コールセンター業務に関わる職種はさまざまあり、その組織体制を整備することはコールセンターの役目を遂行するうえで非常に重要です。コールセンターに必要な職種にはどのようなものがあるのでしょうか?また、組織編成を成功させるためのポイントとして何を押さえておくと良いのでしょうか。
本記事では、コールセンターに必要な組織体制・そもそもなぜ組織体制が重要なのか・体制を整えるためのポイントを順に解説します。
目次
コールセンターの組織体制が重要な理由
コールセンターの組織体制が重要な理由は以下の3つです。
- 指揮命令系統を明確にするため
- 戦略を浸透させるため
- 品質のばらつきをなくすため
1つずつ、見ていきましょう。
指揮命令系統を明確にするため
コールセンターの組織体制が重要な理由の1つ目は、指揮命令系統を明確にするためです。
コールセンターでは、日々の入電に対応するためのコールスクリプト・ナレッジが整えられています。しかし、オペレーターが受ける電話には、既存のコールスクリプト・ナレッジに該当しない質問も多く寄せられるため、1階層上のSV職(スーパーバイザー職)にエスカレーションを行い判断を仰ぐことになります。この体制がうまく運用されるためにも、役割ごとに階層をわけ、階層に適した職務内容を明確に決めておく必要があります。そうすることで、責任の所在が明確になり指示命令系統がわかりやすくなります。
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戦略を浸透させるため
コールセンターの組織体制が重要な理由の2つ目は、戦略を浸透させるためです。
コールセンターでは組織目標を達成するために、カスタマージャーニーを設定したり、オペレーションをデザインしたりすることでCXを高めています。戦略は1度立てたら終わりではなく、顧客の反応によって修正を加えながらアップデートしていきます。組織体制が整っていない場合、どれだけ戦略を立ててみても、指示が正確に行き渡らず、どこが何を担うのか、誰が責任を持つのかなどが不明瞭になる可能性があります。盤石な組織体制を構築し、業務内容を明確にわけることで、戦略全体を意識した業務への取り組みが可能になります。
品質のばらつきをなくすため
コールセンターの組織体制が重要な理由の3つ目は、品質のばらつきをなくすためです。
組織体制が整わないと業務の可視化ができず、業務に偏りが発生する可能性が高まります。業務が偏ると、オペレーターが業務に対する集中力を欠いてしまい、対応の品質が低下することが懸念されます。また、組織体制が整わないことで教育を浸透させることも難しくなります。
コールセンターの組織体制に必要な9つの職種
ここでは、コールセンター組織に必要な9つの職種を解説します。
- センター長
- マネージャー
- ディレクター
- SV(スーパーバイザー)
- リーダー
- OJTトレーナー
- オペレーター
- QM(クオリティマネージャー)
- バックオフィス
1つずつ見ていきましょう。
センター長
コールセンターの組織体制に必要な職種の1つ目は、センター長です。
センター長とはコールセンター全体を統括する役割を指します。また、センター全体の統括だけでなくコールセンターの経営やマネジメントの責任も負います。また、センター内部だけでなく業務委託先などの外部とのコミュニケーションも行うなど、コールセンターの運営や経営に関わることを全般的に担うため、経営者視点やリーダーシップ、コミュニケーション能力などが特に必要とされる職種になります。
マネージャー
必要な職種の2つ目は、マネージャーです。
マネージャーとはコールセンターの部門責任者であり、効率的なコールセンター運営を管理する役割を指します。業務に関することで社内外とのコミュニケーションを取って連携や調整を行い、配下にディレクターを置いて部門ごとに日々の報告を受けたり、センター長への業務報告も担ったりしているため、折衝能力や管理能力が特に必要です。他にも、センター長が掲げる目標達成を達成するために、日々KPI等と向き合い、人だけでなく数値の管理能力も必要だといえます。
ディレクター
必要な職種の3つ目は、ディレクターです。
ディレクターとは部門責任者であるマネージャーに対して部門内の報告業務などを行う役割を指します。例えば、日々の業務の進捗報告や問題の報告などを行い、マネージャーが業務のなかで必要となる情報をわかりやすくまとめて伝えることが必要です。他にも、部門内で課題があったときに、どのような対策を取れば解決することができるのかを考え、実際に指示を出して解決していく役目も担っています。そのため、課題に対する問題解決能力や、誰にどの業務を任せるのかと言うリソース配分能力が特に必要です。
SV(スーパバイザー)
必要な職種の4つ目は、SV(スーパーバイザー)です。
SVとはコールセンターに仕事を依頼している会社からの電話を、コールセンターで実際に従事しているスタッフに繋げる役割を担っています。また、リーダーを管理する役目もあり、サポートやスタッフ育成も担当しています。直接オペレーターの管理や仕事を割り当てることもあり、ディレクターやリーダーの橋渡し役だといえます。また、スタッフの管理や電話応対を行うため、コミュニケーション力や電話応対力、現場を把握する力などが要求されます。
リーダー
必要な職種の5つ目は、リーダーです。
リーダーとは複数人のオペレーターを統括する役割を担っています。主な業務はオペレーターのサポートです。困っているオペレーターのヘルプに入ったり、顧客リストを整えたりするなど業務上の補助を行います。また、オペレーターの勤怠管理や健康管理も行い、スーパーバイザーのサポート業務にも対応します。リーダーにはオペレーターをサポートできるだけの知識・経験・細かい気配りなどが必要とされます。
OJTトレーナー
必要な職種の6つ目は、OJTトレーナーです。
OJTトレーナーはオペレーターの教育を担っており、オペレーターの中から選出されます。新人オペレーターや長期休養で現場を離れていたオペレーターに対し、現場に入っても一人でスムーズに対応できるように教育します。現場で働いているメンバーの長所は何なのか、どうすれば伸びるのか、などといった分析をして研修に反映させたり、現場の課題がどこにあってどのように改善すべきかなどと考えたりするなど、トレーニング項目を日々見直す必要があります。
オペレーター
必要な職種の7つ目は、オペレーターです。
オペレーターは電話応対やチャット応対でお客様対応をする職種です。唯一、お客様と直接関わる職種でもあり、質問や注文の受付・クレーム応対など業務は多岐におよびます。お客様と直接的な関わりも持つゆえに、業務に関する知識や適切なビジネスマナー・クレームに対する忍耐力や精神力・臨機応変に対応できる力などを身につけておく必要があります。また、オペレーターからリーダーやスーパーバイザーなど上位職種に昇格することがあります。
QM(クオリティマネージャー)
必要な職種の8つ目は、QM(クオリティマネージャー)です。
QMとは、オペレーターの応対品質を管理・評価する役割を担っています。オペレーターの話す速度や言葉遣い、お客様が満足できるような応対だったかなど、決められたオペレーションに則して行われているかをモニタリングして、その品質を担保できているか確認するのが主な業務です。リアルタイムでのモニタリングや、音声録音やログによる内容確認など様々な手法でもって状況を確認し、リアルタイムや定期評価でのフィードバックをオペレーターに共有していきます。
バックオフィス
必要な職種の最後は、バックオフィスです。
バックオフィス職種とは一般的に総務、経理、財務、人事などが該当します。しかし、コールセンターにおけるバックオフィスの役割は、最前線で働くオペレーターがいかにストレスなく働けるようになるかを検討することです。そのため、コールセンターにおいては総務部門・教育部門・オペレーションデザイン部門・システム部門などがバックオフィス職として挙げられます。働く環境や業務フローの改善や教育内容の見直し、効率的な働き方ができるようなシステム整備などを行います。
コールセンターの組織体制を強固にするためのポイント
コールセンターの組織体制を強固にするためのポイントは、以下の5つです。
- オペレーターの採用・育成体制の構築
- 階層別教育の充実
- 適切なオペレーションデザイン
- 応対品質の向上
- ナレッジマネジメントの徹底
1つずつ見ていきましょう。
オペレーターの採用・育成体制の構築
コールセンターの組織体制を強固にするためのポイントの1つ目は、オペレーターの採用・育成体制の構築です。
オペレーターは基本的なビジネスマナーや問題を把握する能力が求められます。こちらの要件を応募者が満たしているか、そうでなくても今後活躍できそうなポテンシャルがあるか、などを判断する必要があります。また、採用した後も自信を持って業務に取り組めるように初期段階での教育内容の充実や困った際のサポート体制の構築などが必要です。
階層別教育の充実
ポイントの2つ目は、階層別教育の充実です。
コールセンターでは、経験年数や役職に応じて研修を実施することが重要です。昇格したときは、その役職・等級で求められるスキルやマインドを身につける研修を徹底して行うことで、安心して次の階層での仕事に着手できます。各階層で求められることがだんだんと明確になるためモチベーションアップも期待できます。階層別教育を充実することで各階層に教育が行き届き、組織全体としてのレベルも上がります。
適切なオペレーションデザイン
ポイントの3つ目は、適切なオペレーションデザインです。
適切なオペレーションの設計のためにはカスタマージャーニー・CX・UI・UXのそれぞれを意識し向上させることが重要です。単なる電話応対で終わりにするのではなく、そこでのお客様の体験の質を向上させることで顧客満足度の向上に繋がるようなオペレーションを意識します。そのようなオペレーションを設計し、それらを盛り込んだ教育内容をOJTトレーナーやリーダー等がオペレーターの教育に反映させることで、組織に浸透させることができます。
応対品質の向上
ポイントの4つ目は、応対品質の向上です。
応対品質を向上させるためには、まず品質の基準を決め、その基準を保った対応ができているか定期的に確認する仕組みを整備することが重要です。コールセンターを業務委託している場合は、担保してほしい品質基準を委託先と擦り合わせて、その後も定期的な認識合わせが必要です。応対品質を向上させるためには適切な言葉づかい・お客様の質問の理解・迅速な回答・問題解決ができるかといった点を品質基準に盛り込みましょう。
ナレッジマネジメントの徹底
ポイントの最後は、ナレッジマネジメントの徹底です。
ナレッジマネジメントとは、組織で蓄積した知識を管理・共有することを指します。コールセンターのオペレーションは流動的なため、オペレーターがシフト制であれば次回出勤時にオペレーションが変わっていたりします。また、人材の出入りが激しいため、新しいスタッフがどの業務のオペレーションに従うべきかわからなくなる場合があります。そのようなことを防ぐために、変更内容や日付がわかるようなマニュアルをあらかじめ作成しておき、常に更新・共有できるような状態にすることが必要です。
関連記事:【完全版】ナレッジマネジメントを総まとめ!導入から運用までおすすめツールも解説
コールセンターの組織体制強化のために導入したいおすすめツール
コールセンターの組織体制強化のために導入したいおすすめツールは以下の3つです。
- FAQツール
- ナレッジ共有ツール
- グループウェア
1つずつ見ていきましょう。
FAQツール
組織体制強化のためにおすすめするツールの1つ目は、FAQツールです。
FAQツールを導入することでオペレーターが対応する質問数も減少し、お客様も問題を早く解決することができます。FAQを作成するために必要な項目として、過去の質問とその回答内容が大きく挙げられます。他にもお客様のアンケートや他社のFAQを参考にすることも効果的です。それらが揃ったら次に質問の項目分けをします。最終的に実際にあった質問と回答を項目ごとに反映させていきますが、FAQツールを使えば上述した手順が一つのツールで完結し、管理・更新も容易に行うことができるのです。
関連記事:コールセンターに役立つFAQの作り方とおすすめシステム6選を解説
ナレッジ共有ツール
おすすめツール2つ目は、ナレッジ共有ツールです。
ナレッジ共有ツールを導入することで社内業務のマニュアル作成や知識共有が可能になるため、業務効率のアップや人材教育・引き継ぎ業務のコスト削減が期待できます。ナレッジ共有ツールを導入する際のポイントとして、マニュアル作成や知識の共有システムが構築できるか、管理・更新の点で使いやすいか、セキュリティ面は担保されているか、料金はどれくらいかかるか等に着目して慎重に検討しましょう。
関連記事:【2024年版】ナレッジ共有ツール タイプ別おすすめ 10選
グループウェア
おすすめツール3つ目は、グループウェアです。
グループウェアとは、社内での情報共有を行うメールやチャットツールなど複数のツールが組み込まれたソフトウェアを指します。グループウェアはチャット機能だけでなくファイルの共有や会議室の予約・チャット間連携・タスク管理などが全て一つのツール内で完結できます。そのため情報共有の活性化、作業進捗の可視化が容易で、業務の効率化や効果的な組織運営が可能になります。選定時は導入目的の明確化、導入範囲の決定などがポイントになります。
関連記事:【2024年版】グループウェアおすすめ10選(有料・無料) 各サービスの特徴を徹底比較
まとめ
本記事では、コールセンターに必要な組織体制・そもそもなぜ組織体制が重要なのか、体制を整えるためのポイントを解説しました。
組織体制を整備することでコールセンターの職員全てに指揮命令系統の明確化・戦略の浸透・応対品質の保持が期待できます。またツールを導入することでより効率的に組織体制の整備が可能になるでしょう。NotePMはFAQ、ナレッジ共有、グループウェアの機能を全て備えたツールです。コールセンターの組織体制の整備を考える際は、是非導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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URL: https://notepm.jp/