クレーム報告書の書き方とポイント

2023年01月07日(土) 報告書,ビジネス文書

クレームを受けたときは、きちんとした対応が重要なのは言うまでもありません。ひとつひとつのクレームに向き合い、正しく記録し管理して、悪い点があれば是正しなければ企業の成長は望めません。また、クレーム内容を分析し対応を統一することにより、社員の対応力の強化にもなります。そこでこの記事では、クレーム報告書を適切に書く方法、報告書に記載すべき項目などについて説明します。

参考:クレーム報告書 テンプレート(例文あり)

クレーム報告書とは

クレーム報告書と聞くと身構えてしまいそうですが、日報や業務報告書と同様、業務の経緯や顧客との関係性や満足度などの情報を報告し、共有するためにも欠かせないものです。一方的な理不尽なクレームとは違い、商品やサービス、社員対応などについての厳しい意見は耳が痛いものですが、今後の改善点を知るとともに、二度と同じクレームが発生しないよう会社全体で周知徹底しなければなりません。

また、クレーム報告書として記録し、対策を検討してマニュアルなどで整備することで、社内で一貫性のある対応が可能になります。クレーム対応が統一されていれば、いざというときにも動じることなく対応できるため、社員の自信にもなり対応能力の向上にもつながります。

クレーム報告書の種類は、上記のように社内で情報共有するものの他に、仕入先や配送業者にクレームの発生を知らせるためのもの、クレーム主に調査報告をしてお詫びするもの、危険な事故につながる恐れのあるトラブルを監督官庁に知らせるものに分かれます。それぞれで、必要とする記載項目や構成が異なります。それぞれの報告書の提出先と目的とを理解し、適切な書式で作成することが重要です。

 

クレーム報告書の書き方のポイント

客観的な視点で事実を

管理職以外のビジネスマンが作成することになるのは、一般的には社内で共有するためのクレーム報告書と取引先や顧客への報告書が主でしょう。クレームが発生したらまずは直属の上司に口頭で報告する場合もあるでしょうが、感情的になり冷静な判断ができないときもあるものです。しかし、クレーム報告書には、客観的な視点で事実をありのままに、理路整然と記入することが求められます。

迅速に報告

クレームの内容によっては、迅速に報告してその後の対策を検討しなければならないものもあります。時間が経つと相手の気分を損ねたり解決が難しくなったりするため、後回しにせず速やかに着手するのがポイントです。

目的を明確に

書き方のポイントは、どこにどのような目的で報告するのかを把握しておくことです。クレームがあった事実をそのまま報告するのか、改善案などを付加するのか、重大な事故の危険性のあるクレームで緊急性のあるものなのか、そのときどきに応じて、書き方も異なります。要点を押さえた正確な情報を、誰が見てもわかるように簡潔に書かなければなりません。

理不尽に思えるクレームでも、相手の一方的な意見を残らず記録するのではなく、相手が何を言いたいのか、伝えたいことは何なのかの意を汲み取って要約してまとめることが大切です。

 

クレーム報告書の構成・項目

クレーム報告書に記載すべき項目

  • 受付日
  • 担当者名
  • クレーム発生日
  • 発生場所
  • 顧客情報
  • 発生原因
  • クレーム詳細
  • クレーム対応
  • 処置内容
  • 処置完了日
  • 対応策

クレームの分類などは、業種などにより、製品、サービス、マニュアル、納品、対応などのカテゴリに分けた選択肢をあらかじめ作っておくと、データベース化する際にも便利です。たとえば、製品に対するクレームの場合、初期不良、故障、破損、人的被害、付属品不足など。納品に対するクレームの場合は、納品物違い、個数違い、配達時間など。また、製品に関するものは、クレーム相手の年齢層や性別、居住地などの顧客情報を盛り込み数量データとすることで、今後の製品開発にもつながります。

クレーム報告書の提出先に合わせて、書式をテンプレート化して項目ごとに記入する方法が記入漏れもなく、データベース化するにしても便利です。営業支援システムなどを導入しているなら、フォームを作成して各自パソコンやスマホなどから入力してスピーディーに社内共有できます。

報告書を作ることや社内に周知することだけが目的ではなく、その後の対応はきちんと完了したのか、今後の改善にどう活かすのかについてのチェックも必須です。

 

クレーム報告書の例

たとえば、納品に関するクレーム報告書の例文では以下のようになります。要は、クレームの原因を明らかにして再発防止策を検討し実行することに意義があります。

クレーム報告書の例文
○○年○○月○○日
○○部○○課○○○○

発生日:○○年○○月○○日
発生場所:お客様宅
お客様住所:○○県○○市○○町○丁目○番地○号
お客様氏名:○○○○
お客様連絡先:○○○-○○○○-○○○○

クレーム内容:商品配送到着時間の遅延

詳細:お客様注文の商品が、日時指定したにもかかわらず届かなかった。カスタマーセンターに問い合わせあり。わざわざ予定を空けて待機していたためご立腹の様子。

発生原因:ルート途中の○○県○○市の大雪による道路封鎖により配送が遅延

対応:カスタマーセンターにて対応。現在、別ルートを使い○○県○○市まで進んでいることを説明し、○○時間のうちには到着見込みであることを説明しご納得いただいた。
対策:配送遅延予防対策。配送遅延対応マニュアル整備。臨時対応窓口の設置。

上記、配送遅延のお客様宛てのクレーム報告書である詫び状の例文を紹介します。この場合は、社外宛てのビジネス文書の形式で、書簡で郵送するかメールなどで送信します。法人相手と個人とでは、前文の用語が異なるため注意してください。

詫び状の例文
○○年○○月○○日
○○○○様
株式会社○○
○○部○○課○○○○

配送遅延のお詫び

拝啓時下ますますご清祥のこととお慶び申しあげます。平素は格別のご愛顧を賜り厚くお礼申しあげます。

さて、このたびの当社の商品の配送遅延に関しまして、○○様に多大なご迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申しあげます。

○○県での想定外の大雪による交通障害が原因となり、道路封鎖、周辺道路の大渋滞などにより商品の到着が大幅に遅れることとなってしまいました。

商品が届くのを楽しみに予定を空けて待機していただいたとの由、大変申し訳ありませんでした。
今後、再発防止できますよう努力して参る所存でございます。
今後とも変わらぬご利用を賜りますよう、なにとぞよろしくお願い申しあげます。
敬具

 

クレーム報告書を書くときの注意点

消費者が不利益を被る重大なクレームなど緊急性のあるトラブル発生の際は、悠長にクレーム報告書を作成している場合ではありません。一刻を争う緊急事態においては、まず上長に口頭で報告する必要があります。処置完了を待ってクレーム報告書を作成するのではなく、速やかに第一報で周知することが大切です。また、会社に損失を与えるようなクレームの場合、見込み損失額も記入しなければなりません。該当商品の数量や、回収コストの見込み額など、分かり得る範囲での具体的な数値の報告が重要です。

このようにクレームの重要度において、クレーム報告書のテンプレートどおりにすべてを記載する時間がない場合があります。また、すべての項目について詳細に記入するだけではまとまりのない伝わりづらい内容にもなってしまいます。複雑なクレームの場合は、要約版を作成するなどして、進捗に応じて第二報、第三報などの形で臨機応変に分かりやすく周知するなどの対応が必要になるでしょう。クレーム発生度の重要度や緊急性など、常に一番に何をすべきかを見失わないよう冷静な判断力が求められます。

 

クレーム報告書を正しく作成し管理すればクレーム対応も怖くない

クレームを受けると、いち早く相手の怒りをやり過ごしたい気持ちになるでしょう。しかし、取引先や顧客は貴重な時間を使って、意見を主張してくれているわけです。そこには、商品やサービス改善につながる貴重なヒントがあります。そのときの対応次第で好感を持ってくれる可能性もあるものです。

将来のお得意様にもなり得る大切なお客様ですので、しっかりとクレームを受け止め、正しく記録し報告することを心がけましょう。

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