社内サーバーについて、このままオンプレミスで使い続けるか、それともクラウドにした方が良いのか、考えているご担当者もいらっしゃることと思います。クラウド化すれば場所に捉われない働き方の実現や災害対策にもなるでしょう。しかし安易にクラウド化すると、想定外のコストがかかることもあります。従来のオンプレミスのままで使い続けるメリット・デメリットと、クラウド化するメリットを正しく把握した上で導入することが大切です。
本記事では、社内サーバーの基礎知識と課題、オンプレミスで使い続けるメリット・デメリット、クラウド化にするメリットについても解説していきます。
目次
社内サーバーとは
まずは、社内サーバーについて解説します。社内サーバーとは、社内環境に設置し、運用するサーバーのことです。情報システム部などのサーバーを管理する部門がサーバーを設置して、必要なアプリケーションなどを導入していきます。社内サーバーにはいくつか設置場所があります。オフィスフロア・サーバールーム・データセンター・クラウドサービスなどが挙げられるでしょう。社内サーバーは減価償却の対象と国税局で定められています。ハードウェアは6年、サーバーに導入されているソフトウェア・アプリケーションは5年と定められており、その期間毎に買い直さなければなりません。
自社でサーバーハードウェアを管理している場合は、5年〜6年ごとにシステム更改のための設置・移行作業に追われてしまいます。そのため、近年は社内サーバーのクラウド化に注目が集まっています。クラウド化とは、クラウドサービス提供会社が管理する仮想サーバーを利用するため、更改作業に追われることも従来のオンプレミスに比べて少ないでしょう。
社内サーバーにおける課題
社内サーバーにおける課題について、以下4点を解説します。
- 柔軟な拡張が困難
- リモートワークへの対応
- 運用保守
- BCP対策
それでは、1つずつ解説していきます。
柔軟な拡張が困難
1つ目の課題は、柔軟な拡張が困難なことです。
システム稼働中に、メモリやCPUなどのシステムリソースが足りなくなり、追加が必要になることがあります。その際は拡張を検討しますが、物理ハードウェアの社内サーバーは、基本的に拡張することが困難です。マザーボードに追加できる空きがあるか確認する必要がありますし、追加するための部品の取り寄せ、入れ替える時間システムをとめなければなりません。
このように、オンプレミスの拡張は費用も期間もかかるため、設置時に最大利用量を想定したスペックで構築することが多いです。仮想サーバーとして運用している場合でも、ゲストOSが増えて、メモリが枯渇してしまうケースも多いです。そのような状況になると、使わないゲストOSをシャットダウンするなど、運用で回避する必要があります。オンプレミスは基本的に柔軟な拡張が困難であり、クラウドサービスのような柔軟な拡張ができる環境利用への注目が高まっています。
リモートワークへの対応
2つ目の課題は、リモートワークへの対応です。
社内ネットワーク環境に限定したサーバーをリモートワーク環境から接続するためには専用のVPN回線を引く必要があり、コストも手間もかかります。また、近年では、VPNの脆弱性をついたサイバー攻撃も増え、安全とは言い難い状況のため、システム担当部門を中心に課題を感じています。高いセキュリティ対策を保ちながらリモートワークに対応する方法として、従来の社内ネットワークを利用するオンプレミスではなく、社外ネットワークを前提としたクラウドサービス活用が注目されています。
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運用保守
3つ目の課題は、運用保守です。
システム管理者は、社内サーバーで日々発生するメンテナンス作業に追われて、負担を感じている方も多いと思われます。たとえば、定期的なOSアップデートなどの社内サーバーのメンテナンスもありますし、社内のシステム利用者の増減に対応するためのアカウントの追加・削除作業も発生するでしょう。また、セキュリティ対策を強化するためにも、ウイルス対策ソフトウェアの更新やネットワーク設定の見直しなどの作業があります。システム管理者は、日々メンテナンス対応に追われています。
BCP対策
4つ目の課題は、BCP対策です。
地震や火災などでオフィスが被災した場合、オフィス内に設置してある物理サーバー自体が故障・破損してしまう恐れがあります。近年では、いつどこで災害が発生してもおかしくない状況のため、サーバーをできるだけ安心安全な場所に設置することが課題です。そのため、少ない初期コストで安心安全な場所に設置されているクラウドサービスをBCP環境として利用することに、注目が高まっています。
社内サーバーでオンプレミスを使い続けるメリット
社内サーバーでオンプレミスを使い続けるメリットについて、以下2点を解説します。
- 柔軟なカスタマイズ性
- システム連携が容易
それでは、1つずつ解説していきます。
柔軟なカスタマイズ性
オンプレミスのメリットの1つ目は、柔軟なカスタマイズ性です。
オンプレミスは自社で一から構築できるため、カスタマイズ性が高いと言われています。たとえば、物理サーバーの選定・OSの選定・導入するソフトウェア・セキュリティソフトなどが挙げられるでしょう。運用中の設定変更も容易に行えるため、カスタマイズ性に優れています。オンプレミスは、自社で全てメンテナンスをしたい、自社の好きなように設定したいと考えている場合に適しています。
システム連携が容易
オンプレミスのメリットの2つ目は、システム連携が容易なことです。
オンプレミスは、他システムとの連携設定も、自社のみで簡単に行えます。たとえば、API導入や連携するために必要なツールをインストール・設定することも容易にできるでしょう。他のシステムとデータを連携して活用の幅を広げたい、設定も自社を中心に実施したい、という際にオンプレミスが合っているでしょう。
社内サーバーの利用継続で考えうるデメリット
社内サーバーの利用継続で考えうるデメリットについて、以下4点を解説します。
- コスト増
- 運用負荷
- リソース増減が困難
- 災害対策
それでは、1つずつ解説していきます。
コスト増
デメリットの1つ目は、コスト増です。
オンプレミスサーバーは減価償却の対象となるため、5〜6年単位で入れ替えが必要になります。具体的には、新しいサーバーの見積もり・購入・組み立て・OSやアプリケーションのインストール・設定・動作確認が必要になります。内容によっては旧環境からの設定・データ移行も発生するでしょう。専用業者への作業依頼や旧サーバーの廃棄も必要になり、入れ替えのための大きなコストが発生する可能性が高いです。
運用負荷
デメリットの2つ目は、運用負荷です。
オンプレミスサーバーは、自社のシステム管理者の管理・運用の手間を増やし、負荷がかかってしまいます。たとえば監視・リソース使用状況・障害対策・セキュリティ対策・定期的なアップデート対応が、運用で必要になるでしょう。オンプレミスは運用保守も自社で行う必要があり、担当者の負荷も高まります。外部業者に委託する、という方法もありますが、コストがかかってしまうでしょう。
リソース増減が困難
デメリットの3つ目は、リソース増減が困難なことです。
オンプレミスでは、システム稼働中に、CPUやメモリ・ストレージなどのシステムリソースを増やすことが困難です。たとえば、ストレージ容量を拡張するためには、空いているスロットの確認・ハードディスクの追加見積もり・購入などがあります。もしも拡張できない場合は、サーバー更改が必要になり、全てを新たに構築し直さなければなりません。そのため、オンプレミスではシステム稼働中にリソース増減が発生しないよう、最大の利用量を想定したスペックでサーバーを購入します。
災害対策
デメリットの4つ目は、災害対策です。
自社のオフィスフロアや同オフィスビルのサーバールームなどにオンプレミスの社内サーバーを置くことは、オフィスが被災してしまった際への影響が計り知れません。たとえば、サーバーが壊れて重要なシステムが使えない、データが破損するなどがあるでしょう。また、従業員が自宅などで働くことができても、システムそのものが使えないため業務がストップしてしまうでしょう。オフィスフロアにサーバーを設置し続けることは災害対策として不十分といえます。
社内サーバーをクラウド化するメリット
社内サーバーをクラウド化するメリットについて、以下5点を解説します。
- コスト削減
- システム運用負荷の削減
- 場所を問わない働き方
- システムリソースの拡張が容易
- 災害対策への対応
それでは、1つずつ解説していきます。
コスト削減
1つ目のメリットは、コスト削減です。
クラウド化は、オンプレミスに比べて初期コストを削減できます。物理HWを購入する必要もありませんし、HWを設置するためのオフィススペースも必要なくなるからです。クラウドサービスを利用する際は、契約して初月の利用料金を支払うだけで、クラウド環境を利用できます。購入から実際の導入までの時間も少なく済むため、時間コストも削減できるでしょう。社内サーバーをクラウド化すれば、コスト削減につながります。
システム運用負荷の削減
2つ目のメリットは、システム運用負荷の削減です。
クラウドサービスは基本的にサービス提供事業者が保守メンテナンスするため、自社のシステム管理者の負担を大きく減らすことができます。たとえば、OSのアップデートやセキュリティ対策などの作業は、クラウド提供事業者(内容に応じてクラウドベンダー)に任せることができるでしょう。自社のシステム担当者は、削減できた工数をIT戦略などの業務に集中させることができ、組織の発展に大きく貢献できます。
場所を問わない働き方
3つ目のメリットは、場所を問わない働き方です。
クラウドサービスは、外部ネットワークを利用するため、いつでもどこでも業務ができます。自宅でも移動中でも、顧客先でも可能でネットワークさえ繋がっていれば場所を問いません。欲しいときにすぐ必要な情報にアクセスできるため、担当者の業務スピードも向上して、業務効率化にも繋がるでしょう。クラウドサービスは、近年で主流となっているリモートワークなどの場所を問わない働き方に適しています。
システムリソースの拡張が容易
4つ目のメリットは、システムリソースの拡張が容易なことです。
クラウドサービスは、契約プランを変えるだけで簡単にCPU・メモリ・ストレージ容量などのシステムリソースを追加することができます。手続きをするだけで済みますので、わざわざ部品を買う必要もありません。追加したリソースが環境に反映されるまでの期間も短いです。システムの利用状況に合わせてシステムリソースのサイズを柔軟に変えることも簡単にできます。
災害対策への対応
5つ目のメリットは、災害対策への対応です。
クラウドサービスは、安心安全なデータセンターに設置されているものが多く、災害対策に強いといわれています。たとえばクラウドサービスで代表的なAWS(Amazon Web Service)の場合、バックアップサーバーとして、別のリージョン(地域が別のデータセンターのこと)にサーバーを置く場合もあり、災害対策をより強化できます。いつどこで災害が発生してもおかしくない状況の中、クラウドサービスを利用してリスクを分散させることが対策として重要といえます。
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まとめ
本記事では、社内サーバーについて解説しました。社内サーバーといえば、物理HWで社内環境に設置することが主流でしたが、近年利便性・安全性向上のためにクラウドサービスを選択する企業も増えています。オンプレミス・クラウドそれぞれのメリットがあるため、自社にどちらが適しているのかを検討してみてはいかがでしょうか。
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