DXが印刷業界に与える影響とは!?基礎知識から解決が期待される課題・活用事例まで解説

2023年01月07日(土) DX

こんにちは。マニュアル作成・ナレッジ共有ツール「NotePM」ブログ編集局です。

「DX(デジタルトランスフォーメーション)が印刷業界のどんな課題を解決できるのか?」「DXを印刷業において活用している事例を知りたい」と調べている担当者もいらっしゃるでしょう。また、DX(デジタル)と印刷業界(紙)との間には、あまり親和性がなさそうと感じている方もいるかもしれません。しかし実際には、印刷業界においてもDXを活用して課題を解決しようとしている事例は多いのです。本記事では、印刷業界とDXに関する知識と印刷業界における課題を解説した上で、企業でのDX活用事例を紹介します。

印刷業界とDXに関する基礎知識

ここでは、印刷業界とDXに関する基礎知識として、以下の2つを解説します。

  • 印刷業界の現状
  • DXの意味

それでは、1つずつ解説します。

印刷業界の現状

基礎知識の1つ目は、印刷業界の現状です。印刷業界では印刷数や出荷数の減少傾向が続いており、将来は決して明るいものとは言えない状況となっています。一般社団法人日本印刷産業連合会の報告によると、印刷業界の出荷額は以下のとおり大きく減少しています。

2009年 6兆3,205億円
2019年 4兆9,981億円(10年間で約1兆3,224億円減少)

その要因は、ペーパーレス化促進や寡占化にあります。ペーパーレス化は、テレワークの拡大や働き方改革などにより近年推進されています。今まで紙で印刷されていた書類や書籍を電子データとして扱うので、ペーパーレス化促進では印刷業界も対応が迫られています。また、印刷業界は大手企業による寡占状態が強いとされており、競争発生によるイノベーションが起こりにくいことも課題です。

出典:印刷産業Annually Report Vol.1 2022年|一般社団法人日本印刷産業連合会
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DXの意味

基礎知識の2つ目は、DXの意味についてです。DX(Digital Transformation)は、経済産業省の「DX推進ガイドライン」で示されている定義によると、以下のとおりです。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

DXを用いて課題を解決しようとしている業界は数多く存在しています。印刷業界も、その例外ではありません。

出典:デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)Ver. 1.0|経済産業省
関連記事:デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?課題や進め方をわかりやすく解説

DXで解決を目指す印刷業界の課題

ここでは、DXで解決を目指す印刷業界の課題として、以下の2つを解説します。

  • 収益性
  • 人材不足

それでは、1つずつ解説します。

収益性

印刷業界の課題の1つ目は、収益性です。印刷業界は、これまでは紙やラベルなどへの印刷によって収益を上げてきました。しかし、ペーパーレス化推進などを背景に、印刷業界では出荷数や収益が減少しています。例えば、経済産業省の報告によると、2014年から2018年の間に印刷・同関連業の出荷額は約1.5%減少しました。また、印刷機の運用は、初期費用だけでなくランニングコストもばかになりません。そのため今まで以上に業務効率化による収益性向上が求められており、それに有効と考えられている手段の1つがDXなのです。

出典:令和元年度戦略的基盤技術高度化・連携支援事業(印刷産業における取引環境実態調査)調査報告書|経済産業省
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人材不足

印刷業界の課題の2つ目は、人材不足です。多くの業界では人材不足が課題となっており、印刷業界もその一つです。その要因は、大きく分けて2つあります。

少子高齢化        ・上述の経済産業省の調査によると、2018年時点で印刷業界従事者の2割弱が60歳以上

・令和3年版高齢社会白書によると、2065年には65歳以上が約3.4千万人、15~64歳の現役世代が約4.5千万人と予測(現役世代1.3人で高齢者1人を支える計算)
若手職員の確保が困難 ・ペーパーレス化促進や収益性の低さを理由に、若手が印刷業界を敬遠

また、人材不足に伴い、事業継続や技術継承も課題になっています。ベテラン社員の中には、ナレッジを有するものも少なくありません。しかしそれらのナレッジは、明文化されておらず暗黙知になっていることが多いです。その暗黙知が会社のナレッジとして蓄積・継承されないままベテラン社員が退職すると、重要な知識が社内に残りません。これが原因で、過去に比べて品質が低下してしまう恐れもあります。そのため、暗黙知を形式知に変えることも、重要な課題と言えるでしょう。

出典:令和3年版高齢社会白書|内閣府
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印刷業におけるDX活用事例

ここでは、印刷業におけるDX活用事例として、以下の2社の事例を解説します。

  • 大手印刷会社
  • 印刷サービス業者

それでは、1つずつ解説します。

大手印刷会社

事例の1つ目は、大手印刷会社における活用事例です。大手印刷会社A社は、印刷業で培った技術を活かして、メタバースサービス基盤を提供しています。そのメタバース空間では、現実の色や質感を忠実に再現することを追求しており、データ管理機能や改ざん対策機能、さらには本人認証機能を使えます。これらの機能を支えるのは、電子透かしなど印刷業で培ってきた技術なのです。

また、販売促進情報や取引商品情報の一元管理システムを開発し、それを流通小売業向けに提供しています。このシステムにより、膨大な商品情報・販促情報、さらには顧客企業の販売実績・販売計画などを統合管理できます。さらに、流通小売業各社のデータベース同士を連携できるプラットフォームを立ち上げて、サプライチェーン全体の効率化にもに貢献しています。

印刷サービス業者

事例の2つ目は、印刷サービス業者における活用事例です。印刷機は高額の維持費がかかるものの、上述の経済産業省の報告によると、印刷設備の稼働率は7割以下です。このような非稼働時間に課題を感じる会社も少なくありませんでした。この印刷サービス業者は、印刷機の非稼働時間に着目して新たな印刷サービスプラットフォームを立ち上げました。そのプラットフォームでは、全国の印刷会社における印刷機稼働状況をWebに集約し、印刷機の非稼働時間に安く印刷できる仕組みを作りました。

これにより、この印刷サービス業者の顧客は安く印刷でき、印刷会社側も非稼働時間を減らせるため、双方がメリットを得られています。

まとめ

本記事では、印刷業界とDXに関する知識と印刷業界における課題を解説した上で、企業でのDX活用事例を紹介しました。印刷業界の出荷額は減少しており、以前と比べると苦しい状況にあります。しかし、これまで培ってきた技術力や顧客との接点に加え、DXを活用することで業界が抱える様々な問題を解決することが期待されています。本記事で紹介した事例を参考にして、あなたの印刷会社でもDXを取り入れて課題解決を図ってはいかがでしょうか。

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