文書管理とワークフロー、それぞれの概要や違いについて調べている方もいらっしゃるかもしれません。両方とも「文書を扱う」ということは共通しているものの、それぞれ役割が異なります。企業担当者は、両者の違いをしっかりと押さえて、目的に合わせたシステムを導入しなければなりません。本記事では、文書管理とワークフローの違いをはじめ、それぞれが抱える課題と対策ポイント、おすすめのシステムについて解説していきます。
関連記事:文書管理システムとは?メリットや選び方・おすすめ製品10選を紹介
目次
文書管理とワークフローの違いとは
まずは、文書管理とワークフローの違いについて説明します。
- 文書管理とは
- ワークフローとは
- 違い
それぞれ解説していきます。
文書管理とは
文書管理とは、社内に存在する様々なドキュメントを管理することです。社内の紙文書を整理するだけでなく、PCやサーバー上に存在している文書も対象となります。文書の種類には、業務に必要な紙や電子で作成したファイル、スキャンされたデータなどがあります。例えば、契約書・注文書・納品書・請求書・検収書など、業務フローで発生する帳票から、オフィスのマニュアル・手順書など様々です。文書管理では、文書の作成〜保管〜活用〜廃棄まで一連の流れを行います。
文書管理を効率よく行うためには、書類が誕生してから役目を終えるまでのライフサイクルを知り、どこにどれくらいの期間保管するのかを考え、取り組んでいくことが大切です。文書管理が扱う対象は企業の機密情報です。文書管理を疎かにしてしまうと、データ紛失や情報漏洩にも繋がりかねません。
ワークフローとは
ワークフローとは、電子文書を申請して承認するサイクルを回すことを指します。ワークフローで扱う文書の種類は、代表的なものでは稟議書や申請書など、承認が必要な書類です。申請書などは、従来は紙で申請を回すことが主流でしたが、リモートワークが浸透し電子で取り扱う文書が増え、申請者と承認者が離れた場所にいても手続きできるよう、ワークフローシステムを実装している企業もあります。
ワークフローシステムは、フォーム設計・フローの定義作成・申請書作成・承認・決裁・運用管理・システム連携など、豊富な機能を搭載しています。
違い
ここでは、文書管理とワークフローの違いについて説明します。文書管理は文書を保管することです。適切な場所に適切な期間、文書を保管します。ライフサイクルを意識して管理することが良い文書管理とされています。ワークフローとは、申請などの文書を適切なルートで承認者に回して、承認の押印をもらい文書を完成させることです。
上記の通り文書管理とワークフローは役割が違うことから、基本的にはそれぞれ独立したシステムです。簡易的な文書管理機能が搭載されているワークフローシステムもありますが、一般的に文書管理に求められる機能版管理や期限設定、全文検索などは実装されていないことがほとんどであるため、システムを選定する際は注意しましょう。
文書管理とワークフローの機能
文書管理とワークフローの、それぞれの機能について説明します。まずは文書管理の代表的な機能について説明します。文書管理の機能には、文書の登録・表示・ダウンロード・検索・バージョン管理・リンク・プロパティー項目のカスタマイズ・自動削除・アクセス権などのセキュリティ設定など、様々なものがあります。
次に、ワークフローの機能を説明します。ワークフローは、文書の申請・承認・公開の3つが基本です。申請するための申請フォームの作成とテンプレート化、事前承認者など、細かな設定も可能です。また電子印を登録する機能もあります。
このように、文書管理とワークフローは似ているように思えますが、備えている機能にもそれぞれ違いがあります。
文書管理とワークフローそれぞれの課題
文書管理とワークフローのそれぞれの課題について説明します。文書管理システムの課題としては、基本的に書類を自動で動かせないことです。ワークフローのように、フローにのせて回すことはできません。また、文書管理システムに登録しているファイルを取り出して、ワークフローに回そうとしても、いくつかの操作が必要です。
例えば、格納しているファイルを取り出して、上司へのメールファイルに添付する、確認が終わったらメールで返送されダウンロードし、今度は承認者に連絡する、承認が終わったらそのファイルを保管のために文書管理システムに再登録する、などいくつものステップが必要です。承認フローに関わる人が増えれば、連絡する相手も増えてしまいます。
ワークフロー側にも課題があります。ワークフローが完了した文書を保管するには、手動で文書管理システムなどに格納しなければなりません。単純に登録するのではなく、セキュリティのためにワークフローシステムと同じアクセス権を、文書管理システムにも振る必要があります。アクセス権の作業を怠ると、見えてはいけないファイルが他の人に見えてしまうなど、情報漏洩のリスクにも繋がりますので、注意しなければなりません。
文書管理とワークフローはお互い課題があり、それぞれがスムーズに連携すれば解決できることも多いでしょう。
関連記事:リモートワークで実施すべきセキュリティ対策とは?具体的なトラブル事例も紹介
ワークフローで文書管理を行うためのポイント
ワークフローで文書管理を行うためのポイントとして、以下5点を説明します。
- 目的設定
- 文書の洗い出し
- 対象文書のライフサイクルの理解
- 共通のアクセス権設定
- 両方搭載のサービス利用
それぞれ解説していきます。
目的設定
ポイントの1つ目は、目的設定です。何のために文書管理とワークフローを連携させるのかを、事前に考えていく必要があります。例えば「稟議書の申請から承認の手間を効率化させたい」「文書誕生からフローに載せて、最終的に保管するまでの一連のサイクルをしっかりと管理したい」など、それぞれの目的があるでしょう。自社に合わせた連携目的を、しっかりと定めることが大切です。
文書の洗い出し
ポイントの2つ目は文書の洗い出しです。文書管理とワークフロー両方に必要な文書として何があるか、どれくらいの数存在するか、処理量はどれくらいかを洗い出しましょう。文書管理とワークフローは連携するために時間とコストがかかります。文書の洗い出しをせずに連携した場合、稼働した後で「実は処理量が少なかった」「連携する必要がなかった」などと連携機能を使わなくなるかもしれません。連携する際には文書を洗い出すこと、しっかりと中身を把握することが大切です。
対象文書のライフサイクルの理解
ポイントの3つ目は、対象文書のライフサイクルの理解です。無駄のないフローを回して、必要な期間管理するためにも、ライフサイクルをしっかりと理解することが大切です。文書には、誕生してから保管し、役目を終えるまで一連のサイクルがあります。すべての文書が同じではなく、申請書・注文書・請求書・マニュアルなど、文書の種類によって、ライフサイクルが全く異なります。
文書管理とワークフローを連携させる際には、扱う文書のライフサイクルには何があるのかを知り、具体的にどのような処理がどれくらいの期間行われるべきか考えることが大切です。
共通のアクセス権設定
ポイントの4つ目は共通のアクセス権設定です。文書管理とワークフローで扱う文書には、同じアクセス権を設定する必要があります。例えば、ワークフローシステムで文書を確認したメンバーが、文書管理システムでも同じ文書を参照できるように権限を付与することがあります。それぞれのシステムでアクセス権限が異なると、必要なファイルが見られなかったりするころや、逆に見てはいけない人が閲覧できてしまうなどの情報漏洩にも繋がりかねません。2つのシステムで、共通のアクセス権限を与えるようにしましょう。
両方搭載のサービス利用
ポイントの5つ目は両方搭載のサービスを利用することです。文書管理システムとワークフローシステム、2種類とも機能は豊富ですが、お試しで始めるにはコスト面でハードルが高い場合もあります。
文書管理システムとワークフローシステム、どちらも導入してみたいけれどコストが高くて導入に踏み切れない、という場合には、両方搭載されているサービスを利用することもおすすめです。安価に利用できるサービスもあるため、本記事で紹介するおすすめのサービスを確認してみてください。
関連記事:【2024年版】リモート勤務におすすめのアプリ21選を機能別に徹底比較!
文書管理とワークフローの両方を搭載するおすすめサービス6選を比較
ここでは、文書管理とワークフローを搭載するおすすめのサービスを紹介します。
DocuWorks
DocuWorksは、富士フイルムビジネスイノベーション社製の文書管理ソフトウエアです。WordやExcel・イメージなどを一括してDocuWorksというファイル形式に変換して使います。まるで机の上にあるかのようにファイルを並べて、重ねて束ねる・ばらす・文字を書く・付箋を貼る・バインダーに綴じる、など様々なハンドリングができます。オプションのトレイ機能を使えば、デスクトップにトレイの画像が表示され、そこに文書を置くと自動的に上司に通知されるなど、簡易ワークフローとしても使えます。
DocuWorksの特徴
- WordやExcelなどをプリンタードライバーを使って同じ形式に変換
- ワークフローにも使える電子印対応
- 60日間無料で使える体験版有
URL: https://www.fujifilm.com/fb/product/software/docuworks
PROCENTER/C
PROCENTER/CはNECグループが提供する企業間・部門間で情報共有するためのプラットフォームです。文書管理・情報共有の役割を持っており、セキュリティの高い環境で文書をやり取りすることが可能です。機密情報管理、社内・社外のデータ共有、APIを用いた他システムとの連携も可能にし、新たなシステム導入のコストを削減できます。文書公開と同時に承認してワークフローとして使うことも可能です。
PROCENTER/Cの特徴
- セキュリティと利便性を共有
- 属性検索・全文検索が可能
- 承認・改版の履歴を全て記録
URL: https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/sl/procenter/index.html
ASTRUX 2.0
ASTRUX 2.0は様々な形式の文書を効率よく管理できる文書管理ツールです。オフィス文書だけでなくISO文書にも対応しており、誰が・いつ・何をしたというログ管理機能も搭載しています。フォーム申請機能や申請ルートも保存可能で、ワークフローとして使えます。AD連携、グループウェア連携によりシームレスにログインできるという、シングルサインオンも実現可能です。
ASTRUX2.0の特徴
- iPhoneやiPadからも申請承認可能
- PDFやDocuWorksファイルの持ち出し制限機能搭載
- オンプレミス版と初期投資なしのSaaSも用意
楽々Document Plus
楽々Document Plusは、複数のファイルを1つの文書にまとめてフォルダーに保管することができる文書管理・情報共有システムです。オフィス文書以外にも契約書・ISO文書・ペーパーレス化・e文書法対応など、幅広く活用できます。特徴としては文書の属性項目として、日付や作成者などの情報を設定できることです。タイトルや登録日時などの関連する情報を、ファイルに紐づけて保管することもできます。
楽々Document Plusの特徴
- エクスプローラー風のフォルダー階層管理が可能
- 属性情報のみの入力で文書登録も可能
- 充実した機能と検索性の高さを実現
URL: https://sei-info.co.jp/document-plus/
Documal SaaS
Documal SaaSは、富士通社が提供する、文書管理・ワークフロー機能が充実した、クラウドサービスの文書管理システムです。いつでもどこからでも利用できるというクラウドの強みを活かしています。文書のライフサイクルをルール化できるため、業種を問わず文書管理も行えます。導入すれば社内の情報活用の促進、業務効率化アップにもつながるでしょう。同製品は25年にわたる豊富な導入実績を持っています。
Documal SaaSの特徴
- かゆいところに手が届く機能
- 文書サイクルの自動化を実現
- 1ヶ月の無料トライアルが可能
URL: https://www.fujitsu.com/jp/group/fsit/services/pkg/documal-saas/
文書デザイナー
文書デザイナーは、ユニオンシンクが提供する文書管理を徹底するツールです。版管理や文書間のリンク機能など、文書管理に必要な機能を多く搭載しています。修正された文章は、利用者は意識しなくとも常に最新版を閲覧することが可能です。改訂の情報を管理者が確認できるため、何かしらの理由で過去の履歴を閲覧したい場合、履歴の参照と遡った検索も容易に行えます。承認が必要な文書に対して、申請・承認フローを回すこともできます。
文書デザイナーの特徴
- アクセス権を参照権限・改訂権限など細かな設定が可能
- 管理文書を自動でPDF変換
- 自動で文書体系図を更新するためメンテナンス不要
まとめ
本記事では、文書管理とワークフローについて解説しました。文書管理システムと、ワークフローシステムは、それぞれ役割も強みもはっきりと分かれています。連携することでよりお互いの強みを強化して、組織の発展を向上させます。連携させたいけどハードルが高いという方は、まずはどちらも搭載されているシステムから使ってみてはいかがでしょうか。
NotePM(ノートピーエム) は、Webで簡単にマニュアル作成できて、強力な検索機能でほしい情報をすぐに見つけられるサービスです。さまざまな業界業種に導入されている人気サービスで、大手IT製品レビューサイトでは、とくに『使いやすいさ・導入しやすさ』を高く評価されています。
NotePMの特徴
- マニュアル作成、バージョン管理、社外メンバー共有
- 強力な検索機能。PDFやExcelの中身も全文検索
- 社内FAQ・質問箱・社内ポータルとしても活用できる
- 銀行、大学も導入している高度なセキュリティ。安全に情報共有できる
URL: https://notepm.jp/