プロジェクトを成功させるために重要なことの1つが、プロジェクトマネジメントです。プロジェクトマネジメントが十分機能しないと、プロジェクトを滞りなく完了させて成功に導くことはできません。しかし、プロジェクトマネジメントの手法や必要なスキルを十分に理解していない方もいるかもしれません。また、プロジェクトマネジメントのスキルを高めるには実務経験が欠かせませんが、体系的に知識を習得するには、資格取得も有効です。本記事では、プロジェクトマネジメントの手法や必要なスキル、成功のポイントや資格などを解説します。
目次
プロジェクトマネジメントとは?
ここでは、プロジェクトマネジメントの基礎知識として、以下の2つを解説します。
- プロジェクトマネジメントの意味
- PMBOKの知識管理体系
それでは、1つずつ解説します。
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プロジェクトマネジメントの意味
基礎知識の1つ目は、プロジェクトマネジメントの意味です。プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトを滞りなく完了させて成功に導くためのマネジメント活動のことです。プロジェクトの企画立案やリソース確保、進ちょく管理など、効果的に行うには様々な知見が求められます。後述のPMBOKにより、世界標準の手法が定められており、プロジェクトマネジメントを行う人物はプロジェクトマネージャー(PM)と呼ばれます。
PMBOKの知識管理体系
基礎知識の2つ目は、PMBOKの知識管理体系です。PMBOKは、アメリカの非営利団体PMIが1987年に策定しました。ここでは、PMBOKの知識管理体系として、以下の3つを解説します。
- 10の知識エリア
- 5つのプロセス
- 3つのパート
それでは、1つずつ解説します。
10の知識エリア
知識管理体系の1つ目は、10の知識エリアです。
統合管理 | 他9種類の知識エリアに対し、統合管理する |
コスト管理 | 原価や予算などを管理する |
調達管理 | 仕入れ先や委託先を管理し、それらが原因のトラブルを回避する |
リスク管理 | 生じうるトラブルを予測し、対策を立案。もしくは実際発生したトラブルに対処する |
スコープ管理 | 作業内容や成果物の範囲を設定する |
資源管理 | 人的物的リソースを確保・管理する |
コミュニケーション管理 | メンバー間でのコミュニケーションを促進しトラブル発生時には仲裁する |
スケジュール管理 | 全体のスケジュールや進ちょく状況を管理し遅れが生じたら対応する |
品質管理 | ニーズを満たせるよう、成果物の品質を管理する |
ステークホルダー管理 | 顧客やメンバーなどの関係者同士で情報共有する |
5つのプロセス
知識管理体系の2つ目は、5つのプロセスです。
立ち上げプロセス | 目的や予算などを明確にし、ステークホルダーから認可獲得する |
計画プロセス | プロジェクトを構成するタスクや必要なリソースを明確化し、全体的な計画を立案する |
実行プロセス | 計画に基づきリソースを確保し、タスク遂行する |
監視・コントロールプロセス | 計画内容と実行内容にかい離がないか確認し、かい離があれば調整する |
終結プロセス | プロセスを完了し、必要に応じプロジェクトデータを次回活用できる形で保存する |
3つのパート
知識管理体系の3つ目は、3つのパートです。それぞれを以下の表にまとめます。
入力 | 事業計画、設計書作成など |
ツールと実践技法 | 入力内容をもとに成果物を作成する |
出力 | 成果物 |
プロジェクトマネジメントの手法
ここでは、プロジェクトマネジメントの手法として、以下の3つを解説します。
- WBS
- ガントチャート
- アローダイヤグラム
それでは、1つずつ解説します。
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WBS
手法の1つ目は、WBSです。WBS(Work Breakdown Structure)とは、プロジェクトを構成する作業を徐々に細かく分解し、それらからツリー構造を作ることで作業の全体像を表す方法です。これにより、プロジェクト完了までに必要な作業を見える化できる上に、プロジェクトの全体像も理解できます。
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ガントチャート
手法の2つ目は、ガントチャートです。ガントチャートは、作業内容とスケジュール、進ちょく状況を見える化している表です。横軸には時間を、縦軸にはプロジェクトの各タスクや実施時期などを記します。タスクごとにチャートの長さを変えることで、タスクの所要日数を表現します。また、タスクの予定日数と作業実績を別の色のチャートで比較することで、計画と実績を比較できるのです。さらに、優先度や関連度を元に適切にタスクを並べれば、よりプロジェクト全体の流れを理解しやすいでしょう。
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アローダイヤグラム
手法の3つ目は、アローダイヤグラムです。アローダイヤグラムは、作業スケジュールを以下の図形と数字で表現した図です。
- 工程を表す図形
- 次工程への流れを示す矢印
- 工程ごとの所要日数を表す数字
PERT図(Program Evaluation and Review Technique)とも呼ばれており、工程最適化方法の立案や余裕日数の確認に役立ちます。
プロジェクトマネジメントを行う人材に求めるスキル
ここでは、プロジェクトマネジメントを行う人材に求めるスキルとして、以下の5つを解説します。
- ビジネス的視点
- 問題解決力
- コミュニケーション能力
- システム開発スキル
- 各種プロジェクトマネジメント手法の活用スキル
それでは、1つずつ解説します。
ビジネス的視点
スキルの1つ目は、ビジネス的視点です。システム開発は、企業経営の課題を解決するために行われます。そのためプロジェクトマネジメントではシステム開発をビジネス的視点で捉え、会社のビジネスにシステムが役立てられるよう、マネジメントを行うことが必要なのです。
問題解決力
スキルの2つ目は、問題解決力です。プロジェクトの過程で、何らかの問題が発生することは決して珍しくありません。これらの問題の原因を速やかに究明し、早期に解決することもプロジェクト管理には重要です。そして、チーム全体で問題解決に向けて動き、プロジェクトを前に進められるようチームを導くことも、プロジェクトマネジメントには必要なのです。
コミュニケーション能力
スキルの3つ目は、コミュニケーション能力です。システム開発で最終的に作業を行うのは現場の各メンバーです。プロジェクトを確実に進めるには、メンバー間で認識違いをなくし、1つにまとめていくことが欠かせません。そして、それにはメンバーと円滑なコミュニケーションを取ることが必要なのです。
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システム開発スキル
スキルの4つ目は、システム開発スキルです。プロジェクトマネジメントを行うには、プロジェクトの各タスクでどんな作業を行うか理解していなければなりません。それには、システム開発手法やIT技術に関する知見などが必要です。IT技術は日進月歩ですが、その技術をキャッチアップしていくことも求められるでしょう。
各種プロジェクトマネジメント手法の活用スキル
スキルの5つ目は、各種プロジェクトマネジメント手法の活用スキルです。進ちょく管理やリスク管理など、幅広い分野で様々なプロジェクトマネジメント手法が存在します。また、プロジェクト品質を高めるべく、プロジェクトの過程で得られた情報を分析することもプロジェクトマネジメントでは重要です。書籍や資格で基礎知識を身につけることに加えて、プロジェクトの実務経験によって活用スキルを高めることが必要でしょう。
プロジェクトマネジメントを成功させるポイント
ここでは、プロジェクトマネジメントを成功させるポイントとして、以下の3つを解説します。
- 課題の明確化
- 的確なスケジュール管理
- 最終的成果を常に意識
それでは、1つずつ解説します。
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課題の明確化
ポイントの1つ目は、課題の明確化です。プロジェクトを開始する前には、課題を明確化して課題解決のためにどんなことをしなければならないのか明確にしましょう。これにより、プロジェクト全体のうちどの作業から始めればいいかが分かるため、チームのメンバーが迷いなく作業に取りかかれます。プロジェクトを進める際にどんなことが起こるかシミュレーションし、想定される課題をリストアップしてみましょう。これにより、プロジェクトの進行に支障となる要因を事前に回避できます。
的確なスケジュール管理
ポイントの2つ目は、的確なスケジュール管理です。課題を解決するためにやるべきタスクを洗い出したら、それぞれのタスクの優先順位や所要時間、実施する順番などを決定します。スケジュール設定に不備があると納期に間に合わなくなるので、十分検討してから余裕をもったスケジュールを設定しましょう。また、こまめに進ちょく状況を確認し、スケジュールどおりにプロジェクトが進んでいない場合は打開策を講じましょう。
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最終的成果を常に意識
ポイントの3つ目は、最終的成果を常に意識することです。最終的成果としてどのようなものが必要かを深く理解していないと、最終的成果として求めていたものを作ることは難しいでしょう。プロジェクトを進めるためにはタスクを1つ1つ進めていくことが必要なため、いるの間にか最終的成果への意識がおろそかになることもあるかもしれません。だからこそ、最終的成果にズレが生じないようプロジェクトマネジメントを行う際には常に意識しておくことが必要なのです。
プロジェクトマネジメントに役立つ資格
ここでは、プロジェクトマネジメントに役立つ資格として、以下の2つを解説します。
- プロジェクトマネージャ試験(PM)
- PMP
それでは、1つずつ解説します。
プロジェクトマネージャ試験(PM)
役立つ資格の1つ目は、プロジェクトマネージャ試験(PM)です。プロジェクトマネージャ試験(PM)は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施している情報処理技術者試験の1つです。システム開発プロジェクトにおける全体計画やスケジュール管理など、プロジェクトマネジメントに関する幅広い知識や経験が問われます。
出典:プロジェクトマネージャ試験(PM) ~ ITプロジェクトの成功請負人 ~
[ Project Manager Examination ]|独立行政法人情報処理推進機構
PMP
役立つ資格の2つ目は、PMPです。PMPは、PMI(プロジェクトマネジメント協会)が実施する、プロジェクトマネジメントに関する国際資格です。PMBOKガイドに基づく試験で、世界中でプロジェクトマネジメントに関する資格として普及しています。資格取得後も、CCR(Continuing Certification Requirements Program)というプログラムに継続的に参加し、3年ごとに更新する必要があります。なお、プロジェクトマネジメント人材の育成を考える上では、以下の本なども役立ちますので、参考にしてください。
出典:PMI® 試験・資格について|PMI日本支部
出典:ポイント図解 プロジェクトマネジメントの基本が面白いほど身につく本|KADOKAWA
出典:外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント|大和書房
まとめ
本記事では、プロジェクトマネジメントの手法や必要なスキル、成功のポイントや資格などを解説しました。プロジェクトマネジメントは、プロジェクトを遅延なく完了させるために重要な役割を果たします。確実に遂行するには、システム開発スキルやビジネス的視点など実に様々な知見が必要です。また、確実に求める成果物を作り出すためには、課題や求める成果物を明確化し、スケジュール管理も確実に行うことが重要です。
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