ナレッジマネジメントでよくある課題とは?うまくいかない理由と解決策を紹介

2025年09月18日(木) ナレッジ共有

 

人材の流動性が高まったことで、企業におけるナレッジマネジメントの重要性が叫ばれています。ナレッジマネジメントを浸透させるためには、従業員の意識や習慣を大きく変える必要があるため、苦戦している人も多いでしょう。

この記事では、ナレッジマネジメントがうまくいかない企業のよくある原因を解説します。ナレッジマネジメントの課題を解決する方法や、おすすめのツールも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

ナレッジマネジメントとは

ナレッジマネジメントとは、社員一人ひとりが持つナレッジを、組織全体で共有・蓄積して活用していくマネジメントの考え方です。具体的には、組織内で表面化していない個人の経験や感覚に基づく知識やノウハウを言語化して、あらゆる従業員が活用できる状態にすることを指します。

ナレッジマネジメントの仕組みを整えておくことで、従業員教育の負担が削減されたり、担当者しか知らないノウハウを共有できたりするため、業務効率化につながります。
また、業務の属人化も解消でき、組織の持続性も高められるでしょう。

ナレッジとは

社内におけるナレッジとは、ビジネスの問題解決につながる有益な情報のことです。感覚的に実行しているナレッジを「暗黙知」、言語化されているナレッジを「形式知」といいます。ナレッジマネジメントについて知るために、まずはこの2種類のナレッジの特徴について見ていきましょう。

暗黙知はそれを持っている本人しか活用できないため、業務量も問い合わせも暗黙知を持っている社員に集中してしまいます。また、暗黙知を多く持つ優秀な社員が退職してしまうと、最悪の場合は事業を正常に行えなくなる可能性もあるでしょう。

一方で、明文化されている形式知も、扱いには注意が必要です。形式知にはメールやチャットなどの一時的なやり取りに使われる「フロー情報」と、wikiページのように何度も読み返す「ストック情報」があり、それぞれ適切な手段で管理する必要があります。

形式知の管理が行き届いていないと、ナレッジが適切に活用されず、企業の生産性を高める機会を逃してしまうでしょう。

ナレッジマネジメントを行うメリット

ここでは、ナレッジマネジメントを行うメリットについて解説します。

  • 業務効率化につながる
  • 属人化を防止できる
  • 人材育成を促進できる

業務効率化につながる

ナレッジマネジメントを導入することで、業務全体の効率が向上します。ナレッジを体系的にまとめることで、必要な時に誰でも迅速に引き出せるようになるためです。

企業によっては、過去の資料や担当者の経験則に基づく情報を探すために多くの時間を費やしており、生産性を低下させる原因の一つとなっています。社内の知識を一元的に集約し、ナレッジマネジメントシステムで管理することで、従業員は情報検索にかかる時間を削減できます。

必要な情報にすぐアクセスできる環境は、従業員が本来注力すべき業務に集中できる状況を生み出し、業務効率化につながるでしょう。

属人化を防止できる

ナレッジマネジメントを行うことで、属人化を防止できます。属人化とは、特定の個人だけが専門的な知識やノウハウを持ち、業務がその人物に依存する状況のことです。

属人化が起きると、異動や退職があった場合に業務が滞るリスクが高まります。

ナレッジマネジメントで社内ナレッジを共有しておくことで、業務の属人化を防げるため、誰でも同じ質での作業が可能です。

組織全体で知識と経験をナレッジとして蓄積する体制を築くことで、予期せぬ変化にも柔軟に対応できる組織づくりに直結します。

人材育成を促進できる

ナレッジマネジメントを行うことで人材育成を促進できます。ナレッジマネジメントにより、業務マニュアルや過去の成功事例などにアクセスできる環境を整えることで、社員は業務に必要な知識を自主的に学べるためです。

また、指導担当者は社員に対して一から教える手間が省け、教育にかかる時間やコストを削減できるだけでなく、教育内容のばらつきを防ぎ、一定の質を担保できます。

結果として、教育コストの削減と人材の即戦力化を同時に実現できるため、組織の競争力の強化につながります。

ナレッジマネジメントがうまくいかない原因・課題

ここでは、ナレッジマネジメントがうまくいかない原因について6つの観点で詳しく解説します。

  • ナレッジマネジメントの目的が共有されていない
  • ナレッジが複数のツールに分散している
  • ナレッジを更新しにくい
  • 質の高いナレッジが集まりにくい
  • 従業員がナレッジを活用していない
  • 活動自体を評価するのが難しい

ナレッジマネジメントの目的が共有されていない

ナレッジマネジメントがうまくいかない理由の1つに、社員がナレッジ共有の必要性を感じていないことが考えられます。

社員個人が持つナレッジは、経験を通して苦労して手に入れた知見です。それを会社に還元してもらうには、社員自身にナレッジを共有するメリットを感じてもらう必要があります。

「新人教育を効率化でき、本業に集中できる」「各社員の失敗事例やそこから学んだナレッジを共有して、リスクマネジメントに活かせる」など、ナレッジマネジメントの目的を共有することが重要です。

解決できる課題:ナレッジ共有が浸透しない・属人化している

ナレッジが複数のツールに分散している

見つけたいナレッジがどこにあるか分からないことで、ナレッジマネジメントがうまくいっていない可能性もあります。見つからない原因でよくあるのは、ナレッジが複数のツールに分散していることです。

メールやビジネスチャット、社内ポータルサイトなど複数の手段を使い分けながら発信していると、ナレッジが探し出せず、活用しづらい状態になってしまいます。目的のナレッジを検索しやすくなるよう、さまざまな手段で発信した情報を1つのツールに集約し、一元管理する仕組みをつくるといいでしょう。

関連記事:一元管理とは?社内の情報を一元化するメリットやポイント、最適なツールを紹介!

ナレッジを更新しにくい

更新しづらい方法でナレッジを管理している可能性も考えられます。たとえばマニュアルを共有フォルダで管理していて、ファイル名が統一されていなくて最新版がどれか分からない場合、確認するのに手間が掛かるでしょう。

場所を問わず更新・閲覧できるクラウドツールでは、更新すると同時にナレッジを発信できるため、共有の手間も掛かりません。常に最新の情報へと更新できるようになり、ナレッジマネジメントを適切に行えるようになるでしょう。

解決できる課題:マニュアル作成が大変で誰も更新しない

質の高いナレッジが集まりにくい

質の高いナレッジが集まりにくい状況は、ナレッジマネジメントがうまくいかない要因となります。多くの場合、質の高い情報が集まらない原因は、社員に対してナレッジ共有の重要性や具体的な方法が十分に説明されていないことが挙げられます。

また、従業員側にとってナレッジを共有することによる直接的なメリットが理解されておらず、積極的な参加意欲が湧かないことも考えられるでしょう。

まずは、従業員に対してナレッジを共有する重要性やマネジメントシステムの使い方を解説することが大切です。そして、ナレッジを共有することで評価につながるなど、従業員がメリットを受け取れる環境も作りましょう。

従業員がナレッジを活用していない

従業員がナレッジを活用していないこともナレッジマネジメントが浸透しない原因の一つです。従業員がナレッジを活用しない背景には、必要な情報がどこにあるか分からないことやツールが使いにくいといった問題が考えられます。

特に、検索機能が使いにくいツールでは、同僚や上司に直接質問したほうが早いという状況になってしまいます。

また、従業員がナレッジに対する意識が低く活用していないケースもあるでしょう。

組織としてナレッジが活用されていないと感じた際は、従業員にヒアリングして課題を洗い出し、改善しましょう。

活動自体を評価するのが難しい

ナレッジマネジメントに取り組んでも、従業員の評価が難しいためモチベーションを維持しにくくなります。

営業成績のように明確な数字で成果が現れる業務とは異なり、ナレッジの共有や活用がどれだけ企業の利益に貢献したかを直接測定するのは困難です。

結果として、従業員が時間と労力をかけてナレッジを共有しても、人事評価に結びつかず、やってもやらなくても同じという状況になってしまいます。

ナレッジマネジメントを組織に根付かせるためには、長期的な視点を持ち、活動の貢献度を可視化するための評価指標を事前に設定しておくことが重要です。

ナレッジマネジメントの課題を解決するための5つの手順

ここでは、ナレッジマネジメントの課題を解決するための手順について解説します。

  1. ナレッジマネジメントで解決したい目的を決める
  2. ナレッジマネジメントを進めるリーダーを決める
  3. 社員に対してナレッジマネジメントの必要性を周知する
  4. ナレッジを集めやすくするための環境を整備する
  5. ナレッジを共有しやすいツールを導入する

1.ナレッジマネジメントで解決したい目的を決める

ナレッジマネジメントに関する課題を見つけた際は、まず達成したい目的を決めましょう。目的が曖昧だと、活動の方向性が定まらず、課題へ直接アプローチしにくくなるためです。

目的を決める際は、以下のように具体的な数値を盛り込み、達成の基準を設けましょう。

  • 業務の属人化を解消し、担当者不在時のリスクをなくす
  • 新入社員の教育コストを30%削減する

目的を明確にすることで、従業員も活動の必要性を理解しやすくなり、協力も得やすくなります。

2.ナレッジマネジメントを進めるリーダーを決める

ナレッジマネジメントを円滑に進めるために、プロジェクトのリーダーを決めましょう。特定の部署や担当者がいない場合、活動は自然消滅しやすく、部署間の連携もスムーズに進みにくくなるためです。

リーダーは、プロジェクトにおいて以下のような活動を実施します。

  • 導入計画の策定および関係部署との調整
  • 進捗管理
  • 導入に関する説明
  • 社員への周知の徹底
  • 環境構築

責任者が明確であることで、運用中に問題が発生した際にも臨機応変な意思決定が可能となり、プロジェクトが停滞するリスクを低減できるでしょう。

3.社員に対してナレッジマネジメントの必要性を周知する

ナレッジマネジメントの課題について、リーダーだけでなく社員にも改善の必要性を周知しましょう。ナレッジマネジメントは、一部の管理者だけでなく、全従業員の協力があって初めて成り立つ活動のためです。

そのため、なぜナレッジマネジメントが必要なのか、それによって従業員や会社全体にどのようなメリットがあるのかを丁寧に説明し、深く理解してもらう必要があります。

説明会を開催したり、社内報に記載したりするなど、さまざまな方法で繰り返しメッセージを発信することが重要です。

4.ナレッジを集めやすくするための環境を整備する

ナレッジマネジメントを推進するためには、社員がナレッジを共有する際の心理的・物理的な負担をできる限り軽減する環境を整えましょう。

具体的な投稿ルールや基準を明確に設けることで、社員は共有の際に迷うことがなくなります。また、報告書や議事録、業務マニュアルといった用途別のテンプレートを用意しておくことで、作成者の負担を減らすと同時に、情報の質を一定に保つ効果も期待できます。

さらに、優れたナレッジを提供した従業員を表彰する制度を設けたり、人事評価の項目に「ナレッジ共有への貢献度」を加えたりして、モチベーションにもつなげましょう。

5.ナレッジを共有しやすいツールを導入する

ナレッジマネジメントを成功させる上で、従業員がストレスなく直感的に使えるツールの選定が重要です。ツールが複雑で使いにくければ、従業員は次第に使わなくなり、ナレッジマネジメントの推進が停滞してしまうためです。

ツール選定の際は、直感的に操作できるシンプルな画面構成や強力な検索機能を備えていることを重視しましょう。

ツールを導入する際は段階的な導入計画を立て、まず一部の部門でパイロット運用を行い、従業員の使い勝手や業務効率への効果などを確認しましょう。

ナレッジマネジメントを浸透させるポイント

フロー情報の共有にオンラインツールを活用する

出社時はフロー情報を口頭や付箋などで伝達されることがよくあります。ですが、後からやり取りを振り返りづらく、ストック情報としてまとめるのにも手間がかかるでしょう。

ナレッジの更新作業を効率化するためにも、フロー情報の共有にはビジネスチャットや社内SNSなどのオンラインツールの活用がおすすめです。コピー&ペーストなどで更新内容を簡単に反映できるため、手間を大幅に削減できます。

テンプレートを豊富に用意する

ナレッジを共有するために、毎回一からフォーマットを作るのは大変な手間が掛かります。よく見返されるナレッジのテンプレートを用意することで、マニュアルや資料の作成に掛かる時間も手間も抑えることが可能です。

また、テンプレートがあることで、社員に対して「共有すべきナレッジは何か」を伝える効果もあります。

関連記事:【無料】業務マニュアルを簡単に作れるテンプレート15選!作り方やメリットも解説

検索性の高いツールでストック情報を管理する

ストック情報は、検索性の高いツールで一元管理するのがおすすめです。たとえば全文検索機能があるツールを活用することで、目的のナレッジを見つけやすくなります。

さらに、閲覧数が分かったり、リアクション機能があったりするツールであれば、「自分が共有したナレッジが役に立っているんだ」という実感を得られます。やりがいにつながるため、自発的にナレッジを共有する社内文化を醸成できるでしょう。

複数のツールから情報を集約できるプラットフォームを導入する

フロー情報の中から何度も見返すものを選定して更新するとなると、更新漏れが発生する可能性がありますし、手間が掛かるためナレッジマネジメントが浸透しないリスクがあるでしょう。

そうした事態を防ぐためにも、さまざまなツールと連携して、フロー情報もストック情報も自動で情報を集約できるプラットフォームを導入するのがおすすめです。ナレッジ共有の手間を最小限に抑えつつ、ナレッジを探しやすくなるので、生産性の向上を図れるでしょう。

ナレッジマネジメントを効率化するための方法

ナレッジマネジメントの運用を効率化し、効果を最大化するためには、優れた機能を持つ専用ツールの導入がおすすめです。

ナレッジマネジメントツールを活用することで、社内で属人化しやすいナレッジを一元的に集約し、全社員が必要な情報にアクセスできる環境を構築できます。

特に、おすすめしたいナレッジマネジメントツールが「NotePM」です。


URL:https://notepm.jp/

ここでは、ナレッジマネジメントを効率化するための方法として、NotePMをおすすめする理由を2つ紹介します。

  • 検索性が高い
  • 豊富なマニュアルテンプレート

検索性が高い

NotePMは、検索性が高いため業務効率化が図れます。

文書のタイトルや本文だけでなく、添付されたWordやExcel、PowerPoint、PDFといったファイルの中身まで含めて全文検索できる機能を備えています。これにより、うろ覚えのキーワードからでも関連情報を的確に見つけ出せるようになり、情報検索にかかる時間の短縮が可能です。

NotePMの検索性の高さにより、従業員は必要な情報に自らたどり着けるため、社内の問い合わせ件数の削減にもつながるでしょう。

豊富なマニュアルテンプレート

NotePMには、さまざまな業務で活用できるマニュアルテンプレートが、豊富に用意されています。用意されているテンプレートをナレッジ共有の際に活用することで、マニュアル作成にかかる手間と時間の削減が可能です。

たとえば、議事録や業務手順書、日報といったテンプレートを活用すると、フォーマットを一から作る必要がなく、項目を埋めていくだけで、質の高い文書が完成します。

また、社内文書のフォーマットが統一されることで、読む側も情報が見やすくなり、内容の理解を助けるという利点もあるでしょう。

NotePMを実際に導入した会社の事例

ここでは、NotePMを実際に導入した会社の事例を2つ紹介します。

  • 株式会社ADX Consulting
  • 税理士法人FLAGS

株式会社ADX Consulting

株式会社ADX Consulting

ERPやEPMのコンサルティングを中心とした事業を展開している株式会社ADX Consulting。同社は、蓄積されたナレッジの情報共有に課題を抱えていました。

特に、社内からの問い合わせがバックオフィスや管理者に集中し、対応に多くの時間を費やしていたのです。

社内でのナレッジ共有に関する課題を解決するためにナレッジマネジメントを検討し、NotePMを導入しました。

NotePMの導入後、多い日には半日かかっていた問い合わせ対応が、1日あたり約30分にまで削減されました。今では、情報の属人化が解消され、プロジェクトの垣根を超えて全社的にナレッジを共有できる基盤構築に成功しています。

関連記事:【導入事例】ナレッジ共有で社内問い合わせ対応工数が半日→30分に。コンサル会社の成長を支えるNotePMの活用方法 – 株式会社ADX Consulting

税理士法人FLAGS

税理士法人FLAGS

愛知県名古屋市で税理士業を請け負う税理士法人FLAGS。同社では、職員の増加に伴い社内ルールの徹底や情報の共有といった部分に課題を感じていました。

また、ナレッジの管理ツールの検索性が低く、必要な情報をすぐに見つけられないといった状況が発生していました。

同社は、情報の検索性や管理のしやすさを向上させるために、ナレッジマネジメントツールとしてNotePMを導入します。

NotePM導入後は、情報の検索性が向上し、議事録の作成・共有といった日常業務が効率化されました。現在では、情報の質も標準化され、組織全体の生産性向上につながっているそうです。

関連記事:【導入事例】新人教育の工数を5割削減!所内の情報を集約して生産性を向上させるNotePMの活用方法 – 税理士法人FLAGS(旧:税理士法人末松会計事務所)

ナレッジマネジメントの課題はツールを導入して解決するのがおすすめ

ナレッジマネジメントを浸透させるためには、従業員に目的をしっかり共有し、複数のツールに分散しているナレッジを一元管理することが重要です。検索性が高く、複数のツールと連携でき、テンプレートも豊富なクラウドツールを導入することで、ナレッジマネジメントを成功に導けるでしょう。

情報共有ツール「NotePM」を活用しながら、ナレッジマネジメントの手法を刷新してみてください。