こんにちは。マニュアル作成・ナレッジ共有ツール「NotePM」ブログ編集局です。
AIは今や、多くの場面で活用されるようになってきました。ビジネスにおいても、それは例外ではありません。AIの活用が増えたことで、AIに関する職業も増えてきています。ただ、AI人材の需要は拡大しているものの、供給が追いついていないのが現状です。AI人材を安定して確保するためにAI人材育成は避けて通れませんが、育成方法やそのための課題について把握しておく必要があります。実際にAI人材育成に取り組んでいる事例があれば、よりAI人材育成のイメージがしやすくなるのではないでしょうか。そこで今回は、AI人材育成の方法やよくある課題、さらには企業の事例を解説します。
目次
AI人材育成の重要性が増している
AI人材とは、機械学習、ディープラーニング、あるいはデータサイエンスに関する深い知識を持ち、AIシステムの構築・運用や技術の改善に携わる人材です。研究の進展により、データ活用やDX推進が期待されているため、今後AI人材はさらに価値を高めるとされています。ここでは、AI人材に関する基礎知識として、以下の3つを解説します。
- AI人材は多くの企業で不足
- AI人材の種類
- AI人材に求められるスキル
それでは、1つずつ解説します。
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AI人材は多くの企業で不足
基礎知識の1つ目は、AI人材は多くの企業で不足していることです。経済産業省の調査によれば、2030年にはAI人材が約12.4万人不足するとの見通しです。企業はAI人材育成に意欲的ですが、需給バランスは課題のままで、IT人材全体も約45万人の不足が予想されています。AI人材が不足している要因として以下の2つがあげられます。
出典:IT人材需給に関する調査(概要)|経済産業省情報技術利用促進課
高度な専門知識を有する人材の不足
要因の1つ目は、高度な専門知識を有する人材の不足です。I技術の急速な発展に伴い、新しい情報を取り込んでいくことが必要です。しかし、日本ではそれを実現するための教育機関や企業体制が追いついていません。AI技術の活用には、プログラミングスキルや数学、統計学など高度な専門スキルが求められ、基礎と実践スキルの習得に時間と労力が必要です。
少子高齢化及び人口減少
要因の2つ目は、少子高齢化及び人口減少です。少子高齢化や人口減少も、AI人材不足への大きな影響が避けられません。出生率低下により若者の数が減少すれば、AIの専門家自体が減るためです。また、高齢化で豊富な経験を持つ技術者が引退し、そのノウハウが失われる可能性もあります。
AI人材の種類
基礎知識の2つ目は、AI人材の種類です。ここでは、以下の7つを解説します。
- データサイエンティスト
- 機械学習エンジニア
- ディープラーニングエンジニア
- AIエンジニア
- 自然言語処理(NLP)エンジニア
- AIプロジェクトマネージャ
- AI人材に求められるスキル
それでは、1つずつ解説します。
データサイエンティスト
1つ目は、データサイエンティストです。これは、統計学やプログラミング・データベース管理を駆使し、データの分析を行い新たな知見を得る役割を担うものです。また、発見された情報の活用方法や将来的な施策を検討することで、効果的な意思決定をサポートします。
機械学習エンジニア
2つ目は、機械学習エンジニアです。これは、専門家として機械学習のアルゴリズム設計・開発を行い、データ分析やAI処理の実現を目指すものです。中には、データサイエンティスト等の要素も含む業務を担当するケースもあります。
ディープラーニングエンジニア
3つ目は、ディープラーニングエンジニアです。これは、AIシステム開発に深層学習技術を活用することで、ニューラルネットワークを強化してパターン認識強化や予測モデル構築につなげるものです。ディープラーニングは、機械学習の発展形と言えるでしょう。
AIエンジニア
4つ目は、AIエンジニアです。これは、様々なAI技術を駆使し、アプリやシステムを開発・実証する専門家です。ディープラーニングや機械学習など、AI技術に関するエンジニアであれば、基本的には「AIエンジニア」と呼べます。
自然言語処理(NLP)エンジニア
5つ目は、自然言語処理(NLP)エンジニアです。これは、人間の言語を理解・解釈・生成できるコンピュータシステム開発の専門家です。感情分析、機械翻訳、テキスト要約、チャットボット開発等を行うことで、コンピュータと人間の間でコミュニケーションを向上させます。
AIプロジェクトマネージャ
6つ目は、AIプロジェクトマネージャです。これは、AIプロジェクトにおいて計画・実行・管理を行うことで、企業がより効率的にAIを活用できるようサポートする専門家です。タスク振り分けやスケジュール管理などの業務を行います。
AIの倫理専門家
7つ目は、AIの倫理専門家です。これは、AI利用における倫理的課題に取り組むものです。例えば、以下の業務を通じて、AI技術が倫理的な問題を引き起こさないよう的確に運用されることを、後押しします。
- 倫理規範の策定
- データプライバシー保護
- バイアス排除
- 透明性確保
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AI人材に求められるスキル
基礎知識の3つ目は、AI人材に求められるスキルです。ここでは、以下の4つを解説します。
- プログラミングスキル
- 統計学・数学スキル
- 機械学習スキル
- 課題解決スキル
それでは、1つずつ解説します。
プログラミングスキル
1つ目は、プログラミングスキルです。プログラミングスキルは、アルゴリズムの実装と、それによりAI技術を開発・検証するには欠かせません。特に、AI分野でよく用いられるPythonは、学習必須の言語と言えるでしょう。
統計学・数学スキル
2つ目は、統計学・数学スキルです。統計学と数学はデータサイエンスでは必須スキルであり、AI性能向上にも欠かせません。特に、データの傾向把握やAIアルゴリズムの理解には、これらのスキルは必要不可欠です。
機械学習スキル
3つ目は、機械学習スキルです。機械学習スキルがあれば、AIで大量のデータを解析して、顧客の行動パターン把握などを実現し、AI技術をより使いこなせるでしょう。
課題解決スキル
4つ目は、機械学習スキルです。AIの活用目的は、問題解決やタスク自動化です。よって、課題解決スキルがあれば、ビジネスの課題発見やAIを適用した課題解決を効果的に実施できるでしょう。
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AI人材育成の方法
ここでは、AI人材育成の方法として、以下の7つを解説します。
- AI教育プログラムを構築・提供
- AI人材育成アドバイザーを採用
- 従業員の実務経験を増やす
- 継続的な学習サポート
- AI人材による成果や貢献度を適切に評価
- AI人材コミュニティの設置
- 外部企業等の活用
それでは、1つずつ解説します。
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AI教育プログラムを構築・提供
人材育成方法の1つ目は、AI教育プログラムを構築・提供することです。AI人材育成には、まずは基礎知識とスキル習得が欠かせません。それには、オンラインコースや書籍、ワークショップ等の教育プログラムが有効です。各従業員のレベルや目標に合わせて、着実に学んでいくことを重視しましょう。
AI人材育成アドバイザーを採用
人材育成方法の2つ目は、AI人材育成アドバイザーを採用することです。経験豊富なアドバイザーのサポートがあれば、実務やプロジェクトでの活用を推進しやすくなるでしょう。AI専門家やコンサルタントなどの知見やノウハウを持つ人材を採用すれば、問題解決や技術選択、品質管理などの実践的スキルを身につけやすくなります。
従業員の実務経験を増やす
人材育成方法の3つ目は、従業員の実務経験を増やすことです。AI人材育成には、実践経験が欠かせません。それには、独自プロジェクトの企画や他社との協力、さらにはコンペティションなどへの参加が効果的です。これにより、創造性やコミュニケーション能力などの応用スキルが身に付くでしょう。
継続的な学習サポート
人材育成方法の4つ目は、継続的な学習サポートです。AI人材は、一通り学習を終えた後も、継続的な学習が欠かせません。AIは常に進化しているため、最新トレンドや技術への対応が求められるからです。以下の方法を定期的に活用し、最新情報を得るとともに学習を継続しましょう。
- オンラインコース
- 書籍
- セミナー
- カンファレンス
- コミュニティ
- SNS
これらの継続的な学習は、競争力を維持するためにも不可欠です。
AI人材による成果や貢献度を適切に評価
人材育成方法の5つ目は、AI人材による成果や貢献度を適切に評価することです。ここは、意外に見落とされがちなポイントかもしれませんが、従業員のモチベーションにかかわるので、抜かりなく行いましょう。プロジェクトごとに評価基準や指標を明確化し、適切なフィードバックや報酬でモチベーション向上やスキルアップを促進することが欠かせません。ただ、各職種で求められる成果が異なるため、客観的評価が必要になります。
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AI人材コミュニティの設置
人材育成方法の6つ目は、AI人材コミュニティの設置です。AI人材育成において、内部のコミュニティ構築は有効な手法です。
- 知識や経験の共有
- 問題解決やイノベーションへの取り組み
- 所属意識やエンゲージメント向上
- モチベーション向上
- ネットワーキングやキャリア発展
など、多くのメリットが期待できるでしょう。
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外部企業等の活用
人材育成方法の7つ目は、外部企業等の活用です。外部の専門家と協力することで、教育プログラムの導入やアドバイザー雇用がやりやすくなります。AI人材育成には様々な手法がある上、育てたい職種によって必要な体制も異なるため、ゼロから作るより外部と協力し徐々に体制を築く方が、失敗のリスクを軽減できるでしょう。
AI人材育成によくある課題
ここでは、AI人材育成によくある課題として、以下の4つを解説します。
- AI人材育成プログラムの整備が困難
- 従業員にとって既存業務との両立が困難
- 実際の業務で活用できる教材が多くない
- 実践経験を通じたスキルアップが容易ではない
それでは、1つずつ解説します。
AI人材育成プログラムの整備が困難
課題の1つ目は、AI人材育成プログラムの整備が困難であることです。AI人材の社内育成を行おうとしても、必要なAI人材の数や教育方法が分からずに悩むことも多いでしょう。現状、残念ながらAI教育自体が十分に体系化されておらず、AI人材の獲得も難しいことから、適切な講師の確保も容易ではありません。
従業員にとって既存業務との両立が困難
課題の2つ目は、従業員にとって既存業務との両立が困難であることです。従業員1人1人のキャパシティを大きく超えた業務は、遂行できません。しかし、多くの場合AI人材育成に従業員を専念させることは困難で、既存業務との掛け持ちになることがほとんどです。そのため、既存業務と折り合いをつけて、両立できるようリソース配分を工夫する必要があります。
実際の業務で活用できる教材が多くない
課題の3つ目は、実際の業務で活用できる教材が多くないことです。AI教育で学んだことを現場で活用するには、企業の実際の課題に基づいたケーススタディが重要になります。ただ、現状ではAI教育の教材でそのような実例を反映させたものは多くありません。自社ですでにAI教育に役立つ事例があれば、それをケーススタディに活用することも検討しましょう。
実践経験を通じたスキルアップが容易ではない
課題の4つ目は、実践経験を通じたスキルアップが容易ではないことです。従来型IT人材は、ITに関する資格試験より基本知識の習得を、実務経験でスキルアップをそれぞれ図ることが普通ですが、AI人材においてはAI案件の実務経験が必要になります。ただ、AI案件自体が少ない上に重要度が高いケースも多いため、経験が少ないAI人材を育成目的でAI案件に挑戦させることには、抵抗があるかもしれません。場合によっては、あえてAI人材育成に特化したプロジェクトを用意することも検討しましょう。
AI人材の育成に成功した企業事例
ここでは、AI人材の育成に成功した企業事例として、以下の3つを解説します。
- メーカーA
- IT企業B
- 保険会社C
それでは、1つずつ解説します。
メーカーA
1つ目は、メーカーAの事例です。メーカーAでは10年以上前よりAI人材育成を強化し始めました。効率的に基礎知識を習得させることを目的に設置された、AI教育に特化した社内アカデミーには、約60種類の研修プログラムが用意されています。また、知識の習得に留まらず、研修やOJTを活用することで実際の業務でAIを有効活用する実践力も強化しています。さらに、情報共有や人材交流の場が整備されたコミュニティを用意することで、継続的に従業員がAIを学ぶ環境も整備しているのです。
IT企業B
2つ目は、IT企業Bの事例です。IT企業Bは、グループ企業横断でAI人材を育成するためのアカデミーを設置しました。そこでは、AI技術のアルゴリズムやビジネス利活用事例の習得、ワークショップや交流会を通じて知識向上を目指しています。また、AIに関する知見がより多くのシーンで役立てられるよう、幅広い職種に対してAIプロフェッショナルとして育成することに注力しています。今後、AI活用エンジニアを5,000名増員する計画も進めており、より一層AI人材育成に力を入れていく方針です。
保険会社C
3つ目は、保険会社Cの事例です。保険会社Cは、データサイエンティスト向けの人材育成プログラムを立ち上げ、データサイエンティストの育成に力を入れています。そこでは、AIや機械学習を活用し、保険引受の効率化や事故予防・軽減サービスの開発に取り組んでいます。ただ、保険業務に合わせて独自のアルゴリズムを運用できる人材が不足していることが課題でした。そこで、自社で人材育成を促進するため、国内の有名大学と連携し、長期育成カリキュラムを実施しています。
まとめ
今回は、AI人材育成の方法やよくある課題、さらには企業の事例を解説しました。AIの需要はビジネスでも高まっていますが、人材不足が起こっていることが現状です。人材不足解消には、AI人材育成が欠かせません。人材育成プログラムの構築や継続的学習サポートが必要ですが、必要に応じて外部の知見も活用しましょう。また、既存業務との両立は従業員にとっては決して容易ではありません。既存業務との業務配分も、AI人材育成のポイントです。実務に役立つ教材が少ない点については、他社のAI人材育成例をうまく活用していきましょう。
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