オンボーディングとは?メリットとプロセスとともに解説

2024年03月25日(月) マニュアル作成

こんにちは。マニュアル作成・ナレッジ共有ツール「NotePM」ブログ編集局です。

近年、早期退職や転職が当たり前になっており、新入従業員の教育・定着が一層大きな課題となっています。その中で注目されているのが、オンボーディングです。オンボーディングを正しく行うことにより、新入従業員は職場にいち早く受け入れられ、早期戦力化が期待されます。ただし、オンボーディングは単なる新人研修ではありません。このことを理解しないと、十分な成果は得られないでしょう。

この記事では、まずオンボーディングの意味を解説し、その後オンボーディングのメリットやプロセスについても解説します。

 

このような方におすすめです

• 新人育成を効率化したい方
• ノウハウ共有で組織力をあげたい方
• 情報整理のコツを知りたい方


オンボーディングの意味を解説

ここではまず、オンボーディングの意味について解説します。また、新人教育の現場では、OJTもよく使われますので、オンボーディングとOJTとの違いも簡単に解説します。

オンボーディングとは?

オンボーディング(on-boarding)は、「船や飛行機に乗っている」(on-board)という意味から派生した言葉です。本来は、「船や飛行機に新しく乗り込んできたクルーや乗客に対し、必要なサポートを行い慣れてもらうプロセス」を意味します。しかし、人事用語では「企業が新たに採用した人材を職場に配置し、組織の一員として定着させて戦力化させるまでの一連の受け入れプロセス」と定義できます。この記事では、以降人事用語としてのオンボーディングについて解説していきます。

オンボーディングの対象となるのは、新卒人材だけではありません。中途採用者もオンボーディングの対象になります。また、上司や同僚を含めて職場全体で新卒人材や中途採用者を受け入れるため、その過程で既存メンバーと新入りメンバーとを一つにまとめていきます。

OJTとの違い

新人教育の現場でよく聞かれる言葉に、OJT(On The Job Training)があります。オンボーディングとOJTとの違いを表にまとめると、以下のとおりになります。

OJT ・オンボーディングの一種
・実務を通じて仕事を教える人材育成手法
・実際の業務を行いながら進めるため、効率的に育成ができる
・メンターの力量に左右されがち
・即戦力前提の中途採用者は後回しにされがち
オンボーディング ・職場環境に慣れる訓練
・OJTだけでなく、座学中心のOFFJT、1on1ミーティング、ランチ、歓迎会も含む
・社内ルール等の説明を受ける

注目される背景

注目される背景には、今や終身雇用が崩壊し転職が当たり前になったことがあります。総務省統計局の調査によると、2019年の転職者数は351万人となりました。特に、「より良い条件の仕事を探すため」に転職した人は129万人となりました。いずれも、比較可能な2002年以降で過去最多です。ここで、「より良い条件の仕事を探すため」に転職できる従業員は、それだけ優秀な人材である可能性が高いと考えられます。

そのため、優秀な従業員の流出は、これまで以上に企業にとってリスクになってきています。これを防ぐためには、新たに採用した従業員を定着させる取り組みが必要です。そのための取り組みとして、オンボーディングが注目されているのです。また、社会人経験や業務経験のある中途採用者への教育は新卒従業員と比べて軽視されてきました。しかし、中途採用者の定着も図る必要があります。そのため、中途採用者向けのオンボーディングも重視されてきています。


わかりやすいマニュアルが簡単に作れるサービス「NotePM
NotePMのPDF資料をダウンロード ⇒ こちらから

オンボーディングを行うメリット

オンボーディングには、多くのメリットがあります。ここでは、企業視点と従業員視点それぞれにおいて、オンボーディングを行うメリットを解説していきます。

企業視点

企業視点では、早期退職を防ぐことが最大のメリットです。昨今は、終身雇用や年功序列の崩壊などが原因で、早期離職が増えてきています。実際に、厚生労働省が公表した「新規学卒就職者の離職状況(平成 29 年3月卒業者の状況)」によると、新規学卒就職者の就職後3年以内離職率は大卒で32.8% にものぼっています。大卒に限らず、高卒などでも早期離職は全く珍しくなくなってきました。

しかし、早期離職者が多いと、それだけ採用コストや育成コストがかかるので、企業視点では早期退職者をなるべく減らしたいと考える者です。早期退職を減らすためには、新しく入社したメンバーに実力を発揮してもらうことが有効です。この時にオンボーディングが効果を発揮するのです。また、新入従業員の早期戦力化も期待できます。さらに、部門を越え多くの関係者を巻き込んで行うので、横のつながりを強化するメリットもあります。

新規学卒就職者の離職状況(平成 29 年3月卒業者の状況):
https://www.mhlw.go.jp/content/11652000/000689481.pdf

従業員視点

従業員視点では、まず新入従業員のモチベーションアップが期待できます。これは、オンボーディングで交流を深めたり、メンターから指導を受けることにより、企業が自分に期待してくれていることがわかるからです。反対に、配属されても放置されていては、新入従業員は「自分は必要とされているのか?」と不信感を抱きます。こうなっては、早期退職は避けられません。

また、新入従業員に限らず組織全体の結束力向上も期待できます。オンボーディングの過程で活発な情報共有が行われるため、従業員同士が助け合う雰囲気が形成されるからです。さらに、それらの効果により、従業員全体で組織や仕事に対する愛着が芽生え、エンゲージメントも高まるでしょう。

オンボーディングを行うプロセス

ここではオンボーディングを行うプロセスを、ポイントともに以下の6つに分けて解説します。
・目的設定
・環境構築
・プラン作成
・プランの見直し
・実施
・振り返り

目的設定

まずは、オンボーディングを行う目的を設定します。ここでいう目的とは、「企業の風土や価値観を理解してもらった上で、企業のミッションを達成すべくどのようなスキルを身につけてほしいか、どのように活躍してほしいか」という「あるべき姿」を意味します。それぞれの企業ごとに、企業の情報や価値観、さらには求める人材も異なります。そのため、教育担当者自身が限られた期間の中でオンボーディング対象者に何を伝えたいか整理します。

また、業務知識だけでなく情報提供や価値観の共有も心がける必要があります。これにより、「あるべき姿」を言語化して正しく伝えることができます。さらに、研修だけでなく研修後の配属先での教育についても指針を立てておくことが必要です。

環境構築

オンボーディングを成功させるためには、オンボーディングに関わるメンバー同士で十分にコミュニケーションをとっていく必要があります。そのために必要なことが環境構築です。具体的には、以下の環境を構築して整備していく必要があります。
・サポート環境
・チーム内の受け入れ環境
・研修後のフォロー環境

サポート環境については、1on1制度やメンター制度に限らず、社内ポータルやSNSといったITツールの環境も含まれます。コミュニケーション方法は多数存在しますが、その中で最適な方法を選んで活用しましょう。複数の手段を組み合わせて活用すべき場合もあります。また、オンボーディングは新入従業員がチームや企業に慣れるまで継続的に行う必要があります。チーム内の受け入れ環境、研修後のフォロー環境も必要なのはそのためです。

プラン作成

オンボーディングは新入従業員がチームや企業に慣れるまで継続的に行う必要があります。ここで大切なことは、タイムラインを引いて、入社当日、1ヶ月後、半年後などそれぞれのポイントで何を達成したいか設定することです。それによって、オンボーディングの具体的なプランが明確になっていきます。取り組みが短期的か長期的か、いつどのタイミングでその取り組みを実施すべきかを意識しながらプランを立てましょう。

また、この時に「企業になじめない」、「業務内容を覚えられない」など、多くの新入従業員が悩む課題をプランに盛り込んでいくと、よりよいプランになることでしょう。

プランの見直し

プランを作成したらそれで終わりにしてはいけません。人事担当者や管理職など、オンボーディングに関わる全ての従業員と共有することで、ズレがないか見直しを行うことが必要です。プランの実施が現実的でない、もしくは目標の設定が適切でない場合は、ここで修正します。この時に、現場への理解と協力を得ることも忘れずに行いましょう。また、オンボーディングは新入従業員をチームに歓迎するために行う側面もありますので、そこを意識したプランにできるとベターです。

もちろんオンボーディングには早期戦力化の目的もありますが、既存従業員を巻き込んで、新入従業員をチームに歓迎できれば、よりオープンな文化を作ることができるはずです。

実施

プランを定めたら、いよいよオンボーディングの実施です。特にオンボーディングを導入してすぐは、オンボーディングがうまくいかなくて当たり前です。大切なことは、具体的にどの部分でうまくいかなかったか、どのような課題があったか明らかにしておくことです。そのような部分を見つけたら、関係者一人一人が記録するよう心がけましょう。

また、プランが軌道に乗るまで新入従業員はテストパイロットとなります。そのことも新入従業員に伝達しておきましょう。自社の教育体制がまだ構築中であることがわかり、新入従業員に余計な心配をかけずに済みます。

振り返り

タイムライン上のポイントを経過するごとに、振り返りを行います。振り返りでは、受け入れ側の管理職や現場従業員はもちろん、受け入れられる側の新入従業員にも意見を聞き取りましょう。施策ひとつにしても、視点が異なると見えなかった課題が浮き彫りになってくるものなので、関係者全員から意見を聞き取ることが大切です。この時、感想を言い合うだけでなく評価指標をあらかじめ設定して評価すると、振り返りの効果がより大きくなります。振り返りを行った上で改善策を立案して、次のオンボーディングにつなげましょう。


わかりやすいマニュアルが簡単に作れるサービス「NotePM
NotePMのPDF資料をダウンロード ⇒ こちらから

オンボーディングに使えるおすすめツール

NotePM

NotePM

NotePM(ノートピーエム) は、ナレッジ共有に特化した「社内版ウィキペディア」です。検索に強く、情報を整理しやすいのが特徴です。Web社内報ツールとしても、多くの企業に利用されています。

NotePMの特徴

  • マニュアル作成、バージョン管理、ファイル共有機能
  • 強力な検索機能。PDFやExcelの中身も全文検索
  • 社内FAQ / 質問箱、社内ポータルとしても活用できる
  • 銀行、大学も導入している高度なセキュリティ。安全に情報共有できる

URL: https://notepm.jp/

関連記事: 【2024年版】社内wikiツール おすすめ15選(有料・無料)

まとめ

ここまで、オンボーディングの意味やメリット、プロセスについて解説してきました。オンボーディングを適切に行えば、新卒中途採用問わず新しい従業員が早期戦力化してくれるだけでなく、既存メンバーや企業にとっても結束力やエンゲージメント向上などが期待できます。この記事を参考に、ぜひともあなたの会社でもオンボーディングに取り組んでください。なお、オンボーディングの成功には情報共有が欠かせません。おすすめの情報共有ツールを紹介しますので、そちらもご覧ください。

 

このような方におすすめです

• 新人育成を効率化したい方
• ノウハウ共有で組織力をあげたい方
• 情報整理のコツを知りたい方