反転学習は従業員教育にも役立つ!企業で導入された事例とともに解説

2025年01月10日(金) ナレッジ共有

“反転学習”

 

昨今、学校教育で注目度が増している学習方法が、反転学習です。反転学習は、生徒の主体性向上や知識定着に寄与すると考えられています。最近では、この反転学習を従業員教育に役立てる企業も増えてきました。

しかし、反転学習にはメリットだけでなくデメリットも存在します。また、ポイントや導入の流れを押さえないと、思うような効果は得られないかもしれません。

本記事では、反転学習の意味やメリット・デメリット、ポイントや成功事例まで紹介します。反転学習で従業員教育の効果を高めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

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反転学習の意味とは

反転学習は、従来の研修方法を逆転させた学習方法です。具体的には、受講者は事前に自宅で学習内容を動画などで予習し、授業では、その知識で問題を解いたり受講者同士で議論したりします。反転学習をより理解するための基礎知識は、以下の2つです。

  • アクティブラーニングの一種
  • 反転学習が必要とされる背景

反転学習を理解するため、順番に詳しく見ていきましょう。

アクティブラーニングの一種

「アクティブラーニング」は、受講者の主体的な学習を促す学習方法の総称です。反転学習もアクティブラーニングの一種と言えます。従来の研修では講義形式で、受講者は講師の話を聞くことが中心となっていました。一方反転学習では、授業では演習や議論がメインであり、受講者の主体的な学習を促すことが可能です。

反転学習が必要とされる背景

反転学習が必要とされる背景には、学習効果の高さがあります。従来どおり受講者が集団で、講師から受講者に一方通行で学習を行う方法では、受講者はなかなか主体性をもてません。一方で、反転学習では事前に自宅で学習し、授業では問題を解くことや議論を行うことで一層理解を深められます。アメリカ国立訓練研究所が提唱した「ラーニングピラミッド」を見ても、受講者の体験や議論など主体的な活動を取り入れた方が、より知識が定着すると考えられます。

関連記事:社員教育とは?主な手法やカリキュラム、成果を出すポイントを解説!

反転学習のメリット

反転学習のメリットは、主に以下の5つです。

  • 従業員一人一人に合わせた柔軟な学習を実現
  • 理解度の把握が容易
  • 従業員のスキルを平準化
  • 従業員間のコミュニケーションを促進
  • 教育担当者の負担を軽減

自社の課題を反転学習で解決できないか考えながら、順番に詳しく見ていきましょう。

従業員一人一人に合わせた柔軟な学習を実現

従来の集団研修では、各受講者は日々忙しい業務の合間を縫って研修に参加しますが、理解度や仕事の状況に応じて柔軟にスケジュール調整することは困難です。しかし、反転授業であれば従業員は時間場所を問わず、自分のペースで予習を進められます。従来の研修のように、受講者全員が同じ時間に集まる必要がないケースも多いため、多忙な従業員でも無理なく学習に参加できるでしょう。

理解度の把握が容易

従来の研修は研修担当者から受講者への一方通行で、各従業員の理解度を把握することが困難であることが課題でした。月刊総務オンラインにおいても、オンライン研修の課題として「効果の確認が難しい」とのコメントが上がっていました。しかし反転授業では、動画視聴後のアクティブラーニングを通して、従業員の理解度を把握しやすくなります。また、OJTと組み合わせることで、上司と部下のコミュニケーションが促進されるため、より深い学びにつながるでしょう。

出典:73.4%が対面研修のオンライン化に着手したが、うち59.0%がオンライン研修を対面に戻したいと回答|月刊総務オンライン

従業員のスキルを平準化

反転授業では、受講者全員が同じ内容を学習するため、従業員間でスキル・知識のバラツキをなくすことが可能です。これにより従業員のスキルを平準化し、属人化防止と業務品質の確保に役立ちます。また、反転授業の教育担当者は、各従業員の理解度を把握することで、適切な指導を行えるでしょう。

>関連記事:属人化を解消するには?業務標準化を成功に導くポイントや事例を紹介

従業員間のコミュニケーションを促進

反転授業は、従業員同士のコミュニケーションを活性化させる効果があります。なぜなら、反転学習では受講者同士の意見交換があるため、必然的に従業員同士でコミュニケーションを取ることになるためです。意見交換を行うことは、チームワークの向上にもつながるでしょう。特に、リモートワークでは従業員同士のコミュニケーションは少なくなる傾向にあるので、反転授業がそのきっかけになり得ます。

>関連記事:リモートワークにおける社内コミュニケーションの課題と活性化のメリット・ポイントを徹底解説

教育担当者の負担を軽減

反転授業では一度作成した動画教材を繰り返し利用できるため、作成の手間を除けば、教育担当者の負担を軽減できます。また、教育担当者が教育スキルに自信がなくても、進捗管理やアクティブラーニングに時間を確保できれば、効果的な研修を実施できるでしょう。

反転学習のデメリット

反転学習のデメリットは、主に以下の2つです。

  • 予習しないと効果が低下
  • 研修に係る負担が増加

反転学習を導入する前に、十分把握しておきましょう。

予習しないと効果が低下

反転学習は予習を行うことが前提の学習方法であるため、受講者が予習をしておかないと授業についていけなくなり、貴重な学習機会を活かしきれません。そのため、受講者が自発的に予習できる環境作りが必須です。予習の質についても、ただ動画を見るだけに留まらず、内容をしっかりと理解し、不明な点は積極的に質問する姿勢が求められます。十分に予習して授業で積極的にアウトプットすることが、反転学習の効果を高めるポイントであると、受講者に意識づけしましょう。

研修に係る負担が増加

反転学習を導入すると、研修担当者や授業の運営者には大きな負担がかかります。従来の研修とは違った設計が必要で、デジタル教材の作成や受講者の進捗管理など、新たな業務が発生するためです。システムやツール、反転学習を熟知している専門企業へのアウトソーシングを効果的に活用し、研修への負担軽減を図りましょう。

反転学習の流れ

反転学習では、まず研修の目的やテーマを明確にした上で受講者に事前課題を共有します。次に集合研修では、グループワークやロールプレイングなどを通じて、事前学習した内容を踏まえて実践的な学びに取り組みましょう。その際には、集合研修を一方的な講義ではなく、受講者が主体的に参加できるような形式にすることです。その後は必要に応じてフォローアップを行い、学習効果をより高めましょう。

反転学習のポイント

反転学習のポイントは、主に以下の3つです。

  • 事前課題後にレポート提出
  • ネクストアクションを設定
  • 事前課題に取り組みやすいよう環境作りを実施

反転学習を成功させられるように、順番に詳しく見ていきましょう。

事前課題後にレポート提出

予習の内容を定着させるには、受講者に事前課題後のレポートを提出してもらうとよいでしょう。レポートの内容を共有することで、集合研修での意見交換が活発になり講座内容への理解も深まります。

ネクストアクションを設定

反転学習の研修で学んだことを実際の業務に活かすために、具体的な行動目標(ネクストアクション)を設定しましょう。この「ネクストアクション」を共有することで、研修成果の定着だけでなく業務改善にもつなげられます。

事前課題に取り組みやすいよう環境作りを実施

反転学習では、事前課題に取り組むことが前提です。そのため、受講者が負担なく事前課題に取り組めるよう、eラーニングなどのオンライン学習環境を用意しましょう。場所や時間に縛られずに学習できることで、受講者の満足度も向上します。

反転学習の事例

反転学習の事例を、以下に2つ紹介します。

  • IT企業A
  • メディア企業B

自社でも導入できないか考えつつ、順番に詳しく見ていきましょう。

IT企業A

IT企業Aでは、新型コロナウイルス感染症の影響で全従業員がテレワークに移行し、新入社員研修もオンラインで開催しました。このオンライン研修では、反転学習を取り入れることで従来の集合研修と比較して大幅な時間短縮に成功しています。具体的には、事前に学習内容を学習者へ配信して各自で学習を進めてもらうことで、集合研修では各自の不明点を解消することに集中できました。また、Web会議システムなどを活用することで、スムーズなオンライン学習を実現しています。この事例は、オンライン研修における反転学習の効果を示すものと言えるでしょう。

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メディア企業B

メディアBでは、マネジメント層の育成を目的として反転学習を導入しました。そこでは動画視聴と対話型ワークショップを組み合わせることで、参加者全員が共通の知識を獲得した上で、意見交換を通じてさらに理解を深めることを目指しています。この取り組みによりマネジメント層の役割が明確化され、研修の質が向上したことに加えてマネージャー同士の連携も強化されました。従来の研修では解決できなかった課題を克服し、組織全体の成長に貢献した好事例と言えるでしょう。

まとめ

反転学習は従来の研修方法を逆転させた学習方法で、受講者が事前学習することを前提に、研修では問題回答や議論を中心に据える方法です。各従業員に合わせた柔軟な学習を実現できるなどメリットが大きい反面、予習しないと効果が大幅に減ることに注意しましょう。

反転学習を成功させるには、研修で学んだことを踏まえたネクストアクションの設定や、事前課題に取り組みやすい環境作りなどがポイントです。

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