上手にまとめられた議事録は、結論や議論の経緯が明確になっていることから業務の遂行を円滑にし、業務効率化に大きく貢献します。上手な議事録があれば、決定事項、問題点の解決方法、業務の進捗状況などを会議の参加者や不参加者であっても関係者全員が簡単に共有できます。
そのため議事録は、ただ会議で話し合われたことが羅列されているのではなく、項目を整理し要点だけを抜き出して、誰が見ても容易にわかるように作成しなくてはなりません。そこで今回は、議事録の意味や作成の目的から上手にまとめるコツ、ツールを使うことのメリット・デメリットなどについて解説します。
WEB上で簡単に議事録の作成・管理を行えるツール「NotePM」
目次
議事録を作成する意味と目的を知る
議事録を簡単に定義すると、「会議で話し合った内容を書面に記録する」ことです。しかし、実際には会議で話し合われた内容をただ書面に記録するだけでは議事録の目的を達成できません。例えば会議では、同じ内容が異なる表現で発言されたり、会議のテーマから外れた意見が発言されたり、同じ人でも最初と最後で意見が異なったりします。
そのため時系列で発言を記録しただけでは、議論の経緯や場合によっては結論もあいまいな議事録になってしまい、会議に参加していない人はまったく理解できず、参加者も混乱してしまう可能性があります。また、話し言葉は主語が省略されたり、思いつくまま発言する人もいるので、あいまいな表現になったりします。それをそのまま議事録にすると、意味が取りにくい議事録しか作成できません。このような議事録にならないようにするには、基本的なことですが議事録の意味と目的をまず正しく理解しておかなければなりません。
議事録を作成する意味と目的
議事録を作成する意味と目的は、「会議で議論された論点と結論が短時間で把握できるように議論内容を記録・伝達して共有すること」です。これにより、関係者の全員が会議で議論された内容と結論に沿って業務をスムーズに遂行できます。議事録に必要なことが記載されていると、議論の経緯が明確で、「会議で伝えたはず」「それは言っていない」といった水掛け論によって責任の所在があいまいになることもありません。また、同じテーマで会議が継続されるときに前回までの会議の内容が把握できるので、長々と前回会議のおさらいをする必要がなくなり、会議時間を短縮できます。
議事録作成の目的と重要性をより詳しく知るには、こちらの記事『今さら聞けない議事録の目的と重要性を再確認しよう!』を参照してください。議事録作成の目的、重要な理由、議事録の目的を達成するために必要な議事録の要件などについて解説しています。
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議事録を書く側、受け取る側、それぞれが知っておきたいポイントとは?
会議の参加者・不参加者のどちらが見てもわかりやすく業務を進めていける議事録を作成するにはどうすべきでしょうか。議事録を書く側と受け取る側が知っておきたいポイントについて説明します。
議事録作成者が知っておくべきこと
会議のテーマと結論を一目でわかるようにする
会議のテーマ(論点)と結論が明確に記載されていなければ議事録の意味をなしません。何について話し合われた会議なのか、話し合った結果、どういった結論が出たのかを一目でわかるように記載します。
結論に至るまでの経緯もあわせて記載する
結論が出るまでの経緯をわかるようにすることも重要です。特に不参加だった人にとっては、もし結論に納得がいかなかった場合、その後の業務でトラブルに発展してしまう可能性があります。そのため、なぜその結論に至ったのか、反対意見があった場合、その反対意見に対して結論に至った理由が何であったのかなどをわかるように記載することが必要です。これにより参加者、不参加者全員が結論を受け入れて業務を進められます。仮に、納得がいかないことがあっても会議で話された経緯をもとに議論ができるため、同じ話の繰り返しになってしまう無駄をなくせます。
未確定事項も漏らさず記載する
基本的に、会議の最大の目的は設定されたテーマについて結論を出すことです。しかし、予算、人手、アイデアなどの不足や、会議の時間の制限など、さまざまな事情によって1回の会議では結論が出ないことも少なくありません。また、結論に至ったとしても、会議中に新たな問題が発生することもあります。議事録には、こうした未確定事項も忘れずに記載しなくてはなりません。
次の会議で話し合うテーマもあわせて記載する
1回で終わる会議では不要ですが、継続して開催される会議では、会議の結果を踏まえて次回の会議で話し合う内容を議事録に記載します。これにより、特に会議に参加できなかった人が事前に次回会議の準備をすることができて、効率よく会議を進められます。
議事録を受け取る側が知っておきたいこと
議事録を受け取る側は、結論を確認して、その結論がどのような経緯で決まったのかを把握する必要があります。特に、業務計画や目標に関する会議では、以下の2点をしっかり確認します。
1.成果を示す数字、進捗状況の確認
現時点でどの程度の成果が出て、どの程度まで進んでいるのか、定性的な表現ではなく具体的な数字を確認します。定量的な数字で把握しないと誤った判断をする可能性があります。
2.誰がどういった発言をしたか、どういった疑問が出ているのかを確認
原則として、誰の発言であるかが記載されているので、特に社外の人が会議に参加したときは、発言者の名前を必ず確認しましょう。それは、社内から出た意見なのか、社外の人の意見なのかによって発言内容の重みが大きく変わる可能性があるからです。また、社外の人からの疑問が出ていれば、できるだけ早急に回答を用意しなければならないので、この点も確認する必要があります。
わかりやすい議事録を作成するためには会議の目的を知って、その目的に従った議事録を作成する必要があります。会議の目的には大きく分けて、「意思決定とその経緯を明確にする目的」「決定した事項を遂行するための計画を作成する目的」「アイデアの収集や創出目的」および「周知事項の報告、連絡、共有目的」があります。これらの目的を踏まえたうえで、議事録を作成してください。なお、議事録作成のコツについて、こちらの記事『上手に議事録を作成するために押さえておきたいコツ』で紹介しています。参照してください。
伝わりやすい議事録を作成するうえで必要な項目と注意点
伝わりやすい議事録を作成するには、人の話を聞き、理解したうえで要点を絞り、不参加者にもすぐにわかるようにまとめる力が求められます。この力はビジネスに必要な基礎力につながるため、マネージャーは新人もしくは早く成長をしてほしいと期待を込めた社員に議事録作成を任せるケースがあります。その場合、事前にマネージャーは以下の議事録作成のポイントを指導しておきましょう。
議事録に記載する基本項目
どのような会議の議事録であっても、記載すべき基本的な項目があります。以下の項目は少なくとも議事録には欠かせない項目です。
会議名・開始日・開催場所・開始と終了の時間
いつどこで行われた会議なのか、そして会議の名称を記載します。
出席者名
会議の出席者全員の氏名を記載します。もし、複数部署からの参加であれば部署名と氏名、部署内の会議なら氏名だけです。取引先企業が参加した会議では、会社名、部署、役職、氏名を記載します。役職名がわからない場合は、会議後に確認します。記名順は、社外の人から社内の順に役職の高い人から記載します。議事録作成者名は最後に記載します。
会議のテーマ・目的・論点
何のために行われている会議なのか、会議のテーマ、目的、論点をわかりやすく簡潔な表現で記載します。
会議の議論の概要
会議全体の流れが把握できるように議論の要点を発言者の氏名を明らかにして記載します。
質疑応答内容
質疑応答は、会議の議論に含まれますが、会議に参加できていない人にとって会議の結論がどのような経緯で決まったのかを明確にできるので、わかりやすく記載することが必要です。
決定事項・未決定事項
会議で決定した事項、未決定事項が明確にわかるように議事録の最初に記載します。
次回開催が必要な場合、予定日時
会議が1回で終わらないときは、次の開催日時が決まっている場合は必ず記載します。また、次回会議のテーマの予定を書いておくと、特に会議に参加しなかった人に役立ちます。
配布先部署名
議事録を配布する部署名を記載します。
議事録作成時の注意点
議事録の作成は以下の注意点を押さえて作成すると失敗を少なくできます。
主語、述語を明確にし、作成者の主観を排除する
議事録は、誰がどのような発言をしたのかが重要な意味を持つことが多くあります。そのため、主語(発言者の氏名)と述語を必ず記載すると発言内容を明確にできます。また、議事録は発言者の内容を議事録作成者の主観を入れて記載しないようにしなければなりません。議事録作成者も会議の参加者ではありますが、主観を排除し、客観的な視点で記載しましょう。ただし、参加者として自分の意見を発言したとき、その内容は議事録に記載できます。
発言内容は短くまとめた要旨を記載する
発言は話し言葉のため、場合によっては冗長なことが多く、そのまま記載すると意味が通じにくくなります。発言のなかの重要な箇所を抜き出し、発言全体をコンパクトにまとめなければなりません。また、「あれ、それ」などの指示語は発言内容から具体的な内容が何かを理解して置き換えて記載します。会議に参加している議事録作成者は、その場にいるため理解できていますが、会議の不参加者は理解できません。読み手が理解できることを意識して書くように注意します。
画像、音声を念のため記録しておく
重要な会議では、発言者の意見や論点をあいまいにすることを避けなければなりません。そのため、必要に応じて、カメラやICレコーダーを活用して記録し、議事録を書くときにメモと併用することで正確な内容の議事録を作成できます。
議事録の作成・配布はできるだけ早く
議事録は、特に会議に参加できなかった人にとって、業務を遂行するうえで判断基準がわかり、業務の優先順位を決めるために欠かせません。そのため議事録の配布が遅れると、判断ミスや業務遂行に支障を起こす可能性があります。遅くとも会議終了の翌日の午前中までには作成、配布ができるようにすることを心がけます。
作成された議事録を有効活用するには、議事録に必要な項目を漏れなく記載することが最も重要です。「議事録に記載する基本項目」や「議事録作成時の注意点」については、「議事録を作成するうえでの必要な項目とは?」の記事でも紹介しています。
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上手に議事録を作成するためのポイントとは?
議事録に必要な基本項目と作成時の注意点を紹介しましたが、さらに議事録の内容を誰が見ても理解できるように作成するには、以下のポイントを押さえておきましょう。
事実として話されたこと、仮定や推測で話されたことを同列に記載しない
会議では、これまでの実績や経緯などの事実が発言されることもあれば、将来的な予測、希望的観測なども発言され、事実と仮定や推測がわかりにくい場合があります。会議に参加していると、発言の前後関係から事実か、仮定や推測かが理解できます。しかし、議事録では、発言内容の枝葉末節が削除され要点のみが記載されると、会議の不参加者には、事実と仮定や推測を混同してしまうリスクが生じます。これによって、例えば実現が難しい数値目標を現実の目標と勘違いしてしまうといったことも起こりかねません。そこで、事実と仮定や推測は区別して記載するように注意します。
5W1Hを可能な限り明確にする
議事録を読む人に伝わるように書くには、ビジネス文書を書くときとの基本とされる5W1Hをより強く意識して書くように注意します。5W1Hとは「Who(誰が)」「When(いつ)」「Where(どこで)」「What(何を)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」のことです。この5W1Hをどのような順番で記載するかによって議事録を読む人の理解を速められます。必ずしも絶対ではありませんが、一般的には以下の順番で記載すると、理解されやすくなります。
まず、「When、Where」を書き、次に「Who、What」を書きます。最後に「Why、How」で締めくくります。この順番は、議事録を読む人が、まず状況を理解し、その状況のなかで何が起きたのかが明確になって、最後の理由で納得できる流れです。例えば、最初に「Aが事故を起こした」といきなり表現されても、多くの人は「いつ、どこで、なぜ」と疑問が浮かびます。しかし、「○月○日、自宅近くでAが事故を起こした。原因は脇見運転であった」とすると、読み進めるだけで状況が理解できます。これが「Aが事故を起こした。場所は自宅近く。原因は脇見運転。事故は○月○日」だと、最後まで読まないと結果、状況、原因を理解できないので読み手はストレスを感じ、内容の理解が遅れたり、弱まったりするでしょう。
フレームワークを活用する
5W1Hも文章をわかりやすく論理的に書くためのフレームワークのひとつですが、そのほかにも論理的な文章の書き方や思考法のフレームワークが多くあります。これらのフレームワークを、5W1Hを意識して議事録の目的によって使い分けるとさらにわかりやすい議事録が作成できます。フレームワークには「FOCEP」「CREC」「PREP」「空・雨・傘」「ピラミッドストラクチャー」「ロジックツリー」などがあります。ここでは、そのなかから「FOCEP」と「空・雨・傘」について概要を簡単に紹介します。
FOCEPフレームワークとは
このフレームワークは会議中での発言を重要度別に分類して記載するために使います。「FOCEP」のFは「Fact:事実」とPは「Plan:計画」のことで重要度の高い内容です。そのためこの発言内容は議事録に必ず取り上げて記載しなければなりません。次に重要度が高いのは、Cの「Cause:原因・仮説」とEの「Evaluation:評価」です。この2つは、議論を進めて、結論が導き出されるまでの流れを把握するための重要な情報となるため、FとPの補足として、漏れないよう議事録に記載します。最後のOの「Opinion:意見」は、発言者の主観や感想にすぎないものであることが多いため、一般的に重要度はそれほど高くありません。このように発言を重要度別に分類すると議事録を書くときにわかりやすい構成にできます。
空・雨・傘フレームワークとは
このフレームワークでは、事実認識をし、その事実に対する解釈をして、判断(結論)を導き出すときのために使います。「空は曇っている」という事実認識から、「雨が降りそうだ」という事実から推測できる解釈ができるとき、「傘を持って出かけよう」という判断(結論)が導き出せます。このフレームワークは、用語を知らなくても通常誰もが問題解決のときに使っている思考方法です。しかし、このフレームワークを意識して使うことでわかりやすい議事録を作成できます。これを議事録に応用するには、まず「空」である事実認識を正確に書きます。例えば、現時点での「空」が売上の数字、あるいは計画に対する進捗状況などと仮定します。次に、「空」の状況の事実認識をもとに、景気悪化が見込まれるため、収益が減少しそうである、あるいは景気が底をついたのでこれからは上向きになりそうだなど、次に起こるべきことを「雨」として予測します。そして、予測(解釈)したことにもとづいて何をすべきかという判断(傘)が、実現(商品の増産体制を強める)、もしくは回避(経費節減対策を講じる)などになります。このような思考方法で議事録を作成すると問題解決の方向が明確にわかります。
議事録をフォーマット化することのメリットとデメリット
議事録作成時の注意点でも触れたように、議事録は会議終了後、できるだけ早く作成し、配布する必要があります。しかし、どんなに早く作成された議事録であっても、異なる形式で毎回書かれていると読み手にとってはわかりにくいものになってしまいます。そこで、早さと読みやすさを兼ね備えるための方法として、おすすめしたいのが議事録のフォーマット化です。
議事録をフォーマット化することのメリット
議事録をフォーマット化することのメリットは大きく2つあります。1つめは、いつも同じ形式で作成されるため、読み手にとって読みやすいことです。前回の議事録では結論が最後だったのに、今回は中間部分に書いてあるといったことがなくなります。
2つめは、すでにできあがっているフォーマットに必要事項を記載するだけなので、短時間で完成させられることです。毎回、作成するたびにどういった形式で書くかを考える時間がなくなることで、作成するまでの時間の短縮が可能です。
議事録をフォーマット化することのデメリット
読み手と書き手にとってもメリットの多い議事録のフォーマット化ですがデメリットも存在します。それはフォーマットに縛られすぎてしまうことです。会議はそのテーマによっては結論が必要ですが、経過報告だけで結論は必要としないこともあります。そのため会議によって、時系列で記載したほうが伝わりやすい場合や結論を書いたうえでその経緯を記載したほうがよい場合があります。常にフォーマットに忠実に記載しようとすると会議のテーマによっては読みづらい、わかりづらい議事録になりかねません。これを回避するには会議のテーマ別にいくつかのフォーマットを用意して柔軟に使い分けるようにすることです。
テンプレートの例については、『会議議事録の書き方(文例とテンプレート) | NotePM』の記事で会議議事録のポイントとともに紹介していますので参照してください。
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議事録管理にツールを使うメリット・デメリット
議事録を早く読みやすいものにするもうひとつの方法として議事録作成ツールの活用があります。ツールには、あらかじめ多くのテンプレートが豊富に用意されていたり、複数人で同時編集ができたり、マルチデバイスでパソコンだけではなくモバイル端末からの編集、閲覧ができたりします。これらのさまざまな機能を使うことで、議事録を早く正確に作成できます。また、作成された議事録を共有し、議事録の内容の全文検索ができるため活用も容易です。また、アクセス権限機能で特定の議事録の閲覧制限や職位、雇用契約の違いによる閲覧制限もできます。
議事録作成ツールの種類、機能について、こちらの記事『【2024年版】クラウド議事録作成ツール・サービスおすすめ11選(無料あり)』で解説していますので参照してください。
議事録作成の目的を常に意識することが重要
議事録は、参加者、不参加者に対して会議内容を過不足なく伝えることが重要です。そのためには、議事録作成の目的を常に意識しなければなりません。しかし、意識しすぎて議事録の内容の精査に時間をかけすぎて作成が遅くなっては意味がありません。
ミーティング程度の重要度の低い会議では議事録の作成も簡単なので当日中の配布を、経営会議や新規事業の打ち合わせといった重要な会議では内容を吟味した議事録になるため作成に時間がかかりますが、その場合でも翌日には配布できるようにすることが理想です。正確でわかりやすい議事録を早く作成するには、まず議事録のフォーマット化を行い、さらに議事録作成ツールを活用することが必要です。議事録を有効に活用するためにも議事録作成ツールの検討をおすすめします。