでしょう。多くの場合、ユーザーは自分の担当業務範囲しか見えておらず、システム全体像は理解しようとしないでしょう。ドキュメントは各作業範囲レベルで書き分けた方が、理解してもらいやすくなります。
もちろん資料を作って終わりではなく、時間を設けて導入教育を行うべきでしょう。特に既存システムとの平行本番が関わる場合、一時的であっても担当者の作業負担が増えることにもなりますので、彼らに必要性を理解してもらう必要があります。
導入開始
システムが導入されて、運用がはじまったフェーズです。この時にはユーザーのサポート担当者として動き回ることになります。ログインできない、動かない、エラーが出ると言った話は頻繁に出ることでしょう。この辺りはDXに限らず、システム導入した時と同じです。ユーザーが慣れるまでは、しっかりとサポートする必要があります。
もちろん導入前にテストしたり、検証は数多く重ねていることと思います。しかし、例えばAIを用いたシステムの場合、ロジックはブラックボックスになっています。そのため、本番データを投入して運用を重ねてみないと、狙い通りのデータが出てきているのか分からないケースもあります。こうした問題を回避するためには、極力小さくはじめてみるのがお勧めです。
効果検証
最後に導入効果を検証します。省力化を目的にしているのであれば人員が削減できたのかどうか、新しいビジネスを生み出すとした場合には、利益が増加しているのかどうかなどを検証します。最初は利益に結びつきづらくとも、お問い合わせがきているならば十分と言った可能性もあるでしょう。
効果を見るためには、あらかじめ仮説や目標を立てておく必要があります。DXプロジェクトを進める際には、数値化できる検証可能な目標が必要です。それがあるからこそ、仮説検証したり、改善を進められます。
DXは経営まで関わる大きなプロジェクトになります。それだけに正しいやり方を用いて、全社的に取り組む必要があるでしょう。仮説はともあれ、実際の数値については情シス担当者が一番データを取りやすいはずです。そうしたデータを集めてレポーティングするのが大事な役割になります。
まとめ
こうしてみると、DXプロジェクトに対して情シス担当者は満遍なく、常に関わり続けることになります。立案時点から意見を求められたり、最適なツール選定に関わることも少なくないでしょう。そこで適切にハンドリングしなければ、担当者だけの思惑で話が進んでしまったり、誰も使わない仕組みができあがってしまいます。
そういった残念なことにならないよう、情シス担当者はDXプロジェクトを自分事化し、推進していきましょう。
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