保育業界で期待されるDX推進!現場の課題や効率化される作業・活用事例などを解説

2024年10月17日(木) DX

現在、様々な業界でDX推進が期待されています。保育業界でも、DXを取り入れたいと考えている方は少なくありません。ただ、保育業界でDXを具体的にどう活用すればいいのか、もしくはどんなDX活用事例があるかわからず悩んでいる方も多いのではないでしょうか。本記事では、保育業界でDXにより解決したい課題やDX活用事例などを解説します。

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保育業界でもDX推進が期待されている

ここでは、保育業界でも推進が期待されているDXの基礎知識として、以下の2つを解説します。

  • DXの意味
  • 類語との比較

それでは、1つずつ解説します。

DXの意味

基礎知識の1つ目は、DXの意味です。DX(Digital Transformation)は、直訳すると「デジタルによる変革」となります。経済産業省では、DXを以下のとおり定義しており、日本のビジネスシーンではこの定義を用いることが多いようです。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データ とデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競 争上の優位性を確立すること。

また、厚生労働省は保育業界のDX推進を促す各種補助金も用意しており、保育業界においてもDX推進が求められていると推察されます。

出典:デジタルガバナンスコード 2.0|経済産業省
出典:保育所等における業務効率化推進事業の実施について | 厚生労働省
関連記事:デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?課題や進め方をわかりやすく解説

類語との比較

基礎知識の2つ目は、類語との比較です。DXの類語には、「デジタル化」や「ICT化」があります。これらの語句は、業務の効率化を意味します。例えば、今まで連絡帳で行ってきた保護者と保育士とのコミュニケーションをメールやチャットで行うことが該当します。一方、DXには、業務内容そのものを変革させるニュアンスがあります。例えば、保育園内にセンサーを取り付け温度湿度を自動管理し、データを活用して子供たちとの接し方を決定することが該当します。

このようにDXは、デジタル化やICT化をもう一歩先に発展させた概念だと言えるかもしれません。

関連記事:DX推進の背景・課題と失敗しないための5つポイント

保育業界でDXにより解決したい課題

ここでは、保育業界でDXにより解決したい課題として、以下の2つを解説します。

  • 保育士不足
  • 保育の質確保

それでは、1つずつ解説します。

保育士不足

1つ目は、保育士不足です。日本では保育士不足が深刻で、激しい人材確保競争が行われています。保育士の確保に向けて、厚生労働省も様々な取り組みを行っているところです。しかし、厚生労働省の調査によると、2018年11月の保育士の有効求人倍率は3.2倍となっており、全国で最も高い東京都では6.44倍にも達しています。

このように、保育士確保が進んでいないこともあり、長時間労働が常態化することも珍しくありません。国立教育政策研究所の調査では、日本では保育士の勤務時間は週に平均50.4時間とされ、これは世界的にも長いとされています。また、日本では少子高齢化や人口減少も進むと予想されています。内閣府の報告では、2065年には日本全体の人口は約8.8千万人になり、現役世代1.3人が高齢者1人を支えねばならないと試算されています。

そのため、今後も人材確保は容易ではなく、DXを用いて少ない人員で保育業務を遂行することが求められているのです。

出典:保育士確保 | 厚生労働省
出典:OECD国際幼児教育・保育従事者調査2018報告書 第2巻|国立教育政策研究所
出典:令和3年版高齢社会白書(全体版) | 内閣府

保育の質確保

2つ目は、保育の質確保です。保育士不足であっても、保育の質は一定以上確保しなければなりません。厚生労働省は、保育の質を以下のとおり定義しています。

子どもたちが心身ともに満たされ、豊かに生きていくことを支える環境や経験

※保育所等における保育の質の確保・向上に係る関連資料より抜粋

それには、保育士同士が密にコミュニケーションを取って、連携を強めることが重要です。また、保育以外の業務をできるだけスリム化し、子供や保護者になるべく長い時間接することも必要なのです。

出典:保育所等における保育の質の確保・向上に係る関連資料 | 厚生労働省

保育業界でDXによる効率化が期待できる作業

ここでは、保育業界でDXによる効率化が期待できる作業として、以下の4つを解説します。

  • 登園管理
  • 事務作業
  • 園児情報管理
  • 保育料金集計

それでは、1つずつ解説します。

関連記事:業務効率化6つの方法と7つの成功ポイントを解説

登園管理

作業の1つ目は、登園管理です。登降園時間は、保護者対応や連絡事項確認なども重なり、多忙になりがちです。そのため、正確な登降園時間を把握することが困難であることに課題を感じている保育園も少なくありません。しかし、以下に示すツールを導入することで、今までよりも楽に、かつ正確に登園管理できるようになるでしょう。

  • パネルにかざすだけで時間を記録してくれるICカード
  • タブレットなどで児童たちの登園状況を管理できるツール

事務作業

作業の2つ目は、事務作業です。保育園では、以下に示すとおり様々な事務作業を行う必要があります。

  • 園児等の個人情報の管理
  • 保育士の勤務表作成
  • 自治体への提出書類作成

これらの作業に手間をとられ、園児や保護者とのやり取りが不十分と感じている保育士も少なくないでしょう。しかし、これらの作業をDX化で自動化できれば、事務作業にとられる時間を削減できます。これにより、園児や保護者とのやり取りだけでなく、自分のための時間を確保できるようになります。

園児情報管理

作業の3つ目は、園児情報管理です。保育園は多くの子ども達が利用します。ここで、保育園では子供1人1人の住所や発達状況、アレルギー情報など、様々な情報を適切に管理しなければなりません。しかし、紙ベースでこれらの情報を管理すると、検索や更新に手間がかかります。そこで、DXにより園児情報管理をデジタル上で管理すれば、検索や更新の手間が削減され、保育士の負担が軽減されるでしょう。

保育料金集計

作業の4つ目は、保育料金集計です。2019年4月から、保育園を無料で利用できる子どもが増えたことで、以前より保育料の集計業務は軽減されました。ただ、延長保育料やおむつ代、給食費などの費用に加え、サービス多様化でオプション料金が必要になるケースも増えています。これらにより、保育料金集計のはん雑化していますが、DXで保育料金集計を効率的に集計できれば、保育園側の負担が軽減されるでしょう。

出典:幼児教育・保育の無償化について(日本語)|内閣府

保育業界におけるDX活用事例

ここでは、保育業界におけるDX活用事例として、以下の3つを解説します。

  • 事例1 保育士の労働条件をDXで改善した事例
  • 事例2 保育士と保護者とのやり取りをDXで改善した事例
  • 事例3 社内の情報共有をDXで改善した事例

それでは、1つずつ解説します。

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事例1

1つ目は、保育士の労働条件をDXで改善した事例です。保育園Aでは、連絡帳の記入や写真撮影・保育士のシフト作成・検温業務などあらゆるシーンでDXを推進しました。その結果、業務時間の約65%(月間約138時間)を削減し、その分保育士同士のコミュニケーションや、子供や保護者とのやり取りを増やせました。また、保育士の労働条件を改善した結果、3年連続で退職者ゼロを達成できたのです。

事例2

2つ目は、保育士と保護者とのやり取りをDXで改善した事例です。保育園Bでは、保育園に設置されているタブレット端末に、自分のモバイル端末に表示したQRコードをかざすことで、出勤・登園状況を管理できます。これにより、出勤・登園状況のデータは、クラウド上で自動で記録されるため、リアルタイムでの状況を管理できるようになります。また、QRコードを出すアプリは、PCで記載した連絡帳と連携できるため、保育士と保護者とのやり取りも簡単になり、双方の負担を軽減しました。

事例3

3つ目は、社内の情報共有をDXで改善した事例です。株式会社エルパティオは、「保育園事業」と「ママ&地域サポート事業」の2事業を展開しています。しかし、2事業間での情報共有に課題を感じてきました。そこで、社内の情報共有に
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を導入しました。その結果、PDFやWordファイルの共有がスムーズになるなど、情報共有が促進されたのです。また、スタッフが「この会社で働いている」という意識が強まったことと、会議がより効率化されたことも、NotePMの導入成果と言えるでしょう。

関連記事:【導入事例】保育園とママ&地域サポート、異なる事業スタッフ間の情報共有を活性化!「最初は見るだけでOK」とハードルを下げたのが良かった – 株式会社エルパティオ

まとめ

本記事では、保育業界でDXにより解決したい課題やDX活用事例などを解説しました。保育業界は、人材不足の傾向がありながら保育の質担保も必要で、頭を悩ませる保育園も少なくありませんでした。しかし、DXにより様々な業務を効率化することで、これらの問題を解決しようとする取り組みが行われています。実際に、本記事で解説したとおり、DXを導入して十分な成果をあげている事例も少なくありません。本記事を参考に、それぞれの保育現場の実情に合わせて、最適な形でDXを推進してみてはいかがでしょうか。

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