法人がオンラインストレージ・ファイル共有サービスを利用する際に知っておくべきポイントと注意点

2020年04月22日(水) オンラインストレージ

総務省が毎年公開している情報通信白書(平成30年版)によると、クラウドサービスを利用する企業の割合は56.9%(2017年)。前年(2016年)の46.9%から大幅に増加しています。また、利用しているサービスの1位は「ファイル保管・データ共有」(51.2%)で、クラウドサービスを利用している企業の半数以上がオンラインストレージ・ファイル共有サービスを利用しています。その半面、「必要がない」「セキュリティに不安」「メリットがわからない」といった理由で利用しない企業も少なくありません。そこで、今回はクラウドサービスのなかでも、特にオンラインストレージ・ファイル共有サービスを企業が利用するメリット、利用に当たって押さえておくべきポイントや注意点についてお伝えします。

目次

オンラインストレージ・ファイル共有サービスの概要

クラウドサービスを利用する企業の多くが導入しているオンラインストレージ・ファイル共有サービスとは、インターネット上にあるストレージにファイルやドキュメントなどのデータを保管・共有できるサービスのことです。代表的なサービスとしてGoogleドライブ、Dropboxなどがあり、場所や利用機器を選ばず、インターネットに接続できればどこからでもファイルの保管や共有などを行えます。

ファイル共有ができることから、コミュニケーションツールとしての利用も考えられます。しかし、このサービスはファイルの保管と一時的なファイルの共有を目的として使うものなので、結果としてコミュニケーションもできる程度の使い方であれば可能でしょう。位置付けとしてはコミュニケーションツールを補完する役割です。

そのため、ファイルやドキュメントのやりとりではオンラインストレージ・ファイル共有サービスを使用し、業務マニュアルの更新やナレッジの共有など情報共有やコミュニケーションツールとしては、社内wikiを使うのがおすすめです。社内wikiの導入から活用までは、こちらの記事『社内wikiの導入から活用までの完全マニュアル 成長企業が実践する情報共有術!』で詳しく解説しています。ご一読ください。

 

オンラインストレージ・ファイル共有サービスを利用するメリット

オンラインストレージ・ファイル共有サービスを利用することで得られるメリットは5つあります。

いつでも、どこからでもアクセスできる

インターネット環境があれば、時間を選ばず、外出先からでも必要なデータを確認できます。

ファイルの一元管理ができ、共有して共同での編集もできる

データを一元管理できるため、必要な情報をすぐに探し出せます。特に、複数拠点がある会社の場合には、データの管理先が拠点単位になるため、情報をまとめるときや探すときに手間がかかります。データが一元管理されていれば、メール添付でデータを送信、あるいはUSBメモリを使って送付などの手間をかけることもなく、データを簡単に共有して共同での編集も行えます。

障害や災害によるデータの消失や破損に対するバックアップが自動でできる

バックアップが自動でできるので、機器の障害や災害によるデータの消失や破損のリスク対策と、バックアップをその都度取る手間の軽減ができ、バックアップの取り忘れも防止できます。

自社サーバーの管理・運用がいらないためコストを削減できる

サーバーを利用してファイル管理を行った場合の管理費や運用費を軽減できます。

低コストで導入でき、容量の拡張性も高い

オンラインストレージ・ファイル共有サービスの利用は、容量やセキュリティを気にしなければ無料で開始でき、有料サービスを利用しても低コストで導入できるため、自社の管理・運用費用を軽減できます。また、自社のファイルサーバーの場合、容量の拡張性は低く、容量に注意しながらの運用が必要ですが、容量を使用状況に合わせてすぐに拡張でき、安いコストから始めて必要に応じて増やしていくことができます。また、容量の縮小時にも簡単に減らせます。

法人がオンラインストレージ・ファイル共有サービスを利用するときのメリットについてはこちらの記事『オンラインストレージ・ファイル共有サービスを法人が利用するメリット』で詳しく紹介しています。ご一読ください。

 

オンラインストレージ・ファイル共有サービスを利用するデメリット

オンラインストレージ・ファイル共有サービスは、多くのメリットがありますが、利用するときには以下のデメリットがあることも理解する必要があります。

セキュリティリスクがある

最近は、多くのサービスで最新のセキュリティ対策が施されていますが、複数人でのファイルの共有やインターネット上での保管を行うため、情報漏えいや第三者によるサイバー攻撃などによるセキュリティリスクがあります。

サービス障害時の対応が自社では何もできない

運用・保守が不要なのはメリットのひとつですが、逆にサービスで利用しているサーバーが何かしらのトラブルやヒューマンエラー、サイバー攻撃でダウンした場合、データの消失やデータにアクセスできずに業務がその間停止するリスクがあります。その際、障害対応はサービス提供企業に任せるほかに方法がなく、自社で何も対応が取れないことは大きなデメリットです。

サービス提供企業のサービス停止・倒産リスクがある

サービスを提供する企業が急にサービスを停止したり倒産したりするリスクがあり、最悪の場合データがすべて消失してしまう危険があります。

使いやすくカスタマイズすることが困難

サービス内容はパッケージ化されており、基本的にカスタマイズはできませんが、通常の使い方であれば提供されている機能で大きな問題はないでしょう。なお、サービス提供企業が提供するオプション機能の追加はできますので、将来使い方が変わることも考慮して、オプション機能に何があるかを事前に確認しておきましょう。

 

企業がオンラインストレージ・ファイル共有サービスを選択する際のポイント

企業がオンラインストレージ・ファイル共有サービスを利用するときは、安易に無料サービスを利用するとメリットよりもデメリットを生じるリスクが高く、安心・安全に利用できるとは言えません。また、有料サービスであっても提供されているサービス機能・性能は同じではないため、確認して自社に合ったサービスを利用する必要があります。企業向けの有料サービスと個人向けの無料サービスのどちらでも、それほど大きな違いはないと思われる方も多いかもしれません。しかし、企業向けサービスは、個人向けの無料サービスに比べて主に以下の機能が強化されています。

セキュリティ機能

情報セキュリティポリシーを策定している企業も多いですが、その場合、自社のセキュリティポリシーに最も合致しているサービスを選ぶことが大前提です。また、部署単位で独自にサービスを利用するときも、全社のセキュリティポリシーに沿ったサービスを選ばねばなりません。主なセキュリティ機能には以下があります。

  • ファイルの暗号化
  • ウイルスチェック
  • アクセス制限管理(IPアドレス制限機能、デバイス認証機能、社員別・ファイル別の利用制限管理機能など)
  • ログイン認証機能(ワンタイムパスワード、2要素認証など)
  • ログ管理機能
  • 複数アカウント管理機能
  • サーバーの設置場所(セキュリティポリシーに「国内限定」というように規定されていることがあるため)

運用監視体制

企業にとってクラウドストレージサービスの運用監視体制は非常に重要です。原因の特定に時間がかかる、夜間や休日に障害対応してもらえないといったことがあると、企業によっては業務に支障が出て損害が発生するだけでなく、社会的な信用をなくすリスクもあります。24時間365日体制での有人監視体制の有無や、監視体制の運用ルールなどを確認しましょう。

トラブル時の対応体制

トラブルが発生したとき、電話問い合わせが24時間対応していない、あるいはメール対応しかしていないといったことがあると、企業として安心して利用できません。24時間365日対応を実施しているサービスの利用をおすすめします。また、クラウドストレージ上のデータバックアップの頻度や、トラブル時のバックアップ先などトラブル対策の内容を確認して、自社のデータの重要性に合ったトラブル対応をしているサービスを選ぶことも重要です。バックアップを主目的で利用するときは、ディザスタリカバリ機能のあるサービスがおすすめです。ディザスタリカバリ機能とは、自然災害やサイバー攻撃ですべてのデータが消失するリスクに対して、物理的に離れた複数の場所にもデータを保管しておいてバックアップできる機能のことです。

操作性・機能性

オンラインストレージ・ファイル共有サービスは、基本的に操作は難しくなく、簡単に設定して使い始められます。しかし、ファイルのアップロードや共有だけでも「アプリケーションをインストールしてID・パスワードを入力」「ブラウザからID・パスワードを入力」「ファイルをドラッグ&ドロップ」「ボタンひとつでファイルが共有できる」など操作性はさまざまです。

ファイルを社内だけでなく取引先企業と共有する場合、フォルダごとにアクセス制限を設定する機能が必要です。また、データの送付先が不特定多数の場合は、同じサービスのIDを持たない相手にも送信できる機能が必要になるでしょう。上書きや削除をされたくないファイルに対しては、「ダウンロードのみ可」といった操作の制限を付けられる機能もあります。

使用目的に合わせて十分に比較をしたうえで、業務をサポートできる機能が付いているサービスを選ぶことが必要です。操作性や機能性以外に、ファイルのアップロードの速度もサービス提供企業によって異なります。大きなデータをやりとりすることが多い企業では重要なサービスの選択ポイントとなるため、必ず確認が必要です。

保管容量・送受信するときの容量

使用可能な容量が、自社のデータ量に対して足りなければ、どれほどセキュリティや操作性、機能性に優れていても利用できません。自社の業務で必要な1アカウント当たりの必要なデータ容量を確認し、将来必要になる容量を予測して、十分な容量が利用できるプランを選びます。また、容量が予測に対して急に不足することになったときに、速やかに増量できるかの検討もしておくことが必要です。また、動画のように大きなサイズのファイルを送受信する企業は、保管容量だけでなく、ファイルを送受信するときの容量の制限についても事前に確認をしておく必要があるでしょう。

単位容量あたりの価格

価格の比較は企業にとって重要です。価格の比較は、1GBの容量当たりで比較すると簡単です。ただし、機能と安全性によっても単位容量当たりの金額は異なります。価格優先なら単位容量の低いサービスから、自社にとって必要最低限の機能・性能・安全性を備えているサービスを選びましょう。高機能・高性能・高安全性が最優先の企業は、単位容量の金額の高いサービスから選んでいくと合理的に選べるでしょう。

対応デバイス

近年は、企業でも業務にスマートフォンやタブレットなどのモバイル機器を使用することが多くなっています。多くのサービスは、モバイル機器に対応していますが、一部のサービスは対応していなかったり、機能制限があったりします。

オンラインストレージサービス・ファイル共有サービスを選ぶときは、『【2020年版】オンラインストレージおすすめ13選を徹底比較(無料あり)メリットとサービス選定ポイントを紹介』の記事を参照してください。

 

企業がオンラインストレージ・ファイル共有サービスを導入するメリット

企業向けサービスのメリット

企業がオンラインストレージ・ファイル共有サービスを導入するときは、セキュリティや保管容量などから個人向けサービスではなく、通常は企業向けの有料サービスを利用します。企業向けサービスには個人向けと異なり、以下のようなメリットがあります。

  • 無制限でも可能なファイルの保管容量の大きさ
  • ストレスを感じない転送速度
  • 安心・安全にデータのやりとりができる高いセキュリティ機能
  • 災害やサイバー攻撃によるデータ消失リスク対策 など

導入による活用のメリット

大きな容量を必要とする膨大なカタログを必要とする営業活動の効率化
顧客先で営業活動を行うとき、膨大かつ容量の大きなカタログを必要とした企業では、ノートパソコンの外付けハードディスクに保管して活用。しかし、カタログが更新されるたびにハードディスクへの保管作業が発生し、手間と時間がかかる問題が起きていました。しかし、サービスを利用することで保管作業工数を削減。

多数の取引先とのデータ受け渡しを低コスト化
多数の取引先企業とのデータ受け渡しが発生する企業では、自社でFTPサーバーを運用して行っていましたが、FTPサーバーのぜい弱性、ストレージ容量の問題、煩雑なアカウント管理という問題に悩んでいました。しかし、サービスを利用することで問題を解決、あわせて運用コストの削減とセキュリティ強化にも成功。

海外とのファイル共有の効率化
海外拠点との間で大容量のファイルを共有しなければならない企業では、従来ファイルを分割して送信する手間や、通信状況の悪い海外への送信が難しいといった問題が起きていました。サービスを利用することでファイル共有がスムーズにでき、効率化を実現。

営業活動データのFAX送信と郵送業務の迅速化・効率化
デイリーとマンスリーの営業活動に必要なデータをそれぞれ毎日50枚をFAXで、毎月1,000枚を郵送で本社から営業の各拠点へ送付していた企業では、それらの作業工数が多く問題を抱えていました。サービスを利用することで、紙に出力することなくデータで共有できるようになり、送付作業と送付コストの軽減に成功しました。

ペーパーレス会議を実現
参加人数が多い会議をたびたび行うことが必要な企業では、会議前に会議資料の変更が生じることも多く、その際の変更作業に多くの時間がかかっており、直前の変更では修正が間に合わないこともあって、この問題を何とか解決したいという要望を持っていました。サービスを利用し、タブレット端末で会議資料を見ることができるようにしたことで、完全なペーパーレス会議の実現と、変更による無駄な作業コストの軽減に成功。専用アプリでPDFファイルに書き込むこともでき、利便性を落とすことなくペーパーレス会議を実現しています。

ファイルサーバーの慢性的な容量不足の解消とコスト軽減
インターネット業界で急成長を続ける企業は、顧客数の急激な増加でファイルサーバーの慢性的な容量不足に悩まされていました。急成長ながらも収益はまだ追いつかず、成長の予測が困難なため大きな先行投資もできずにいましたが、サービスを利用することで、成長に合わせた容量増や、それに伴うサーバー管理コストの削減を実現。

 

企業がオンラインストレージ・ファイル共有サービスを利用する際の注意点

企業がオンラインストレージ・ファイル共有サービスを導入後、効果を最大限に発揮させるために注意すべきポイントについて解説します。

社員に対するセキュリティ教育の徹底と情報漏えいのリスク管理

オンラインストレージ・ファイル共有サービスは、社内だけでなく社外ともファイル共有を簡単に行えるのがメリットのひとつです。しかし、このメリットは、企業にとって重要なファイルを第三者に公開してしまうリスクと表裏一体です。セキュリティが強化されたサービスを利用しても、誤操作で重要なファイルを誰でも閲覧やダウンロードが可能な状態にしてしまう可能性は排除できません。このようなミスを防ぐためには、リスクを周知徹底するための運用マニュアルを作成し、サービスの利用方法の教育を実施し、社員に対してセキュリティに関する意識を高めることが必要です。

日本ネットワークセキュリティ協会が2019年6月に発表した「2018年情報セキュリティインシデントに関する調査報告書」によると、情報漏えいの原因は「紛失、置き忘れ」「誤操作」といった、いわゆるヒューマンエラーによるものが50.8%と全体の半数を超えています。このことは、社員一人ひとりがセキュリティに対する意識をしっかり持つことで、情報漏えいの半数を防ぐのが可能であることを意味しています。セキュリティに対する意識を高める教育、誤操作しないような使い方の教育と同時に、社員が業務データを自宅のパソコンで共有する際にデータを持ち出さないように、また退職時にもデータを持ち出せないように罰則を設けるといった対策も必要です。

サービス提供企業への依存度が高まるとリスクが増大

オンラインストレージ・ファイル共有サービスはメリットが多いものですが、企業にとって重要なシステムやデータなどをサービスに依存しすぎてしまわないように注意が必要です。最悪の場合、突然サービスが終了してデータを消失してしまう可能性もゼロではありません。リスク対策を十分に行い、そのうえで自社にとってのメリットとデメリットのバランスを考慮した利用を行うことが重要です。

複数のオンラインストレージ・ファイル共有サービスの利用も検討

オンラインストレージ・ファイル共有サービスは、複数のサービスを利用することでさらに利便性を高められます。ただし、複数のサービスを利用することで管理の手間が増え、煩雑になってしまう場合もあるでしょう。その際は、複数のサービスでも同じ操作で管理ができる一括管理ツールを活用することで、問題を解決できます。

社内の情報共有には社内wikiが便利

オンラインストレージ・ファイル共有サービスは、企業が利用することで業務効率化やコスト削減に効果を発揮します。しかし、それは、あくまでもファイルやドキュメントの保管、一時的・一過性の共有目的で利用した範囲で限定的に得られるメリットです。一方、業務効率化や生産性向上、それによるコスト削減を全社員が実行して全社として実現できる方法は、社内の情報、ナレッジやノウハウを随時蓄積して、豊富な検索機能で必要な情報や、優れたナレッジやノウハウを共有して全社員が活用することです。この使い方による情報共有は、社内wikiでないと実現は困難です。

おすすめなのは、社内wikiとオンラインストレージ・ファイル共有サービスを使い分けるようにすることです。

複数のオンラインストレージ・ファイル共有サービスを便利に利用する方法は『複数のオンラインストレージ・ファイル共有サービスの一括管理とデメリットや使い分けのコツ』の記事を参照してください。詳しく解説しています。

 

オンラインストレージ・ファイル共有サービスと社内wikiでさらなる業務効率化を実現

オンラインストレージ・ファイル共有サービスをうまく活用すれば、業務効率化、コスト削減などを実現できます。そのためには企業向けのサービスのメリット、デメリット、利用するときの注意点を理解して活用することが必要です。そして、さらに業務効率化や生産性向上、それによるコスト削減を実現できるのは、社内の情報やナレッジ、ノウハウの蓄積・共有が効率的にできる社内wikiと、オンラインストレージ・ファイル共有サービスを使い分けて利用することです。また、複数のオンラインストレージ・ファイル共有サービスを利用するとさらに便利に活用でき、社内wikiとの使い分けを生かせます。

 

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