コールセンターは、企業と顧客を電話でつなぎ、安心感・相互理解・信頼関係を築くための架け橋となる役割を果たしています。企業の第一印象を決定づける役割もあるため、オペレーターの質が重要だと言えます。しかし、個々のオペレーターはそれぞれ多様な背景や特性をもっているため、質を維持・向上させるには、研修の実施が欠かせません。本記事では、コールセンターで行う研修の必要性や種類、方法について解説します。
目次
コールセンターの研修は階層別がおすすめ
コールセンターの組織内には、オペレーター、OJTトレーナー(職場内教育担当者)、SV(スーパーバイザ―)などといった役割があり、これらは階層として捉えることができます。コールセンターの研修では、この階層ごとに必要なスキルについて知識を習得し、実践できるよう育成していきます。
また、同じ階層においても、習熟度の違いによって重点的に学ぶ内容を絞り込むことで、より効率的な研修の実施が可能となります。研修内容を検討する際は、各オペレーターのスキルをチェックした上でスキルマップを作成します。身につけている技能の現状を把握して弱点を洗い出すことで、研修を通したブラッシュアップが期待できます。
コールセンターに研修が必要な理由
コールセンターに研修が必要な理由として、以下の2つを解説します。
- 顧客満足度の向上
- 利益の向上
1つずつ、解説します。
顧客満足度の向上
1つ目は、顧客満足度の向上です。顧客との直接の接点となるオペレーターは、企業の顔とも言えます。困り事や質問、貴重な意見を伺う受動的なケース・企業からの大切な情報をお伝えするケースなど、様々な場面で好印象を与えることが求められます。「電話して良かった」「解決した」「安心した」といった好感触を顧客に抱かせ、企業イメージをアップさせるためには、どんな時でも電話の向こう側にいる方々の気持ちに寄り添った発言や、適格かつ柔軟な対応力が求められます。
これらのスキルを身につけるには、ノウハウの蓄積や体系的なトレーニングが必要不可欠です。
利益の向上
2つ目は、利益の向上です。オペレーターが研修を通して商品・サービスに関する知識を深めることができれば、迅速な応対が可能になります。そして、良い結果をもたらした対応をオペレーター同士で共有できれば、顧客の電話を社内でたらい回しにしてしまい、長時間お待たせしてトラブルに発展したりすることもなく、スムーズにカスタマーサポートが行えるうえ、ビジネスにおける機会損失を防ぐことにもつながります。
コールセンターが研修を行う必要がある階層
コールセンターが研修を行う必要がある階層として、以下の3つを解説します。
- オペレーター
- OJTトレーナー
- SV
1つずつ、解説します。
オペレーター
1つ目は、オペレーターです。まず、受電業務を行うにあたっての研修が必要です。電話の取り方をはじめ、顧客の好感度を上げることのできる丁寧な言葉選び・ビジネスマナーを守った話し方・発声・聞き方といった基本的な知識を学びます。また、顧客情報の照会・編集、会話の記録、取引や受発注の処理などを行うため、コールセンター特有の専用端末(システム)を使いこなせるよう、操作方法の指導を受けます。そのうえで、自社が取り扱う商品・サービスに関して理解を深め、本番を想定した電話対応を練習するロールプレイングを行います。
OJTトレーナー
2つ目は、OJTトレーナーです。OJTトレーナーは、新人オペレーターが受電業務に入ったときに、必要な知識を伝授する役目があります。トレーナーごとに教え方が異なると、新人オペレーターがどのトレーナーの意見を尊重すれば良いのか分からず戸惑う恐れがあるため、ナレッジとしてトレーナー同士で知識やルール、ノウハウを共有し、管理していく必要があります。
SV
研修の3つ目はSVです。SVはオペレーターとOJTトレーナーを管理します。オペレーターやOJTトレーナーから指示・判断を仰がれた時は、上位の責任者としての対応も行います。クレーム対応などのトラブルにも対処するほか、オペレーターのKPI管理・モチベーション管理を任されることも少なくありません。責任者とオペレーターをつなぐ架け橋のような役割を担っています。
コールセンターで必要な7つの研修
コールセンターで必要な研修として、以下の7つを解説します。
- 座学研修
- 受電研修
- ロールプレイング研修
- クレーム研修
- OJT研修
- 昇格者研修
- 階層別スキルアップ研修
1つずつ、解説します。
座学研修
1つ目は、座学研修です。テキストなどを活用し、講師が講義形式でレクチャーします。座学研修で大切なことは、オペレーションの変更に対して柔軟に対応した内容で行うことです。近年テキストのペーパーレス化が進み、最新のナレッジがすぐに反映できるよう情報共有ツールが活用されることが増えています。
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受電研修
2つ目は、受電研修です。顧客からの電話を受けるのに必要な端末・機器の使用方法を学びます。実機を使った指導を受けることで、操作に慣れることを目指します。受電研修で操作を身につけることで、実際に着台した後、スムーズに業務に入ることができるでしょう。
ロールプレイング研修
3つ目は、ロールプレイング研修です。入電の可能性がある顧客像を練習相手として想定し、実際にやり取りを行うことで、講師から改善点などのフィードバックを受けます。オペレーターとして独り立ちする際に、最終試験として課されることも多い形式です。
クレーム研修
4つ目は、クレーム研修です。クレームを受けたときの対応方法については、受け止め方の基本姿勢やパターン別の対処法、適切な謝罪の仕方などを学びます。クレーム研修は、十分な対応ができるようになったことを録音内容から判断して終了するパターンが多いでしょう。
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OJT研修
5つ目は、OJT研修です。オペレーターがひと通りの技術を習得すると着台します。着台後は、OJTトレーナーがオペレーターのすぐ横についた状態で受電業務を開始します。OJTトレーナーは、オペレーターとして高い品質のオペレーターを選ぶことが多く、OJT研修中は、そのようなオペレーターが受電できなくなります。この時に、コールセンター全体の応対品質が低下してしまわないよう、あらかじめ対策を考えておく必要があります。
昇格者研修
研修の6つ目は、昇格者研修です。オペレーターからOJTトレーナー、SVなどの役職へ昇格したときに、必要な知識を習得するための研修です。昇格時の業務の概要・心構えなどを伝えることを目的として行います。昇格者研修は、タイミングが重要です。昇格が決まった者がいたら、教育担当者と連携し日程を調整して迅速に研修を行う必要があります。
階層別スキルアップ研修
研修の7つ目は、階層別スキルアップ研修です。オペレーター・OJTトレーナー・SVといった各階層で、例えば2年目研修といった定期的なものや、弱点補強研修などが必要です。コールセンターでの在籍期間が長くなり、経験を積んでいたとしても、基礎知識やスキル・責務を再確認し、ノウハウを共有して意識改革していくことは日々の現場業務をステップアップさせることに繋がります。
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コールセンターの研修後もフォローが必要なスキル
コールセンターの研修後もフォローが必要なスキルとして、以下の2つを解説します。
- オペレーターとして業務を行うマインド
- おもてなしの心
それでは、1つずつ解説します。
オペレーターとして業務を行うマインド
1つ目は、オペレーターとして業務を行うマインドです。たとえば、顧客からクレームを受けた場合、内心では反発してしまったり、悲嘆にくれたり、怖くなったりすることもあるかもしれません。ですがプロとして、スキルを活かした適切な対応力が必要となります。そのためには、オペレーター自身のマインドを整えて、冷静に判断を下すゆとりを持つことも1つのスキルと言えます。
管理者はオペレーターの心理状態をしっかりと把握し、必要に応じて面談を行いながら気持ちを整えるサポートが求められます。
おもてなしの心
スキルの2つ目は、おもてなしの心です。顧客のニーズに的確に回答する技術だけでなく、そこから一歩踏み込んで、顧客のニーズを先読みした対応を取ることは顧客満足度を高めることにつながります。さらには、ロイヤルティを向上させることで、自社の商品・サービスのファン作りにまで貢献することができます。
まとめ
本記事では、コールセンターで研修を実施する有用性・研修の改装や種類・研修以外でも磨くべき心構えやポイントについて解説しました。コールセンターには、リアルタイムで生の人間が対応するからこそ引き出せる顧客の声や、表現できるホスピタリティが存在します。ぜひ、所属する人員の立場や特性に見合った適切な研修を実施することで、コールセンターをより営業的にも企業ブランディング的にも価値のある組織として進化させていってください。
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