SECIモデルとは?必要性やプロセス、成功させるポイントを徹底解説

2025年09月17日(水) ナレッジ共有

 

日々の業務で「情報が共有されない」「ノウハウが個人に偏ってしまう」と感じることもあるでしょう。

企業の成長や変化のためには知識の共有と活用が重要です。そこで、代表的なフレームワークとして注目されているのが、SECIモデルです。

暗黙知と形式知の相互作用により新たな知識を生み出し、組織の競争力を高める仕組みとして、ナレッジマネジメントを語るうえで欠かせません。

本記事では、SECIモデルの基本的な考え方から必要性、4つのプロセス、導入を成功させるためのポイントまでを徹底解説します。自社の知識共有を促進し、生産性向上や人材育成につなげたい方はぜひ参考にしてください。

SECIモデルとは

SECIモデルとは、一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏らが提唱した組織的な知識創造理論で、セキモデルと呼びます。SECIモデルの理論は、1995年に出版された著書「知識創造企業」で提唱されました。

個人が抱える経験・知識など暗黙知を形式知に変換し、組織全体で共有・管理、さらに新たな知識を創出するフレームワークが特徴です。

知識変換の循環は、共同化・表出化・連結化・内面化の4つのプロセスを通じて、組織内の知識創造を促進します。SECIモデルは、暗黙知を源泉として新たな形式知を生み出し、組織の持続的なイノベーションを促すフレームワークとして世界的に評価されています。

参考:
プロフィール | 野中郁次郎 – NIK
知識創造企業 | 野中郁次郎 – NIK

SECIモデルの必要性

企業が競争力を維持・強化するためには、知識やノウハウを個人に留めず組織全体で共有し、活用していく仕組みが重要です。SECIは、主に以下の3ポイントにおいて必要とされています。

  • 知識やノウハウをブラッシュアップできる
  • 人材流動化と属人化リスクに対応できる
  • 効率化や生産性向上につながる

以下では、具体的な必要性について解説します。

知識やノウハウをブラッシュアップできる

SECIモデルを組織で実践することは、知識やノウハウの継続的なブラッシュアップにつながります。

ベテランが持つ感覚的なコツといった暗黙知を対話により形式知に変えることで、属人的だったノウハウがチーム全員の共有資産となります。さらに、暗黙知と形式知の循環であるSECIのサイクルを繰り返すことで、個人の知見が組織全体で洗練されていくでしょう。

プロセスを通じて知識はより深まり、常に最新かつ最適な状態へと進化します。結果として、組織全体の知識レベルの継続的な向上につながります。

人材流動化と属人化リスクに対応できる

転職や退職による人材の流動化が激しい現代において、特定の個人にノウハウが依存する属人化は大きな経営リスクです。SECIモデルは、属人化という経営リスクへの効果的な対策となります。

ベテラン社員が持つ暗黙知をマニュアルなどの形式知に変換し組織全体で共有すれば、個人の退職や異動に伴う貴重な知識の喪失を防げます。業務が標準化され他の従業員も担当可能になるため、特定社員への負担集中を緩和できるでしょう。

結果として部署間の引き継ぎも円滑に進み、安定した組織運営が実現します。

関連記事:属人化を解消するには?業務標準化を成功に導くポイントや事例を紹介

効率化や生産性向上につながる

SECIモデルの実践は、組織全体の効率化と生産性向上につながります。従業員が持つ優れたスキルや経験を形式知として共有すれば、他の社員のスキルアップが促進されます。

たとえば、営業成績トップの社員が持つ暗黙知のノウハウを組織全体で共有し実践すると、企業全体の売上向上も期待できるでしょう。

また、形式知化されたナレッジは新人や異動者の教育コストを削減し、早期の戦力化をサポートします。個人の知恵を組織の力に変えることで、業務効率化に貢献します。

SECIモデルを知るための基礎知識

SECIモデルを理解するには、前提となる知識の捉え方や活用の枠組みを知っておくことが大切です。SECIモデルを知るための基礎知識として、以下の3点を理解しておきましょう。

  • 暗黙知
  • 形式知
  • ナレッジマネジメント

以下では、各ポイントについて詳しく紹介します。

また、ナレッジマネジメントにおいて重要な形式知と暗黙知については、以下の記事でも解説しているため、あわせてご覧ください。

関連記事:ナレッジマネジメントで重要な形式知と暗黙知とは?

暗黙知

暗黙知とは、個人の経験や勘、直感に基づいた言葉や文章、図表などで表現することが難しい知識を指します。長年の経験から培われた職人の熟練技術や、研究者のひらめきなどの直感的な洞察が、暗黙知の具体例です。

身近な例では、一度覚えれば無意識にできる自転車の乗り方や、人の顔を見分ける能力も暗黙知の一種です。知識を持つ本人も明確に意識していない場合が多く、マニュアル化して他者に共有するのが難しいという特徴があります。

SECIモデルは、価値ある暗黙知を組織の力に変えるためのフレームワークです。

形式知

形式知とは、暗黙知とは対照的に、文章や図表、数式などを用いて論理的に説明できる客観的な知識のことです。誰が見ても理解できる形で示されていることが特徴です。

組織内にある業務マニュアルや作業手順書、料理のレシピ、国が定める法律などが代表例として挙げられます。言葉や図で表現できるため、他の人に伝えやすく、組織全体で共有しやすいことが長所です。

暗黙知と形式知の関係は氷山に例えられることもあり、形式知は水面上に見えている一角に過ぎないとされています。

ナレッジマネジメント

ナレッジマネジメントとは、従業員が個々に持つ知識やノウハウを、組織全体で共有・活用する経営手法です。個人の暗黙知を形式知へ転換することで、企業全体の成長やイノベーション創出につなげます。

暗黙知を個人のものとして放置すると、業務が特定の人に依存する属人化が進み、担当者の退職時に貴重なノウハウが失われるリスクが生じます。ナレッジマネジメントを実践し、組織的に知識を管理することは、属人化のリスクを防ぎ、安定した事業継続を可能にするうえで重要な要素です。

SECIモデルの4つのプロセス

SECIモデルは、知識が個人から組織へ、組織から個人へと循環しながら進化していく仕組みを示しています。そこで重要なのが、以下のSECIモデルの4つのプロセスです。

  • 共同化プロセス
  • 表出化プロセス
  • 連結化プロセス
  • 内面化プロセス

以下では、各プロセスについて詳しく紹介します。

共同化プロセス

共同化プロセスとは、体験や経験を通じて暗黙知を他人に伝える方法です。たとえば、ベテラン従業員や職人の仕事を直接見て学ぶOJTにより、彼らが持つ技術やノウハウが新たな人材に伝わります。

共同化プロセスは、組織内の暗黙知の蓄積と伝達を促進する重要な役割を果たし、職場のOJTなどが該当することが多いです。

表出化プロセス

表出化プロセスは、個人に内在する経験や感覚、直観などの暗黙の知識を言語化や文書化し、形式知に転換することです。個人の知識が形になることで、組織内でスムーズに共有でき、他のメンバーも理解し活用しやすくなります。

表出化は、組織改革や知識創造の基盤を形成するため、重要なプロセスといえるでしょう。

連結化プロセス

連結化プロセスは、表出化によって言語化された形式知を他の知識と組み合わせ、新たな知を創出する段階です。異なる分野やプロジェクトからの知識が集められ、システム化された情報として統合されます。

たとえば、データベース内の情報を分析して新しいレポートを作成したり、複数の文書を組み合わせて包括的な事業計画書を策定したりする活動が挙げられます。

連結化プロセスは、組織に散らばる知識を再構築し、新たに価値を生み出すエンジンです。結果的に、組織全体の学習能力向上に貢献します。

内面化プロセス

内面化プロセスとは、連結化プロセスで創出された新たな形式知を各個人が自分のものとするために、実践を通じて習得するプロセスです。

たとえば、反復練習や実際の作業過程での適用などが含まれます。内面化を経ることで、学んだ知識が個人の経験やスキルと融合し、再び暗黙知となるのです。

関連記事:ナレッジ共有の天敵「暗黙知」その正体と形式知への転換法

SECIモデルに適した4つの場所

SECIモデルのプロセスを効果的に循環させるには、各プロセスを促進するための環境である「場所」の存在が重要です。SECIモデルに適した場所について、以下の4点を解説します。

  • 創発場
  • 対話場
  • システム場
  • 実践場

以下では、各場所が持つ役割と、具体的にどのような場所が該当するかを解説します。

創発場

創発場とは、休憩室やランチ会などの気軽な場であり、リラックスした雰囲気で知識交換ができる場所を指します。フォーマルな会議やプレゼンテーションとは異なり、自然な会話の中から個人の暗黙知が共有されやすく、新たなアイデア創出のきっかけとなります。

異なる部署の人々が偶発的に交流することで、予期せぬ洞察や解決策が生まれることも少なくありません。創発場は、組織内での知識創造のサイクルを促進し、イノベーションへの道を開く重要な要素となり得るでしょう。

対話場

ミーティングや会議室などの対話場は、知識共有と創造のための本格的なディスカッションを行うのに適した場所です。組織のメンバーが集まり、具体的な課題解決やプロジェクトの進行について深い議論を交わします。

対話場では暗黙知が表出化され、形式知として整理・共有されやすいです。また、異なる視点や専門知識が交差し、新しいアイデアが生まれやすい環境が整います。そのため、参加者は新たな知識を吸収し、自身の暗黙知に変換する機会を得られるでしょう。

対話を通じた知識の共有と創造は、SECIモデルの実践において欠かせません。

システム場

システム場とは、社内のシステムや、社内のSNSなど、オンライン上で従業員が互いに会話できる場所のことです。

報告書や研究結果などの異なる形式知をシステム上で組み合わせれば、新たな知識体系が創出されます。

とくに、ナレッジマネジメントツールを使えば、組織内の形式知をオンライン上で一元管理でき、情報共有も容易に行えます。

システム場は、組織が抱える知識を共有する文化を促進し、従業員の持続的な学習と組織改革に不可欠といえるでしょう。

実践場

実践場とは、新たに得た形式知を個人の暗黙知へと変換するための環境のことです。

たとえば、従業員が研修やミーティング、ナレッジマネジメントツールを通じて得た知識を、反復練習や日々の業務遂行を通じて実践します。知識を実践する過程でスキルや直感が身につき、新たな個人の暗黙知が形成されるのです。

SECIモデルにおける課題

SECIモデルは組織の知識創造を促進する理論ですが、実践は簡単なものではありません。SECIモデルにおける課題は、以下の3点が挙げられます。

  • メリットを感じない従業員も
  • 実践のハードルが高い
  • 組織に適合性がない可能性がある

以下では、SECIモデルを導入するうえで直面しがちな課題を具体的に解説します。

メリットを感じない従業員も

SECIモデルを実践するうえでの課題の一つは、知識を提供する従業員がメリットを感じにくいことです。

とくに、豊富な経験を持つベテラン従業員は、自身の経験や知識を共有するのみで、直接的な報酬や見返りが得られないと感じるからです。

苦労して得たノウハウを共有することは、個人の競争力や専門性を相対的に低下させると懸念するケースもあるでしょう。

課題を克服するには、組織が知識共有を推進することに加え、知識共有によって組織全体および個人にもたらすメリットを明確にする必要があります。

実践のハードルが高い

SECIモデルの課題の一つは、実践のハードルが高いことです。

SECIモデルの実践では暗黙知を形式知に変換し、さらに形式知を実践して再び個人のスキルとして体得する内面化のプロセスは、多大な時間と努力を要します。とくに、新たに得た形式知を実践に落とし込み、個人の経験やスキルとして身につける過程は、高いハードルとなるでしょう。

そのため、従業員は単に情報を学ぶだけではなく、反復練習や実際の業務適用を通じて、知識を自らの行動や思考パターンに組み込む必要があります。自己習得への意欲や能力には個人差があるため、SECIモデルのサイクルが途中で止まってしまう要因です。

組織に適合性がない可能性がある

SECIモデルの課題は、組織に適合性がない可能性がある点です。

SECIモデルの実践は、組織の文化や風土と深く関わっています。SECIモデルが成功するには、組織内での知識の共有と創造を促進する開かれた文化が必要です。しかし、すべての組織がこのような風土を持っているわけではありません。

とくに、情報の共有よりも個々の成果を重視する競争的な環境や、階層的で閉鎖的な組織では、SECIモデルに基づく知識共有のプロセスがうまく機能しない可能性があります。

SECIモデルを導入しようとする際には、組織の文化や風土がモデルの理念に適合しているかを慎重に評価しましょう。適合性がない場合、モデルの導入や継続的な運用において課題が生じることがあります。

SECIモデル導入を成功させるための5つのポイント

SECIモデルを組織で形骸化させず、実際の成果につなげるには、理論の理解に加え、計画的な環境整備が必要です。SECIモデル導入を成功させるには、以下のポイントを確認しましょう。

  • SECIモデルの循環を促す仕組みを作る
  • ナレッジ共有を促進する場を提供する
  • 従業員の理解と参加を促す体制を構築する
  • ITツールを導入する
  • 背景にある思想やリーダーシップの重要性を把握する

以下では、SECIモデルの導入を成功させるためのポイントを具体的に解説します。

SECIモデルの循環を促す仕組みを作る

SECIモデル導入の成功には、知識創造のプロセスを継続的に循環させる仕組みの構築が必要です。共同化から内面化に至る4つのプロセスは、一度きりで終わらせず、繰り返し回すことで初めて組織の知識資産を質・量ともに増大させます。

サイクルを持続させるため、知識共有への貢献度を明確に評価する制度や、導入前後の成果を可視化できるシステムを整備することが重要です。活動を推進するチームや個人への正当な評価が、持続的な知識創造の原動力となるでしょう。

ナレッジ共有を促進する場を提供する

SECIモデルのサイクルを活発にするには、知識の共有や創造が自然に生まれる「場」の提供が重要です。場という概念は、物理的な空間に留まらず、特定の時間やメンバー間の関係性、オンライン上のコミュニティなども含みます。

組織が知識創造の各プロセスに適した場を意図的に設計すれば、従業員間の偶発的・意図的なコミュニケーションが促進されるでしょう。活発な交流は、組織全体の知識創造力を高めるための豊かな土壌となります。

従業員の理解と参加を促す体制を構築する

SECIモデルの導入成功には、従業員の理解と積極的な参加を促す体制構築が必要です。まず経営層が知識共有の重要性を全社に明確に伝え、推進する姿勢を示します。同時に、ナレッジマネジメントを担う専門チームやナレッジリーダーを任命し、責任の所在をはっきりさせることが重要です。

導入初期は全社一斉ではなく、特定部署で試験的に始めるスモールスタートが効果的でしょう。小さな成功体験を積み重ねることで、全社的な協力体制を築きやすくなります。

ITツールを導入する

ITツールの導入は、SECIモデルのプロセスを効率化し、成功に導くうえで効果的です。ITツールは、個人が持つ暗黙知を形式知へと変換し、蓄積・活用するプロセスを加速させます。

ツールを活用すれば、部署や拠点を超えて知識やデータを統合・分析し、新しいアイデアを生み出すシステム場を構築できるでしょう。蓄積された知識を誰もが容易に検索・活用できる環境は、ナレッジの属人化を防ぎ、組織全体の知的資産を最大化します。

背景にある思想やリーダーシップの重要性を把握する

SECIモデル成功の鍵は、モデルの背景にある思想を深く理解したリーダーシップにあります。まずリーダー自身が、企業の価値はマニュアル化された形式知だけでなく、現場の個々人が持つ経験や勘などの暗黙知にあると認識することが出発点です。

リーダーの重要な役割は、従業員が自発的に知識を共有し、新しいアイデアを安心して試せる心理的安全性の高い場を育むことでしょう。失敗を恐れず本音で対話できる雰囲気を作り、何のために知識を創造するのかという共通の目的を掲げることで、メンバーの貢献意欲を引き出します。

SECIモデルを自社で活用するステップ

SECIモデルは、個人の暗黙知を組織の形式知へと変換し、イノベーションを創出する強力なフレームワークです。しかし、理論をただ理解するだけでは組織の力にはなりません。

自社で効果的に活用し、継続的な知識創造サイクルを確立するためには、以下のステップを確認しましょう。

  1. 現状の課題を把握する
  2. 目的を明確にする
  3. まずは小規模で導入する
  4. 研修・OJT・ツール導入で実践する
  5. 成功事例を社内で展開する

以下では、SECIモデルを組織に根付かせるための5つのステップを具体的に解説します。

1. 現状の課題を把握する

SECIモデル導入の第一歩は、自社の現状の課題を正確に把握することです。

企業によっては、従業員が持つ知識やノウハウなどの暗黙知を、マニュアルの形式知へ変換しきれていない課題を抱えています。「苦労して身につけた技術を簡単に教えたくない」という感情的な抵抗や、日々の業務多忙でナレッジ共有に時間を割けない状況が、主な原因として考えられます。

どのような情報を共有すべきかを見極めるため、まずは社員がどのような情報を求めているのかをリサーチすることが重要です。

2. 目的を明確にする

ナレッジマネジメントの目的を明確にすることが、SECIモデル導入の成功につながります。目的が曖昧では、収集すべき知識がわからず、活動自体が形骸化するおそれがあります。

まずは「業務の属人化を防ぎたい」「顧客対応の品質を標準化したい」などの課題から、「なぜナレッジマネジメントを行うのか」を定義しましょう。

次に、企業の事業計画と連携させて活動のゴールを具体的に設定することが重要です。計画策定にあたっては、推進役となるナレッジリーダーを立て、経営層の理解と支援を得ながら全社的に取り組む体制を構築することが成功のためのポイントです。

3. まずは小規模で導入する

SECIモデルの導入は、特定の部署や支社など小規模な範囲から始める必要があります。

いきなり全社規模でプロジェクトを立ち上げると、関係者からの過度な期待を招き、失敗に終わるリスクが高まるため注意が必要です。まずは限定的な範囲で成功体験を着実に積み重ね、実績をもとに他部署へ展開していく進め方が効果的といえます。

また、ナレッジマネジメントを推進する専門チームや、責任者であるナレッジリーダーを任命すると、活動をより円滑に進められるでしょう。

4. 研修・OJT・ツール導入で実践する

SECIモデルの各プロセスを活性化させるには、それぞれに適した「場」を整備することが必要です。共同化と内面化のプロセスでは、OJTや先輩社員との同行といった実践を通じて、経験や五感から直接学ぶ機会が中心となります。

一方、表出化と連結化のプロセスでは、ITツールの活用が効果的です。社内SNSやチャットツール、オンラインで共同編集できるドキュメント、そしてナレッジマネジメントツールなどを導入することで、暗黙知の言語化と形式知の結合を効率的に促進できます。

5. 成功事例を社内で展開する

特定部署の成功事例を全社展開することが、SECIモデルのサイクルを次の段階へ進めます。

SECIモデルは、一度きりで終わるのではなく、「共同化→表出化→連結化→内面化」のサイクルをスパイラル状に繰り返すことで、組織全体の知識レベルを向上させるフレームワークです。

特定部署での成功事例や、活動により生まれた新たなノウハウを形式知化し全社に共有します。成功事例の共有により、他の部署でも同様の成果が期待でき、組織を横断した新たな知識創造のサイクルが始まるでしょう。

SECIモデルで起こりやすい課題の解決方法

SECIモデルは知識経営において重要ですが、課題も存在します。課題を乗り越えて組織的な知識創造を成功させるには、事前に解決方法を確認しておきましょう。SECIモデルの課題解決方法は、主に以下の2点です。

  • システム構築
  • 体制整備

以下では、各解決方法について具体的に紹介します。

システム構築

システム構築は、SECIモデルで起こりやすい課題の解決方法の一つです。

具体的には、SECIモデル導入前後の成果を可視化し、プロジェクトを評価するシステムを構築します。システムを導入すれば、知識共有や新たな知識の創出活動が具体的にどのような成果をもたらしたのかを明確に示せます。可視化された成果は、組織内での取り組みの効果を示す証拠となり、従業員のモチベーション向上や、さらなる知識共有の促進につながるでしょう。

また、プロジェクトチームや個人の貢献を公正に評価し、知識共有を積極的に行う文化を育むことも可能です。システム構築は、組織全体としてSECIモデルの実践を行ううえで欠かせないステップです。

体制整備

体制整備も、SECIモデルの解決方法の一つに挙げられます。

組織内での知識共有と創造を促進するためには、体制の整備が不可欠となります。とくに、暗黙知を形式知へと表出化するプロセスを効果的に行うには、定期的なミーティング、ワークショップ、セミナーなど場を定期的に設けることが重要です。

さらに知識共有や創出へのインセンティブの用意も効果的な手段の一つです。インセンティブには、表彰制度や報酬システム、キャリアアップの機会などがあります。上記のような施策を通じて、従業員が知識の共有と創造に積極的に参加するモチベーションを高められるでしょう。

ナレッジマネジメントを効率的に行う方法

ナレッジマネジメントを効率化するには、専用ツールの活用が効果的です。

専用ツールは、情報を一元的に集約し、誰でも簡単に検索・活用できる環境を構築するために設計されています。しかし、専用ツールといっても種類が豊富にあるため、何を選ぶべきか迷う方もいらっしゃるでしょう。

そこでおすすめなのが、社内wikiのように使えるナレッジマネジメントツール「NotePM」です。


URL:https://notepm.jp/

NotePMは、組織内のあらゆる情報を一元管理し、共有を促進します。誰でも簡単に質の高い情報を作成・共有できる機能に加え、必要な情報がすぐに見つかる強力な検索機能を備えています。

さらに、万全のセキュリティ体制が整っており、企業の重要情報を安心して管理できる点も魅力です。自社に合ったツールを導入することが、効率的なナレッジマネジメントを実現する近道といえるでしょう。

ナレッジマネジメントツール『NotePM』の導入事例

株式会社パワー・インタラクティブ

株式会社パワー・インタラクティブは、ナレッジマネジメントツール「NotePM」を導入し、社内の情報共有とコミュニケーション課題を解決した事例として知られています。

導入以前は、部門ごとに情報が点在して検索性が低く、リモートワーク下でコミュニケーションが希薄になるという問題を抱えていたようです。そこで、社内ナレッジの集約と双方向のコミュニケーション実現を目指し、NotePMの導入に至りました。

全社で情報を共有するシンプルな構成で運用することで、必要な知識やノウハウに誰もが迅速にアクセスできる体制を構築しました。結果として、部門を越えたナレッジの蓄積が進み、コメントやリアクション機能が社内コミュニケーションを活性化させ、業務効率の向上につながったとされています。

関連記事:【導入事例】部門の壁を越えてナレッジを共有!リモートワーク下のコミュニケーション不足も解消するNotePMの活用方法とは? – 株式会社パワー・インタラクティブ

SECIモデルを活かして自社の成長につなげていこう

SECIモデルは、暗黙知と形式知を循環させながら新しい知識を生み出すためのフレームワークです。

単なる理論として考えるのではなく、現場の実践や組織文化と結びつけると、継続的な学びと成長を促す力を持っています。導入の際は、小さな取り組みから始め、共有の仕組みやツールを整えながら徐々に浸透させていくことが重要です。

知識を組織の資産として活かせば、生産性の向上や人材育成、さらには競争力強化へとつなげられるでしょう。