多くの企業にとって、コスト削減、品質向上、納期短縮、生産性向上、業務効率化は大きな課題です。質の高い手順書を作成すれば、その課題の多くを解決できる可能性があります。まずは業務フローを棚卸しして標準化するところから手順書を作りはじめましょう。
この記事では、手順書の作り方を6ステップで解説します。わかりやすいマニュアルがあれば、誰もが同じ高いレベルで業務を行えるようになり、結果的に企業の利益向上も期待できるでしょう。
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目次
手順書とは「業務手順を標準化・文書化したもの」
手順書とは「業務手順を標準化・文書化したもの」のことを言います。似た文書としてマニュアルがありますが、どのような違いがあるのでしょう。両者の違い(目的・役割・記載内容)や手順書のメリットを紹介します。
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手順書とマニュアルの違い
手順書は、業務手順を細かく説明した文書のことを指します。多くの人がマニュアルと手順書を同じものだと考えがちですが、厳密に言うと違いがあります。
以下の表に、手順書とマニュアルの「目的」「役割」「記載内容」ついてまとめました。
手順書 | マニュアル | |
目的 | どんな人でもミスなく正確に作業できるようにする | 業務全体の内容やルールを説明する |
役割 | 作業の具体的な手順や基準を示す | 業務全体の流れや知識・ノウハウを示す |
記載内容 | 作業の名前、目的、必要なもの、手順・動作、判断基準・品質、注意事項など | 仕事の流れが把握できるフロー、注意事項など |
実際の職場では、「手順書」と「マニュアル」という言葉を厳密に使い分けることはあまりありません。明確な区別は難しいですが、違いがあることは認識しておきましょう。
理想的な手順書を作成できれば、誰でも同じレベルで業務ができるようになります。一方で、手順書の内容が不十分だと、業務の効率が悪く品質のバラツキが生じるなど問題が生じるおそれもあります。業務の質を高めるにも、手順書をしっかり作成するのが大切です。
>関連記事:マニュアル作成を成功させる11のコツと作り方4ステップを解説
手順書を作成する4つのメリット
手順書がないと、「業務を手探りでしか進められない」「業務にムリ・ムダ・ムラが発生する」「人による業務の質の差が大きい」など多くの問題が発生します。
手順書を作るメリットは大きく分けると以下の4つです。
- 業務の見える化ができる
- 業務の標準化ができる
- 業務の品質管理ができる
- コツやノウハウの共有と継承ができる
質の高い手順書を作るためにも、しっかりとメリットを理解しておきましょう。
1.業務の見える化ができる
手順書を作るメリットのひとつは、業務の見える化ができることです。業務を行うにあたり、最初にある程度手順が理解できていないと、混乱して効率が低下します。とくに危険な業務や細心の注意が必要な業務において見える化は重要です。
業務を標準化できれば、誰もが効率的に仕事をこなせるようになります。新人からベテランまで、同じ質の仕事ができるようになり、組織全体の生産性が向上するでしょう。
>関連記事:見える化とは?概念からメリット・実行の注意点や活用事例まで幅広く解説
2.業務の標準化ができる
業務を標準化できることも手順書のメリットです。業務の標準化によって、組織全体の効率と質が大幅に向上し、以下のような利点が生まれます。
- 最短時間で仕事を完了できる
- 最高品質の成果を出せる
- 最適な方法で作業を進められる
- コストを最小限におさえられる
- リスクを最小化できる
さらに重要なのは、手順書を定期的に見直すことです。作業内容の変化や新しい知見を取り入れて改善を加えていくことで、業務はますます実行しやすくなるでしょう。
>関連記事:業務の標準化ってなに?進め方を10ステップで徹底解説
3.業務の品質管理ができる
手順書の大きなメリットのひとつに、業務の品質管理ができる点があります。
手順書を通じて業務の基準やゴールを明確に定めることで、すべての従業員が同じ目標に向かって作業できるようになります。その結果、一定の品質を維持しやすくなり、誰が作業しても同じ水準の結果が得られるのです。
さらに、手順書には注意点や確認事項が明記されているため、ミスやトラブルの防止にもつながります。業務をはじめて間もない人でも安心して作業できるのも利点のひとつです。
4.コツやノウハウの共有と継承ができる
作業者が培ってきたコツやノウハウの共有・継承ができるのも手順書のメリットです。
同じ業務を長く続けると、コツやノウハウが社員に蓄積されていきます。これらは非常に価値のある財産ですが、個人の中だけにとどまっていては、組織全体の成長にはつながりません。企業が成長するためにも、他の社員と共有・継承していく必要があります。
手順書にコツやノウハウを記載すれば、誰もがその業務を最良の方法で行えるでしょう。新人でも短期間で高度なスキルを身につけられますし、社員が変わっても同じ品質のサービスや製品を提供できます。手順書を通じて、個人の経験を組織の財産へと変えることが重要です。
手順書を作成するデメリット
手順書には多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。
まず、手順書の作成には予想以上に時間がかかります。実際の業務の流れや問題点を作業者から丁寧にヒアリングし、わかりやすく文書化する必要があるからです。さらに、写真やイラストを追加して視覚的に理解しやすくすることも必要なため、完成までに相当な時間を要します。
また、過度に業務を標準化しすぎてしまい、作業者の柔軟性が育たなくなることが考えられます。新しいアイデアや改善案が生まれにくくなれば、組織にとって大きな損失となるでしょう。
さらに、手順書に頼りすぎると、臨機応変な対応ができなくなるおそれもあります。マニュアルに書かれていない問題が発生した際に、従業員が自分で解決策を見出せず、作業が停滞してしまうかもしれません。
手順書は重要なツールですが、それに頼りきりにならないことも大切です。メリット・デメリットを正しく理解して活用しましょう。
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手順書の作り方6ステップ
手順書を作成するときには、次の6つのステップで作成します。
- 手順書の対象者・目的・業務内容を決める
- 対象業務や作業内容を棚卸しする
- 手順書の構成・目次・内容を決める
- 作業内容を時系列順に記述する
- 作成した手順書を仮運用して問題がないか検証する
- 定期的に手順書をブラッシュアップする
以上のステップを順番に進めていけば、わかりやすい手順書が完成します。
1.手順書の対象者・目的・業務内容を決める
まずは手順書の対象者・目的・業務内容を決めます。誰が、何のために、何を行う手順書かを明確にすることで、どんな人にもわかりやすい手順書を作成できます。手順書に関わるすべてのステークホルダーと議論し、詳細を詰めていきましょう。
基本的には、以下のような5W1Hを意識して作成していけば問題ありません。
- When:いつ(期限)
- Where:どこで(場所)
- Who:誰が(作業者)
- What:何を(業務に必要なもの)
- Why:なぜ(その業務が必要な理由)
- How:どのように(業務を行う方法)
理想の手順書は、誰にとっても理解しやすい形であることが求められます。はじめて読んだ人でもすぐ実行に移せるよう、内容はなるべく具体的に書きましょう。
2.対象業務や作業内容を棚卸しする
次に、対象業務や作業内容を棚卸しします。現状の手順や業務・作業の内容を棚卸しすると、意外なことに時間を多く使っていたり、作業順番を入れ替えると効率的であったりすることが浮かび上がります。
このとき言語化されていないコツやノウハウを言語化して手順書に反映できると、現状の業務の効率や質を大きく上げられるでしょう。また、「この場合はこうする」という具体的な判断基準を明記すれば、誰もが迷わず適切な判断を下せるようにもなります。
業務の棚卸しは、単に現状を見える化するだけでなく、業務そのものを改善する絶好の機会です。面倒に思えるかもしれませんが、丁寧に業務を見直しましょう。
3.手順書の構成・目次・内容を決める
棚卸しが済んだら、手順書の構成・目次・内容を決めましょう。まずは作業内容をリストアップし、手順書全体の構成を考えます。最初に構成案を作ることで、手順書に記載する内容が明確になり、重要な項目の抜け漏れを防いで必要な項目を網羅できます。
構成・目次・内容は、手順書の骨組みになる重要な要素です。作業の流れが理解しやすい構成を意識して、よりよい手順書を目指しましょう。
4.作業内容を時系列順に記述する
構成・目次・内容を決めたら、作業内容を時系列順に記述します。業務の開始から終了までの流れを意識すれば、読み手が業務の流れを理解しやすくなるでしょう。
利用者の立場になって、わかりやすさ重視で作成することがポイントです。誰でも理解できる言葉を使い、適宜イラストや図を活用して視覚的にも理解しやすくすると、質の高い手順書を作れます。
単なる手順だけではなく、なぜこの手順を行うかという理由や意味も記述すると業務・作業の質が向上するでしょう。あわせてイレギュラー対応も盛り込むとよいです。手順書にない思わぬトラブルが生じた際も落ち着いて対応できるよう、複数パターン記載しておくのが望ましいでしょう。
5.作成した手順書を仮運用して問題がないか検証する
最後に、完成した手順書の手順に沿って業務・作業を実際に行ってみましょう。このままで問題ないか、もっと便利で効率的な方法はないかを再検討します。
仮運用してみると、作成時には気づかなかった改善点が見つかることがよくあります。もし追加事項や修正点が見つかったら、すぐに手順書に反映させましょう。
さらに重要なのは、第三者にチェックしてもらうことです。とくに、その業務に詳しくない人にチェックしてもらうと、わかりにくい説明や曖昧な指示を見つけやすくなります。業務の関係者はもちろん、関係者以外にも協力してもらいましょう。
6.定期的に手順書をブラッシュアップする
仮運用後、手順書の正式運用が始まってもやるべきことがあります。日々変化する業務にあわせて、随時手順書を見直しましょう。定期的に内容をブラッシュアップすることが、質の高い手順書を作り上げるコツです。
たとえば、1年ごとや5年ごとなど、見直しの時期をあらかじめ設定しておくと、継続的な改善を行いやすくなります。さらに決められた時期だけでなく、作業者から改善提案が出されたときや新しい機器や技術が導入されたとき、法律や規制が変更されたときにも随時見直しましょう。
手順書は一度作って終わりではなく、組織の知恵と経験を蓄積し、進化させていく重要なツールです。定期的な見直しとブラッシュアップを繰り返し行いましょう。
手順書を作成するときの6つのポイント
手順書を作成するときには、以下の6つのポイントをおさえましょう。
- 現在の業務や作業内容を丁寧に洗い出す
- 重要な部分からひとつずつ作成する
- 最初から完璧な手順書を目指さない
- 誰にでもわかる内容で作成する
- 検索性を高めて利用しやすくする
- 社内wikiを活用する”
それぞれ詳しく解説するので、手順書を作る際に役立ててください。
1.現在の業務や作業内容を丁寧に洗い出す
わかりやすい手順書を作るためには、現在の業務を丁寧に棚卸し(すべての洗い出し)することが重要です。理想と現実のギャップを埋めるためにも、まずは現状をしっかりと把握しましょう。
棚卸しの具体的な方法としては、実際に作業を行っている担当者からのヒアリングが効果的です。手順書に盛り込むべき貴重な情報がわかるでしょう。
この棚卸し作業は、手順書作成の土台となる重要なステップです。情報の漏れがないよう、細心の注意を払いましょう。
2.重要な部分からひとつずつ作成する
手順書の作成に取り掛かる際、最初からすべての作業を網羅するのは避けましょう。完成までに時間も工数もかかってしまいますし、手順書自体が大規模で扱いにくくなる可能性もあります。
手順書を作るときは、もっとも重要な手順・工程から作成しましょう。業務の核となる部分から作りはじめれば全体像も捉えやすく、結果的に質の高い手順書が完成します。
手順書を作るうちに慣れてコツをつかめるのも、重要な部分から作るメリットです。部分的にではありますが早く手順書を使いはじめられるため、業務改善の効果も実感できるでしょう。
3.最初から完璧な手順書を目指さない
完璧な手順書を一度で作り上げるのはほぼ不可能です。はじめて作ったものには、どうしても情報に抜けや漏れが出てしまいます。
大切なのは、最初に作成したものを運用しながら、情報を更新したり修正したりして、少しずつブラッシュアップして完成に近づけていくことです。実際に運用しながら、作業者からフィードバックしてもらいましょう。見直しとブラッシュアップを繰り返しながら、関係者全員で手順書を作り上げます。
4.誰にでもわかる内容で作成する
手順書は誰にでもわかる内容で作成することが重要です。手順書を作る人と読む人の知識量に差があることを考慮し、「わかりやすさ」を最優先しましょう。
以下のポイントを意識するとよりわかりやすい手順書に近づきます。
- 専門用語には注釈をつける
- 略称は避けるか、近くに正式名を明記する
- 抽象的な表現より具体的な数値を使う
- 図や画像を効果的に活用する
また、テンプレートを事前に用意しておくと、一貫性があってわかりやすい手順書を作れるためオススメです。
5.検索性を高めて利用しやすくする
せっかく質の高い手順書を作っても、検索性が悪いと作業者が利用しにくい可能性があります。必要な人が必要なときに手順書を利用できるよう、検索性を高める工夫を行いましょう。
具体的には、検索できる媒体で手順書を作成することが挙げられます。紙媒体の手順書はデジタル化し、データベース化することで、いつでもどこでもアクセスできる環境を整えましょう。手順書のタイトルやセクションに検索キーワードを含めることもポイントです。
また、手順書作成に特化したツールの活用もオススメです。専用ツールは検索機能やカテゴリー分類などの機能が備わっており、手順書の管理・利用を効率的に行えます。これから本格的に手順書を作成するという企業に適しています。
6.社内wikiを活用する
業務を遂行するときのコツやノウハウは、まず社員個人に蓄積されます。それをできるだけ手順書に反映させて全社員が必要なときに利用できることが重要です。
コツやノウハウは、蓄積されて、共有されて、活用されることで、さらに新しいコツやノウハウが生まれてきます。そのためには簡単に蓄積と検索ができて、全社員が活用しやすい環境が必要です。
それを実現できるのが「社内wiki」です。社内wikiを手順書代わりにして、コツやノウハウを社内で共有しましょう。
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WEB上で簡単に手順書の作成・管理を行えるツール「NotePM」
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社内wikiの活用とブラッシュアップの継続でわかりやすい手順書を作ろう
使いやすい手順書を作成するためのポイントは、常に新しいコツやノウハウ、改良点を手順書に反映させて、絶えずブラッシュアップを行うことです。最新の情報を更新し続けることが手順書の質の向上につながります。
コツやノウハウは、積極的に言語化して手順書に蓄積し、全社員が共有できるようにしましょう。そのためにも、コツやノウハウの蓄積、共有、活用、更新が簡単にできる社内wikiの利用がオススメです。とくに「NotePM」のようなWebツールを使用すると、手順書やノウハウを迅速かつ簡単に作成・更新し、組織全体で手順書が使いやすくなります。
その他、マニュアル作成に便利なツールやその他の情報ツールに関しては、以下の記事で詳しく紹介しています。ご一読ください。
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