DXの普及や働き方改革など、昨今社会では急激に労働環境が変化してきました。その中で注目度が増している概念が「リスキリング」です。リスキリングを活用することで、人材不足や採用コストなどの問題を解決できると期待されています。
ただし、リスキリングにはデメリットもあり、正しい進め方やポイントに基づいて進めなければ、思うような効果は得られません。
本記事では、リスキリングの意味やメリット・デメリットに加え、進め方・事例も紹介します。社内で積極的にリスキリングに取り組みたいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
リスキリングの意味とは?経済産業省による定義は?
リスキリングは、新しい仕事に必要なスキルを学ぶことです。経済産業省の「リスキリングとは ―DX時代の人材戦略と世界の潮流―」では以下のとおり定義しており、多くの企業で注目されています。
▼リスキリングの定義(経済産業省)
新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必 要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、 必要なスキルを獲得する/させること |
※本文P6より抜粋
リスキリングをより深く理解するための基礎知識は、以下の3つです。
- 必要となっている背景
- リカレントとの違い
- リスキリングの方法
リスキリングをより深く理解するため、順番に詳しく見ていきましょう。
参照:リスキリングとは ―DX時代の人材戦略と世界の潮流― | 経済産業省
必要となっている背景
リスキリングが必要となっている背景は、主に以下の3つです。
- DXの普及
- 働き方の多様化
- 政府以外も必要性に言及
順番に詳しく見ていきましょう。
DXの普及
多くの企業で、DX推進による業務効率化やサービスの質向上が図られています。DXにはデジタルスキルが不可欠であり、リスキリングでデジタルスキルの習得が求められるでしょう。
特に、AIの進化により今までの常識では考えられなかった新しいスキルが求められているのです。
>関連記事:デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?課題や進め方をわかりやすく解説
働き方の多様化
新型コロナウイルスの流行や働き方改革に伴い、テレワークやオンライン会議が普及し働き方が大きく変化しました。
便利になった一方で、新たなスキルの必要性が増大しており、スキル習得を目的にリスキリングの重要性も高まっています。
>関連記事:働き方の多様性が求められている!その背景やメリットなどを解説
政府以外も必要性に言及
世界経済フォーラムや経団連など、様々な組織がリスキリングの重要性について言及しています。
国内外でリスキリングを活発化する流れができており、リスキリングは社会的な課題として認識されているのです。
リカレントとの違い
リスキリングの類語に、リカレントがあります。リカレント教育は、仕事と学びを繰り返すことを指し、職を離れて学びに取り組むことが前提です。
総務省の情報通信白書では、リカレント教育を以下のとおり定義しています。
▼リカレント教育の定義(情報通信白書より抜粋)
リカレント教育は、就職してからも、生涯にわたって教育と他の諸活動(労働、余暇など)を交互に行なうといった概念である。 |
一方、リスキリングでは、現在の仕事で必要なスキルを身につけることを目的に働きながら学びます。つまり、リスキリングは、より実践的なスキルアップを目的とした学びと言えるでしょう。
参照:平成30年情報通信白書 | 総務省
リスキリングの方法
代表的なリスキリング方法を4つ、表にまとめておきます。
▼代表的なリスキリング方法
オンラインコース | 動画などの学習プラットフォームを活用し、自分のペースで好きなスキルを学べます。 |
企業内トレーニング | 会社が主催する研修で、社内の専門家から直接指導を受けられます。 |
ブートキャンプ | プログラミングなど特定のスキルを、数週間など短期集中で学べます。 |
メンターシップ | 経験豊富な専門家から直接指導を受け、実践的なスキル・知識を習得できます。 |
リスキリングのメリットとは
リスキリングのメリットは、主に以下の3つです。
- 人材不足の解決
- 採用コスト低減
- 自律型人材の確保
自社の課題をリスキリングで解決できないか考えながら、順番に詳しく見ていきましょう。
人材不足の解決
リスキリングは、企業が抱える人材不足問題を解決する有効な手段です。特に、IT人材の不足が深刻化する中、自社で必要なスキルを持った人材を育成すれば採用難を解消できます。
IT人材の不足は一段と深刻化しており、今後もその傾向が続くと予想されているため、リスキリングで人材不足の解決を図る必要性はますます高まるでしょう。
採用コスト低減
IT人材のように採用競争が激しい分野においては、外部から人材を募集するよりも、リスキリングで人材を社内育成する方がコスト面で有利なケースもあります。
社内育成できれば、外部から人材を確保するより企業文化への適応がスムーズで、新しい業務への移行も円滑に行える点もメリットです。
自律型人材の確保
リスキリングは、従業員のスキルアップだけでなく自律的な人材育成にもつながる点もメリットです。
新しいスキルを習得する機会を提供すれば、従業員は自身のキャリアについて積極的に考え、主体的に行動するようになるでしょう。
結果として、従業員のモチベーション向上や、企業全体のイノベーションにつながることが期待できます。
リスキリングの注意点とは
リスキリングの注意点は、主に以下の2つです。
- 継続的な取組みの時間と手間
- 人材流出の可能性
注意点を押さえて、確実にリスキリングを行えるように工夫しましょう。
継続的な取組みの時間と手間
リスキリングの成果は、一朝一夕にできるものではありません。成功させるには、時間・費用・人員などのリソースが必須です。また、リスキリングを行なうには研修プログラムの企画や実施・費用対効果の測定などの様々な作業が発生します。
リスキリングは一度実施すれば終わりではなく、継続的に行わなければなりません。そのため、長期的な視点で計画を立て、実行していきましょう。
人材流出の可能性
リスキリングで従業員のスキルを向上させると、転職を考える従業員も出てくるでしょう。従業員が成長すれば、よりよいキャリアを求める可能性があるためです。
従業員が向上心を持つことはポジティブなことですが、企業にとっては優秀な人材の流出につながる側面があることも否めません。
リスキリングを実施する際には、従業員のキャリアパスについて事前に話し合い、企業として従業員の成長を支援していく姿勢を示しましょう。
リスキリングの進め方とは
リスキリングの進め方は、大きく分けて以下の4ステップです。
- 求めるスキルの具体化
- 現状とのギャップを可視化
- 教育プログラムの決定
- 業務で実践
確実にリスキリングを実行できるように、順番に解説します。
求めるスキルの具体化
リスキリングを進める前に、まずは自社の目指す方向性を明確にしましょう。経営戦略や事業戦略と照らし合わせ、どんなスキルが必要なのかを具体的に洗い出せば、効果的に人材育成計画を立てられます。
現状とのギャップを可視化
自社の課題を踏まえて、従業員の現状と目指すべき姿とのギャップを把握することで、どのスキルを優先的に育成すべきかを明確化しましょう。各従業員のスキルを可視化することで、より効果的な学習計画を立てられます。
>関連記事:可視化とは?ビジネス上のメリットや手段・成功させるポイントを解説
教育プログラムの決定
リスキリングでは、eラーニングや座学だけでなく、従業員同士で学び合う勉強会や認定制度など、様々な学習方法を取り入れてみましょう。これにより、多様な学習ニーズに対応して、より多くの従業員が意欲的にリスキリングに取り組めます。
業務で実践
リスキリングで学んだことを実際の業務で活用し、実践を通してスキルを定着させましょう。また、業務の振り返りと改善点の共有で、組織全体のスキル向上につなげられます。
リスキリングのポイントとは
リスキリングのポイントは、主に以下の4つです。
- 的確なスキル選定
- 取り組みやすい体制整備
- 従業員の主体性を高める環境作り
- アウトソーシングの活用
ポイントを押さえて、リスキリングを成功させましょう。
的確なスキル選定
リスキリングは、企業の目標達成に直結するものでなければなりません。そのため、自社の戦略と照らし合わせ、必要なスキルを明確にしましょう。従業員のスキルを把握し、不足している部分を補うことで、より効果的な人材育成が可能になります。
取り組みやすい体制整備
リスキリングは、従業員だけでなく担当部署や現場にも負担がかかります。その分、従業員への理解や協力体制の構築が欠かせません。また、インセンティブ制度などを導入し、従業員のモチベーション維持や継続的な学習を後押ししましょう。
従業員の主体性を高める環境作り
リスキリングでは、あくまでも従業員のスキルアップやキャリア形成が目的なので、主体的に取り組まないと効果は期待できません。従業員の意見から個々のニーズを洗い出すことで、より学習効果を高めた学習プログラムを提供できます。
アウトソーシングの活用
リスキリングのコンテンツ作成などにはリソースやノウハウが必要なので、自社だけでは不十分なこともあるでしょう。その場合は、アウトソーシングも有効な手段です。外部の専門知識・ノウハウを活用することで、より効率的にリスキリングを実現できます。
>関連記事:【2024年版】情シスアウトソーシングサービスおすすめ7選徹底比較!注目されている理由・メリット・デメリット・選び方について紹介
リスキリングの事例
リスキリングの事例として、以下の2つを紹介します。
- 金融機関A
- メーカーB
自社で参考にできる部分があれば、どんどん取り入れてみましょう。
金融機関A
金融機関Aでは、グループ会社を含む全職員約2,000人を対象に、大規模なDX教育を実施しています。IT資格取得の奨励に加え、ビジネスストラテジストやデータサイエンティストなどの高度な人材育成も狙いです。
メーカーB
メーカーBでは、本社に近い大学と連携して社内講座を開講し、AI・IoT人材の育成を図っています。幅広い部門から社内講座に従業員を集め、様々な場面でAI・IoTを用いることで、生産性の向上や新たな価値の創出を実現することが狙いです。
>関連記事:AI人材の育成が企業成長の鍵?実施方法や課題なども解説
まとめ
リスキリングは新しい仕事に必要なスキルを学ぶことです。DXや働き方改革などを背景に世界的に注目度が高まっています。オンラインコースやブートキャンプなどでリスキリングが行われるケースも増えています。
リスキリングを行なうには、求めるスキルの具体化や業務での実践まで確実に実行していくことが欠かせません。取り組みやすい体制整備をするなどして成功に近づけましょう。
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