こんにちは。マニュアル作成・ナレッジ共有ツール「NotePM」ブログ編集局です。
リモートワークは、「remote(離れた場所)」「work(働く)」を合わせた造語であり、場所や時間にとらわれない新たなスタイルの働き方を意味しています。通勤時間の削減や非常時のリスク分散などメリットが多い働き方ですが、対面で仕事しない分社内コミュニケーションの難しさなどデメリットもあります。この記事では、リモートワーク導入のメリットから、導入のステップ・事例までを一挙に解説していきます。
目次
リモートワーク導入のメリット
まずは、リモートワーク導入のメリットについて、以下の3つを紹介します。
- 離職率の低下
- コスト削減
- 非常時のリスク分散
なお、以下の記事でもリモートワーク導入のメリットについて解説していますので、参考にしてください。
関連記事:事例から見るテレワーク 導入企業に起こっている7つの効果・メリット
離職率の低下
リモートワークの導入により、離職率の低下を期待できます。例えば、介護や育児により毎日オフィスに出社して働くことが困難でも、リモートワークであればオフィスに出社せずとも働けます。また、時間や場所を選ばず柔軟な働き方ができるとして、従業員からのイメージアップにもつながります。このように、従業員にとってもリモートワークの導入はメリットがあるため、結果的に離職率の低下を期待できます。
コスト削減
リモートワークの導入には、コスト削減の効果も期待できます。リモートワークでは通勤せずとも働けるので、従業員に支給していた交通費を削減できます。また、オフィスで働く従業員が減少すれば、オフィスの規模を縮小して備品や光熱費などのコストも削減できます。そのため、リモートワークを導入することで、これまでよりも低いコストで事業を展開できます。
非常時のリスク分散
リモートワークの導入は、非常時のリスク分散にもなります。オフィスに業務に必要な機材を集めて、従業員が集合して仕事を行う場合、感染症のまん延や大規模地震など非常時には働くことが困難となります。しかし、非常時においても従業員全員が働けなくなることは稀です。非常時においても、リモートワーク を導入すれば働ける従業員だけで業務を継続できます。そのため、非常時でも業務をストップさせずに済みます。
リモートワーク導入に向いている職種や企業
一例として、以下の職種はリモートワーク導入に向いていると言われていますので、参考にしてください。
- 職種の分類
- 職種例
- オフィスワーク
- 事務(総務・経理・人事)、営業 、企画/マーケティング 、
- コールセンター 、通訳、翻訳 、OAインストラクター
- IT・システム
- システムエンジニア、ネットワークエンジニア、プログラマー、
- システム運用管理/保守 、Webデザイナー 、Webディレクター、DTP、ヘルプデスク、ITアシスタント
- 設計・開発
- 設計、CADオペレーション
また、リモートワーク導入に向いている職種の共通点を3つ解説します。
職場に出向かなくてもできる
インターネットで行うことができる仕事であれば、職場に出向かなくても場所を問わず仕事できますので、リモートワーク導入に向いています。反対に、工場勤務など職場に出向かないとできない仕事にはリモートワークは向いていません。
明確な成果がある
リモートワークでは、上司が部下の仕事ぶりを直接見ることは困難です。そのためプログラマーなど成果品が明確、もしくは営業など成果が数字ではっきりわかる仕事がリモートワークに向いています。
オンラインコミュニケーションのみで完結できる
近年、メールやチャットなどオンラインコミュニケーションの手段が増えてきました。それらオンラインコミュニケーションだけで完結できる仕事であれば、インターネットがあれば時間や場所を選ばないため、リモートワークに向いています。しかし、介護などお客様と直接対面で接する必要がある仕事や、建設など実体のあるものを直接取り扱う必要がある仕事には、リモートワークは向いていません。
リモートワーク導入を成功させる7ステップ
ここでは、以下のとおりリモートワーク導入を成功させる7ステップについて解説します。
- リモートワーク導入の目的を明確にする
- 社内にプロジェクトチームを作る
- 基本方針を作る
- 現状を把握する
- 社内で合意を取る
- リモートワークのルールと環境を作る
- 試験的に導入し、評価と改善を繰り返す
リモートワーク導入の目的を明確にする
まずはリモートワーク導入の目的を明確にしましょう。一口にリモートワークの目的と言っても、以下のとおり、様々な目的が考えられます。
・労働生産性の向上
・勤務者の移動時間短縮
・優秀な人材確保
・顧客満足度向上
・非常時の事業継続
「コロナウイルス感染症対策」などの漠然とした目的だけで急いでリモートワークを導入すると、リモートワーク環境が全く整備されておらずかえって生産性の低下やコミュニケーションの問題が生じる恐れがあります。それを防ぐためにも、リモートワークを導入することで特に解決したい課題を明確にしておきましょう。そうすれば、自ずとリモートワーク導入の目的も明確になるはずです。
社内にプロジェクトチームを作る
リモートワークは、極論を言えばリモートワークを行う従業員とその上司だけで合意しても実施できます。ただ、それでは様々な問題が発生するリスクが大きすぎます。リモートワーク を円滑に導入して、会社に浸透させていくには経営層はもちろん、人事、情報部門など、全部門を巻き込んだプロジェクトチームを作って、リモートワーク導入の体制を構築して共通認識を形成していくことが重要です。リモートワーク導入の担当者が一方的に号令を出すだけだと、各部門の立場から反対意見が続出し、円滑な導入や浸透は期待できません。しかし、プロジェクトチームにより各部門間で十分に意見や情報の交換を行っていけば、共通認識を形成してリモートワークの成功に向けて全社一丸となって進んでいくことができるはずです。
基本方針を作る
リモートワーク導入の目的や導入の対象を明確にするため、プロジェクトチーム内でリモートワーク導入の基本方針(リモートワーク・ポリシー)を明確にしていきます。基本方針では、リモートワークの導入目的・対象部署・対象業務・活用のための人材育成やセキュリティも含めた全体のコストなどを経営判断し明文化していきます。基本方針を作る際は、労リモートワークの導入について社内全体で認識を共有することが大切です。
現状を把握する
基本方針に基づき、プロジェクトチーム内でワークフローやビジネスプロセスの分析、見直しを行っていきます。各部署ごとに、今後の課題や検討事項を洗い出していきましょう。以下に、主な検討事項として考えられる内容を記載します。
- 就業規則(始業・終業、給与や手当等):現場との齟齬がないか要確認
- リモートワーク実施者の労働時間制度:各実施者の労働時間制度を確認
- 人事評価制度:現状の人事評価制度に加えて、リモートワーク時の勤怠管理方法や人事評価方法についても要検討
- ICT環境の確認:現在利用しているICT環境を確認し、運用しやすいツールや導入方法を検討
- 申請・承認方法:リモートワーク導入時の申請書テンプレートを作成し、承認方法を検討
- セキュリティルール:リモートワーク時のファイルの取り扱いや紙データの持ち出しなどについてルールを検討
現状把握を十分に行わずにリモートワークを導入したため、「リモートワークの必要ない業務だったため、実際にはリモートワーク が使われず形骸化」、「現場の現状を反映させていなかっため、現場が混乱した」などの失敗例は多くの企業で見られます。そのようなことがないよう、現状把握をしっかり行い、人事制度や企業風土の改革なども含めてリモートワークの導入について検討していくことが大切です。
社内で合意を取る
基本方針を制定して、現状把握も終えたら、社内でリモートワーク導入について認識を共有して、社内で合意を取りましょう。その際には、以下の流れで行うとスムーズです。
意思決定(経営層)
経営層が、トップダウンでリモートワーク導入を意思決定
起案(プロジェクトチーム)
リモートワークの導入目的や対象業務、利用するツール、効果測定方法などを具体化
社内ルール(労務管理部門)
働き過ぎやサボり生まれないようにリモートワークにおける労務環境を整備
社内広報・研修など(研修・啓発部門)
リモートワークでの働き方について社内で研修し、従業員の不安や意見をフォローアップ
リモートワークのルールと環境を作る
リモートワーク導入に先立って、リモートワーク実施範囲や就業規則などのルールを作ります。ルール作りは、以下のステップで行っていくとよいでしょう。
1.対象者と対象業務の選定
対象者の選定:リモートワークが導入できる部署・対象者を確認
対象業務の選定:業務全体で業務にかかる時間、使用する書類などの要素を洗い出して、リモートワークを導入しやすい業務を選定
2.労務管理
労働基準法の適用:就業規則にリモートワークに関する規程を設ける
実施の申請と承認:自社の現状に即してリモートワーク実施の申請・承認方法を決定
労働管理方法:リモートワークの労働時間や業務管理方法についてもルールを制定
その他:従業員の健康管理や労働環境の整備も必要
3.導入のための教育・研修
人材育成:リモートワークの目的や必要性、ルール、ツールの使い方を研修
ツールについては、セキュリティや使い勝手などの面でそれぞれにメリット・デメリットが存在しますので、自社の現状を考慮して最適なものを選びましょう。リモートワークに役立つツールについては、こちらの記事も参考にしてください。
関連記事:リモートワークにおすすめなアプリを用途別に比較!【無料アプリあり】
試験的に導入し、評価と改善を繰り返す
本格的にリモートワーク を導入する前に、最低3ヶ月は試験的に導入しましょう。試験導入したら、評価を実施して改善すべき点を洗い出していきます。評価は質的評価と量的評価に別れます。それぞれ、以下の項目があります。
【質的評価】業務改革、成果・業績、コミュニケーション、ワークの質、生活の質、全体評価
【量的評価】顧客対応、情報処理力、オフィスコスト、移動コスト、ICTコスト、人材確保・維持
試験導入の評価は、アンケート調査、ヒアリング・グループインタビューなどにより行います。導入目的と照らし合わせて、テレワーク導入に対する本人の評価、上司・同僚の評価、チームの評価を行います。また、導入効果の測定や、うまくいかなかった点について、うまくいかなかった理由や背景も把握するようにしましょう。 すでに決定している社内ルールなどについても併せて確認して、現状のまま継続、規模を縮小して継続、部門を拡大して継続するなど、方針を決めていきます。
そして、定期的にPDCAサイクル(Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善))を回していくことで、自社のリモートワークをよりよいものにしていきましょう。
リモートワーク導入前に知っておきたいこと
ここでは、リモートワーク導入前に知っておきたいこととして、以下の3つについて順番に説明していきます。
- 自社のレベルを把握する
- 必要なITツールを理解する
- デメリットもあることを理解する
自社のレベルを把握する
リモートワーク導入前に、現状における自社のレベルを把握することが必要です。それには、総務省の「働き⽅改⾰のためのテレワーク導⼊モデル」(以下、「導入モデル」)(平成30年6月)が非常に役立ちます。「導入モデル」は、リモートワーク(テレワーク)の導入に成功した事例を分析して、導入ノウハウなどを解説したものです。
「導入モデル」では、「業種」、「企業規模(従業員数)」」の2軸と、協力を得た19社の課題や事例に基づいて、7つの企業類型に分類しています。まず、自社が7つのうちどれに当てはまるか確認しましょう。また、企業類型の分類をもとに、リモートワーク を導⼊、全社展開・ 拡⼤普及する際に直⾯する8種類の課題とその対策について、すでにリモートワークの導入に成功している会社の事例も交えながら解説しています。さらに、先進企業の制度・規程についても解説しています。「導入モデル」を参考に、着実にステップを踏みながらリモートワークを導入していけば、無理なく社内に定着していくでしょう。
必要なITツールを理解する
リモートワークを導入する前には、リモートワークに必要なITツールを用意してそろえておく必要があります。まだ社内にないツールが必要な場合は、新たに購入することになります。新たにITツールを導入する場合は、リモートワークを導入する前にオフィスワークで使ってみることがおすすめです。そうすることで事前に使い勝手を把握できるので、リモートワークになってもすぐに使いこなせるはずです。ITツールの運用ルールも制定しておけば、業務外の利用などのトラブルを防ぐことができます。
また、リモートワークに必要なツールは、リモートワーク用のパソコンや机などの備品だけではありません。リモートワークをより便利にしてくれるアプリが多数存在します。これらは、業務内容や自社のレベルなどを考慮して最適なものを選ぶことがおすすめです。
デメリットもあることを理解する
先ほど説明したとおり、リモートワークには様々なメリットがあります。しかし、デメリットもいくつかありますので、デメリットを理解した上で導入した方が賢明です。主なデメリットは、以下のとおりです。
1.長時間労働になりやすい
仕事とプライベートとの区別がつきにくくなる上、同僚や上司の目が届きにくいため、かえって長時間労働になるケースは少なくありません。
2.勤怠管理が難しい
これも同僚や上司の目が届きにくいために発生する問題です。基本的に一人で作業を行うリモートワークでは、正確な勤怠管理が難しいものです。みなし労働時間制やリモートワーク 用勤怠管理システムの導入を検討してもいいかもしれません。勤怠管理システムについては、こちらの記事も参考にしてください。
関連記事:勤怠管理システムのメリット・デメリットと効果を最大化するためのポイント
3.情報漏えいリスクが高まる
リモートワークに用いるインターネット回線の傍受や端末の紛失など、オフィスワークと比較して情報漏えいリスクが高まる恐れがあります。リモートワーク導入前に情報セキュリティに関するガイドラインを制定するなど、十分な対策が必要です。
これらの記事で、より詳しくリモートワークのデメリットを解説していますので、参考にしてください。
リモートワーク導入時に作っておきたい社内文化・仕組み
ここでは、リモートワーク導入時に作っておきたい社内文化・仕組みについて、以下の6つ紹介します。
- チャットを使いこなす
- ワークタイムを合わせる
- 雑談を推奨
- チャットで絵文字も使える文化にする
- 情報格差をなくす
- 社内と社外とでコミュニケーション方法を使い分ける
チャットを使いこなす
リモートワークのコミュニケーションは、大抵の場合チャットを使ったものが中心になります。また、リモートワークを行うメンバーだけでなく、オフィスワークを行うメンバーにもチャットの利用を推奨することで、メンバー皆がチャットを使いこなせるようになります。ビジネスチャットでは、以下のように会話でのやり取りに近いコミュニケーションを心がけることが大切です。
- 即時性あるレスポンス
- 会話するように、短い文章のやり取りで内容を伝えていく
なお、こちらの記事ではおすすめのチャットツールを6つ紹介していますので、参考にしてください。
関連記事:【2024年版】ビジネスチャットおすすめ6選を徹底比較!(有料・無料)
ワークタイムを合わせる
リモートワークにおいても、なるべくワークタイムを合わせるよう心がけましょう。リモートワークは、いつでもどこでも働けることがメリットですが、ワークタイムを合わせることで物理的に距離が離れていてもチームに一体感をもたらすことができます。また、必ずメンバーがいる時間がわかっていれば、質問もしやすくなります。会社によっては、働き方の多様化に合わせてフレックスタイム制を導入している場合もあります。その場合は、コアタイムを設けて、重要な会議はコアタイム時に実施すると決めておくとよいでしょう。
雑談を推奨
オフィスワークとリモートワークとを比較して、オフィスワークの方が有利な点の一つは、雑談が気軽にできることです。ランチや廊下ですれ違った時に、別のメンバーや社外の人たちと気軽に雑談する中で、「仕事への気づきや指摘」、「仕事に関する新しいアイデア」などを得た経験をもっている人は、多いのではないでしょうか。しかし、リモートワークだと一箇所に集まって仕事をしないため、雑談の機会が減ってしまいます。そのため、チャットに「雑談部屋」を設けるなど、リモートワークでも気軽に雑談できる仕組みを作ることをすすめます。
チャットで絵文字も使える文化にする
チャットによるコミュニケーションは、基本的に短い文章だけのものになります。そのため、人によっては人間味がなくきつい印象、責め立ててられている印象をもつ恐れがあります。それを防ぐために有効な手段の一つは、絵文字を使うことです。絵文字をうまく取り入れれば、短い文章の中にも温かさやユーモアを加えることが用意になります。もちろん、社外コミュニケーションでは双方の合意がない限り絵文字を使うことはご法度です。しかし、社内コミュニケーションでは、絵文字を使ったチャットを取り入れるといいでしょう。
情報格差をなくす
リモートワークを行っているメンバーとオフィスワークを行っているメンバーとで、情報格差が発生すると、チームの一体感が損なわれる恐れがあります。それを防ぐには、以下の方法が有効です。こうすることで、「オフィスにいなければわからない」ことをなくせます。まだ、課題の共有を図ることで、チームに一体感をもたらすことができます。
- 会議の議事録は、メンバーであればいつでもどこでも閲覧できるようにする
- 売上、利益、資産状況などもメンバーであればリモートでも確認できるようにする
- 希望者は自由にWeb会議を傍聴できる
社内と社外とでコミュニケーション方法を使い分ける
先ほど、リモートワークではチャットでのコミュニケーションが中心になると書きました。しかし、これはあくまで社内コミュニケーションの話。社外コミュニケーションについては、基本的にチャットツールを用いない方が無難です。チャットのメリットは即時性が高いことです。しかし、社外コミュニケーションでは相手からの要望に優先順位を作ることが難しいため、その即時性ゆえに余計なコニュニケーションコストがかかる恐れがあります。ただし、やり取りする会社も同じチャットツールを用いており、かつお互い十分リテラシーも信頼関係も有するならば、社外コミュニケーションにチャットを用いることは一概に悪いことではありません。
まとめ
この記事では、リモートワーク導入のメリットから導入に向いている職種や企業、導入のステップ、導入前に知っておきたいことについて解説をしました。リモートワークにはメリットが多数存在しますが、デメリットも少なくありません。また、業務内容によってはそもそもリモートワークの導入が不可能な可能性もあります。また、導入したら終わりではなく、課題を抽出して改善も繰り返していく必要があります。本記事が、自社のリモートワーク導入の参考になれば幸いです。
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