マニュアルは業務効率化に不可欠なものですが、一度作ったらおしまいというわけではなく、改訂することも重要です。人が作ったものですから、どうしてもミスや誤字がでてしまいます。また時代とともに顧客の要望や、使用するシステムや機器が次々と変化していき、それらにあわせて業務のやり方やルールも変わっていくので、マニュアルもつど変更していく必要があるでしょう。
本記事ではマニュアル改訂がなぜ重要なのかといったことや、どういうタイミングで改定をしたらよいのかといったことについて、詳しく解説していきます。
目次
マニュアルの改訂と改定はどう違うのか
「改訂」と「改定」はよく似ており、どちらもよく見かける漢字ですが、マニュアルの不備を修正する場合は、「マニュアル改訂」と「マニュアル改定」のどちらを使うのが適切でしょうか。先に答えを言ってしまうと、「マニュアル改訂」が適切な使い方です。
改定とは「新しく定めなおすこと」です。法律や制度を改め定めなおすというような場面でよく使われます。例を挙げると、「電車運賃の改定」や「消費税に伴う価格の改定」、「就業規則の改定」といった使われ方がされます。
これに対して、改訂とは「元の文章や書物などの言い回し・語句・内容などを改める」という意味になります。教科書や書籍などを時代にあわせた内容に変えていったり、よりわかりやすいものにする際によく使われます。契約書については、法令にも文書にもかかわるので少し複雑になりますが、文言を変える際には「改訂」となり、契約書の内容を変える場合は「改定」になります。
マニュアルの場合は法令や制度を変えるという事ではなく、文章を訂正することから「改訂」が正しいということになります。覚えておきましょう。
マニュアル改訂が重要である3つの理由
それではマニュアル改訂がなぜ重要であるか具体的に見ていきましょう。更新されない古いマニュアルは活用されないだけでなく、業務のやり方が変わってしまったことを知らない人間が使ってしまった場合、大きなミスを生んでしまうこともあります。
古い情報は使われなくなる
マニュアルをせっかく作っても活用されないケースがありますが、その一番の原因となるのが、定期的な改訂をしていないために情報が古くなっていることです。作業の手順や業務内容は新しい機器やシステムを入れるたびに変わっていくものですが、通常業務に追われていると十分な時間を割くことができず、マニュアルは放置されてしまいます。一度こうなってしまうとマニュアルの存在意義が社内で低下してしまい、誰も作ったり更新したりしなくなってしまいます。業務が変わるたびに、マニュアルを改訂する仕組みづくりが重要といえるでしょう。
ミスを引き起こす可能性がある
古いマニュアルでは現在の業務に対応できないとわかっていれば、まだ良いのですが、もっとひどいケースでは、ミスや損失、さらには事故につながることすらありえます。失った信頼や取り返すための作業は、さらに時間とコストがかかってしまうでしょう。
古くから業務を知っているベテランなら間違えは少ないのでしょうが、新人などが配属され、古いマニュアルを見てしまったがために、間違いを起こすケースは十分に考えられます。身近にありがちな例では、資料作成の際には会社指定のフォームを使わなければならないのに、古いマニュアルをみて資料を作ってしまい、印刷物が無駄になるだけではなく一からやり直さなければならないといったものです。工場の生産であれば、不良品や欠陥品がでてしまうことになり、回収など大きな損失を生むこともあるでしょう。このようなミスを防ぐためには、マニュアルの改訂だけでなく、いつ作られたのかわかりやすく表記することも重要です。
業務改善ができなくなる
会社の全業務を把握するためには、業務フローの整理や業務プロセスの可視化が欠かせません。マニュアルが古くなってしまうと、どの部分を変更すれば全体の効率がよくなるかといった、戦略を立てることが難しくなってしまいます。マニュアルが改訂されないことにより、全体的な業務の流れがつかみにくくなり、業務改善に着手しづらくなってしまうという事を覚えておきましょう。
関連記事:マニュアルの意味とは?3つの読まれないケースとおすすめITツールを紹介
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マニュアル改訂はいつすべきか
古くなったマニュアルは業務効率化に活用できないだけでなく、ミスも引き起こしてしまうことがわかったかと思います。それでは次に、いつマニュアルの改訂を行うべきか考えていきましょう。いろいろなパターンがありますが、大きく分けて定期的にマニュアルの改訂をおこなう「定期更新」、ある程度修正内容がたまってきてから改訂を行ったり、ルールが変更したら改訂を行う「随時更新」の2つがあります。通常業務に追われている場合は、なかなかマニュアルの改訂まで手が回らない場合も多いので、部門ごとにマニュアル改訂の責任者を指名したり、組織内にチームを作ったりするとスムーズにいきます。
定期的な改訂
自らマニュアルの見直しをしようとする人は、実はあまりいません。ですから組織でマニュアルの定期的な改訂をするルール作りをすることが大事です。可能であれば、半年に1回、1年に1回など、定期的にマニュアルを見直すようなルール作りをすると、常に新しいマニュアルに更新され、多くの人に活用されるようになります。
業務のやり方やルールなどが変更した時
法改正によって仕組みが大きく変わったり、新しい器具・機械・システム・サービスなどを導入した際は、マニュアルの改訂を考えてよい時期といえるでしょう。業務をどのような流れで行うか、具体的にどんなことをするべきなのかをマニュアルで示すことによって、新しいルールやシステムを導入しても都度教える必要がなくなり、スムーズに新体制に移行ができるようになります。
特に新人が来た時に古いマニュアルしかない場合は、前述したようなミスが起こってしまうことが考えられるので注意が必要です。その他、現在やっているサービスを廃止するような時も、マニュアルを更新するべき時期といえるでしょう。
改訂した後、古いマニュアルはすぐに処分しないで、ある程度の期間取っておくことをおすすめします。新しいシステムや機械が動かなくなった場合や、新しいやり方がうまく定着せず古いやり方に戻したいときに、再度古いマニュアルを使用することがあるからです。処分する際には、使用する可能性がある人に、古いマニュアルを利用するかどうかを確認するようにしてください。
修正する部分がある程度たまった時
誤字や脱字などが発見された時は、マニュアルを訂正したほうがよいといえますが、特に業務に支障がないのに、そのつど訂正を入れるのは非常に手間がかかります。一ヶ所、二ヶ所ではなく、ある程度修正するべきポイントがたまってからマニュアル改訂を行うと良いでしょう。
誤字脱字の他には、読みにくい、わかりにくい、あるいは質問が多く寄せられるような事項や、付け加えてほしいという要望があった事項もあわせて改訂しましょう。ミスや事故・クレームなどを誘発してしまうような業務ルールが見つかった場合も同様です。
また「業務はこのようなやり方に変えたらよいのでは」「この業務はやらなくてもよい」というような声が上がった場合も、改訂する良い時期といえるでしょう。業務の見直しをするよい機会にもなります。これらの要望は日ごろからメモをとり、Excelなどに保管しておき、改訂の際には漏れがないように気を付けるとよいでしょう。
マニュアル の改訂履歴の書き方
マニュアル改訂をしたら必ず改訂履歴を残しておきましょう。どのような改訂が過去にあったのかを知ることにより、不具合等があった場合さかのぼって調べることができます。またこのことにより、従業員が古いマニュアルを読むことを防ぐ効果もあります。
改訂履歴はどこに書くのか
マニュアルの表紙に版数を書き入れます。改訂履歴は扉や目次の後に表記するのが一般的です。変更点が多い場合は、表に入りきらなくなる場合もあります。そのような場合は改訂履歴をまとめた小冊子を別に作成すると良いでしょう。
改訂履歴の書き方
マニュアルの改訂履歴は表形式で書くのが一般的です。「第○版」のような版数・発行日・変更箇所を書き入れます。版数とは、出版物の改訂によってつけられる一連の番号です。文書管理番号を使用している場合は、管理番号の記載が必要です。
具体的な変更内容を書いてしまうと文字数が長くなりすぎてしまい、表の中に収まらなくなってしまいます。「~に関する記述を変更」としておくと綺麗に収めることができます。
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まとめ
本記事では、マニュアルの改訂のタイミングや、マニュアルの改訂がなぜ重要かについて解説いたしました。マニュアルを改訂することにより、常に最新の情報にすることができます。必要な情報が詰まっているマニュアルは多くの人に活用され、また最新の業務プロセスを可視化することにより、業務改善のアイデアを生み出すたたき台にもなるでしょう。古いマニュアルを使うことによるミスや事故についても十分な理解が必要です。組織内にチームを作ったり、責任者を作ることにより、マニュアルが改訂される仕組み作りをしていきましょう。
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