デジタル化の流れを受け、自社でもファイルサーバーを最適化したいと考える企業が増えています。ファイルサーバーの適切な管理運用は、業務効率の向上やセキュリティリスクの軽減に直結する重要な取り組みです。
本記事では、ファイルサーバーの移行を検討される方へ向け、ファイルサーバーの移行タイミングの見分け方や、実際の移行手順、注意点を解説します。
ファイルサーバーより便利に社内ナレッジを管理できるツール
目次
ファイルサーバーを移行する2つの方法
ファイルサーバーの移行方法は、主に2つあります。
- 自社でファイルサーバーを移行する
- 移行サービスを利用して行う
自社でファイルサーバーを移行する
社内にITスキルを持つ人材がいれば、ファイルサーバーの移行を自社で行う選択肢を取れるでしょう。自社で移行するメリットは、作業の流れや優先順位を柔軟に調整でき、外部に依頼する場合よりもコストを抑えられる点です。
ただし、担当者に専門知識が不足していると、想定外のトラブルが起きたり、作業が長期化したりするなどのリスクを伴います。確実なファイルサーバー移行のためには、事前準備とスキルの確認が不可欠です。
移行サービスを利用して行う
確実かつ短期間でファイルサーバーを移行したい場合は、専門の移行サービスを利用するのが有効です。自社内に高度な知識を持つ担当者がいなくても、安全に作業が進められます。また、事前検証からアフターサポートまでワンストップで対応してくれるケースもあり、この点は大きなメリットといえるでしょう。
移行サービスを活用する際の注意点は、機密情報の扱いがどうなっているかです。情報漏えいのリスクも伴うため、信頼できる業者の選定が不可欠となります。
>関連記事:【2025年版】レンタルファイルサーバーとは?おすすめ7選を徹底比較!メリットや選び方も紹介
ファイルサーバーより便利に社内ナレッジを管理できるツール
ファイルサーバーへの移行が必要なタイミング
ファイルサーバーの移行を検討しつつも、自社には本当に移行が必要なのか、タイミングに迷う方もいるでしょう。具体的には、以下の4点が、移行のタイミングとされています。
- ファイルサーバーのパフォーマンスが低下している
- 運用管理上の負担が増している
- セキュリティ面でのリスクが高まっている
- 運用コストが見合っていない
ファイルサーバーのパフォーマンスが低下している
ファイルサーバーの動作が遅くなったり、ファイルの読み込みや保存に時間がかかっていたりする場合、ハードウェアの老朽化や、容量不足が起きている可能性があります。
この状態を放置してファイルサーバーを使用し続けると、業務効率の低下だけでなく、データ損失のリスクが伴います。最悪の状況を避けるためにも、最新のサーバーへの移行を検討するタイミングといえるでしょう。
運用管理上の負担が増している
企業によっては、複数のファイルサーバーを運用しているケースもあるでしょう。しかし、複数サーバーの運用は管理が煩雑になり、情報システム部門の負担が増加します。具体的には、アクセス権限の設定やデータのバックアップ、トラブル対応などです。
このような状況の場合、運用担当者は、日々の保守運用に多くのリソースを割くことになりますので、統合的なファイルサーバー環境への移行を検討しましょう。移行後は、管理の効率化とコスト削減が期待できます。
セキュリティ面でのリスクが高まっている
古いファイルサーバーを使い続けている場合は、早急にサーバー移行を検討しましょう。最新のセキュリティパッチが適用されず、サイバー攻撃のリスクが高まっています。
たとえば、OSのサポートが終了している場合です。脆弱性が放置される状態であり、企業の重要なデータを守るためにも、セキュリティ対策が強化された新しいファイルサーバーへの移行が必要です。
運用コストが見合っていない
ファイルサーバーの運用にかかるコストが増加し、費用対効果が見合わないと感じる場合は、サーバー移行や運用方法の見直しが必要です。複数のサーバーを運用している場合や、自社に見合わないサーバー構築がなされている場合は、リソースの無駄遣いや管理コストの増加が懸念されます。
>関連記事:ファイル共有サーバーとは?基本知識からNASとの違い活用のメリットデメリットやクラウド化まで幅広く解説
ファイルサーバーを移行する手順
ファイルサーバーを自社で移行する場合、正しい手順を踏まないと、トラブルやミスの発生リスクが高まります。具体的な手順は以下の通りです。
- 状況把握と移行データの整理をする
- 移行データのバックアップを取る
- スケジュールを決める
- 移行システムの検討・導入を行う
- データ移行を実施する
- 新しいファイルサーバーでの運用を開始する
それぞれの工程を理解し、準備をしてからサーバー移行を行いましょう。
状況把握と移行データの整理をする
ファイルサーバーの移行を成功させるためには、まず現状のデータを正確に把握し、整理することが必要です。使用頻度の低いファイルや重複データを特定し、移行の対象から除外すれば、作業の効率化が図れます。
関係者と連携し、必要なデータと不要なデータを明確に区別すれば、移行後の運用もスムーズになります。
移行データのバックアップを取る
データの移行作業には、予期せぬトラブルが潜んでいる可能性があります。作業前は、必ずデータのバックアップを取っておきましょう。バックアップを取る際も、クラウドストレージや外付けHDD、NASなど、複数のメディアに保存すれば、安全性が高まります。
バックアップ後は、データが正常に保存されているか確認し、復元テストを行いましょう。万全の体制を整えた上で作業を進めれば、万が一のトラブルが起きても、的確な対処が可能です。
スケジュールを決める
ファイルサーバーの移行は、業務への影響を最小限に抑えるため、優先順位を決めてスケジュールを組み、計画的に進めましょう。また、業務時間外や休日を利用して作業を行えば、業務の中断を防げます。
移行作業は、業務に直結する重要なデータから優先的に行うなど、段階的な移行が望ましいです。段階的に移行を進めることで、リスク分散が可能です。
移行システムの検討・導入を行う
移行作業を円滑に進めるためには、適切な移行ツールやシステムの選定が重要です。自社の要件に合ったツールを選定すれば、移行中のトラブル防止につながります。
操作性やサポート体制も考慮しながら、信頼性の高いシステムを導入するのが望ましいです。
データ移行を実施する
データ移行を実施する際は、開始前に関係者への周知を忘れず行いましょう。作業中のアクセス制限や、一時的なサービス停止について理解を得ておくのが大事です。
移行後は、データの整合性やアクセス権の確認を行い、問題がないかを確認し、移行完了を周知しましょう。
新しいファイルサーバーでの運用を開始する
移行作業が完了したら、新しいサーバーでの運用を本格的に開始しましょう。ユーザーへの操作方法の周知や、アクセス権を再設定し、スムーズな業務再開をサポートします。
運用開始後は、定期的なバックアップやシステムの監視が必要です。これにより、安定した運用を維持することが可能となります。
クラウド型ファイルサーバーへ移行するメリット
近年、ファイルサーバーをクラウド型のファイルサーバーに移行する企業が増えています。クラウド型のファイルサーバーは、インターネット環境があれば社外からも安全にアクセス可能です。また、リアルタイムでの共有や共同編集が可能になり、業務効率化が期待できます。
テレワークや社外業務対応など、多様な働き方への対応力が高まり、業務の柔軟性が大きく向上します。
クラウド型のファイルサーバーは、自社でサーバーを管理する必要がなく保守や点検にかかる手間やコストを軽減できる点が魅力のひとつです。データは堅牢なクラウド環境に自動でバックアップされるため、セキュリティの観点からも事業継続性の確保に貢献します。
>関連記事:法人がファイルサーバーをクラウド化するメリットとは?デメリットや移行手順も解説
ファイルサーバーより便利に社内ナレッジを管理できるツール
ファイルサーバーを移行する際の注意点
ファイルサーバーを移行する際は、いくつかの注意点に配慮する必要があります。とくに重要な点として、以下の5点を解説します。
- 課題の解消ができるサーバーを選択する
- データのバックアップを必ず取る
- データの優先順位を決める
- サーバー移行作業の周知を徹底する
- 速度を監視しながら行う
課題の解消ができるサーバーを選択する
ファイルサーバーの移行を行う際は、移行を完了させることに目を向けすぎず、現行の課題の解消が本当にできるかを確認しながら進めましょう。課題として、アクセス速度の遅延や容量不足、セキュリティの脆弱性などがあるでしょう。課題に優先順位をつけ、それらを解消できる新しいサーバーを選定しましょう。
サーバー選定の際は、将来の拡張性や運用効率も考慮する必要があります。それらを踏まえて、オンプレミス型かクラウド型か、ハイブリッド構成の導入はどうするかなど、最適なサーバー環境を構築しましょう。
データのバックアップを必ず取る
移行手順でも解説しましたが、作業中の予期せぬトラブルに備え、事前のデータのバックアップは必ず取得しましょう。データの破損や消失は、業務に多大な影響を及ぼす可能性があります。
バックアップは、複数の手段を組み合わせて行うと安全性が高まります。また、バックアップデータの整合性を確認し、復元手順も事前に検証しておけば、万が一の際にも迅速なリカバリー対応が可能です。
データの優先順位を決める
データ量によっては、すべてのデータを一度に移行するのは困難です。作業順位を決める際は、業務に直結する重要なデータから優先的に移行し、使用頻度の低いデータは後回しにしましょう。優先順位を明確につけられれば、スムーズな移行と運用が実現します。
また、不要なデータの整理やアーカイブもこの機会に行えば、新しいサーバー環境の最適化が実現します。
サーバー移行作業の周知を徹底する
サーバー移行の作業中は、一時的にデータへのアクセスが制限されます。業務に支障が出るため、関係者への事前の周知が不可欠です。移行スケジュールや影響範囲、アクセス方法の変更点などを明確に伝え、必要に応じて説明会やマニュアルの配布を行いましょう。
周知徹底により、業務への影響を最小限に抑え、スムーズな移行を実現できます。
速度を監視しながら行う
データ移行中は、ネットワークやサーバーに負荷がかかり、転送速度が低下するかもしれません。とくに大容量ファイルの移行時は、転送速度をリアルタイムで監視し、必要に応じて転送量の調整や時間帯の変更を検討する必要があります。
また、移行作業を複数回に分けて行うことで、サーバーへの負荷は分散可能です。安定した移行を実現させるために、最適な計画とあわせ、当日の速度監視を行いましょう。
ファイルを整理しやすい情報共有ツール『NotePM』
サーバーの運用を見直す際は、企業向けの情報共有ツール「NotePM」もおすすめです。「NotePM」は、ファイルやドキュメントを効率的に管理できるクラウドサービスです。ファイルサーバーにありがちなフォルダの複雑化といった問題がなく、タグ付けや強力な検索機能により、必要なファイルを瞬時に見つけられます。
また、フォルダ構成がシンプルになり、情報の整理がしやすくなるメリットもあります。アクセス権限の細かい設定が可能なため、部署ごとやプロジェクトごとに必要なメンバーだけが閲覧編集できる環境を整えられ、運用管理の手間も削減可能です。
ファイル管理だけでなく、議事録やマニュアルなどの文書管理にも適しているため、企業全体のナレッジ共有にも役立ちます。
ファイルサーバーより便利に社内ナレッジを管理できるツール
>関連記事:NotePMの評判まとめ|メリットデメリットや料金など網羅的に解説
情報共有ツール『NotePM』の成功事例
ここでは、自社内の情報共有ツールとして「NotePM」を導入した企業事例を2社紹介します。どちらも「NotePM」の導入をきっかけに、業務効率化を実現させています。
- アイリスオーヤマ株式会社
- 株式会社ディースピリット
アイリスオーヤマ株式会社
生活用品メーカーとして、さまざまな分野・業態にわたって事業を展開するアイリスオーヤマ株式会社では、情報共有の煩雑さに頭を悩ませていました。社内サーバーを情報共有ツールとして利用していたものの、マニュアルや手順書はファイル名でしか情報を検索できず、社内での情報格差があったといいます。
欲しい情報をすぐに探し出せる環境構築を目指し「NotePM」を導入。まずは社内ニーズの高い資料や、更新が必要な資料から、「NotePM」上で書き換えを実施しました。
また、社員に触ってもらうことを目的に「社内Wiki導入案内」を作成するなど、社内への浸透を目指し運用を行いました。
アプリケーションの知識や、メーカー固有の特性情報、機器情報などの共有は「NotePM」上で実施しています。検索にかかる工数は約70%削減され、社内での質問を受ける頻度は半減しました。業務を大幅に効率化することに成功しています。
>関連記事:【導入事例】情報検索の手間が7割削減。NotePM導入で、業務効率化と社員成長を加速 – アイリスオーヤマ株式会社
株式会社ディースピリット
AIやIoT、ロボットなどのシステムインテグレーションを請け負い、中小企業のDX支援を支える株式会社ディースピリットでは、当時社内コミュニケーションツールを複数使用していました。こうした状況から、社内情報や資料、顧客情報が点在し、検索性が悪い状態にあったそうです。
「NotePM」の導入にあわせて、複数使用していたコミュニケーションツールを整理してルールを再定義。新たな運用方法を確立し、活用することを目指しました。
現在は、管理方法のベースがクラウドになり、最新のデータを社内共有できる体制に変化したといいます。情報共有方法の変化にともない、部門間での連携がスムーズになり、社内の段取りが進みやすくなったという実感も得られているそうです。
>関連記事:【導入事例】部門を超えた密な情報共有で 提案の質と業務効率が大幅にアップ! – 株式会社ディースピリット
ファイルサーバーより便利に社内ナレッジを管理できるツール
ファイルサーバーを移行して業務効率化へつなげよう
ファイルサーバーの移行は、単なるデータの移動ではなく、業務プロセス全体の見直しと、最適化の機会でもあります。適切なサーバーの選定、確実なバックアップ、データの優先順位付けなど、各ステップを丁寧に進めるのが成功の鍵です。
ポイントを押さえれば、移行後のトラブルを未然に防ぎ、業務の円滑な継続とセキュリティの向上を実現できます。組織の成長と変化に対応するためにも、計画的なファイルサーバー移行を検討しましょう。