デジタル化は、IT技術の進化が進む現代において注目されている施策の一つです。デジタル化によって業務効率化やコスト削減が実現するケースは非常に多いため、自社に取り入れたいと考える社内のIT担当者も多いでしょう。
そこで今回は、デジタル化とは何かについてと、デジタル化のメリット・デメリット、実施プロセスについても詳しく紹介していきます。
目次
デジタル化とは?DXとの違いなど基礎知識
まずは、デジタル化とは何かについて、以下3つの点から解説していきます。
- デジタル化とは
- デジタルトランスフォーメーションとの違い
- 注意すべき「2025年の崖」
1つずつ、解説していきます。
デジタル化とは
デジタル化とは、業務を行うときに使用するツールやフォーマットなどをアナログのものからデジタルへ移行し、業務効率化やコスト削減などの結果につなげていくことを指します。デジタル技術の発展とともに、ビジネスの場でのデジタル化は著しく進んでおり、デジタル化によって生産性が全体的に向上した事例は少なくありません。
従来では、人力で対応してきた業務をシステムによってオートメーション化すれば、業務効率は高まりますし、品質の向上が期待できます。システムにはある程度の導入・維持コストがかかりますが、定着すればコストを抑えることも可能であるため、最終的には人件費削減にもつながるでしょう。また、紙や、書類を保管するスペースをはじめとして、さまざまな費用や場所を削減できることが予測できます。
デジタルトランスフォーメーションとの違い
デジタル化は、デジタルトランスフォーメーション(DX)と混同されることも多いため、両者の違いを誤らないようにすることが大切です。デジタルトランスフォーメーションとは、クラウドやAIなどのデジタル技術を導入することで、新しいビジネスの形態や価値を生むことを指します。実際に、経済産業省ではデジタルトランスフォーメーションの定義を、次のように定めています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
出典:デジタルガバナンス・コード|経済産業省
これに対してデジタル化は、単純に工程やツールのデジタル移行を指すことが多いのが特徴です。しかしデジタルトランスフォーメーションでは、デジタル技術を取り入れることで新たなビジネスの価値を見いだし、競合に対して優位性を保っていくことを狙いとしています。つまりデジタルトランスフォーメーションを推進する際には、デジタル技術を導入するにあたり、何らかのかたちでビジネスに改革を起こすことがポイントといえるでしょう。
関連記事:デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?課題や進め方をわかりやすく解説
注意すべき「2025年の崖」
デジタル化を進める際には、「2025年の崖」といわれる脅威に注意しなければなりません。「2025年の崖」とは2018年9月、経済産業省が発表した「DXレポート」の表題の言葉です。万が一デジタル化へと踏み切らなかった場合、多くの企業では2025年には重大な経済的損失が生まれる恐れがあるといいます。
- 老朽化した既存のシステムの取り扱いに困る
- 労働人口の減少に伴うIT人材が著しく不足する
- デジタルトランスフォーメーションが行われず国際社会に後れを取る
簡潔にまとめると、上記のような脅威に悩まされる可能性があると言われています。日本のみならず、国際社会でもデジタル化・デジタルトランスフォーメーションは積極的に実施されているため、現状のままでいると将来的に経済的損失を増やす結果につながる恐れがあります。
デジタル化のメリット
デジタル化がもたらすメリットには、以下の5つがあります。
- 多様な働き方に対応できる
- 業務効率化が図れる
- コスト削減につながる
- BCP対策になる
- データを蓄積し活用できる
1つずつ、解説していきます。
多様な働き方に対応できる
デジタル化がもたらすメリットの1つ目は、多様な働き方に対応できることです。代表的な例として挙げられるのは、リモートワークです。デジタル化を行い、社外からでもインターネットを通じて業務を進められるようにすれば、毎朝出社して会社のデスクで業務を進めるといった従来の働き方の常識を、覆すことができるでしょう。
デジタル化によって多様な働き方に対応すれば、従業員のさまざまなニーズを満たすことができ、より快適な労働環境を作ることが可能です。時短勤務やフレックスタイム制などに対応できるため、働き方の幅が広がります。
業務効率化が図れる
デジタル化がもたらすメリットの2つ目は、業務効率化が図れることです。新たにITシステムを導入すれば、業務のスピードや正確性の向上が期待できます。さらに、デジタル化では、紙ベースで作業していたこともデータで管理できるようになるため、ペーパーレス化によるコスト削減や効率化にもつながるでしょう。また、電子印鑑やデジタル署名を導入すれば、業務書類の管理や決済は、より円滑に行えます。その分、必要な業務にリソースを充てることができるでしょう。
コスト削減につながる
デジタル化がもたらすメリットの3つ目は、コスト削減につながることです。業務効率化により従業員の労働時間が短縮できれば、人件費の削減も可能です。また、専門的な知識やスキルを持つ人材を、アウトソーシングすることにより人材採用と教育業務を経なくても特定の業務を任せることが可能です。例えば、事務作業や、営業部門のテレアポやカスタマーサポートをアウトソーシングすることも可能でしょう。
デジタル化による費用削減は、組織の規模が大きいほど実施効果が見込めます。中小企業よりも大企業のほうが、デジタル化の実施前後で、コスト削減の効果の幅が大きいでしょう。
BCP対策になる
デジタル化がもたらすメリットの4つ目は、BCP対策になることです。BCP対策とは、自然災害・火災・テロ・パンデミックなどの緊急事態に直面した際に、事業の継続性を少しでも損なわないように対策することをいいます。紙ベースで業務の管理を行っていると、被災した際に大事な書類を失ってしまう可能性があります。しかしデジタル化によってデータ管理が徹底されていれば、万が一、端末が物理的に破損したとしても、バックアップを復旧させることで損失を防ぐことが可能です。
データを蓄積し活用できる
デジタル化がもたらすメリットの5つ目は、データを蓄積して活用できることです。現在は、ビジネスの場におけるデータ活用が欠かせません。デジタル化によって事業で得たさまざまなデータを蓄積しておけば、今後のビジネスにおいて大きく役立つ可能性があります。商品の売れ行きデータや顧客データなどを活かせば、類似する事業を始める際など、多くの意思決定の場面で役立つでしょう。
関連記事:社内wikiの導入から活用までの完全マニュアル 成長企業が実践する情報共有術!
デジタル化のデメリット
デジタル化には、以下4つのデメリットがあります。
- 導入コストがかかる
- セキュリティ対策が必要
- 社内理解を得る必要がある
- IT人材を確保しなければならない
1つずつ、解説していきます。
導入コストがかかる
デジタル化のデメリットの1つ目は、導入コストがかかることです。デジタル化では長期的な目線で見たときにはコスト削減が見込めますが、ツール導入や通信インフラの整備にかかるコストはやはり安くはありません。
最近は安いコストで導入が可能なクラウド型システムも少なくありませんが、それでも初期段階では一定の費用がかかることは認識しておく必要があります。従って、かけられるコストに余裕のない企業は、デジタル化が遅れてしまうことも珍しくありません。
セキュリティ対策が必要
デジタル化のデメリットの2つ目は、セキュリティ対策が必要になることです。デジタル化ではデータによってさまざまな書類や情報の管理ができますが、サイバー攻撃や内部からの情報流出には十分に注意しなければなりません。
特にクラウド型システムを運用する際には、インターネット上で常にシステムが稼働している状態になるため、セキュリティの強化は必須となります。セキュリティに詳しいIT人材を確保することが望ましいですが、難しい場合は専門のシステム会社やセキュリティ会社へ依頼する必要があるでしょう。
社内理解を得る必要がある
デジタル化のデメリットの2つ目は、社内理解を得る必要があることです。デジタル化では、業務の進め方や環境が従来のアナログな方法とは違う形になることもあり、一部の社員の反発を受けることも少なくありません。また、デジタルならではの常識が浸透せず、現場が混乱してしまうことも考えられます。
特にITに馴染みのない世代は、新しい方式についていけないことも珍しくありません。混乱を招かないためにも、経営陣と現場が一体となってデジタル環境の整備を進めていくことが大切です。
IT人材を確保しなければならない
デジタル化のデメリットの3つ目は、IT人材の確保をしなければならないことです。せっかくITツールを取り入れてデジタル化を図っても、エンジニアが不足している状態では、ツールを思うように取り扱えないといったこともあるでしょう。また、トラブル発生時も迅速に対応することができません。
特に、IT人材は今後不足する傾向にあるといわれており、どの企業においても人材確保の問題が深刻になりつつあります。社内にエンジニアやITに詳しい社員がいない場合は、積極的に外部へ依頼するなどの対策を取る必要があるでしょう。
デジタル化のプロセス
デジタル化を進める際には、適切な手順で環境を整えていくことが重要です。以下の5つの手順を意識して、失敗しないデジタル化計画を進めていきましょう。
- 目的の明確化
- 現状における課題の抽出
- システム・ツールの検討と導入
- セキュリティ対策
- 効果測定
1つずつ、解説していきます。
目的の明確化
デジタル化のプロセスの1つ目は、目的の明確化です。デジタル化をスムーズに進めるなら、まずは目的を明確に定める必要があります。なぜデジタル化が必要なのか、デジタル化によってどのような結果を自社にもたらしたいのかなど、細かい点を明らかにすることが重要です。
目的が不明確で、「なんとなく必要だと思ったから」といった状態でデジタル化を進めると、自社に必要なソリューションが具体的に見えてきません。最適なシステム導入と環境整備をスムーズに進められるように、目的・方向性をしっかりと定めるようにしましょう。
現状における課題の抽出
デジタル化のプロセスの2つ目は、現状における課題の抽出です。デジタル化を進めるなら、現状における課題も明らかにしておく必要があります。業務効率・品質・コスト・BCP対策など、現状で自社が抱えている課題はさまざまでしょう。もちろんデジタル化によってすべての課題が解決するのが望ましいですが、「とりあえずすべて」としてしまうと、最終的な方向性を見失ってしまいます。優先的に解説すべき課題を明らかにし、その解決策としてどのようなデジタル化が必要なのかを見極めていきましょう。
システム・ツールの検討と導入
デジタル化のプロセスの3つ目は、システム・ツールの検討と導入です。システム・ツールを比較し、自社に合っているものを導入しましょう。デジタルシステム・ツールにはさまざまなものがあるため、事前にリサーチを重ねたうえで最適となるものを選ぶ必要があります。
例えば、機能豊富で利便性の高いツールは非常に魅力的ですが、特定の機能のみで事足りる企業にとっては、持て余してしまう可能性があります。自社のビジネスモデルや分野に合わせて、コストパフォーマンスが高く操作しやすいシステム・ツールを選びましょう。
セキュリティ対策
デジタル化のプロセスの4つ目は、セキュリティ対策です。スムーズにデジタル化を進める際には、セキュリティ対策もしっかりと講じることが大切です。セキュリティ対策があいまいな状態では、不正アクセスやデータ改ざんなどの被害を受ける可能性があります。
したがって必要なセキュリティソリューションの導入を検討する必要があるでしょう。もちろん、セキュリティ対策があらかじめ充実しているサービスやシステムを選んで導入することも大事です。また、内部からの情報漏洩を防ぐために、社員のセキュリティリテラシーを高めるための教育体制を整える必要があるでしょう。
関連記事:ITリテラシーの意味とは?高めるメリットと方法とともに解説
効果測定
デジタル化のプロセスの5つ目は、効果測定です。ツールを導入しデジタル化を図った際には、定期的に効果測定を行っていきましょう。ツール導入によって業務効率や従来かかっていたコストはどう変化したか、データを出して効果を確かめることが重要です。デジタル化はより良い業務環境を作るうえで効果的ですが、ツール導入や業務フロー見直し後は、必ずと言って良いほど別の課題が生まれます。デジタル化によって生まれた良い点と悪い点をチェックし、悪い点を改善するための対策を実践していきましょう。
まとめ
デジタル化は、業務効率化やコスト削減に大きく役立つ施策の一つです。IT技術の進歩により、現在は多くの場面でデジタル化が進んでいるため、従来のアナログなやり方に課題を感じている企業は、積極的にデジタル化を検討したいところです。
しかしデジタル化にはデメリットや一定のリスクも伴うため、計画を進める際には適切なプロセスを意識することも重要です。必要なプロセスを押さえたうえで、ツール・システムを導入し、自社にあった形でデジタル化を進めていきましょう。
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