CS(カスタマーサクセス)は、既存顧客から得られる利益を最大化したり、解約率を抑えたりするために非常に重要です。しかし、顧客一人ひとりに合わせて、適切にCSを行うことに課題を感じている方も珍しくないでしょう。そのような方におすすめなのがCSツールです。CSツールを利用すれば、CSに関わる業務を自動化して、CS活動への負担を軽減してくれます。この記事では、CSツールの枠割や種類を解説した上で、おすすめのツールを種類別に紹介します。
目次
CSツールに関する基礎知識を解説
ここでは、CSツールに関する基礎知識として、以下の2つを解説します。
- CS(カスタマーサクセス)とは?
- カスタマーサポートとの3つの違い
それでは、1つずつ解説します。
CS(カスタマーサクセス)とは?
基礎知識の1つ目は、CS(カスタマーサクセス)の意味です。CSとは、そのサービスを利用している顧客に対して能動的に関わることで、顧客の成功を実現させることです。顧客に対して能動的に関わることから、ある側面ではコンサルティングに近い業務と言えるかもしれません。現代のマーケティングにおいてCSは、顧客満足度の向上やサービス継続率の向上、アップセル・クロスセルに欠かせない業務の1つと言えます。
カスタマーサポートとの違いは3つ
基礎知識の2つ目は、CSとカスタマーサポートとの違いです。ここでは、以下の3つの違いを解説します。
- 受動的か能動的か
- 用いる評価方法
- 用いられる企業の種類
それでは、1つずつ解説します。
関連記事:【2024年版】カスタマーサポートツールおすすめ8選を徹底比較!
受動的か能動的か
CSとカスタマーサポートとの違い、1つ目は受動的か能動的かの違いです。CSは、能動的に顧客とコンタクトを取って顧客を成功に導くものです。そのため、顧客からの連絡などがなくても、稼働し続けます。一方、カスタマーサポートは顧客のクレーム対応や質疑応答など、受動的に行われるものです。このように、CSは能動的で顧客満足度を高めるためのもので、カスタマーサポートは受動的で顧客満足度を下げないためのものなのです。
用いる評価方法
CSとカスタマーサポートとの違い、2つ目は用いる評価方法です。CSでは顧客と積極的に関わるものであり、以下の指標が評価方法として用いられます。
- チャーンレート:解約率
- アップセル:顧客単価向上
- クロスセル:別の商品も併せて購入してもらうこと
- NPS:顧客がサービスにもつ愛着度を数値化したもの
一方、カスタマーサクセスは顧客の不満や不便を解消することが目的です。そのため、顧客対応のスピードなどが主な評価方法として用いられます。
用いられる企業の種類
CSとカスタマーサポートとの違い、3つ目は用いられる企業の種類です。CSは、基本的にBtoB企業、特にSaaSサービスにおいて必要とされています。SaaSサービスは乗り換えが簡単な上に、買い切りでなくサブスクリプションモデルの収益モデルを採用しています。そのため、収益を上げるには、顧客満足度を高め、継続利用してもらう必要があるのです。
一方、カスタマーサポートは基本的にどんな企業・サービスでも必要で、ほとんどの企業に設けられています。顧客の疑問や不満はどんなサービスでも生まれるもので、それらを処理する必要があるからです。
CSツールの役割は3つ
ここでは、CSツールの役割を以下の3つ解説します。
- チャーンレート引き下げ
- CS部門の工数削減
- 売り上げ向上
それでは、1つずつ解説します。
チャーンレート引き下げ
役割の1つ目は、チャーンレート引き下げです。チャーンレートとは、解約率のことです。SaaSなどのサブスクリプションモデルのサービスにおいては、利益を出すにより多くの顧客に継続的に利用してもらわなければいけません。そのため、顧客を増やすだけでなく、チャーンレート引き下げも重要なポイントなのです。
CS部門の工数削減
役割の2つ目は、CS部門の工数削減です。CS部門の工数は、顧客数の増加やサービス範囲の拡大によって増大します。しかし、多くの企業では人員不足に悩まされているため、できれば増員せずCSの品質も確保した上で、工数増加に対応したいと考えるものです。そこでCSツールが役立ちます。CSツールを用いることで、顧客の状況を可視化して、重点的にアプローチすべき顧客も明確になります。顧客の自走化にも役立つCSツールもありますので、CS部門の工数を削減して業務効率化につなげられるでしょう。
売り上げ向上
役割の3つ目は、売り上げ向上です。CSツールを導入することで、顧客一人ひとりの利用状況を把握し、それぞれの顧客に適したアップセル・クロスセルの見極めが可能になります。例えば、過去アップセルに成功した顧客を分析することで、現在の顧客のうち新たにアップセルに成功する可能性が高い顧客を判別してくれるツールがあります。これにより、アップセルに成功する確率が高まり、売り上げ向上に役立つでしょう。また、CSツールにより顧客満足度が向上するため、顧客生涯価値の観点からも売り上げが期待できます。
CSツールの種類は大きく分けて5つ
ここでは、CSツールの種類を大きく分けて5つ解説します。それぞれのタイプと特徴的な機能、導入による効果を、以下の表にまとめます。
CSツールのタイプ | 機能 |
---|---|
カスタマーサクセス管理ツール | ・CSの全行程において活用可能 ・顧客の定着から導入・活用支援、アップセル・クロスセル促進まで1つのツールで対応 |
チャットサポートツール | ・主にサービスの導入支援や活用支援に活用 ・サービス利用や契約更改において顧客が抱いた疑問を、チャットで解決 |
FAQシステム | ・チャットサポートツールと同様、顧客の疑問解決に用いられる ・顧客自身で課題や疑問を解決することを促進。顧客の疑問に対して企業側が動く必要はない |
コミュニティ管理ツール | ・顧客をロイヤルカスタマーになってもらうべく、コミュニティを作った場合に利用 ・よりサービスのファンになってもらうためのコミュニティを管理 |
NPSツール | ・顧客の利用状況を可視化し、それぞれの顧客に対して一層サービスを活用するヒントを提供するツール ・サービス提供者側からのアクションを行い、顧客の定着を図る |
CSツールおすすめ16選を種類別に徹底比較
ここでは、おすすめのCSツールを16選を種類別に紹介します。
カスタマーサクセス管理ツール
ここでは、おすすめのCS管理ツールを5つ紹介します。
Growwwing
Growwwingは、サブスクリプションモデルの顧客生涯価値最大化に特化したCSツールです。CSの立ち上げから運用まで、全体的な管理ができます。利用状況や顧客情報の収集に加え、Q&A対応やデータの可視化、ヘルスチェックまで1つのツールで一元管理が可能です。
Growwwingの特徴
- CSの立ち上げから支援可能であり、CSの工程が成熟してからも継続して利用できる
- 必要な機能に合わせて、3つのプランから選べる
- Salesforceとの連携が可能であり、併用することでセールス段階からの管理が可能
URL: https://www.growwwing.jp/index.html
commmune
communeは、CS活動全体を管理できるツールです。特に、顧客コミュニティをノーコードで構築できることが強みと言えるでしょう。顧客が必要とする情報に迷わずたどり着けるよう、顧客同士のコミュニケーションの場を集約するだけでなく、顧客同士の双方向コミュニケーションを実現します。また、顧客データを1つのプラットフォームに集約することで、精度の高いデータ分析を実現しています。さらに、CSVのダウンロードやAPI接続も可能です。
commmuneの特徴
- コミュニティ構築を中心として、CSと顧客データ管理を一元化
- 独自の管理画面で顧客データを閲覧でき、API接続やCSVダウンロードが容易
- 選べる4つのプランで、様々な企業に対応可能
URL: https://commmune.jp/
Adobe Marketo Engage
Adobe Marketo Engageは、Marketo社が提供している各種マーケティングツールをまとめたサービスです。セールスからCSまで、マーケティングにおける全工程を一括管理できます。購買プロセスに応じて柔軟な対応を行い、セールスの効率化や、現在の顧客に対するアップセル・クロスセルを促進してくれます。また、国内外550を超えるシステムとも連携ができるため、幅広い企業で利用可能です。
Adobe Marketo Engageの特徴
- 全世界で利用実績豊富なCSツール
- CSだけではなく、セールスを含めたマーケティング全体の効率化が可能
- LINEWORKSやSlackなど、国内外の550を超えるツールと連携可能
URL: https://business.adobe.com/jp/products/marketo/adobe-marketo.html
KiZUKAI
KiZUKAIは、顧客ロイヤリティ向上に適したCSツールです。大量の顧客データを集約・可視化することで、データ分析を容易にします。また、解約しそうな顧客やアップセル・クロスセルできる見込みが高い顧客を洗い出せるため、効率が良いCSと売り上げアップが期待できるでしょう。さらに、設定したKPIに達したユーザーがいる場合に通知してくれるため、どの顧客にアプローチすれば良いのかが的確に分かるでしょう。
KiZUKAIの特徴
- 顧客ロイヤリティ向上に適したCSツール
- 大量の顧客データを集約し、可視化してリアルタイムで分析
- 解約の可能性が高い顧客や、アップセル・クロスセルできる見込みが高い顧客を洗い出せる
URL: https://kizukai.com/
Zendesk
Zendeskは、顧客からの連絡をシームレスにできるCSツールです。Zendeskを導入することで、顧客は好きなプラットフォームからのコミュニケーションが可能になります。また、CS機能だけでなくカスタマーサポートに使える機能も豊富です。顧客一人ひとりにパーソナライズした情報を提供できるため、NPSの向上にも寄与するでしょう。
Zendeskの特徴
- 顧客とのシームレスなコミュニケーションを実現
- 顧客一人ひとりに合わせて発信内容を変えることで顧客満足度向上
- 1つのワークスペースで様々な作業が行えるため、作業効率向上
URL: https://www.zendesk.co.jp/
pottos
pottosは、BtoBのCSに特化したサービスです。顧客一人ひとりのサービス利用状況をトラッキングし、それぞれに合った情報を提供します。また、そこで収集した顧客の利用状況をスコア化して可視化するため、アプローチすべき顧客が一目瞭然です。アップセル・クロスセルのためのポップアップ配信やメール配信などもツール内で一元管理できるため、売り上げアップに大きく貢献してくれるでしょう。
pottosの特徴
- 顧客のサービス利用状況をトラッキングして、リアルタイムで可視化
- 業務フローを統一することで顧客対応を統一化
- CS設計からツール設定・運用まで手厚いサポート
URL: https://pottos.jp/
チャットサポートツール
ここでは、おすすめのチャットサポートツールを7つ紹介します。
関連記事:【2024年版】チャットシステムのおすすめ10選を徹底比較!導入ポイントも紹介
sinclo
sincloは、顧客満足度No.1のチャットボットツールです。ノーコードでWebサイトにチャットボットを埋め込めるため、容易にチャットボットを導入できます。また、顧客の行動に合わせたオートメッセージを送信する機能や、一度入力した情報の一括自動入力機能など、顧客の手間を徹底的に省く機能を数多く有しています。さらに、SlackやKintoneなど他のツールとの連携も可能です。
sincloの特徴
- タグ1行で簡単に、Webサイトにチャットボットを導入
- それぞれのユーザーに適したメッセージを送れる
- 他のサービスとも連携ができるため、シームレスな運用が可能
URL: https://sinclo.medialink-ml.co.jp/
KARTE
KARTEは、Webサイトに訪れたユーザーの行動傾向から、それぞれに適したCXを提供してくれます。顧客一人ひとりのデータをもとに、適した対応を自動的に行うため、顧客満足度向上に活用できます。また、データの収集・可視化だけでなく、メッセージの一元管理や配信シナリオの管理もできるため、アップセルやクロスセルも効率よく行えます。
KARTEの特徴
- 顧客一人ひとりに合わせてCXの提供を可能に
- 顧客データの管理からシナリオ配信、メッセージ対応まで一元管理
- 様々な業種業態の企業で活用実績
URL: https://karte.io/
Freshdesk
Freshdeskは、5万社以上に利用されているCSツールです。効率よく顧客満足度を高められる上に、顧客と運営の双方の負担を軽減できます。問い合わせ管理や、各プラットホームからのメッセージ対応など、豊富な機能を利用できます。Freshdeskを導入することで、顧客とのコミュニケーションを一層円滑にできるでしょう。
Freshdeskの特徴
- 世界中の5万社以上に利用されているCSツール
- 顧客とのコミュニケーションを円滑にし、顧客満足度向上
- 機能の一部は無料のプランで利用可能
URL: https://freshdesk.com/jp/
FAQツール
ここでは、おすすめのチャットサポートツールを3つ紹介します。
Tayori
Tayoriは、豊富な無料テンプレートで簡単にフォームやFAQ・ヘルプページを作れるツールです。デザインの自由度が高いため、それぞれの企業に合ったデザインを実装できます。さらに、チャットボットの実装もTayoriのツール1つで完了するため、顧客とのコミュニケーションコストを極力抑えられます。操作を直感的に行えるため、導入も非常に簡単です。
Tayoriの特徴
- 直感的な操作でフォームやFAQの制作が可能
- チャットボットも実装でき、顧客とのコミュニケーションコストを抑えられる
- 顧客満足度調査結果を簡単に可視化
URL: https://tayori.com/
sAI Search
sAI Searchは、顧客が知りたい情報に簡単にたどり着けるCSツールです。AIが個々の顧客に適したしたしたタグを提示することで、顧客が疑問に思うことに関するタグを選択して欲しい情報にたどり着けます。また、各カテゴリの回答率などが、リアルタイムでレポートとしてまとめられます。そのため、FAQの最適化なども容易になるでしょう。
sAI Searchの特徴
- AIがユーザーが欲しい情報に自動的に導く
- 各カテゴリの回答率などをデータとして可視化
- 企業規模によって選べる3つのプランが用意
URL: https://saichat.jp/saisearch/
SyncAnser
SyncAnserを使えば、顧客から寄せられた問い合わせをもとに、簡単にFAQを制作できます。担当者は、ブログ感覚でシンプルで分かりやすいFAQページの制作が可能です。また、FAQページへのアクセス管理もできるため、ユーザーに合ったFAQに最適化も容易にできます。さらに、独自のサイト内検索機能を用いることで、より顧客が情報を得やすいページを作成できます。
SyncAnserの特徴
- 簡単にFAQページを作れるツール
- このツール1つでアクセス管理が容易に可能
- サイト内検索を実装することで、顧客が情報を得やすくなる
URL: https://www.syncanswer.jp/
コミュニティ管理ツール
ここでは、おすすめのコミュニティ管理ツールを2つ紹介します。
coorum
coorumはコミュニティ管理を中心に、CSに必要な多くの機能を備えたツールです。ノーコードで顧客向けナレッジサイトを構築できるだけでなく、訴求したいコンテンツの一元管理が可能です。また、顧客の行動やログのデータを収集し、自動的に可視化してくれます。これにより、正確に顧客状況を把握して、CSの担当者が次に起こすべきアクションが明確化されます。多くの企業で利用されており、実績豊富なCSツールの1つです。
coorumの特徴
- コミュニティを中心にCSに必要な機能を備えている
- ノーコードで誰でも簡単にナレッジサイトの構築が可能
- 顧客情報を収集・可視化することで、CS担当者の次のアクションを明確に
URL: https://coorum.jp/
SmartCore
SmartCoreはクラウド型の会員管理ツールで、会員制サイトも簡単に構築できます。基本機能の会員データ管理やログ管理だけでなく、入金管理機能などのオプション機能も付けられます。セキュリティ認証を受けており安心であることに加え、低コストでの運用が可能であることも強みです。
SmartCoreの特徴
- 簡単に会員制サイトの構築
- セキュリティ認証を受けていて、セキュリティ面においても安心
- 月額13,250円~で利用でき、低コストでの運用が可能
NPSツール
ここでは、おすすめのNPSツールを2つ紹介します。
EmotionTech
EmotionTechは、顧客体験だけでなく従業員体験も重視したクラウドCSツールです。顧客の調査からデータ分析・改善までを一括で行えるため、課題の発見や共有が容易です。また、顧客の調査を行う際も、顧客の本音を引き出す質問設計ができるため、適切な調査ができます。さらに、クラウドであるためデータの共有も容易で、スピード感をもってCSを行えます。
EmotionTechの特徴
- 顧客体験と従業員体験を重視したクラウドCSツール
- 顧客の本音を引き出すアンケート設計により、適切な情報を取得
- 分析機能が充実しており、データから適切な改善策を見いだせる
URL: https://www.emotion-tech.co.jp/
Ambassador Relations Tool
Ambassador Relations Took(ART)は、マーケティングに必要な様々な機能を兼ね備えたツールです。顧客の基本情報や対応履歴を一元管理して、新規顧客や既存顧客へのアップセル・クロスセルを狙えます。また、NPSを計測するためのアンケートメールの定期送信や、徹底した顧客分析で既存顧客のロイヤリティ化も実現できるでしょう。さらに、初期費用や月額使用料が無料であるため、手軽に利用できるのも強みです。
Ambassador Relations Toolの特徴
- マーケティング活動に必要な機能が兼ね備えられている
- NPS計測や顧客管理が可能であり、徹底的な顧客分析が行える
- 初期費用・月額使用料無料で始められる
URL: https://amb-r-t.jp/
まとめ
この記事では、CSツールの枠割や種類を解説した上で、おすすめのツールを種類別に紹介しました。特に、サブスクリプションモデルを採用しているBtoBのSaaS企業では、CSを的確に行うことは、売り上げの安定化には非常に重要です。また、類似ツールが増えてくる現代において、顧客のロイヤリティ化は確実に行うべき施策の1つと言えるでしょう。顧客に適したCSを行うためにも、CSツールを用いて顧客一人ひとりに合わせたアプローチを行うことが大切です。本記事を参考に、CSツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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