引継ぎができない原因とは?解消するためのステップ・できないケースをなくすポイントについて詳しく解説!

2024年11月21日(木) ナレッジ共有

 

仕事において前任者の退職や異動に伴う「引継ぎ」は避けられないものとして出てきます。しかし、この引継ぎが不完全や不十分であると、新しい業務を円滑に進めるのが難しくなるだけでなく、組織全体の業務の進行自体に影響が出てしまうこともあります。実際、多くのビジネスパーソンが一度は経験する「引継ぎのトラブル」には、多くの課題が隠されています。

そこで今回は、そのような引継ぎの現場で起こる典型的な問題点や、それによる業務への影響を紐解きつつ、引継ぎを成功させるポイントを具体的にお伝えします。失敗を回避し、次なるステップへとスムーズに移行するためのヒントとともに、引継ぎの真髄に迫ります。

 

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引継ぎができない原因とは?

ここでは、引継ぎができない原因について解説します。

  • 引継ぐ時間がない
  • 引継げる相手がいない
  • 引継ぎ手順がわからない
  • 引継ぎの資料・情報が不十分

それでは、1つずつ解説します。

引継ぐ時間がない

引継ぎができない原因の1つ目は、引継ぐ時間がないことです。

異動が急で一週間後には新しい部署に行かなければならない場合、後任者への引継ぎが時間が足りずできないことがあります。特に後任者が不在であったり、複数人いて時間調整ができないと、効率的な引継ぎが不可能になります。また、前任者が急な転職や体調不良で退職するケースでは、引継ぎ期間がほぼ確保できません。営業のように業務をしながら顧客先の細かい情報の引継ぎが必要な場合、引継ぎには一、二週間程度が理想的ですが、その時間がとれない場合、引継ぎが不十分になるリスクが高まります。

引継げる相手がいない

引継ぎができない原因の2つ目は、引継げる相手がいないことです。

後任者が未定である、または能力や経験が不足している場合、引継ぎが難しくなります。例えば、あなたが産休予定であるが後任者が決まらなかったり、または明らかに経験不足の新人が後任者になったりするケースがあります。さらに、理想の後任者が他のプロジェクトで忙しくて引継ぎできない場合もあります。理想的には1対1で、または業務内容に応じた適切な後任者に引継ぐのが望ましいのですが、実際にはそれが難しい状況が多いでしょう。

引継ぎ手順がわからない

引継ぎができない原因の3つ目は、引継ぎ手順がわからないことです。

具体的には、前任者が「そんなに引継ぐものはない」と曖昧に話し、結局何も引継がれないケースがあります。このような状況は、マニュアルや手順書が存在しない場合や、引継ぎ経験が少ない人によく見られます。その結果、何をどのように引き継ぐべきかが不明確で、後任者は「何がわかっていないのかがわからない」状態に陥ってしまいます。後任者としては、最低でも業務の全体像や進行中の案件について知りたいと考える中でその情報すら提供されないと、業務に大きな支障をきたす可能性が高まります。

引継ぎの資料・情報が不十分

引継ぎができない原因の4つ目は、引継ぎの資料・情報が不十分なことです。

「何が何だかわからない」という状態になる原因としては、資料が雑に作成されていたり、必要な情報が不足していたりすることが挙げられます。このような不十分な引継ぎ資料は、後任者にとっては事実上役に立たず、業務の理解や進行に重大な障害を引き起こす可能性があります。

いい加減な資料の存在は、前任者が業務の詳細を正確に伝える意識が低い、または引継ぎの重要性を理解していないことの表れかもしれません。その結果、後任者は資料を元に業務を進めることが難しく、無駄に時間を消費したり、既存の問題を解決できなかったりする場合があります。

緊急の案件やその他の業務で忙しいとはいえ、引継ぎ資料の質が低いと、それが新たな問題を生む可能性が高いです。したがって、引継ぎ資料をしっかりと作成することが、スムーズな業務遷移には欠かせない要素であると言えます。

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引継ぎができないと困ってしまうシーン

ここでは、引継ぎができないと困ってしまうシーンについて解説します。

  • 人事異動
  • 前任者の休職・退職
  • 進行中のプロジェクトへの途中参加・離脱
  • 前任者のミスのリカバリーに入る場合

それでは、1つずつ解説します。

人事異動

引継ぎができないと困ってしまうシーンの1つ目は、人事異動です。

人事異動が発生した際に引継ぎが不十分だと、業務に支障をきたすケースが多いです。特に大きな企業では、単に部署内の異動だけでなく、異なる事業拠点間の異動も起こり得ます。このような状況では、新しい職場での業務遂行に必要な知識やスキル、進行中のプロジェクトの状況などをしっかりと引き継がなければなりません。

また、前任者が管理職に昇格する場合も、その人が担当していた業務をどう適切に引き継ぐかが問題となります。管理職としての新たな役割に専念するためにも、前のポジションでの業務はしっかりと後任者に引き継ぐ必要があります。

引継ぎが不十分な場合、後任者は仕事に対する理解が浅く、ミスを犯す可能性が高まります。これが業績にも影響を与え、組織全体の効率も低下する可能性があります。したがって、人事異動が発生する際の引継ぎは、スムーズな業務遷移だけでなく、組織のパフォーマンス維持にも不可欠です。

前任者の休職・退職

引継ぎができないと困ってしまうシーンの2つ目は、前任者の休職・退職です。

前任者の退職や休職が発生した場合、その人が担当していた業務をしっかりと引継がないと、業務遂行に大きな支障をきたす可能性があります。退職のケースでは、その人が持っていた専門的な知識やスキル、顧客との関係、進行中のプロジェクトの状況などが一気に失われるリスクがあります。これらの情報やスキルが適切に引き継がれないと、新しい担当者は手探り状態で業務を進めることになり、ミスや遅延が起こる可能性が高まります。

休職の場合も、病気やその他の理由で一定期間会社を離れる場合には、その期間中に担当業務をどう運営するかが問題となります。特に急な休職では、後任者がすぐに全てを引き継ぐのは難しい場合も多く、事前の準備が不可欠です。

退職や休職が予見できる場合は、早めに後任者を決定し、計画的な引継ぎを行うことが望ましいです。これによって業務の遅滞を防ぎ、組織の効率と品質を維持できます。

進行中のプロジェクトへの途中参加・離脱

引継ぎができないと困ってしまうシーンの3つ目は、進行中のプロジェクトへの途中参加・離脱です。

進行中のプロジェクトで途中参加・離脱が発生した場合、きちんとした引継ぎが行われないとプロジェクト全体に影響を及ぼす可能性が高いです。特にシステム開発など、チームで一つの成果を目指すような仕事では、新しいメンバーが途中で参加するときや、既存のメンバーが何らかの理由で離脱するときには、業務の引継ぎが必須です。

新たなメンバーが合流する場合、その人がどの部分を担当するのか、現状どのような進捗があるのかを明確にする必要があります。逆に、既存メンバーが途中でプロジェクトから離脱する場合、その人が担当していた業務や進行中のタスク、未解決の問題点などをしっかりと引き継ぐプロセスが必要です。

これらの引継ぎが不十分だと、プロジェクトに混乱が生じ、期限の遅延や品質低下などのリスクが高まります。計画的かつ効率的な引継ぎが、プロジェクトの成功にとって非常に重要です。

前任者のミスのリカバリーに入る場合

引継ぎができないと困ってしまうシーンの4つ目は、前任者のミスのリカバリーに入る場合です。

前任者のミスや失敗によって後任者が業務を引き継ぐ場合、その状況は通常の引継ぎ以上に複雑でデリケートです。前任者が業務を放棄したり、失敗によって異動や退職となった場合、後任者には即座に問題のリカバリーが求められます。このような状況では、前任者からの情報提供が不十分であることも多く、後任者は極めて限られた情報と時間で業務を引継がなければならない場合があります。

後任者には、前任者のミスや未完の業務を速やかに把握し、対応策を立てる能力が要求されます。さらに、関係する他のメンバーや部署、場合によってはクライアントとのコミュニケーションも重要となります。このような事態では、後任者の責任が重く、その行動一つでプロジェクトの運命や組織の評価が大きく左右される可能性があります。

このような厳しい状況で効果的な引継ぎを行うためには、組織全体でのサポートと明確な指示、そして柔軟な対応が必要とされます。

引継ぎができない原因を解消するためのステップ

ここでは、引継ぎができない原因を解消するためのステップについて解説します。

  • 業務内容の整理・洗い出し
  • スケジュール策定
  • 引継ぎ資料の作成
  • 引継ぎ実施
  • フォロー実施

それでは、1つずつ解説します。

関連記事:関連記事:業務の引き継ぎをスムーズにするには?流れや方法・ポイントを解説!

業務内容の整理・洗い出し

引継ぎができない原因を解消するための1つ目のステップは、業務内容の整理・洗い出しです。

具体的には、すべての業務項目を細かくリストアップし、それぞれの業務の頻度、タイミング、所要時間なども詳細に記述します。この過程で、目次のように大きなカテゴリから始めて、次第に細かい項目に分けていく方法が効果的です。また、後任者に役立つ情報、例えば「取引先についての特記事項」や「使用する端末の場所」までも含めると、後任者が業務を効率良く引き継ぐことができます。

重要なポイントとして、必ずしも全ての業務を引き継ぐ必要はありません。他の担当者と重複している業務や、必要以上に丁寧に行っていたが省略可能な業務、他の人に簡単に聞ける一般的な業務などは引継がなくてもよいでしょう。迷う項目があれば、念のため引継ぐことをおすすめしますが、その際は重要度を明示すると、後任者が業務の優先度を判断しやすくなります。

スケジュール策定

引継ぎができない原因を解消するための2つ目のステップは、スケジュール策定です。

まず、1つ目のステップで洗い出した業務内容に基づいて、必要な日数を見積もり、その情報を上司と共有します。後任者が誰になるのかもこの時点で確認し、必要ならば上司と協議します。スケジュールが決まったら、後任者と具体的な日程や方法について調整します。例えば、どれくらいの時間を割くか、具体的に何日から何日まで引継ぐかなどを確認し合います。さらに、顧客や取引先との挨拶回りも重要な引継ぎ活動であるため、その時間もスケジュールに組み込みます。

遠方の後任者がいる場合には、上司や後任者の上司が間に入ってスケジュール調整を行う場合もあります。そのため、自分の希望や制約を明確に伝えることが重要です。この段階で上司としっかりコミュニケーションを取ることで、「時間がない」「後任者が未定」といった問題を未然に防ぐことが可能です。

引継ぎ資料の作成

引継ぎができない原因を解消するための3つ目のステップは、引継ぎ資料の作成です。

この資料は「引継ぎ書」や「引継ぎマニュアル」として知られています。引継ぎ書は、主に短期間で引継がなければならないポイントや、詳細な業務マニュアルには載っていない進行中の案件、未処理の事項などをまとめた文書です。一方で、引継ぎマニュアルは詳細な業務マニュアルが存在しない場合に、業務内容全般と引継ぎポイントを網羅する資料です。

後任者が異動してくる場合や、業務に未経験な場合は、この資料が非常に重要となります。初対面や初めての業務では緊張感があり、口頭での説明だけでは後から疑問点が生じやすいです。そのため、新人や未経験者でも理解できるように、平易な表現で資料を作成することが推奨されます。

このようにして作成した資料は、後任者がスムーズに業務を引継げるだけでなく、その後の業務改善や次回の引継ぎにも役立つ貴重な資源となります。

関連記事:引き継ぎマニュアルの作成はなぜ重要?作成のポイントはどこ?

引継ぎ実施

引継ぎができない原因を解消するための4つ目のステップは、引継ぎ実施です。

ステップ3で作った資料を基にして、口頭での説明だけでなく、実際に操作する機器や端末があれば、一緒に作業を行います。この実践的なアプローチにより、後任者は理解が深まります。特に文字や言葉だけでは伝わらない内容も、具体的な画面や操作を見ることで理解されやすいです。説明する際には、一度にすべてを伝えようとせず、段階を踏んで進めます。後任者が一度に多くの情報を消化するのは難しく、疑問点が出た場合にすぐに質問できるような環境を作ることが大切です。

また、重要なポイントは何度も強調し、細かい点については「後で資料をご確認ください」と指示することで、後任者が優先度を理解しやすくなります。特に後任者が新人や未経験者である場合、資料にマーキングをして、重要なポイントに焦点を当てるような指導が有効です。これにより、後任者が必要な知識とスキルを効率よく習得できます。

フォロー実施

引継ぎができない原因を解消するための5つ目のステップは、フォロー実施です。

具体的には、業務の説明や挨拶が済んだ後、後任者がスムーズに業務を開始できるようにサポートを提供する段階です。理想的には、前任者がまだいる間に、後任者に十分な理解と実践の時間を確保しておくことが重要です。この段階で大事なのは、疑問点が出た場合や不明点がある場合に、後任者が前任者に気軽に問い合わせられる環境を作ることです。特に、説明しきれなかった部分や頻度の低い業務に関する質問が後から出ることもあるため、連絡が取りやすい体制を整えることが望ましいです。

継続的なフォローにより、後任者は業務に対する不安を解消でき、より効率的に仕事に取り組むことができます。また、前任者も後任者からのフィードバックを通じて、次回の引継ぎや業務改善の参考にできます。このようにして、引継ぎは円滑に行われ、業務の質も維持されるわけです。

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引継ぎができないケースをなくすためのポイント

ここでは、引継ぎができないケースをなくすためのポイントについて解説します。

  • 社内wikiを活用してチーム内の情報共有を行う
  • 上司にも協力を仰ぐ
  • 十分な時間を確保する

それでは、1つずつ解説します。

社内wikiを活用してチーム内の情報共有を行う

引継ぎができないケースをなくすためのポイントの1つ目は、社内wikiを活用してチーム内の情報共有を行うことです。

社内wikiの活用は、引継ぎがスムーズに行われるための非常に有用な手段です。特に、業務の詳細やプロセス、頻度の低い業務の情報などをwikiにまとめておくことで、急な人事変更や退職があった場合でも、後任者がその情報を容易に参照できます。このような情報共有の環境が整っていると、具体的な引継ぎ作業が楽になり、ミスや漏れも減少します。

また、情報共有を徹底することで、業務の「属人化」も防ぐことができます。属人化とは、特定の人が持っている情報やスキルがその人に依存してしまい、その人がいないと業務が進まない状態を指します。属人化が進むと、その人が欠けた場合のリスクが高まります。しかし、社内wikiなどで情報が共有されていれば、誰でも必要な情報にアクセスでき、属人化のリスクを大幅に削減できます。社内wikiのような情報共有ツールを活用することは、引継ぎをスムーズにするだけでなく、チームや組織全体の効率と安定性も向上させる重要なステップです。

関連記事:社内wikiの導入から活用までの完全マニュアル 成長企業が実践する情報共有術! – NotePM

上司にも協力を仰ぐ

引継ぎができないケースをなくすためのポイントの2つ目は、上司にも協力を仰ぐことです。

引継ぎ資料の作成後に上司に査読してもらう手法は、多くの利点があります。まず、上司が査読することで、その資料が組織やチームの方針、業務の優先度に適しているかが確認できます。さらに、上司は業務全体の流れや他部署との連携に対して知識がありますので、その観点からのフィードバックも得られるでしょう。

また、上司が資料を確認することで、引継ぎがきちんと行われているという事実が文書として残り、何か問題が起きた場合、その資料を参照することで誰の責任であったのか、どのポイントでミスが発生したのかを明確にできます。このような査読プロセスは、後任者だけでなく前任者にとっても有用です。なぜなら、引継ぎ資料を通じて自分自身の業務の整理や再確認ができ、引継ぎ後も業務が円滑に行われる確証を得られるからです。

十分な時間を確保する

引継ぎができないケースをなくすためのポイントの3つ目は、十分な時間を確保することです。

例えば、退職や異動が確定した際には、できるだけ早く上司に相談し、引継ぎのスケジュールを組むようにしましょう。このスケジュール作成には、後任者への具体的な説明期間も含めることが必要です。早めにスケジュールを立てることで、必要な情報や手順、未解決の問題点などをしっかりと後任者に伝えることができます。加えて十分な時間を確保することで、後任者が業務に必要な知識やスキルを習得する余裕も生まれます。また、十分な時間があれば、後任者からの質問にもしっかり答えられ、疑問点や不明点をクリアにできます。これが長期的には、ミスを防ぎ、業務の効率を向上させる要素となります。

さらに、上司も引継ぎの進捗状況を把握しやすくなり、必要ならば適切な指示や調整が可能になります。これにより、引継ぎが不完全に終わるリスクを大幅に低減できます。

まとめ

本記事では、引継ぎができない原因・その原因を解消するためのステップ・引継ぎができないケースをなくすためのポイントについて解説してきました。仕事の引継ぎは、「人と人」の間で行われる繊細な業務の一つです。そのため、不明点や認識の齟齬が生じやすく、場合によっては業務が停滞するリスクも生まれます。これを避け、スムーズな引継ぎを実現するためには、日常的な取り組みが必要です。具体的には、仕事のマニュアルを作成し、それを関係者全員で随時更新することで、必要な情報を継続的に共有しましょう。

また、チーム内での情報共有を徹底することで、特定のメンバーのみが業務の詳細を知っているという「業務の属人化」を防ぐことができます。日々のコミュニケーションが、これらの取り組みの鍵となります。情報共有ができる「NotePM」等のツールを活用し、オープンなコミュニケーションを心掛けることで、引継ぎ時のトラブルを大幅に減少させることができるでしょう。

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