ナレッジ・ノウハウ・スキルの違いは?蓄積の方法と活用ポイントを解説

2025年09月15日(月) ナレッジ共有

 

企業が成長を続けるためには、個人に蓄積された「ナレッジ」や「ノウハウ」をいかに組織全体で共有し、活用できるかが鍵となります。

ナレッジは知識や情報の集合体、ノウハウは経験から得られた実務的なコツや手順を指し、どちらも属人化を防ぎ、業務の効率化や品質向上に直結する重要な資産です。

しかし、担当者の頭の中や紙資料の中にとどまってしまうと、再現性や生産性が損なわれてしまいます。

本記事では、ナレッジとノウハウの違いを整理したうえで、企業がどう活かせば業務効率化や競争力強化につながるのかを解説します。

ナレッジ・スキル・ノウハウのそれぞれの意味

ナレッジ・スキル・ノウハウは、どれも似たような単語ですが、意味合いは違います。

それぞれの意味合いは以下の通りです。

項目 意味
ナレッジ 知識や情報そのもの
ノウハウ 知識を活用するための具体的な手順やコツ
スキル 実践で発揮される能力

ここでは、それぞれの言葉の意味を例文を示して解説します。

ナレッジ

ナレッジとは、英語で表記すると「knowledge」で、直訳すると「知識」や「情報」などを意味する単語です。

具体的には、本や新聞など文章から得られる知識のことで、文字として可視化されているので大勢の人に伝えやすいことが特徴です。

ビジネス分野では一歩踏み込んで、「有益性の高い情報」、「付加価値のある体験」という意味合いになります。

「ビジネスに何か恩恵をもたらしてくれる知識や情報」とも言えます。

また、情報分野では「目的の解決に役立つ知見」「実践的な方法を言語化したモノ」という意味合いです。

特に、ナレッジをデータベースのようにひとつにまとめて管理し、必要なときに社員が検索して参照できるようにしたものを「ナレッジベース」といいます。

例文:ナレッジの共有が進んでいないことは、業務効率化が進んでいない要因のひとつである。

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ナレッジの目的

ナレッジの活用目的は、単なる情報の集積ではなく組織全体で共有・再利用できる「資産」としての機能を果たす点にあります。

具体的には以下の3つの目的に整理できます。

  • 情報を体系的に蓄積し、組織全体で共有可能にする
  • 属人化を防ぎ、知識を資産として活用できるようにする
  • 検索性を高め、必要なときに必要な人が知識へアクセスできる状態を作る

ナレッジを通して組織が円滑に回るように、活用されることが目的といえるでしょう。

ナレッジの種類・具体例

ナレッジは大きく分けて業務ナレッジ・顧客ナレッジ・市場ナレッジ・社内ナレッジの4つに整理できます。

種類 内容 具体例
業務ナレッジ 業務遂行に必要なフローや手順に関する知識 ・業務フロー
・マニュアル
・手順書
顧客ナレッジ 顧客対応や関係構築に関する知識・情報 ・顧客質問集
・対応履歴
・ペルソナ情報
市場ナレッジ 外部環境や競合状況に関する知識 ・競合調査データ
・業界トレンド情報
社内ナレッジ 組織内で得られた経験や学び ・議事録
・成功事例
・失敗事例

ナレッジを体系的に整理・蓄積することで、属人化を防ぎ、組織全体の成長につなげられるでしょう。

ノウハウ

ノウハウとは、英語で表記すると「know-how」で、「know」(知る)と「how」(方法、どうやって)を組み合わせた英単語です。日本語で表現すると、「あるものごとを手掛けるための、手順や方法についての知識」という意味になります。ビジネスシーンでもよく使われる言葉で、業務で試行錯誤しながら身につけた、業務上必要な知識や技術という意味合いで使われます。

どちらかといえば具体的なものの言語化は難しい、業務上必要な知識や技術を指すことが多い言葉です。また、「知的財産の一種」という意味合いで使われることもあります。

例文:先輩の仕事ぶりを観察して、営業のノウハウを吸収していった。

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ノウハウの目的

ノウハウの目的は、新人や未経験者でも短期間で一定水準の成果を出せるようにすることにあります。

経験者の暗黙知を形式知に変えることで、属人化を防ぎ、組織全体で知見共有ができる体制を整えられます。

形式知とは、誰もが理解・共有できるように明文化された知識のことです。

マニュアルや手順書、システム化された情報などの形で表現され、容易に伝達・共有が可能な点が特徴です。

体制を構築することで、業務が標準化され、成果の安定化と業務効率の向上にもつながります。

ノウハウの種類・具体例

ノウハウは分野や業種によって多様ですが、代表的なものとして以下のように整理できます。

種類 内容 具体例
営業ノウハウ 顧客対応や契約獲得に向けた知識や技術 ・顧客へのアプローチ方法
・提案書の作り方
・クロージングの流れ
製造ノウハウ 製品の品質維持や効率的な生産活動の知識 ・品質を安定させるための工程管理
・効率的な作業手順
マーケティングノウハウ 商品やサービスを効果的に広めるための知識や施策 ・SEO記事の構成方法
・広告運用の改善手順
・SNSの拡散施策

営業・製造・マーケティングなどジャンル別に、「ノウハウ」として用いられることがあります。

他にもSNS運用ノウハウや受注ノウハウなど各論でも、「ノウハウ」という言葉でまとめるケースもあります。

単なる知識ではなく、実務経験を通じて培われた「成果を出すための型」として使われるのがノウハウです。

関連記事:わかりやすい手順書,ノウハウ集の作り方6ステップ!構成・記載項目や無料フォーマットも紹介

スキル

スキルとは、英語で表記すると「skill」で、直訳すると「技術」や「技能」、「腕前」などを意味する単語です。

具体的には、訓練や実体験を通じて身につけた能力のことを言います。

ビジネスシーンでは、深い理解に基づいた専門的知識・能力という意味合いで使用されることが多い言葉です。

例文:彼女は対人スキルが高いから、営業や接客業に向いているかもしれない。

スキルの目的

スキルの目的は、組織や個人のパフォーマンスを向上させることにあります。

主に以下がフォーカスされます。

  • 業務遂行力の向上
  • 人材価値・競争力の強化
  • 継続的成長とキャリア形成

業務遂行に必要なスキルを習得することで、業務の精度やスピードが上がり、ひいては企業全体の競争力強化につながります。

さらに、スキルアップは従業員個人の市場価値を高め、キャリア形成にも直結するでしょう。

スキルは、組織や個人の能力値を上げるというニュアンスがぴったりといえます。

スキルの種類・具体例

スキルは大きく「ハードスキル」と「ソフトスキル」に分類されます。

それぞれの違いは以下の通りです。

種類 定義 具体例
ハードスキル 数値や資格で測定できる客観的な能力 プログラミング、会計知識、語学力、データ分析
ソフトスキル 対人関係や思考力に関わる能力 コミュニケーション能力、リーダーシップ、問題解決力、チームマネジメント力

業界や職種ごとに必要とされるスキルは異なるため、体系的に整理し育成することが求められます。

ナレッジと関連用語との違い

ナレッジは「知識や情報の集合体」を意味しますが、実務では似た用語と混同されるケースがあります。

ここでは以下の3つの関連用語について紹介します。

  • ナレッジマネジメント
  • ナレッジベース
  • ナレッジワーカー

それぞれ関連性が強いものの、目的や活用方法が異なります。

ナレッジマネジメント

ナレッジマネジメント(Knowledge Management)とは、組織内の知識を「収集・整理・保存・共有・活用」するための体系的な取り組みです。

個々の経験やノウハウといった資産を組織全体に活かし、業務効率向上やイノベーション創発につなげられます。

導入によって検索時間の短縮や教育コスト削減、離職に伴う知識損失リスクの低減など多様な効果が期待でき、組織文化として学習と共有を定着させる基盤となります。

ナレッジマネジメントの目的

ナレッジマネジメントの目的は、単なる情報の蓄積ではなく、知識を組織全体の資産に変換し、活用できる状態にすることです。

属人化を防ぎ、担当者が異動・退職しても情報が失われない体制を作ることで、業務の持続性を確保できます。

また、情報を整理し誰でもすぐにアクセスできる状態を構築することで、検索や質問の手間を削減し、業務効率と生産性を高められます。

ナレッジマネジメントは、イノベーションの促進や品質の均一化、リスク回避にもつながり、企業競争力の強化にもつなげられるでしょう。

ナレッジマネジメントのメリット

ナレッジマネジメントを導入することで以下のメリットが得られます。

  • 業務スピードと精度の向上
  • 離職・異動による知識喪失リスクの軽減
  • 意思決定の質の向上
  • 新人教育コストの削減
  • 新規事業開発や改善活動の成功確率の向上

ナレッジマネジメントツールを活用すれば、検索性や共有性が高まり、必要な人が必要なときに知識にアクセスできる仕組みを実現できます。

ナレッジベース

ナレッジベースとは、FAQやマニュアル、手順書などの知識を体系的に整理し、参照できる情報基盤のことを指します。

単に情報を保管するだけでなく、検索性や体系性を重視して構築されるため、社員や顧客が「知りたいときにすぐに必要な情報にたどり着ける」状態を実現します。

社内向けには教育や業務効率化に、顧客向けには問い合わせ対応の効率化やサポートコスト削減に活用されるのが特徴です。

ナレッジベースの目的

ナレッジベースの目的は、知識の検索性を高め、必要な情報にすぐアクセスできる環境を構築することです。

社員間の問い合わせや「同じ質問の繰り返し」を減らし、効率的な情報共有を実現します。

とくに属人化しやすいノウハウやトラブル対応の手順をナレッジベースに蓄積することで、誰でも同じ水準で対応できる仕組みが整います。

ナレッジベースのメリット

ナレッジベースを導入することで、企業や組織は情報の検索性・共有性を高め、業務効率やサービス品質を向上させられます。

組織全体で情報を一元化することは、属人化の防止や標準化にも直結し、長期的な競争力の強化につながります。

具体的なメリットは以下の通りです。

  • 教育・研修コストを削減できる
  • 顧客満足度向上を実現できる
  • 業務知識を一元化することで属人化を防げる
  • 必要な知識にすぐアクセス可能になる

ナレッジベースは単なる「情報置き場」ではなく、組織全体の知識を資産化し、効率的に活用するための基盤です。

社員教育から顧客サポート、業務標準化に至るまで幅広い効果をもたらし、結果として組織の成長と競争優位の確立に貢献します。

ナレッジワーカー

ナレッジワーカーとは、知識や情報を活用して付加価値を生み出す業務に従事する労働者のことを指します。

製造ラインや定型業務を中心とする「マニュアルワーカー」と対比される概念であり、知的生産活動が業務の中心です。

情報を収集・分析し、そこから新しい価値を創出することが求められるため、専門知識と創造力を兼ね備えた人材が該当します。

関連記事:ナレッジワーカーとは?求められるスキルと企業が育成するための知識を解説

ナレッジワーカーの職種

ナレッジワーカーの代表的な職種には、以下があります。

職種 主な役割・特徴
コンサルタント 顧客の課題を分析し、改善策や戦略を提案する
研究職 新技術や新製品の開発に携わり、知見を生み出す
エンジニア システム開発や設計を通じて技術的な解決策を提供する
デザイナー ユーザー体験やビジュアル表現を設計し、価値を創造する
マーケター 市場データや消費者行動を分析し、売上向上に貢献する

いずれも「知識や情報を使って成果を出す」ことが本質であり、物理的労働よりも知的労働中心であることが特徴です。

ナレッジワーカーに必要な能力

ナレッジワーカーは「情報を集め、分析し、解決策を実行する」一連のプロセスを回す力と、さらにITスキル・対人能力・学習意欲を兼ね備えることが求められます。

ナレッジワーカーとして成果を出すためには、以下の能力が求められます。

  • 情報収集力・分析力
  • 論理的思考力・課題解決力
  • ITツール活用力
  • リサーチ力
  • 学習意欲・自己研鑽

変化の激しい時代においては、ナレッジワーカーの成長と成果を持続的に支える姿勢が大切です。

ナレッジ・スキル・ノウハウを企業が活かすための3つのポイント

ここでは、ナレッジ・スキル・ノウハウを企業が活かすためのポイントを、以下の3つ紹介します。

  • 組織文化として定着させる
  • 競合との差別化を意識する
  • 従業員の育成

組織文化として定着させる

ナレッジ活用は一過性の施策ではなく、企業文化に根付かせることが重要です。

属人化を防ぎ、全員が「知識を残す・共有する」ことを自然な行動として受け入れる環境を作る必要があります。

その際は、マニュアル化・ナレッジベース化といった形式知化に加え、OJTや日々のコミュニケーションを通じた暗黙知の共有を両立させることが効果的です。

組織全体で知識が循環し、継続的に成長できる基盤が整います。

競合との差別化を意識する

ナレッジやノウハウの蓄積・活用は、競合との差別化に直結します。

たとえば、顧客対応ノウハウをナレッジベース化すれば、サポート品質が均一化し、リピート率向上に貢献します。

営業や開発のベストプラクティスを共有することで、他社が模倣できないスピードと成果を出すことが可能です。

さらに、市場調査や分析の知見を蓄積することで、新規事業の立ち上げやマーケティング戦略に迅速に活用でき、競争優位性を確立できます。

従業員の育成

従業員自身にナレッジ・スキル・ノウハウといった情報を使いこなす能力がないと、どれだけ優れた情報が社内にあっても、それを使いこなして業務効率化に役立てることはできません。

そのため、従業員の育成も必要になります。

特に最初は、個人の裁量に任せずリーダーを任命して、リーダーを中心に育成することがおすすめです。

リーダーが自社に必要な情報を明確に定義し、情報の言語化と共有を図ることで情報の活用を促進します。

ナレッジ蓄積を効率的に行う方法

社内に散在するナレッジを効率的に蓄積するためには、専門のナレッジマネジメントツールを活用するのがもっとも効果的です。

従来は紙やExcelで管理していたため、更新や共有の手間が大きく、せっかくの知識が活かされないまま埋もれてしまうケースが少なくありません。

特にNotePMは、ナレッジを効率的に蓄積するのにおすすめのナレッジマネジメントツールです。


URL:https://notepm.jp/

NotePMには、社内の知識を体系的に整理・検索・共有できる機能を備えており、以下のような特徴があります。

  • 検索性の高さ
  • 直感的な操作性
  • セキュリティ・権限管理

独自の仕組みにより、属人化を防ぎ、ナレッジを「探しやすい・使いやすい」状態で蓄積できるため、効率的な知識活用を実現できます。

ナレッジ・ノウハウ蓄積の成功事例

ここからは、ナレッジ・ノウハウを蓄積できた成功事例を紹介します。

  • 情報の整理と検索時間の短縮を実現|フィグニー株式会社
  • 必要な情報にアクセスできる環境を構築|株式会社サン・アドセンター

情報の整理と検索時間の短縮を実現|フィグニー株式会社

フィグニー株式会社

フィグニー株式会社では、プロジェクトごとに分散していた情報を一元管理するためにNotePMを導入しました。

導入前は、BacklogやGitHub、Scrapboxなど担当者ごとに異なるツールを使っていたため、情報が分散して検索効率が低下していました。

NotePMを採用した決め手は、柔軟なアクセス権限設定と料金体系のバランスです。

導入後は、検索時間が大幅に短縮され、社員が自発的にドキュメント化する習慣の定着にも成功しました。結果として、情報整理の効率化とナレッジ活用の文化醸成が進みました。

関連記事:【導入事例】ドキュメント情報を集約し、情報の整理と検索時間の短縮を実現 – フィグニー株式会社

必要な情報にアクセスできる環境を構築|株式会社サン・アドセンター

株式会社サン・アドセンター

求人広告を中心に事業を展開するサン・アドセンターでは、リモートワーク環境下での情報共有に課題がありました。

ファイルサーバーやチャットでは情報が流れてしまい、検索性にも限界があったため、社員から「どこにあるのかわからない」といった質問が頻発していたのです。

NotePMで検索すれば欲しい情報の場所がわかる」状態を構築したことで、質問対応にかかる手間が減り、生産性の低下を防ぐことに成功しました。

結果として、リモート環境でもスムーズな業務遂行が可能となり、ナレッジ共有が定着しました。

関連記事:【導入事例】リモートワークで必要な情報にアクセスできる環境を構築 – 株式会社サン・アドセンター

ナレッジ・スキル・ノウハウを共有して業務を効率化しよう

ナレッジやノウハウ、スキルを適切に共有できれば、属人化の防止や業務品質の均一化、新人教育の効率化といった効果が得られます。

しかし、従来の紙やExcelでの管理では限界があります。

NotePMのようなナレッジマネジメントツールを導入し、検索性・操作性・セキュリティを兼ね備えた環境を整備することで、ナレッジを「資産」として活用できる体制を構築しましょう。