今さら聞けないファイルサーバーとNASの違いを徹底比較

2024年11月14日(木) オンラインストレージ

 

業務で作成したファイルを個人PCに保存している場合、他者とのファイル共有に手間取ったり、思わぬ端末の不具合によりデータが破壊されてしまったりすることがあります。ファイル共有の仕組みがあれば、他者と即時に共有できるだけでなくバックアップの仕組みも合わせることで、組織的に冗長性を持たせることができ大変便利です。ファイル共有の仕組みがあればデータの保存の安全性が上がり業務の効率化につながります。

ファイル共有は主にファイルサーバーとNASの2種類が用いられており、本記事ではそれぞれの異なる特性について基本的な内容、メリット・デメリット、導入のポイントを解説します。

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ファイルサーバーとNASの基礎知識

ファイルサーバーとNASはどちらもファイル共有システムの構築に用いられます。複数の端末やユーザーがアクセスできるデータの保存先という点は共通していますが、ベースの考え方が異なるため選択については注意が必要です。ここでは、ファイルサーバーとNASの基礎知識としてそれぞれの特性と違いを解説します。

ファイルサーバー

LANなど内部で利用するネットワーク中でファイルを保存・共有する管理サーバーです。ネットワークに繋がったPCだけでなくモバイル端末からもアクセスができ、ファイルの閲覧・コピー・変更・修正・保存・削除が行えます。ファイルを直接編集することができますので、効率的に業務を遂行することが可能です。共有保存の他には、簡易的なファイル検索機能やアクセス制御、ディスク容量の拡張が行えるものが多く柔軟性が高い点も特徴です。構築にはサーバー機器が必要ですが、小規模で容量が大きくない用途の場合はPCでの運用も行えますので眠っている端末を活用することもできます。ユーザー数が多い場合や、動画など容量が大きいファイルを大量に保存・再生する場合は処理性能が高くディスクの拡張性があるサーバーでの構築がおすすめです。

NAS

NASはNetwork Attached Storageの略称で、ネットワーク中で接続できる外付けのハードディスクです。一般的に知られている外付けハードディスクは端末にUSBで接続するものが多いですが、他端末で使う場合は都度USBを差し替える必要があります。これに対してNASは、ネットワーク上の複数端末からの接続が可能なため複数ユーザーで共有して利用する時に便利です。ハードディスクのためデータの保存・共有を得意としていますが、CPUやOSを搭載した簡易的なコンピューター機能を持ったものも多くあります。これまではバックアップ装置として用いられることが多かったNASですが、高機能化による管理機能強化によりファイルサーバーの代替として活用する企業も増えています。

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ファイルサーバーとNASの違い

ファイルサーバーはファイル管理を行うシステムであるのに対し、NASはファイルを保存するためのハードディスクという点が大きな違いです。ファイルサーバーは汎用型コンピューター上で動作しているため、複雑なユーザー管理ができるだけでなく市販ソフトウェアのインストールができるなど運用の柔軟性があります。また、ディスク容量の追加やバックアップの冗長構成を組むことができるので拡張性が高い点も特徴です。NASは管理機能の面で劣る部分はありますが、短期構築と安価な導入ができる点が最大の特徴です。また、サーバーに比べて筐体が小さくコンソールなど付帯部品が不要なものが多いため置き場所に困ることもありません。近年は高性能化に伴い管理機能が強化された製品も増えています。

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ファイルサーバーとNASそれぞれのメリット

ファイルサーバーとNASそれぞれのメリットを解説します。

ファイルサーバー

ファイルサーバーのメリットは以下の3つです。

  • 置くだけで共有とバックアップが取れる
  • ファイルごとに権限が設定できる
  • 拡張性と柔軟性が高い

それでは一つずつ解説します。

置くだけで共有とバックアップが取れる

ファイルサーバーのメリットの1つ目は、置くだけで共有とバックアップが取れることです。チーム内でデータの受け渡しを行う際に、メール送信やUSBなどの記録媒体を用いるのは非効率なだけでなく情報漏洩の危険性が高まります。また、近年は扱うデータ量が増えていることから個人PCでの管理は容量のひっ迫によるパフォーマンスの低下も懸念されます。ファイルサーバーがあれば、情報の共有がスムーズに行えるだけでなくデータのバックアップにもなるため安心です。データ破損やセキュリティのリスクを軽減し安心して業務に取り組むことができます。

ファイルごとに権限が設定できる

ファイルサーバーのメリットの2つ目は、ファイルごとに権限が設定できることです。同じ組織内でも役職や担当によってファイルのアクセスを制限したいという要望は多くあります。特に会社運営に関わる機密性の高いファイルなどは、データの改ざんや盗難から守るために高いセキュリティが必要です。
ファイルサーバーには、ファイルへのアクセス権をユーザーやグループ単位で管理する機能がありますので、全社で共有してよいもの、特定のグループのみで閲覧するものなど、細やかな設定を行うことでデータを適切に守ることができます。

拡張性と柔軟性が高い

ファイルサーバーのメリットの3つ目は、拡張性と柔軟性が高ことです。システムを導入する際には、将来的なデータ容量や負荷を想定したサイジングを行います。しかし、最大値を予測したつもりでも時に容量を超過してしまうケースは少なくありません。そのような場合に拡張性のある構成が組めるファイルサーバーであれば、必要容量を適宜追加することが可能です。また想定より使用しなかった場合も、他ソフトウェアをインストールして機能を拡充するなどリソースを有効活用できる柔軟性もあります。汎用のコンピューター上で動作しているため、多様な使用方法ができる点が魅力です。

NAS

安価に調達でき短期導入が可能なNASは、近年ファイル共有としての需要が高まっています。データ保存が得意という特徴を生かし、小規模から大規模まで幅広いユーザーをカバーしてきました。NASのメリットは以下のを3つです。

  • 容量を複数でシェアできる
  • データの共有が可能
  • 外部アクセスが可能

それでは一つずつ解説します。

容量を複数でシェアできる

NASのメリットの1つ目は、容量を複数でシェアできることです。人によって扱うデータ量は異なり、数値データのみ扱う社員と画像データを大量に扱う社員では、同スペックのPCでもディスク容量に余剰とひっ迫が発生します。この場合NASを使ったディスク共有が有効です。データ保存を共有のディスクにまとめることで個別のPCの負荷を分散することができるため、増設などの追加投資の無駄を抑えることができます。また、個別PCのスペックが抑えられるため物品調達の費用軽減も期待できるでしょう。

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データの共有が可能

NASのメリットの1つ目は、データの共有が可能なことです。チーム内でデータを共有したい場合、複数の人がアクセスできる特定の場所にファイルがあれば簡単に行うことができます。共有環境がない場合、メール送信や記録媒体を用いた方法が主流でしたが、セキュリティや情報インシデントの観点から非推奨とする企業も増えてきました。NASを使った共有であれば、LAN内で完結した受け渡しができるため安心です。固定フォーマットの資料などは常に最新の状態で共有されていれば、個別保管による編集や破損の心配もありません。

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外部アクセスが可能

NASのメリットの2つ目は、外部アクセスが可能なことです。紙資料や記録媒体の盗難・紛失による情報漏洩は企業運営に大きな影響を与えるため、最小限に留めようとする場合、NASの特性を活かした外部アクセスがおすすめです。社内にいる時と同じ環境で業務を行うことができますので、出張だけでなく近年増加するリモート勤務などにも活躍します。PCだけでなくモバイル端末からのアクセスも可能ですので、営業活動のペーパーレス化も可能です。

ファイルサーバーとNASそれぞれのデメリット

ファイルサーバーとNASそれぞれのデメリットを解説します。

ファイルサーバー

様々な管理が行えるファイルサーバーですが、便利なだけでなく課題もあります。オンプレミス型のシステム導入にはコストと時間が発生するという点に焦点を当て、ファイルサーバーのデメリットを2つ解説します。

  • 費用がかかる
  • 導入に手間がかかる

それではそれぞれ解説します。

費用がかかる

ファイルサーバーのデメリットの1つ目は、費用がかかることです。余っているPCで簡易的に実現する場合を除き、構築には安価ではないコストが必要です。特に大規模で利用する場合は冗長性を考慮した複数台構成でイニシャル費用が膨らむ他に、保守やライセンス費用など継続的に発生するランニング費用もあるので数年に亘る費用試算が必要です。また、社員の異動に伴いユーザーやグループの設定変更を都度行うため、運用管理者の確保と人件費も発生します。安定稼働を追求するほどコストが高額化するため、機能の取捨選択をしっかりと行う必要があります。

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導入に手間がかかる

ファイルサーバーのデメリットの2つ目は、導入に手間がかかることです。ユーザー管理によるアクセス制限は、メリットの反面管理の手間がかかるというデメリットもあります。セキュリティを強化し安全性を高めるためには、構築を行う時点で厳格な運用ルールを定める必要があります。このルール策定と、厳守するための細かな設定に多くの時間を要すことが少なくありません。ユーザーごとにグループの紐づけやフォルダへのアクセス権限の設定ができるため、ユーザー数や関係部署が多いほど設定が複雑かつ煩雑になる傾向があります。

NAS

サーバーシステムに比べると手軽に導入できるNASですが、初心者がすぐに設定できるという訳ではありません。また、記録媒体という性質上、柔軟性や拡張性が弱い点についても認識しておく必要があります。NASのデメリットについて2つ解説します。

  • 導入と設定が複雑
  • ハードディスクの故障とデータ消失が連動
  • ファイルサーバーかNASか選ぶときに考えたいポイント

それでは一つずつ解説します。

導入と設定が複雑

NASのデメリットの1つ目は、導入と設定が複雑なことです。ネットワークを介したアクセスを行うため、一般的なUSB接続の外付けハードディスクに比べると設定は複雑です。NASへアクセスする端末の通信制御をネットワークの設定で行う他に、ユーザーやグループのアクセス権限など導入に伴う初期作業が発生します。また、ファイルサーバーに比べると管理機能が充実していないことから、細やかな要望に対応できない場合もありますので事前に確認が必要です。近年は管理機能を拡充した製品も増えているため、機器選定時に要件の洗い出しをしておくことをおすすめします。

ハードディスクの故障とデータ消失が連動

NASのデメリットの2つ目は、ハードディスクの故障とデータ消失が連動することです。NASはハードディスクですので、機器の故障がデータの消失に直結する危険性があります。電子データの取り扱いが当たり前になっている現代において、データの消失は深刻な問題になるケースが多い傾向にあります。ファイル共有として利用する場合は、本体故障のことを考慮して複数台でのミラーリングが行える機種をおすすめします。様々な事情により複数台構成が難しい場合は1台でRAID構成を組めるものを選定し、最低限ディスク故障の発生に備えた対策をとっておくことが大切です。

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ファイルサーバーかNASか選ぶときに考えたいポイント

ファイル共有という観点ではNASの高性能化に伴い機能差が無くなってきており、それぞれの特性が自社にマッチするかを考慮した選定を行うことが重要です。ファイルサーバーは拡張性と柔軟性が大きな利点です。ディスク容量を拡充できるだけでなく、セキュリティ対策や機能追加などを行える点はハードディスクを土台としたNASでは実現が難しいポイントです。

一方でNASは導入コストが安く手軽に導入できることから需要が高まっており、新しいモデルが続々と開発・販売されています。従来機では実現できないことも、後継機では実装されているということもあり得ますので、最新の情報を確認しましょう。導入後の展開を十分に議論し、目的に合わせた選定を行うことが大切です。

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まとめ

本記事ではそれぞれの異なる特性について基本的な内容、メリット・デメリット、導入のポイントを解説しました。多様な働き方が推奨される中で、情報共有はスピードと確実性を求められてきました。ネットワークの進歩と合わせて、システムの対応も取り残されないよう新しい取り組みが求められています。リモート勤務などで離れた場所にいる社員同士のコミュニケーションを考えると、従来システムだけでは意外カバーできていないことに気づく方も多いはずです。ファイル共有は目に見えて実感しやすいシステムですので、この機会に導入を検討してみてください。

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