テレワークが一般化するなかで、多くの企業は業務効率化やセキュリティ確保の観点から、紙の書類を電子化する動きに力を入れています。
遠隔での作業環境が求められる場合、紙ベースの書類管理では限界があるからです。
今回は、紙媒体の電子化が具体的に何を意味するのか、また「デジタル化」とどう違うのかを説明します。さらに、電子化のメリット・デメリットや、成功するための要点やポイントも解説します。
紙媒体の電子化が難しいと感じていたり、取り組みを検討していたりする人はぜひ参考にしてください。
目次
紙媒体の電子化とは?
紙媒体の電子化とは、文書や資料をデジタルフォーマットに変換する過程を指します。書類を電子化することで、コンピュータやスマートデバイスでの閲覧が可能です。PDF(Portable Document Format)は、電子化においてよく用いられるファイル形式で、多種多様なデバイスやソフトウェアで、レイアウトを崩さずに閲覧できます。
紙をPDFに変換する手段は主に二つ存在します。
一つ目は、文書が最初からWordやExcelで作成されている場合において、「名前をつけて保存」を選んで保存する方法です。
二つ目は、手書きのメモや図面などの紙の資料をスキャナーや複合機で読み取って、PDFに変換する方法です。
PDF形式にする利点として、特定のアプリケーションがなくても、元のレイアウトを保ったまま閲覧できる点が挙げられます。署名や捺印がされた重要な書類も、内容を維持したまま長期保存が可能です。
紙媒体の電子化とデジタル化の違い
電子化とデジタル化は似ていますが、それぞれ異なる概念です。
電子化は紙媒体に焦点を当てた用語であり、紙で存在していた資料や情報をデジタルデータに変換して保存することを指します。たとえば、契約書や請求書、報告書などの文書をスキャナーで読み取ってPDFファイルに保存することが挙げられます。電子化によって、物理的なストレージスペースの節約や、データの簡単な検索・共有が可能です。
一方で、デジタル化はより広範な概念であり、アナログで行っていた多くの作業をデジタルテクノロジーを用いて効率化することを指します。デジタル化には電子化も含まれますが、ほかに以下のような取り組みも該当します。
- 業務プロセスの自動化
- データ分析によるビッグデータの活用
- オンラインでのコミュニケーション
電子化は情報の保存方法を変える一歩として重要なステップであり、デジタル化はより広い意味での業務や活動の効率化を目指すものです。
関連記事:デジタル化とは?メリット・デメリットと実施プロセスを詳しく解説
紙媒体の電子化と関連のある法律
ここからは、紙媒体の電子化と関連のある法律として、下記の2つを解説します。
- e-文書法
- 電子帳簿保存法
電子化と関連のある法律を理解することで、法的に認められる形で書類を電子保存できるようになります。また、電子化できる書類の一覧も確認可能です。コンプライアンスを遵守した電子化を進めるために、内容をしっかり把握しておきましょう。
e-文書法
e-文書法とは、ビジネス文書の電子化に関する要件を定めた法律の総称です。e-文書法では請求書や領収書など、さまざまな書類が電子化の対象として認められています。しかし、電子化する際は各書類で定められた要件を満たすことが必要です。
多くの書類で求められるのが「技術要件」で、以下の4つの種類が存在します。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 見読性 | 電子データを、必要に応じて明瞭な状態で確認できること。 |
| 完全性 | 保存されたデータが改ざん・消去されていないと証明できること。 |
| 機密性 | 不正なアクセスを防止できる状態であること。 |
| 検索性 | 必要なデータを迅速に見つけ出せる状態であること。 |
上記4つの要件は、必ずすべて満たすものではなく、書類によって求められる要件が異なります。
電子化できる書類の一覧や、それぞれの要件は「国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)」の資料で確認できます(下記リンク)。電子化して問題ないか、判断に迷う書類がある場合はぜひ参考にしてください。
参考:e-文書法によって電磁的記録による保存が可能となった規定|国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)
電子帳簿保存法
電子帳簿保存法とは、所得税法や法人税法など、国税に関する帳簿や書類の電子化を認めた法律です。対象となる書類の例として、以下が挙げられます。
- 国税関係帳簿(総勘定元帳や仕訳帳など)
- 決算関係書類(貸借対照表や損益計算書など)
- 取引関係書類(請求書や領収書など)
国税に関する帳簿や書類を電子データで保存する際は、データの真実性と可視性を確保するため、複数の要件を満たす必要があります。要件の詳しい内容は国税庁のホームページで確認できるため、一度目を通しておきましょう。
紙媒体の電子化のメリット
ここからは、紙媒体の電子化のメリットについて解説します。
- コストを削減できる
- 書類の検索性を向上できる
- 業務効率化につながる
- 書類の保管スペースを削減できる
- 重要情報の紛失防止につながる
- 環境保護及びブランドイメージの向上につながる
- テレワークに対応しやすくなる
メリットを確認し、紙媒体を電子化することで得られる恩恵を伝えやすくなると、上司から電子化の取り組みを承認してもらえる可能性が高いです。紙媒体の電子化に興味がある人は、ぜひご覧ください。
関連記事:【2025年版】文書の電子化を徹底解説!おすすめサービス7選と法律概要・メリット・注意点・方法も紹介
コストを削減できる
紙のマニュアルを作成する場合、複合機のリース費用・インク・トナー・用紙など印刷に関わる費用が必要です。特にマニュアルのページ数が多い場合、費用は膨らみやすくなります。外部の印刷業者に依頼する場合はさらに高額な費用がかかるほか、紙のマニュアルは物理的な保管スペースが必要であるため、ファイリングコストも考慮しなければなりません。さらに、不要になったマニュアルの処分にもシュレッダー費用が発生します。
紙のマニュアルを電子化することで、書類作成のコストを大幅に削減可能です。電子データはクラウドや内部サーバーで安価に、または無料で保存できるため、ファイリングコストも減らせます。
書類の検索性の向上
2つ目のメリットは、書類の検索性の向上です。
例えば、紙で管理された過去のプロジェクト資料を参照する場面を考えてみましょう。紙のプロジェクト資料が入った多数のファイルが外部倉庫に保管されている場合、どのファイルに何の情報が入っているか把握していないと探しにくいです。書類が多いと、特定の情報を探すのに数日かかることも珍しくありません。
しかし、電子データの場合は話が別です。PDFファイル名やフォルダ名にわかりやすい名前をつけておくことで、目的の資料を素早く探し出せます。具体的なファイル名や日付がわからない場合でも、キーワード検索機能を使うことで瞬時に該当する資料を見つけられます。
紙媒体を電子化することで、情報検索の効率が飛躍的に向上し、時間の節約が可能です。
業務効率化につながる
紙媒体を電子化することで、情報の共有が格段に速くなります。情報の共有が速くなると、業務効率の向上につながります。
具体例として、稟議書や報告書などの内部文書を扱うケースを考えてみましょう。稟議書や報告書を紙で回付する場合、まず文書を作成し印刷する時間がかかります。さらに、上司や関係部署へ届ける手間が必要です。特に相手が出張していたり、テレワークを行ったりしていると、決裁が滞ることで業務のスピードが遅くなる可能性が高いです。
文書を電子化していると、送る相手が社内にいなくても、メール・クラウドストレージ・専用の業務アプリなどを用いて容易に文書を回付できます。決裁の待ち時間が大幅に削減され、業務の進行がスムーズになるため、電子化によって業務効率化を図れるといえます。
書類の保管スペースを削減できる
企業活動が継続すればするほど、各種書類は増え続けます。書類を紙ベースで保管する際はオフィス内のスペースを使用することが多く、場合によっては会議室や休憩スペースでの保管も必要です。オフィスで保存できない書類は外部の倉庫で保管する必要がありますが、外部の倉庫を利用する際は保管費用が発生します。また、必要な書類を手に入れる際は、取り寄せるための時間と費用も必要です。
電子化された書類はデータストレージに保存されるため、物理的なスペースをほとんど取りません。オフィス内のスペースを有効活用できるほか、外部倉庫の利用料金も削減可能です。
重要情報の紛失防止につながる
紙で管理されている顧客の契約書や個人情報、社外秘のプロジェクト情報などは、紛失するリスクが常に存在します。また、紙は時間と共に劣化する性質があるため、データの長期保存には不適です。
電子化によって、書類の情報にパスワード保護や暗号化などを施すことで、安全なデジタルストレージに保存できます。さらに、デジタルデータは容易にバックアップを取れるため、紛失や劣化のリスクを大幅に減らせます。
環境保護及びブランドイメージの向上につながる
紙の使用を減らすことは、森林資源の保護や廃棄物の削減につながります。SDGs(持続可能な開発目標)にも関連する取り組みで、特に「持続可能な消費と生産形態」や「気候変動に対する対策」などの目標に貢献可能です。
企業が環境目標に積極的に取り組む姿勢を示すと、企業イメージが高まります。
その結果、企業が提供する製品やサービスへの関心も高まり、ビジネス上の成功にも寄与する可能性があります。
テレワークに対応しやすくなる
紙媒体を電子化すると、社外からでも書類を閲覧できます。社外から書類を確認できると、従業員は場所を選ばずに業務を遂行できるため、テレワークに対応しやすくなります。たとえば、自宅から契約書を上司に送信し、承認を受けたうえでクライアントに送るという作業が可能です。
テレワークを推進すると、企業の魅力として「多様な働き方ができる」というものが生まれます。採用活動で多様な働き方ができる点をアピールすると、優秀な人材の確保につながりやすくなります。
紙媒体の電子化のデメリット
ここでは、紙媒体の電子化のデメリットについて解説します。
- 電子化の完了までに時間を要する
- ファイル整理が煩雑になる場合がある
- 新たにセキュリティ対策が必要になる
- 人や使用用途によっては適さない
- システム障害時は閲覧できない
デメリットを把握することで、紙媒体の電子化を実行するかどうかの判断材料にできます。紙媒体の電子化を検討している人はぜひ確認しましょう。
電子化の完了までに時間を要する
スキャナーや複合機を用いて書類をデジタルデータに変換する際は、一枚一枚の書類を丁寧にスキャンする必要があります。書類の量が多いとスキャン作業だけで数日間かかる可能性もあります。また、古い書類や状態が悪いものは、読み取りエラーが発生しやすく、修正作業が必要になることも多いです。
電子化するに当たってスキャンが必要である場合、短期的に見ると業務の効率を低下させる可能性があります。
ファイル整理が煩雑になる場合がある
電子化の前にファイルの命名規則やフォルダ構造、タグ付けのルールを決めておかないと、生成された電子ファイルの内容を一目で把握しづらくなります。電子化した結果、ファイルの内容が一目でわからない状態になると、必要な文書を探す際に時間がかかりやすくなります。
漠然としたルールで電子化を進めてしまうと、紙ベースで管理していたときより書類が散乱する可能性があるため、注意が必要です。
新たにセキュリティ対策が必要になる
紙媒体の電子化を行う場合、物理的なセキュリティ対策が不要になる代わりに、ウイルス対策が求められます。そのため、アンチウイルスソフトウェアの導入や最新のセキュリティパッチの適用が必要です。
また、データのバックアップも重要です。紙媒体の場合、人為的な原因による紛失や自然災害による紛失のリスクもありますが、デジタルデータではハードウェアの故障やデータの誤削除を考慮しなくてはなりません。そのため、定期的なバックアップが必須です。
さらに、電子化してデータの持ち出しや共有が容易になることで、情報漏洩のリスクが高まるといえますます。USBメモリやメールを介したデータの流出防止のため、データ持ち出しや共有に関するルールやガイドラインを策定する必要があります。
人や使用用途によっては適さない
文書の内容を一目で把握したい場合は、電子化が必ずしも適していない可能性があります。コンピュータやタブレットのスクリーンは表示できる範囲が限られるため、書類に多数の項目がある場合はスクロールやページ遷移が必要です。そのため、全体の概要を一度に把握することが難しくなる可能性があります。
また、人によっては、紙媒体のほうが書き込みや修正がしやすいと感じるケースもあります。
システム障害時は閲覧できない
紙媒体を電子化している場合、システム障害が起きると必要な情報が取得できず、企業活動に大きな影響を与える可能性が高まります。顧客情報や契約書、プロジェクトの進捗報告などが一時的にでも手の届かない状態になると、ビジネスチャンスの損失や、顧客からの信用の低下につながる恐れがあります。
紙媒体であれば、物理的なアクセスが可能である限り、書類を閲覧できないリスクは低いです。しかし、電子化する場合は保存先のインターネット接続とサーバー状態によって書類を利用できるかが変わるため、その書類を保管するサービスの安定性が問われます。
紙媒体の電子化を進める具体的な方法
ここからは、紙媒体の電子化を進める具体的な方法として、以下の5つを紹介します。
- 複合機・スキャナーでスキャンする
- スキャンサービスを活用する
- アウトソーシングする
- 写真撮影して保管する
- 文書管理ツールを利用する
それぞれの方法を確認することで、電子化をどのように実施するか考えやすくなります。紙媒体の電子化を予定している人は一度確認してみましょう。
複合機・スキャナーでスキャンする
一般的な複合機やスキャナーには、PDFで保存する機能があります。PDFは、多くのデバイスやアプリケーションで開ける汎用性の高いファイル形式です。PDFで保存する機能を使うことで、紙の文書をそのまま電子化可能です。
具体的な手順としては、紙の文書を複合機やスキャナーのスキャン台に置き、適切な設定(解像度やカラー・モノクロなど)を選んでスキャンを開始します。スキャンが完了したら、生成されたPDFファイルをパソコンやネットワーク上に保存します。
スキャンサービスを活用する
オフィスに専用のスキャン機器がない場合でも、店頭でセルフスキャンサービスを利用できます。このセルフスキャンサービスは、コンビニエンスストアや専門のコピーショップなどで提供されており、場所によっては24時間利用できることもあります。
セルフスキャンサービスは、一時的に電子化が必要な場合の方法として便利です。ただし、機密性が高い文書や大量の文書をスキャンする場合は、セキュリティやコストの面からオフィス内で電子化するほうが適している場合もあります。
アウトソーシングする
分厚い本や特殊なサイズの書類など、自社の設備では電子化しにくい書類についてはアウトソーシングが便利です。プロによって丁寧かつ高速に電子化が行われるため、自社で人手を割く必要がありません。さらに、スキャン作業だけでなく、データの管理業務を請け負ってくれる業者も存在します。アウトソーシングを活用することで、業務効率化が一気に進展する可能性が高いです。
ただし、外部の業者に依頼するデメリットとして、「費用がかかる」「セキュリティリスクがある」が挙げられます。機密書類や重要なデータを外部に委託する際は、委託予定の業者が強固なセキュリティ対策を講じているか確認する必要があります。また、自社でスキャン機器を導入する費用と、外部委託の費用を比較することも重要です。
写真撮影して保管する
紙媒体を電子化する方法のなかで、特に手軽なのがスマートフォンやデジタルカメラを使って書類を撮影し、画像として保存する手法です。スキャナーで処理しきれない大きなサイズの書類については、写真撮影することで効率的に保管できます。
しかし、画像データはPDFに比べてファイルサイズが大きくなりやすいです。ファイルサイズを落とすには、画像の解像度を下げる、あるいは撮影範囲を絞るなどの工夫をする必要があります。
また、多数の書類を一度に撮影しようとすると、画像が見づらくなる可能性もあります。
スマートフォンで写真を撮る方法は手軽で便利ですが、品質やデータサイズ、可読性などの面で工夫が必要です。どうしても速やかに文書をデジタル化したい際には、有用な手段であるといえます。
文書管理ツールを利用する
文書管理ツールとは、請求書や議事録、業務マニュアルなどさまざまな文書を効率良く保管できるITツールです。また、新規ドキュメントの作成も可能であるため、紙の書類の内容を転記する際にも利用できます。
多くのツールには、書類の作成を効率化するテンプレート機能や、ドキュメントに掲載する画像の編集機能などが備わっています。さまざまな機能を活用することで、紙の文書を正確に、効率良く電子データに変換可能です。
また、文書をフォルダごとに分けて保管し、キーワード検索でスムーズに探せるツールも多いです。保管している書類の検索性を確保しやすい点も魅力的といえます。
紙媒体の電子化をする具体的な流れ
ここからは、紙媒体の電子化をする具体的な流れを、以下の4つの手順に分けて解説します。
- 優先順位を設定する
- 電子化の方法を決める
- 電子化をする際のマニュアルを作成する
- 電子化を実践する
流れを事前に把握することで、紙媒体の電子化をスムーズに進められます。電子化を実施する予定の人はぜひ確認しておきましょう。
1.優先順位を設定する
手当たり次第に紙媒体の電子化を進めると、重要な書類が後回しになるリスクがあります。また、逆に不要な書類を電子化することで、時間とリソースの無駄につながる可能性があります。作業をスムーズに進めるために、最初に電子化する書類の優先順位を決めることが大切です。
具体的には、まず電子化を検討している書類を整理したうえで、、重要な書類は何かを考えます。次に、いつまでにどの書類を電子化するかのスケジュールを設定します。計画的に作業を進めることで、効率の良い電子化が可能です。
2.電子化の方法を決める
電子化する紙媒体の優先順位が決まったら、どのような方法で電子化するか決めましょう。電子化の方法は以下が挙げられます。
- 複合機・スキャナーでスキャンする
- スキャンサービスを活用する
- アウトソーシングする
- 書類の写真を撮影して保管する
- 文書管理ツールを利用する
また、ファイル形式・フォルダ構造・命名規則など、電子化の大まかなルールも決めておくと、後の手順をスムーズに進められます。
3.電子化をする際のマニュアルを作成する
紙媒体の電子化を滞りなく進めるには、専用のマニュアルを作成することが有効です。マニュアルに記載する内容としては、以下が挙げられます。
- 電子化の手順
- 命名規則
- 保管場所
- フォルダの分け方
- 緊急時に備えた対応(システム障害に備えて、紙の書類をすぐ処分せずに一定期間保存する等)
過去に紙媒体の電子化を行ったことがある場合は、経験を基に得られた知見も記載しましょう。
あらかじめマニュアルを作成することで、電子化を実践する際に、社員に進め方や注意点などをスムーズに共有できます。
4.電子化を実践する
スケジュールやマニュアルが確定したら、実際に紙媒体の電子化を開始します。初期の段階で、事前に決めたルールを徹底して守ることが大切です。初期の段階でルールを守れていないと、社員間で進め方が統一されないまま電子化が進行してしまいます。結果として、フォルダ構造や命名規則がバラバラになり、電子化されたファイルを検索しづらくなる可能性があります。
また、電子化を進めている途中で問題が発生した場合は、原因を分析しながらマニュアルや運用フローを改善しましょう。
紙媒体を電子化する際の注意点
ここからは、紙媒体を電子化する際の注意点として、以下の7つを解説します。
- 社員の同意を得たうえで実施する
- 電子化する書類を選別する
- 強固なセキュリティ対策を施す
- 書類の検索性を高める
- 書類の見読性を保つ
- 段階的に実施する
- 電子化した後に効果測定を行う
あらかじめ注意点を理解することで、電子化が失敗に終わるリスクを回避しやすくなります。紙媒体の電子化を実施する前に、ぜひ目を通しておきましょう。
社員の同意を得たうえで実施する
紙媒体の電子化を行うことで、仕事を進める環境は大きく変化します。一部の社員からは、新しいシステムの導入や業務フローの変更による不安から、反発が起こる可能性があります。社員の理解を得られていない状態では、電子化をスムーズに進められません。
紙媒体の電子化を実施する前に説明会を行い、実施の目的やメリットなどを共有することで、社員の理解を得るように努めましょう。説明会のなかで質疑応答の時間を設けると、社員の疑問や不安を解消しやすくなります。
電子化する書類を選別する
社内のすべての書類を一度に電子化しようとすると、膨大な時間とコストがかかります。あらかじめ電子化する書類を選別したうえで、どれから電子化を始めるか、優先順位も決めましょう。
契約書や請求書、稟議書など、利用頻度が高い書類から電子化を進めるのが効率的です。一方で、法定保存期間が過ぎている書類や、将来的に使用する可能性が極めて低い書類は電子化の対象から除外します。電子化しない書類については、同時に廃棄することも検討しましょう。
強固なセキュリティ対策を施す
電子化した書類をクラウド上で管理すると、サイバー攻撃で情報が漏洩したり、内容が改ざんされたりするリスクが生じます。紙媒体を電子化する際は、デジタルデータに特化したセキュリティ対策が必須です。以下のようなセキュリティ対策を忘れずに施しましょう。
- データへのアクセス権限を、役職や部署ごとに細かく設定する
- 通信を暗号化する
- ウイルス対策ソフトを導入する
また、従業員一人ひとりのセキュリティポリシーを高める教育も重要です。ツールのログイン情報の管理方法や、不審なメールへの対処法などを丁寧に教えるように心がけましょう。
書類の検索性を高める
電子化したファイルの整理を怠ると、必要な情報を素早く見つけ出すことが困難になります。情報の検索性が低いと、業務効率が低下する可能性が高いです。
解決策としては、ファイル名やフォルダ名、タグなどの命名規則を整理することが挙げられます。命名規則がしっかりしていると、キーワード検索で探している文書を見つけやすくなります。設定した命名規則は従業員に入念に周知し、遵守してもらうように徹底しましょう。
書類の見読性を保つ
書類を電子化する際は、最終的にどれだけ見やすく、効率的に活用できるかも重要なポイントです。電子化された書類は、ディスプレイのサイズや解像度、閲覧するアプリケーションによって見え方が変わる可能性があります。そのため、テキストが読みにくい、図や表が不鮮明であるといった問題が発生しやすいです。
見読性の問題を解決するには、電子化する際のスキャン設定に注意を払う必要があります。解像度をはじめ、どういった設定をするべきか電子化のマニュアルに記載し、どのデバイスからでもクリアに内容が確認できるようにしましょう。
段階的に実施する
いきなり電子化を全社で開始すると、各部署で現場が混乱し、質問対応に追われる可能性があります。紙媒体の電子化を滞りなく進めるには、最初に特定の部署だけで試験的に始めて、電子化の作業に慣れたうえでほかの部署でも実施することがおすすめです。電子化を最初に行う部署としておすすめなのが、幅広い書類を扱う総務部や経理部です。
試験的に電子化を始める際は、実施するうえでの課題を洗い出すことに注力しましょう。挙げられた課題については解決策を考えて、電子化のルールを改善します。改善したルールをもとに、ほかの部署でも電子化を実施することで、社内のすべての書類をスムーズに電子化できます。
電子化した後に効果測定を行う
効果測定を行うことで、電子化によって本当に自社が恩恵を受けられているかを確認できます。書類をすべて電子化して満足するのではなく、効果測定までしっかり実施しましょう。測定するべき指標の例としては、以下が挙げられます。
- 書類の検索時間の短縮率
- 書類の印刷コストの削減率
- 業務工数の短縮率
効果測定の結果、数値が芳しくないと判断される場合は、原因を分析して電子化の方法を見直しましょう。方法の改善と効果測定を繰り返すことで、電子化による恩恵を最大限に受けられます。
紙媒体の電子化は文書管理ツールで行うのがおすすめ
文書管理ツールは電子ドキュメントの作成に特化しており、使いやすいUIのテキストエディタによって、わかりやすい文書を作成できます。
また、セキュリティ性能も高く、ツール内で文書を安全に保管可能です。文書管理ツールを使うことで、紙媒体の電子化において大切な見読性・機密性・検索性を自然と確保できます。紙媒体の電子化を行うなら、文書管理ツールの使用がおすすめです。
優れた文書管理ツールとして挙げられるのが「NotePM」です。
ここからは、NotePMの特徴として、以下の3点を紹介します。
- 検索性に優れている
- 操作性に優れている
- 豊富なテンプレートがそろっている
特徴を把握することで、NotePMを導入するメリットを理解できます。文書管理ツールの導入に興味がある人は、ぜひご覧ください。
検索性に優れている
NotePMの特徴として、強力な検索機能が挙げられます。保管している電子文書を探す際にキーワード検索が可能で、ドキュメントのタイトルだけでなく本文も対象にして検索できます。探している文書のタイトルが思い出せなくても、時間をかけずに見つけやすい点が魅力です。
また、キーワードだけでなくタグでも検索できるほか、よく見る文書はお気に入りに登録できます。さまざまな機能を使うことで、書類をスムーズに探せる工夫が施されています。
操作性に優れている
NotePMを導入した理由として特に挙げられるのが「使いやすい・見やすい」という点です。文書の検索画面・作成画面のどちらもUIがわかりやすく、ITツールに慣れていない人でも直感的に扱えます。
ツールの操作が難しいと、社員に使い方を説明する必要があるため、紙媒体の電子化に手間がかかります。操作性に優れているNotePMなら、電子化のスムーズな進行が可能です。
豊富なテンプレートがそろっている
NotePMで文書を作成する際は、テンプレートの使用が可能です。具体的には、以下のようなビジネス文書のテンプレートを利用できます。
- 日報
- 議事録
- 報告書
- ビジネス戦略の資料
ビジネス文書を電子化する際に、テンプレートを利用できると作成作業を効率化できます。紙媒体の電子化を迅速に進めたい人にとって、NotePMはおすすめのツールです。
NotePMの導入で紙媒体の電子化に成功した事例
ここからは、NotePMの導入で紙媒体の電子化に成功した事例として、以下の3つを紹介します。
- 株式会社ホタルクス
- キーコーヒー株式会社
- 歯科タケダクリニック
導入事例を把握することで、NotePMのメリットをより具体的に理解できます。NotePMに興味がある人はぜひ確認してください。
株式会社ホタルクス

株式会社ホタルクスは、照明器具の開発・製造・販売を手がける企業です。ユーザーからの問い合わせに対応している「お客様相談室」では、以前はスタッフが紙のメモで情報を管理していました。しかし、スタッフ同士でナレッジの共有ができていないことから、人によってユーザーへの情報の伝え方が異なるという問題が発生していました。
同社の問題を解決したのがNotePMです。すべてのメモの内容を電子ファイルに移し、NotePM内で保管したことで、ナレッジの検索性が向上しました。ナレッジを探しやすくなったことで、問い合わせの対応時間が1件あたり6~7分から3~4分に削減され、ユーザーの満足度の向上につながりました。
関連記事:【導入事例】お問い合わせ電話の保留時間が3分→1分に短縮。ペーパーレス化にも繋がった70年の歴史を持つメーカーのNotePM活用術 – 株式会社ホタルクス
キーコーヒー株式会社

キーコーヒー株式会社は、コーヒーの製造・販売や、海外でのコーヒー農園事業などを手がける企業です。業務マニュアルが散在していたり、紙媒体で保管されていたりすることで、ナレッジ検索に時間がかかる点が課題でした。
NotePMを導入し、すべてのマニュアルを電子化して一元管理することで、情報を探す時間が半分以下に削減されました。また、NotePM内でToDoリストを作成することで、社員のタスクの進捗管理もスムーズになりました。
関連記事:【導入事例】情報を探す時間が半分以下に。創業100年の老舗企業のマニュアル文化を大改革 – キーコーヒー株式会社
歯科タケダクリニック

歯科タケダクリニックは、東京都や埼玉県で12医院を展開するクリニックです。新しいスタッフが入社したときのために紙のマニュアルを用意していましたが、欲しい情報をすぐ見つけられないことから、あまり使われない点が課題でした。
NotePMを導入し、業務に関する情報を一元管理することで、情報を探す時間を大きく削減できました。また、医院見学に来た学生に、NotePMで不明点を簡単に調べられる点を伝えることで良い印象を持ってもらいやすくなりました。結果として、新卒の学生を採用しやすくなった点も導入効果のひとつです。
関連記事:【導入事例】歯科医師・衛生士・受付助手・医療事務を繋ぐナレッジベースとして活用!専門ノウハウをすぐ探せるようになった – 歯科タケダクリニック
紙媒体の電子化で業務の効率化を図ろう
本記事では、紙媒体の電子化のメリット・デメリットや注意点、実施の流れなどを解説しました。
紙媒体を電子化すると書類の検索性が向上し、業務の効率化につながります。業務を効率化することで、自社の売り上げの向上に直結するため、ぜひ積極的に電子化を実施してみましょう。
紙媒体の電子化を行う際は、電子文書の作成・保管・検索を高水準で行える文書管理ツール「NotePM」をぜひ利用してください。



