新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、新たな働き方としてテレワークが話題となりました。社員にとっては出社しなくても自宅や出先で業務ができ、企業としても労働者の確保や労働生産性の向上につながるというメリットがあります。ですが、テレワークは便利な反面、データ共有が課題になることもあります。テレワークで効果的にデータ共有を行うにはどうしたらいいのか悩む社内のIT担当者も多いでしょう。
そこで今回は、テレワークでデータを共有する4つの方法と、データを共有するメリット・注意点を詳しく解説します。
目次
テレワークでデータを共有する4つの方法
データを共有する方法はいくつかあり、用途に応じて使い分けることで効率的な業務へとつながります。テレワークでデータを共有するには、主に以下4つの方法があります。
- NAS
- VPN
- オンラインストレージ
- クラウド化したファイルサーバー
1つずつ、詳しく解説します。
NAS
NASはNetwork Attached Storageの略で、データの保管と共有に特化した装置型のファイル共有サーバーの一種です。比較的、導入の手間やコストがかからないという特徴があります。NASを利用する際は、社内LANに接続して使います。一方で、NASにアクセスが集中すると速度が下がる恐れがあります。
また、基本的にはNAS上でファイルの共同編集は行えません。また、リモートアクセスのためのセキュリティを設定するには、専門的な知識と技術が必要です。
VPN
VPNはVirtual Private Networkの略で、仮想プライベートネットワークのことです。通常のインターネット回線を利用した上で、接続したい拠点に専用ルーターを設置し、仮想専用回線を作り、拠点間を繋ぎます。テレワークではオフィスと出先を接続し、出先からでも社内サーバーにアクセスできるように構築します。この際、決められたユーザーしかVPNを利用できないため、セキュリティ性は高いと言えます。
一方で、利用するユーザーが多ければ通信速度が下がります。また、VPN経由のアクセスを遮断しているサイトにアクセスできなくなる可能性があります。
オンラインストレージ
オンラインストレージは、データの保管や共有などがインターネット上で行える領域のことです。その他にもストレージを利用したサービスを指したり、クラウドストレージという別名で呼ばれたりすることもあります。オンラインストレージは、基本的に登録制で、提供先の手続きを済ませたのちに利用可能です。
アクセスの手段としてはブラウザが定番ですが、スマートフォンアプリなど、どこからでもアクセスできるタイプも増えてきています。IT技術の発展によって、クラウド型サービスが広がりをみせるとともに、オンラインストレージを利用する企業も増加傾向にあります。
関連記事:【2024年版】オンラインストレージおすすめ13選を徹底比較(無料あり)各サービスの特徴を紹介
クラウド化したファイルサーバー
クラウド化したファイルサーバーとは、オンプレミスで構築したファイルサーバーをクラウドサービスに移行する方法のことです。ファイルサーバーをクラウド化するメリットは、インターネット接続ができる環境であれば、どこからでも社内サーバーにアクセスできる点です。また、サーバーの物理的な管理やネットワーク保守・運用を任せられるため、従来のオンプレミス型のファイルサーバーとは違い、保守・運用の手間がかかりません。
テレワークでデータを共有するメリット
テレワークでデータを共有するメリットは、主に以下の4つがあります。
- 業務効率化が図れる
- 複数人で作業がしやすい
- 共有できるデータの容量が増える
- 導入が容易でコストが安い
1つずつ、詳しく解説します。
業務効率化が図れる
テレワークでデータを共有するメリットの1つ目は、業務効率化が図れることです。紙書類やUSBなど物理的なデータは、郵送作業や受け渡しのために出社する必要がありますが、オンラインで共有すれば手間がかからず、本来の業務に集中できます。
加えて、オンライン共有にシフトすることで、用紙代や郵送費などの経済的コストの削減も可能です。テレワークでファイルやデータ共有における紙媒体の使用負担は、オンラインの導入により解決へとつながるでしょう。
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複数人で作業がしやすい
テレワークでデータを共有するメリットの3つ目は、複数人で作業がしやすいことです。クラウドストレージに保存することで、複数人がインターネット上で同じデータやファイルへとアクセスできます。また、内容を更新するたびにデータを送受信する必要もありません。セキュリティ面も事前に対策をしておくことで、外部の関係者とデータ共有・編集が可能です。
クラウドストレージの中には、データ共有した相手の受領状況を確認できるサービスがあります。画面上で受け取り確認ができるため、相手とのすれ違いを防げます。また、この機能によって送信漏れや送信重複が減り、情報共有をスムーズに行えます。
共有できるデータの容量が増える
テレワークでデータを共有するメリットの3つ目は、共有できるデータの容量が増えることです。テレワークにおけるファイルやデータ共有ですが、従来のメールでは大容量ファイル・データが送れないという課題がありました。共有だけであればUSBメモリを利用するケースもありますが、USBメモリは郵送や手渡しする必要があるため、テレワークには不向きです。
また、ファイル送信サービスを利用する手もありますが、無料サービスはセキュリティ面や制限の問題が出てきます。そのため、大容量データを安全に共有でき、長期的に保存できるオンラインストレージを導入する企業が増えています。
導入が容易でコストが低い
テレワークでデータを共有するメリットの4つ目は、導入が容易でコストが低いことです。社内にストレージを構築すると、専門の担当者を常駐させる必要があります。一方でオンラインストレージは、担当者のリソース確保は必要ですが、サーバー管理・運用の手間はかかりません。また、クラウドストレージは自社サーバーを持つよりもコストが抑えられます。
サービスによっては、低容量のプランを無料で利用できます。有料プランは事前に容量や金額が明記されているため、自社の目的や状況に合わせてサービスを選ぶことができます。
テレワークでデータを共有する際の注意点
テレワークでデータ共有をする際には、以下3つの注意点があります。
- 情報漏えいのリスク
- VPN回線のアクセス集中
- クラウドサービスの乱立による運用の手間
以下、詳しく解説します。
情報漏えいのリスク
テレワークでデータを共有する際の注意点の1つ目は、情報漏えいのリスクです。オンライン上でデータ共有を行うため、情報漏えいのリスクは否定できません。その際は、重要な機密情報が外部に漏えいすることで、企業のノウハウなどが盗まれてしまう可能性があります。顧客情報などが漏洩した場合、社会的信用の失墜だけでなく損害賠償を請求される恐れもあります。情報漏えいの原因としては以下の3つがあります。
- 第三者の操作による漏えい
- ログインアカウントの盗用
- マルウェア感染やウイルス感染によるファイルの改ざん
オンラインストレージを利用する際は、情報漏えいのリスクを理解した上で、セキュリティ性を考慮して選ぶ必要があります。
関連記事:法人がオンラインストレージ・ファイル共有サービスを利用する際に知っておくべきポイントと注意点
VPN回線のアクセス集中
テレワークでデータを共有する際の注意点の2つ目は、VPN回線のアクセスが集中することです。VPNは特定の人物だけがアクセスできる仮想回線ですが、アクセス集中によって通信速度が下がったり、サイトにアクセスできなくなったりする恐れがあります。多くのテレワーカーは、NASやファイルサーバーの利用時に、VPN回線を利用します。
しかし、社内LANの回線帯域が狭い場合や、ネットワーク機器のスペックが低いと、VPN回線がパンクすることがあります。ファイル共有に時間がかかれば、当然テレワークの生産性に大きな影響を及ぼします。そのため、すべてのメンバーがVPN経由でアクセスした場合を想定したネットワーク環境の強化を行う必要があります。または、オンラインストレージの導入を検討するのも方法の1つです。
クラウドサービスの乱立による運用の手間
テレワークでデータを共有する際の注意点の3つ目は、クラウドサービスの乱立により、運用の手間がかかることです。クラウドストレージの機能を有するサービスは数多くあります。そのため、従業員がそれぞれ好むサービスを利用している場合や、企業でサービスを複数導入していることもあることでしょう。
しかし、クラウドサービスが乱立することで情報システムの運用管理の負担は大きくなってしまいます。とくに問題になりがちなのがID管理です。新入社員・中途社員の入社時のID追加、退職者のID削除など、クラウドサービスの導入数が多いほど業務管理は肥大化します。また、文書やファイルも各サービスに散在し、必要なときにすぐにアクセスできないというデメリットも起こりえます。
そこでおすすめしたいのがSSO(シングルサインオン)です。SSOは従業員のIDやパスワードを一元管理できる機能のことです。1つのWebポータルにログインするだけで、全てのサービスにアクセスできるため、情報システムの管理が容易に行えます。
まとめ
本記事では、テレワークでデータ共有する方法とメリットや注意点について詳しく解説しました。テレワークのデータ共有には、オンラインストレージを利用することでコスト削減や業務の効率化が図れるでしょう。紙媒体やUSBでのデータ共有は、社内では簡単に行えますが、テレワークには不向きです。今回紹介したメリットやデメリットを理解した上で、自社にあったサービスの導入を検討しましょう。
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