業務の引き継ぎや新人教育の場面で、「手順書を作ってほしい」と頼まれたものの、何から手をつければいいのか分からず困っていませんか。自己流で作ってみたら「分かりにくい」と言われてしまった、作成に時間がかかりすぎて本来の業務が進まない、といった悩みを抱える方は少なくありません。
手順書作成には、押さえるべきポイントと具体的な手順があります。この記事では、手順書とマニュアルの違いから始まり、作成のメリット、必須項目、具体的な作成ステップ、わかりやすく作るコツ、よくある失敗と対策、そして作成を効率化するツールまで、手順書作りの基本を網羅的に解説します。
記事を読み終える頃には、誰が読んでも迷わず作業できる手順書を作るための具体的な方法が身につき、すぐに実践できる状態になります。初めて手順書を作る方も、これまでうまくいかなかった方も、ぜひ参考にしてください。
目次
手順書とは?マニュアルとの違い
手順書を作る前に、まず「手順書とは何か」を正しく理解しておくことが大切です。手順書とマニュアルを混同してしまうと、作るべき内容がぼやけてしまい、結果として使いにくい文書になってしまいます。ここでは、手順書の定義と役割、マニュアルとの違いを明確にしていきます。
手順書の定義と役割
手順書とは、特定の作業を完了するための具体的な手順を、時系列に沿って示した文書のことです。例えば「新入社員の入社手続き」「機械の点検作業」「システムへのログイン方法」といった、個別の作業ごとに作られます。
手順書の最も重要な役割は、作業の標準化です。手順書があることで、誰が作業をしても同じ品質を保つことができます。ベテランが行っても、新人が行っても、手順書通りに進めれば同じ結果が得られる状態を作り出すのが手順書の目的です。
また、手順書は新人教育や引き継ぎ時の教育効率を高める役割も果たします。口頭での説明だけでは伝わりにくい細かな手順も、文書として残しておけば、教育する人によるバラつきを減らせます。さらに、担当者が不在の時でも、手順書があれば他の人が代わりに作業を進められるため、属人化を防ぐことにもつながります。
マニュアルとの違い
手順書とマニュアルは、よく混同されますが、対象範囲と目的が異なります。マニュアルは業務全体を網羅し、方針・ルール・基準を示すのに対し、手順書は個別作業の実行手順に焦点を当てた文書です。
具体的な違いを表で整理すると、以下のようになります。
| 比較項目 | 手順書 | マニュアル |
|---|---|---|
| 対象範囲 | 個別の作業・タスク | 業務全体・システム全体 |
| 目的 | 作業を正確に実行する | 業務の方針や基準を示す |
| 記載内容 | 具体的な手順(どうやるか) | 方針・ルール・背景(なぜそうするか) |
| 粒度 | 詳細(ステップごと) | 概要(全体像) |
| 更新頻度 | 比較的高い | 比較的低い |
マニュアルは「なぜそうするのか」を説明し、手順書は「どうやるのか」を具体的に示します。例えば、顧客対応マニュアルには「お客様に丁寧に対応する」という方針が書かれていますが、手順書には「電話を受けたら3コール以内に出る」「まず名乗る」「用件を復唱する」といった具体的な行動が書かれています。
このように、手順書はマニュアルの中の一部として位置づけられることもあれば、独立した文書として作られることもあります。自社の状況に応じて、適切な形式を選びましょう。
手順書を作成するメリット
手順書を作ることには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。作成には時間と労力がかかりますが、それを上回る価値があります。ここでは、手順書を作成する主なメリットを3つの観点から解説します。
業務の標準化と品質の均一化
手順書による最も大きなメリットは、業務の標準化です。手順書があることで、作業プロセスが明確になり、経験の差による品質のばらつきを最小化できます。
例えば、ベテラン社員は長年の経験から効率的な作業手順を身につけていますが、その知識は頭の中にあるだけで、他の人には見えません。手順書として文書化することで、ベテランの知識を組織の財産として共有でき、誰が作業しても同じ品質を保てるようになります。
また、作業の標準化は属人化の防止にもつながります。特定の人しかできない作業があると、その人が休んだり退職したりした時に業務が止まってしまいます。手順書があれば、担当者が不在でも他の人が代わりに作業を進められるため、業務の継続性を確保できます。
教育コストの削減と引き継ぎの効率化
手順書は、新人教育や業務の引き継ぎにかかる時間とコストを大幅に削減します。手順書があることで、教育担当者が口頭で説明する時間を減らし、学習者の自習を促進できます。
口頭での説明だけでは、教える人によって伝え方が変わり、教育の質にばらつきが生まれがちです。また、一度説明したことを何度も聞かれると、教育担当者の負担も増えます。手順書があれば、学習者は自分のペースで繰り返し確認でき、分からないところだけを質問すればよいため、教育する側・される側の双方にとって効率的です。
引き継ぎ時にも、手順書は大きな力を発揮します。担当者の異動や退職の際、手順書があれば知識の移転漏れを防ぎ、スムーズな業務移行が可能になります。特に、複雑な業務や頻度の低い業務ほど、手順書の価値は高まります。
ミスの防止と業務改善の促進
手順の明文化は、ミスの発生を防ぐ効果があります。作業手順が曖昧だと、抜け漏れや手順の飛ばしによるミスが起こりやすくなりますが、手順書があれば一つひとつの工程を確認しながら進められるため、ミスを未然に防げます。
また、手順書を作成する過程で、業務フローが可視化されます。普段は意識せずに行っている作業を一つひとつ書き出していくと、非効率な工程や改善の余地が見えてきます。「この手順は本当に必要なのか」「もっと効率的な方法はないか」といった問いかけが生まれ、業務改善のきっかけになります。
さらに、手順書があることで、ミスが起きた時の原因究明もしやすくなります。手順書通りに作業したのにミスが起きた場合は手順書自体に問題がある可能性があり、手順書と異なる作業をした場合は作業者のミスと判断できます。このように、手順書は業務の品質管理にも役立ちます。
手順書に含めるべき必須項目
手順書を作る際、どのような情報を盛り込めばよいのでしょうか。ここでは、手順書に含めるべき5つの必須項目を解説します。これらの項目を押さえることで、読み手が迷わず作業を完了できる手順書になります。
作業名と目的
手順書の冒頭には、必ず作業名と目的を記載します。作業名は、何の作業についての手順書なのかを一目で分かるように、具体的で分かりやすい表現を使います。
目的の記載も重要です。「なぜこの作業が必要なのか」を簡潔に説明することで、作業者は作業の意義を理解し、より注意深く作業に取り組むようになります。目的が分かっていれば、手順書に書かれていないイレギュラーな状況に遭遇した時も、適切な判断がしやすくなります。
記載例を示します。
■記載例
作業名:月次売上レポートの作成
目的:経営会議で使用する月次売上データを正確に集計し、前月比較や予算対比を可視化するため
必要な材料・ツール
作業を始める前に準備すべき材料やツールをリスト化します。事前にリストアップしておくことで、作業開始後に「あれがない、これがない」と慌てることを防げます。
リストには、具体的な名称や数量を記載します。例えば「ペン」ではなく「油性マーカー(黒)1本」、「書類」ではなく「入社申込書(様式A-1)1部」といった具合です。また、ツールやシステムを使う場合は、バージョンやアクセス権限の情報も併記すると親切です。
■記載例
必要なもの:
- 販売管理システム(SAP)へのアクセス権限
- Excelファイル「月次レポートテンプレート.xlsx」
- 前月の売上レポート(参照用)
具体的な手順とポイント
手順書の核となる部分です。作業の流れを時系列で番号を付けて記載し、各ステップのポイントや注意点を併記します。
手順は、一つひとつのステップを細かく分けて書きます。「適切に処理する」といった曖昧な表現は避け、「○○ボタンをクリックする」「△△の欄に××と入力する」のように、具体的な動作を示します。また、判断を伴う手順では、判断基準も明記します。
各ステップには、ポイントや注意点を補足として加えると、より分かりやすくなります。例えば、「ここでエラーが出た場合は○○を確認」「この操作は取り消せないので注意」といった情報です。
■記載例
手順:
- 販売管理システム(SAP)にログインする
- メニューから「売上管理」→「月次集計」を選択する
- 集計期間を設定する(当月1日〜末日)
※前月のデータを誤って選択しないよう、日付を必ず確認 - 「集計実行」ボタンをクリックする
※集計には約5分かかります。処理中は画面を閉じないでください
判断基準
作業の良し悪しを判断する基準や、完了の判断基準を具体的に記載します。判断基準が明確でないと、作業者は「これで合っているのか」と不安になり、確認作業が増えてしまいます。
判断基準は、できるだけ数値や具体的な状態で示します。「きれいに」「適切に」といった主観的な表現ではなく、「傷が1mm以上ない状態」「合計金額が予算と一致している」のように、誰が見ても同じ判断ができる基準を設定します。
■記載例
完了の判断基準:
- 全店舗のデータが集計されている(店舗数が50件であることを確認)
- 合計売上金額が前月の80%〜120%の範囲内である(範囲外の場合は上長に報告)
- グラフが正しく表示されている
注意事項
ミスしやすいポイントや安全上の注意点を明記します。注意事項を目立つ形で記載することで、事故やエラーの発生を未然に防ぐことができます。
注意事項は、手順の中に埋もれさせず、独立したセクションとして記載するか、該当する手順の直後に目立つ形で記載します。特に、安全に関わる注意事項や、取り返しのつかないミスにつながる注意事項は、強調表示を使って目立たせましょう。
■記載例
注意事項:
- 集計期間の設定を誤ると、データが不正確になります。必ず日付を確認してください
- 集計処理中にシステムを終了すると、データが破損する恐れがあります
- 完成したレポートは、必ず上長の確認を受けてから配布してください
手順書作成の具体的なステップ
ここからは、手順書を実際に作成する流れを6つのステップで解説します。各ステップを丁寧に進めることで、実用性の高い手順書を作成できます。
ステップ1:対象者と目的を明確にする
手順書作成の最初のステップは、誰が使うのか(対象者)と、何のために作るのか(目的)を明確にすることです。この2つが曖昧だと、作るべき内容がぼやけてしまいます。
対象者のスキルレベルを明確にしましょう。初心者向けなのか、ある程度の経験がある人向けなのかによって、説明の詳しさが変わります。例えば、初心者向けなら基本的な用語から説明する必要がありますが、中級者向けなら専門用語を使っても理解してもらえます。
目的も具体的に定義します。新人教育用なのか、業務標準化用なのか、引き継ぎ用なのかによって、記載すべき内容の優先順位が変わります。例えば、新人教育用なら「なぜそうするのか」という背景説明を手厚くし、業務標準化用なら作業の正確性を重視した内容にします。
ステップ2:作業内容を洗い出す
次に、現在の作業を細かく分解し、すべての手順を洗い出します。この作業が手順書の土台となるため、丁寧に行いましょう。
作業を実際に行いながら、各ステップを5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)で記録する方法が効果的です。頭の中だけで考えると、無意識に行っている手順を見落としがちです。実際に手を動かしながら、一つひとつの動作を書き出していくと、漏れを防げます。
熟練者の暗黙知を引き出すには、作業を観察しながらインタビューする手法が有効です。「今、何をしましたか」「なぜそうしたのですか」と尋ねることで、本人も意識していなかったコツや判断基準を言語化できます。
ステップ3:構成と目次を決める
洗い出した作業を論理的に整理し、大項目・中項目・小項目の階層構造を作ります。作業を時系列または機能別に整理し、関連する手順をまとめていきます。
目次を先に作成することで、全体の流れを俯瞰でき、記述時の迷いを減らせます。目次を作る段階で、どの情報をどこに配置するかを決めておくと、後の執筆がスムーズに進みます。
階層構造を作る際は、一つの項目に情報を詰め込みすぎないように注意します。1つの項目は3〜5つ程度の手順に収め、それ以上になる場合は項目を分割しましょう。
ステップ4:内容を記述する
構成が決まったら、実際に手順書の本文を書いていきます。ここでは、分かりやすい表現を心がけることが重要です。
一文を短く(40文字程度を目安)し、曖昧な表現を避けて具体的に記述します。「適宜」「必要に応じて」といった言葉は、読み手によって解釈が変わるため使わないようにしましょう。専門用語は避けるか、使う場合は必ず説明を加えます。
図・写真・動画を活用することで、テキストだけでは伝わりにくい情報を視覚的に補完できます。特に、機械の操作や画面の操作手順などは、スクリーンショットや写真を入れることで格段に分かりやすくなります。画像には矢印や文字を入れて、注目すべきポイントを明確に示すとより効果的です。
ステップ5:仮運用で検証する
手順書ができたら、いきなり本番で使うのではなく、まず仮運用で検証します。作成者以外の人が手順書だけを見て作業できるかを確認することで、説明不足や曖昧な表現を発見できます。
できれば、対象者と同じレベルの人に使ってもらうのが理想的です。例えば、新人向けの手順書なら、新人に近いレベルの人に試してもらいます。その際、「分からなかったところ」「迷ったところ」を具体的にフィードバックしてもらいましょう。
フィードバックを受けて修正を繰り返すことで、実用性の高い手順書に仕上がります。一度で完璧なものを作ろうとせず、何度か改善を重ねる前提で進めるとよいでしょう。
ステップ6:定期的に更新する
手順書は、一度作ったら終わりではありません。業務プロセスの変更や改善に合わせて、定期的に更新することで常に最新の状態を保つ必要があります。
現場からのフィードバックを受け付ける仕組みを作り、実態に即した内容に改善し続けることが重要です。例えば、手順書の最後に「改善提案はこちらへ」と連絡先を記載しておくと、現場の声を集めやすくなります。
更新作業の負担を軽減するには、ツールの活用が効果的です。例えば、NotePMのような編集履歴の自動記録機能を持つツールを使えば、誰がいつ何を変更したかを追跡でき、更新管理の負担を軽減できます。テンプレート機能により新規手順書の作成も効率化でき、閲覧状況の可視化により活用度を把握できるため、手順書の運用がスムーズになります。
【コラム】更新ルールを決めておこう
手順書を最新に保つには、更新のタイミングを明確にすることが重要です。例えば「業務プロセスが変更された時は1週間以内に更新」「3ヶ月ごとに内容を見直す」といったルールを設定しておくと、更新漏れを防げます。また、手順書の末尾に「最終更新日」と「次回更新予定日」を記載しておくと、更新の必要性を判断しやすくなります。
わかりやすい手順書を作成するコツ
手順書の作り方が分かっても、実際に作ってみると「これで本当に分かりやすいのか」と不安になることがあります。ここでは、手順書の質を向上させる6つのコツを解説します。これらを実践することで、読み手が迷わず作業を完了できる手順書になります。
対象者を想定して作成する
対象者のスキルレベルに合わせて説明の詳しさを調整することが、分かりやすい手順書を作る第一歩です。初心者向けには基本的な用語から説明し、中級者向けには要点を絞った記述にします。
専門用語を使う場合は、必ず最初に説明を加えます。例えば、「API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)とは、異なるソフトウェア同士をつなぐ仕組みのことです」のように、初めて出てきた時点で説明します。また、業界では当たり前の略語も、対象者が知らない可能性があるため、最初は正式名称を併記しましょう。
簡潔でわかりやすい言葉を使う
一文を短く(40文字程度を目安)し、曖昧な表現を避けて具体的に記述することが重要です。長い文は読み手の理解を妨げるため、一つの文には一つの情報だけを盛り込むようにします。
曖昧な表現の例とその改善例を示します。
■NG例とOK例
| NG例(曖昧) | OK例(具体的) |
|---|---|
| 適宜、データを確認する | 毎日午前10時にデータを確認する |
| 必要に応じて上長に報告する | エラーが発生した場合は、直ちに上長に報告する |
| 丁寧に梱包する | エアキャップで2重に包み、隙間に緩衝材を詰める |
図・写真・動画を活用する
図・写真・動画を活用することで、テキストだけでは伝わりにくい操作や位置関係を直感的に理解できます。特に、画面操作や機械操作の手順書では、視覚的な情報が不可欠です。
画像に矢印や文字を入れることで、注目すべきポイントを明確に示せます。例えば、システムの操作画面のスクリーンショットに、「ここをクリック」と矢印と文字を入れるだけで、格段に分かりやすくなります。
動画マニュアルは、一連の流れを見せるのに効果的です。ただし、動画は編集や更新に手間がかかるため、頻繁に変更される手順には向きません。変更の少ない基本操作などに絞って活用するとよいでしょう。
作業の流れを明示する
フローチャートで作業の全体像を示すことで、読み手が現在どの段階にいるかを把握しやすくなります。特に、分岐が多い作業や、複数の選択肢がある作業では、フローチャートが有効です。
目次を活用することも重要です。手順書の冒頭に目次を配置し、各セクションへのリンクを設定しておくと、必要な情報にすぐにアクセスできます。また、各セクションの冒頭に「このセクションで学ぶこと」を記載しておくと、読み手は見通しを持って読み進められます。
最初から完璧を目指さない
最初から完璧を目指すと作成が進まないため、まずは骨組みを作り、運用しながら改善していく姿勢が大切です。60点のものを作って実際に使ってもらい、フィードバックを受けて80点、90点に改善していく方が、結果的に早く良いものができます。
PDCAサイクルを回すことを前提に、まずは重要度の高い部分から作成し、運用しながら不足部分を補っていきましょう。完璧を目指して作成が遅れるよりも、早めにリリースして改善を重ねる方が、現場にとっても有益です。
検索性を高める
タグやフォルダで手順書を分類し、命名規則を統一することで、必要な情報をすぐに見つけられるようになります。例えば、手順書のファイル名に「部署名_業務名_作成日」といったルールを設けると、探しやすくなります。
NotePMのようなWordやExcel、PDFファイルの中身まで検索できる全文検索機能を持つツールを活用すれば、ファイル名だけでなく内容からも手順書を探せます。タグやフォルダによる情報整理機能、未読管理機能により、見ていない新しい手順書も把握できるため、情報の見落としを防げます。
手順書作成でよくある失敗と対策
手順書を作る際、多くの人が同じような失敗を経験します。ここでは、起こりがちな4つの失敗パターンと、それぞれの対策を解説します。事前に知っておくことで、同じ失敗を避けることができます。
作りっぱなしで更新されない
手順書を作ったものの、業務内容が変わっても更新されず、古い情報のまま放置されてしまうケースは非常に多く見られます。古い手順書は、かえって混乱を招き、使われなくなってしまいます。
対策として、更新ルールを明確に決めておくことが重要です。例えば、「毎月末に内容を確認する」「業務プロセスが変更された時は1週間以内に更新する」といったルールを設定します。また、更新担当者を明確にし、誰が責任を持って更新するかを決めておくことも大切です。
手順書の最後に「最終更新日」と「次回更新予定日」を記載しておくと、更新漏れを防ぎやすくなります。
情報が散在して見つからない
手順書をWordファイルやExcelファイルで個別に作成し、それぞれのパソコンやフォルダに保存していると、どこに何があるか分からなくなってしまいます。必要な時に見つからなければ、手順書を作った意味がありません。
対策として、手順書を一元管理するツールを導入し、すべての手順書を一か所に集約することが有効です。また、ファイル名の命名規則を統一し、「部署_業務名_バージョン」といったルールを決めておくと、検索しやすくなります。
フォルダ構造も重要です。部署別、業務別、作業別など、自社に合った分類方法を決めて、誰が見ても分かる構造にしましょう。
作成者にしかわからない内容になる
作成者は業務を熟知しているため、無意識のうちに前提知識を省略してしまい、初心者には理解できない内容になってしまうことがあります。専門用語が多すぎたり、説明が不足していたりすると、手順書の意味がなくなります。
対策として、第三者にレビューしてもらうことが最も効果的です。できれば、対象者と同じレベルの人に読んでもらい、「分からなかったところ」「迷ったところ」を具体的にフィードバックしてもらいましょう。
また、専門用語を使う場合は、必ず用語集を用意するか、初出の際に説明を加えます。「この用語は知っているはず」という思い込みを捨て、丁寧に説明することが大切です。
作成に時間がかかりすぎる
完璧を目指しすぎて、手順書の作成が一向に進まないケースもよく見られます。細部にこだわりすぎて、いつまでも完成しないと、本来の業務に支障をきたしてしまいます。
対策として、重要度の高い作業から手順書を作成し、優先順位をつけて進めることが重要です。すべての業務を一度に手順書化しようとせず、まずは頻度が高い作業や、ミスが起きやすい作業から着手しましょう。
テンプレートを活用することも、作成時間の短縮に効果的です。一度フォーマットを作っておけば、次回からはそれを使い回せるため、毎回ゼロから考える必要がなくなります。
手順書作成に使えるツールとテンプレート
手順書作成を効率化し、管理をしやすくするには、適切なツールの活用が有効です。ここでは、手順書作成に使えるツールの選び方と、主要ツールの特徴を解説します。
手順書作成ツールの選び方
手順書作成ツールを選ぶ際は、操作性、検索性、更新のしやすさの3つのポイントを重視しましょう。
操作性については、ITツールに不慣れな人でも使えるかどうかを確認します。いくら高機能でも、使いこなせなければ意味がありません。無料トライアルがあれば、実際に試してから導入を決めることをおすすめします。
検索性も重要です。必要な情報をすぐに見つけられるか、ファイルの中身まで検索できるかを確認しましょう。手順書が増えてくると、探す時間が無駄になってしまいます。
更新のしやすさでは、編集履歴の管理や、複数人での同時編集ができるかをチェックします。更新作業が面倒だと、結局更新されずに古い情報のままになってしまいます。
自社の課題に応じて、適したツールを選定することも大切です。現場作業の手順書を作りたいのか、システム操作の手順書を作りたいのか、ナレッジ共有全般を強化したいのかによって、最適なツールは変わります。
主要ツールの比較
手順書作成に使える主要なツールを、料金、主要機能、得意分野で比較します。自社の課題や予算に合わせて、最適なツールを選びましょう。
| ツール名 | 料金 | 主要機能 | 得意分野 |
|---|---|---|---|
| Confluence | 無料(10ユーザーまで)〜 | Jira連携、豊富なテンプレート、詳細な権限設定 | エンタープライズ、IT業界 |
| Notion | 無料(個人・ゲスト10名まで)〜、月額$8/ユーザー〜 | ブロック単位の自由な組み合わせ、洗練されたUI | 汎用的なドキュメント管理 |
| Teachme Biz | 月額59,800円〜(別途初期費用) | 画像・動画ベースのマニュアル作成、閲覧状況分析 | 現場作業、店舗オペレーション |
| NotePM | 月額4,800円(8ユーザー)〜 | 強力な全文検索、編集履歴の自動記録、AI機能 | ナレッジ管理、社内Wiki |
| Kibela | 無料(5ユーザーまで)〜、月額550円/ユーザー〜 | Blog/Wiki形式の使い分け、Markdown対応 | ITエンジニア向け情報共有 |
それぞれのツールには異なる強みがあります。次のセクションで、各ツールの特徴を詳しく見ていきましょう。
各ツールの特徴
ここでは、前述の比較表で紹介した5つのツールについて、それぞれの強みと向いている用途を詳しく解説します。
Confluence
Confluenceは世界的に高いシェアを誇り、大規模な組織でのナレッジ管理や情報共有の基盤として豊富な実績を持つツールです。特に、Jiraなど他のAtlassian製品との強力な連携が特徴で、プロジェクト管理と手順書管理を一体化できます。
豊富なテンプレートとマクロによる高いカスタマイズ性があり、自社の業務に合わせた手順書フォーマットを柔軟に作成できます。また、詳細な権限設定と高度なセキュリティ機能により、機密情報を含む手順書も安全に管理できます。
エンタープライズ向けで、IT業界で広く利用されており、無料プラン(10ユーザーまで)も提供されているため、小規模なチームでも試しやすいのが利点です。
Notion
Notionは近年急速に知名度を上げ、ドキュメント作成、タスク管理、データベース機能を統合した高い汎用性で個人から企業まで幅広く支持されているツールです。ドキュメント、データベース、タスク管理などをブロック単位で自由に組み合わせ可能で、手順書作成だけでなく、プロジェクト管理やナレッジベース構築にも活用できます。
洗練されたUIと高いデザイン性が特徴で、視覚的に美しい手順書を作成できます。豊富なテンプレートと強力なコミュニティがあり、他のユーザーが作成したテンプレートを参考にしたり、そのまま利用したりできます。
無料プラン(個人利用・ゲスト招待10名まで)も提供されており、小規模なチームや個人での利用に適しています。
Teachme Biz
Teachme Bizは画像や動画をベースとした「伝わる」マニュアル作成に特化し、特に現場作業や店舗オペレーションの手順書作成において高い評価と導入実績があるツールです。スマートフォンやタブレットで撮影した写真や動画から簡単にマニュアルを作成でき、現場で即座に手順書を作成・共有できます。
ステップ形式で視覚的にわかりやすい手順書を作成可能で、テキストだけでは伝わりにくい作業も、画像や動画で直感的に理解できます。閲覧状況の分析やトレーニング機能による教育・定着支援も可能で、誰がどの手順書を見たか、理解度はどうかを把握できます。
月額59,800円から(別途初期費用)と、他のツールに比べて料金は高めですが、現場作業の標準化や教育の効率化に課題を抱える企業には、投資対効果の高い選択肢です。
NotePM
NotePMは「社内版Wikipedia」として、マニュアル、議事録、日報など社内のあらゆる情報を一元管理できる日本製のツールで、使いやすさと手厚いサポートで国内企業での導入実績が豊富です。高機能なエディタと豊富なテンプレートで文書作成が容易で、手順書作成に必要な機能が一通り揃っています。
特に強力なのが、WordやExcel、PDFファイルの中身まで検索できる全文検索機能です。ファイル名だけでなく、ファイルの内容からも手順書を探せるため、必要な情報をすぐに見つけられます。編集履歴の自動記録や閲覧状況の可視化機能により、誰がいつページを見たかを確認でき、更新管理が容易です。
AI機能(要約・翻訳・校正)を標準搭載しており、長い手順書の要約や、多言語対応が必要な場合にも活用できます。月額4,800円(8ユーザー)からと、比較的手頃な価格で始められるのも魅力です。
Kibela
Kibelaは「個人の発信を組織の力にする」をコンセプトに、特にITエンジニアを中心に支持されている情報共有ツールです。Blog形式(フロー情報)とWiki形式(ストック情報)の使い分けが可能で、日々の気づきや進捗はBlogで共有し、確定した手順書はWikiで管理するといった使い分けができます。
シンプルなUIと軽快な動作で、誰でも気軽に情報発信が可能です。Markdown記法に完全対応し、エンジニアにとって使いやすい環境が整っています。コードブロックの記述もしやすく、システム開発に関する手順書作成に適しています。
無料(5ユーザーまで)から利用可能で、有料プランも月額550円/ユーザーからと手頃な価格設定です。小規模なエンジニアチームや、情報共有文化を醸成したい組織に向いています。
【コラム】自社に合ったツールの選び方
ツール選びで迷ったら、まずは無料トライアルを活用しましょう。実際に使ってみることで、操作性や自社の業務に合うかを確認できます。また、導入後のサポート体制も重要なポイントです。日本語サポートがあるか、問い合わせへの対応が早いかなども確認しておくと安心です。
効率的に手順書を作成・管理したいならNotePMがおすすめ
手順書を作成する際は、対象者と目的を明確にし、作業内容を丁寧に洗い出すことから始めます。構成を決めてから記述し、仮運用で検証を行い、定期的に更新していくという流れを押さえることで、実用性の高い手順書を作成できます。
わかりやすい手順書を作るには、対象者を想定した表現を使い、簡潔で具体的な言葉で記述し、図や写真を活用することが重要です。また、最初から完璧を目指さず、運用しながら改善していく姿勢が大切です。
手順書作成でよくある失敗は、作りっぱなしで更新されない、情報が散在して見つからない、作成者にしかわからない内容になる、作成に時間がかかりすぎる、といったものです。これらを避けるために、更新ルールを決め、一元管理のツールを活用し、第三者のレビューを受け、テンプレートを活用することが有効です。
手順書の作成や管理を効率化したい場合は、NotePMのようなナレッジ管理ツールの導入を検討してみてください。強力な検索機能、編集履歴の自動記録、AI機能などにより、手順書の作成から運用までをスムーズに進められます。まずは無料トライアルで実際の使い勝手を確認し、自社の業務に合うかを試してみることをおすすめします。


