OpenAIが開発したチャットボット「ChatGPT」は2022年11月のリリースと同時に大きな話題になりました。人間のように自然な文章を紡ぐことができる高い言語生成能力を持っていることが特徴で、将来的にはあらゆるビジネスパーソンの仕事に影響を及ぼす可能性があるとされています。
今回はChatGPTの特徴や機能を解説し、革新的だと言われている理由を探ります。 ChatGPTの使い方やビジネスで活用するメリットなども紹介していますので、参考にしてください。
目次
ChatGPTとは
ChatGPTは、言語生成AIが搭載されたテキスト形式のチャットボットです。
ChatGPT以前はAIが生成する文章というと、どこか不自然で機械的な印象の強いものでした。そうしたイメージを打ち破るほど、まるで人間のように滑らかな文章が生成できることから、ChatGPTは大きな注目を集めています。
また、誰でも利用できるサービスであることも、話題性に拍車を掛けた要因です。ChatGPTのサービスはブラウザから簡単にアクセスできるほか、ChatGPTのAPIを活用したアプリケーションの開発も進んでいます。今後もさらに広がっていくでしょう。
ここでは、世界的に注目を浴びているChatGPTについて仕組みや料金、対応言語、他のAIとの違いについて初心者にも分かりやすく解説します。
GPTの意味
ChatGPTの“GPT”はGenerative Pretrained Transformer(文章生成言語モデル)の頭文字から取られています。Web上にある膨大な数のテキストを学習して身につけたパラメーターをもとに、利用者が入力したプロンプト(質問)を理解して、トークン(回答)を生成する仕組みです。ChatGPTのリリース当初は2020年7月にOpenAIが発表したGPT-3.5が使われていましたが、2023年3月15日からはGPT-4が試験的に導入されています。
GPTの性能を決める指標の1つは、パラメーターの数です。パラメーターが多いほど、語彙や知識が豊富なAIだということを示しています。GPT-3.5には約3,550億個、GPT-4には約100兆個のパラメーターが搭載されていて、GPT-4はテキストだけでなく画像形式での入力にも対応可能です。
利用料金
基本的にはすべて無料で利用でき、回数の上限などもありません。会員登録が必要ですが。メールアドレスまたはGoogleやMicrosoftのアカウントと電話番号があれば誰でも無料で登録可能です。
有料版の「ChatGPT Plus」もリリースされていて、料金は月20ドル(2023年4月現在)です。無料版との主な違いは、新機能を先行利用できることです。より精度の高い回答が可能なGPT-4は、ChatGPT Plusにのみ実装されました(2023年3月現在)。また、情報処理のスピードも無料版とは異なります。ChatGPTは世界的に注目を浴びているサービスであるため、アクセスが集中する時間帯はレスポンスが遅くなります。ですが、有料プランでは混雑時も優先的にアクセスできるため、時間を問わず快適に利用可能です。
また、ChatGPTのAPIは利用回数に応じて料金が発生します。2023年4月時点では、1,000トークンあたり0.002ドル(約0.27円)です。完全に無料なわけではないので、利用の際は注意してください。
対応言語
管理画面の表記はすべて英語ですが、UIがシンプルなので、プロンプトの入力場所は直感的に分かります。英語が苦手な方も、Google翻訳やDeepLを活用して問題なく理解できますのでご安心ください。
プロンプトとトークンはさまざまな言語に対応していて、日本語での入出力も可能です。入力した言語と同じ言語でトークンを生成するため、日本語で入力すると日本語で、英語で入力すると英語で返してくれます。ChatGPT自身に対応言語を聞いたところ、以下のような回答がありました。
英語、日本語、中国語、スペイン語、準拠、ドイツ語、イタリア語、ロシア語、ポルトガル語、オランダ語、ノルウェー語、スウェーデン語、デンマーク語、フィンランド語、アラビア語、韓国語、タイ語、トルコ語、インドネシア、ベトナム語など、多くの言語に対応しています。ただし、どの言語でも完璧に対応しているわけではなく、特定の言語については、私の回答が不完全または不正確である場合があります。
また日本語での入力に「〇〇語でお願いします」と付け加えると、指定した言語で出力することも可能です。
音声アシスタントとの違い
人間のように答えてくれるAIと聞いてと、Siriやアレクサ、Googleアシスタントなどを思い浮かべた方も多いでしょう。これらの音声アシスタントとChatGPTは、入力・出力方法と回答の柔軟性が異なります。音声アシスタントは主に音声で入出力を行いますが、ChatGPTは基本的にテキストです。
また、音声アシスタントは端末の操作を音声で行うためのツールであるため、答えのない問いに応じることはできません。問いかけが質問形式ではなかったり、意図が理解できなかったりすると「すみません、よくわかりません」といった機械的な回答が返ってきます。ChatGPTでは、質問形式以外の問いかけにも答えることができ、創作も可能です。こうした違いも、ChatGPTの性能の高さを物語っています。
ChatGPTの開発元・OpenAIについて
ChatGPTと、ChatGPTに搭載されているGPT-3.5やGPT-4は、サンフランシスコにある非営利の研究組織OpenAIによって開発されました。OpenAIは人工知能の発展・普及を目的として2015年に創立され、創立者にはテスラやTwitterのCEOとして有名なイーロン・マスク氏も名を連ねています。
OpenAIのツールが注目される理由
OpenAIの特異性は、非営利団体であることです。そのため、莫大な資金と技術を注いで開発された製品が、オープンソースとして提供されています。ChatGPTの技術を利用したサービスを開発する機会が、資本力を問わず等しく与えられていると言えるでしょう。個人やスタートアップ企業から大企業まで、OpenAIが開発した高度なAIを活用したさまざまなツールの開発が期待されています。
ChatGPT以外のAIツール
OpenAIは言語だけでなく画像の生成を行うAI「DALL-E」シリーズも開発しています。文字を入力するだけで、リクエストした通りの画像を生成することが可能です。たとえば「タイムズスクエアにいるナボレオン」「空を飛ぶゾウ」のように実際にはあり得ないシチュエーションを入力しても、テキスト通りの画像を出力します。
ChatGPTにできること
ChetGPTの代表的な活用方法を6つ紹介します。ビジネスシーンに取り入れるアイデアも紹介していますので、参考にしてください。
1. 質疑応答・相談
ユーザーの問いかけに対して、事前学習した情報をもとに自然な日本語を生成して回答することができ、ビジネスでも様々なシーンで活用可能です。たとえば、営業スタッフが顧客への提案資料作りで悩んだときは、ChatGPTに提案内容と合わせて担当者の職業や役職、年齢などを入力してください。以下のように内容の着眼点や、好印象に繋がるレイアウトなどを教えてもらえます。
プロンプト(質問) | 取引先に見える資料提案のデザインで悩んでいます。取引先は建設業で、担当者は50代後半の男性です。 |
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トークン(回答) |
建設業という職業を考えると、堅実でシンプルなデザインが好まれる傾向にあります。また、担当者が50代後半の男性であることから、文字の大きさや色についても適切に配慮する必要があります。
以下は、提案資料のデザインに関する一般的なポイントです。 • 文字の大きさ:適度な大きさのフォントを使用し、読みやすいレイアウトを心掛けましょう。一般的には11〜12ポイントが適切とされています。 • 色:ビジネスの場で使用される色としては、黒や青、グレーなどが好まれます。明るすぎる色や派手な色は避け、落ち着いた色合いを選ぶと良いでしょう。 • レイアウト:シンプルで分かりやすいレイアウトを心掛け、必要な情報に絞ってまとめることが重要です。また、グラフや表などを活用することで、見やすいわかりやすい資料を作成することができます。 以上の点を考慮しつつ、取引先の業務や担当者の年齢層に合わせた適切な提案資料のデザインを検討してみてください。 |
また、明確な答えがない抽象的な質問にも感情に寄り添った回答を生成することができます。
プロンプト(質問) | 愛犬が亡くなって、仕事に身が入りません |
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トークン(回答) |
愛犬を亡くすことは非常につらいことですね。心中お察しいたします。
このような時には、心に余裕がなくなり、仕事に集中できなくなることがあります。まずは、ゆっくりと気持ちを整理するために、休暇を取ることを検討してみてはいかがでしょうか。また、身近な人や友人と話をすることも効果的です。愛犬と過ごした思い出を振り返ることも、悲しみを癒すのに役立ちます。 また、仕事に戻る際には、自分の感情を抑えることは必要ですが、同時に感情を完全に押し殺すことは避けましょう。心を開いて、周りの人たちに話を聞いてもらうことも、悲しみを乗り越えるための一つの方法です。 最後に、愛犬と過ごした時間を大切にし、思い出を忘れずに心に留めておくことも大切です。 |
2. テキスト翻訳
外国語のテキストを入力して「以上の文章を日本語に翻訳して」と付け加えると、翻訳してもらえます。DeepLアプリと同様に、履歴が自動で残ることが強みです(PC版のみ対応)。商社や多国籍企業のように海外とのやり取りが多い仕事であれば、チャットやメールを翻訳する際に使えます。相手ごとにスレッドを分けると以前のやり取りの和訳も簡単に見返すことができて便利です。また、以下のように海外へ送るメールのテンプレートを生成してもらうこともできます。
プロンプト(質問) | 日本の商社がアメリカのメーカーに送る見積り依頼のメールのサンプルを作成してください。言語はアメリカ英語でお願いします。 |
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トークン(回答) |
Subject: Request for Quotation for Product Name Dear [Supplier’s Name], I hope this email finds you well. My name is [Your Name] and I am from [Your Company Name], a trading company in Japan. We are interested in purchasing Product Name from your company and would like to request a quotation for the following: Please provide the following information in your quotation: We would appreciate it if you could send your quotation to us by [date]. If you have any questions or require further information, please do not hesitate to contact me. Thank you for your attention and we look forward to your reply. Best regards, |
※関連記事:【2024年版】AI翻訳サービスのおすすめ6選!導入メリットや注意点・選び方も解説!
3. テキストの要約
入力したテキストを要約がすることができ、ビジネスシーンではとくに会議の議事録作成に便利です。Web会議ツールの自動文字起こし機能を使って出力したテキストを入力すると、重要なポイントを抜き出して議事録を生成することができます。また、ChatGPT自身が回答したテキストを要約することも可能なので、回答が長くなった場合に要点を教えてもらうことができます。
プロンプト(質問) |
現在、NotePMのメール通知に関して、お客様から「機密性の高い情報が通知上で表示されると、セキュリティリスクが気になる」というご意見をいただいています。この問題に対して、私たちは新たなオプションとして「メール通知の非表示」を実装することを考えています。このオプションを有効にすることで、スマートフォンのホーム画面上で表示されるメール通知から、機密性の高い情報が外部に漏れることを防ぐことができます。
以上の文章を議事録用に要約してください。 |
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トークン(回答) |
要約文: NotePMのメール通知において、機密性の高い情報が通知上で表示されることがセキュリティリスクとして指摘されたため、新たなオプションとしてメール通知の非表示を実装することが提案された。このオプションを有効にすることで、スマートフォンのホーム画面上で表示されるメール通知から機密性の高い情報を外部に漏らすことが防止できる。 |
※関連記事:無料で使える!Web会議の議事録作成に便利な機能4選
4. スプレッドシートの関数記述
求めたい値を文章で入力すると、要望に合った関数式を記述してもらえます。
プロンプト(質問) | セルA1〜A10から「X」を数える関数式を教えてください |
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トークン(回答) |
以下のような関数式で、セルA1〜A10から「X」を数えることができます。 この関数式は、COUNTIF関数を使って、A1〜A10のセル範囲の中で文字列「X」がいくつあるかを数えるものです。 |
※関連記事:ChatGPTのAPIとは?スプレッドシートでの活用方法やChromeの拡張機能も紹介
5. プログラミング言語の記述
関数と同様に、文脈を理解して要望に合ったコードを記述してもらうことができます。簡単なコーディングや、別の言語への書き換え、コードの意味の解説、別の記述方法の提案、テストコードの出力など様々な使い方が可能です。
プロンプト(質問) | サイト内検索フォームを設置するためのHTMLタグを教えてください。 |
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トークン(回答) |
サイト内検索フォームを設置するためのHTMLタグは、formタグとinputタグを使います。 以下は、検索ボタンを含むサイト内検索フォームの例です。 formタグには、action属性に検索フォームが送信されるURLを指定し、method属性にHTTPメソッドを指定します(通常はgetまたはpostを指定します)。 最後に、検索を実行するためのボタンをbuttonタグで作成し、type=”submit”を指定します。これにより、ボタンがクリックされたときにフォームが送信されます。 |
6. 小説や脚本の作成
入力したテーマや設定をふまえて、小説や脚本、詩などの文芸作品を記述することができます。ビジネスシーンにおいては、商品開発やマーケティングで顧客のイメージを膨らませる手段として活用可能です。ターゲットや商品の特性を入力すると、商品を知ってから購入するまでのストーリー(カスタマージャーニー)を記述してもらえるので、企画を客観視できるでしょう。
プロンプト(質問) | 私は株式会社プロジェクト・モードのマーケティング部門で働いています。当社が提供するクラウドサービス「NotePM」は社内マニュアルの編集・共有に便利なツールです。まだNotePMのことを知らないIT企業がNotePMを導入するまでのカスタマージャーニーを考えてください。お客様視点で、小説風な表現でお願いします。 |
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トークン(回答) |
以下、お客様の視点からの小説風表現でのカスタマージャーニーをお届けします。
彼女はIT企業に勤めるサポートデスク担当のエンジニアだった。彼女は毎日のように、社内でのマニュアルの共有に苦慮していた。電話での問い合わせに対応しなければならない時、しばしば彼女は目を皿のようにして、社内のドキュメントを検索していた。社内には、各部署が独自にマニュアルを作成していたため、探すのが非常に大変だった。さらに、多くの社員が最新の情報を共有することを怠っていたため、情報が錯綜し、正確な情報を見つけることが難しくなっていた。 ある日、彼女は同僚から「NotePM」というクラウドサービスを紹介された。NotePMは、社内マニュアルの編集・共有に便利なツールであるという。彼女は疑いながらも、試しに導入してみることにした。 まず、NotePMの編集機能に驚かされた。それまで、マニュアル作成にはWordやExcelを使用していたため、見た目もかなり改善された。そして、社員全員が編集権限を持っているため、情報の共有が劇的に進んだ。最新情報もリアルタイムに共有されるため、彼女は以前よりも効率的に問題解決に取り組むことができた。 そして、彼女がもっと愛してやまない理由があった。それは、NotePMが導入に手間をかけずにすぐに使い始めることができたということだ。スムーズな導入により、彼女たちはすぐにNotePMを活用し、生産性を向上させることができた。 今では、彼女たちはNotePMなしでは働けないほどになっている。NotePMのおかげで、社内マニュアルの共有や編集は、手間がかからず、正確で迅速な問題解決を可能にするようになった。 |
※関連記事:ChatGPTができることとは?使い方や仕事での活用アイデアを紹介
なぜChatGPTはどのような質問にも答えられるのか
ChatGPTは事前学習したWeb上にある大量のテキストをもとに、回答を生成しています。記憶力が飛び抜けて優れている人が、図書館の蔵書をすべて頭に入れた上で、論文を作成しているようなイメージです。また、ChatGPTは人間と同じように経験を積むほど応用力が身につきます。回数を重ねることでより賢く正確な回答ができるようになっていくため、今後はさらに精度が高くなっていくでしょう。
ChatGPTの使い方
では実際にChatGPTを使ってみましょう。ここではChatGPTの登録方法と、プロンプト(質問)の入力方法を紹介します。
ChatGPTの会員登録方法
- OpenAIのWebページにアクセスし、Try ChatGPTをクリックします
- [Sign up]を選択してください
- メールアドレスを入力し、[Continue]をクリックしてください(GoogleやMicrosoftのアカウントを使ってChatGPTのアカウントを作成することも可能です)
- パスワードを入力して、[Continue]をクリックします
- 入力したアドレス宛に確認メールが届きますので、本文にある「Verify email address」をクリックしてください
- アカウント名を姓名に分けて入力し、[Continue]をクリックします
- 電話番号を入力して[Send code]をクリックしてください
- 入力した番号にSMSで届いた認証コードを入力し、[Verify]をクリックします
- 使用目的を問われますので、用途(個人利用、ビジネス、教育など)を選んでください
- 登録完了です!ページ下部にフォームがありますので、プロンプト(質問)を入力すると回答が生成されます
プロンプト(質問)の入力方法
ChatGPTのプロンプトは、疑問系の文章や明確な指示が書かれた文章でなくても、適切な答えを返すことができます。「良い1日をお過ごしください」といった挨拶を入れても「ありがとうございます。お互いに良い日を過ごしましょう」という返事があるため、自由に入力して構いません。
精度の高い回答を求める場合は、前提条件をしっかりと入力することが大切です。たとえば、仕事に活用する文章を生成したい場合は、自己紹介するように自分や相手の立場を事細かに入力することで、適切な回答を得られる可能性が上がります。
また、同じトピックについて複数回にわたり質疑応答を繰り返すことも可能です。この特性を利用する場合、1つ目のプロンプトでは前提条件と抽象的な指示・疑問を入力しましょう。出力されたトークンを受けて、「〇〇の観点で」のように指示を具体化させながら、求めている回答に近づけることができます。
ChatGPTを使うメリット
ChatGPTは高性能なAIだからこそ、人間には難しいことも実現可能です。ここでは、ChatGPTを活用することで得られるメリットを2つ紹介します。
人に聞きづらいことを相談できる
ChatGPTは一問一答形式だけではなく、人間に近い会話ができることが注目を集めている理由です。1回目の質問で納得できる回答が得られなかったとしても、何度も質問を重ねながら回答をブラッシュアップできます。ただし相手は人間ではなくAIなので、どう思われるか心配する必要は一切ありません。
また、ChatGPTを挟んで間接的なコミュニケーションを行うことも可能です。たとえば上司の発言に間違いがあったとしても、直接指摘するのは気が引けます。ChatGPTに間違いがないか判断してもらい、その画面を上司本人に見せることでワンクッション挟めるため、コミュニケーションが円滑に進むでしょう。
アイデアのヒントをもらえる
ChatGPTはプロンプトで細かく条件設定を行うことで、回答をカスタマイズできます。たとえば「BtoB向けのSaaS製品を扱う企業がLTVを高めるために、顧客に渡すノベルティのアイデアを探している」といったとき、検索では100%ニーズに合ったWebページが見つかる可能性は低いでしょう。複数のページを見ながら判断するしかないため、時間も手間も掛かります。
ChatGPTに同様の質問を入力すると、「製品ロゴの入ったアイテム」「セミナーイベントのチケット」といったようにニーズに合った回答をすぐに提示してくれます。文脈のニュアンスまで汲み取って回答してもらえるので、調べ方の検討がつかないようなトピックに関するヒントを得る、といったマインドマップのような使い方も可能です。
※関連記事:【2024年版】マインドマップツールおすすめ10選を徹底比較!(無料あり)
作業時間を短縮できる
スピーディーに大量のアウトプットが可能なことも、ChatGPTを使うメリットです。たとえば「例文を10個挙げて」というプロンプトを入力すると、30秒程度で生成します。AIだからこそのスピード感は、人間では到底追いつけません。
ChatGPTは翻訳や要約、関数・コードの記述などあらゆる業務をサポートしてくれるため、さまざまな場面で作業時間を短縮できます。エンジニアの場合、コーディングの単純作業をChatGPTに任せることで、上流業務に専念でき、業務効率化につながるでしょう。
使い方の幅が非常に広いからこそ、ビジネスで利用する場合は自社に合った方法を見つけることが大切です。自身が仕事で活用する方法を確立したら、ナレッジとして社内に共有するといいでしょう。
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ChatGPTを使う際の注意点
ChatGPTはまだ精度が不十分で、使い方によっては多大な損益に繋がる可能性もあります。ここでは、ビジネスでChatGPTを使うにあたって気をつけるべきポイントについて解説します。
回答の正確性に波がある
ChatGPTは人間のように自然な言葉遣いで回答しますが、記述されている情報の精度には波があります。Web上に十分な情報がない質問や、正解のない質問をした場合は、デマを多分に含んだ回答をします。ChatGPTの回答が嘘を含むかどうか調べる手間が発生するため、調べ物には不向きです。検索エンジンを使ったほうが効率的でしょう。
また、GPTが学習対象としたテキストは、十分に精査されているわけではありません。ヘイトスピーチや差別発言も含んでいますので、偏見のある回答を生成することもあります。ただし、開発元であるOpenAIもこのことを問題視して対策を講じていて、ガイドラインには意図的に非倫理的な回答を引き出すような使い方を禁止する旨を記載しています。
このようにChatGPTには不得意なこともありますが、業務効率化に役立てることは十分に可能です。社内の複数人でChatGPTを試験的に利用しながら、自社に合った使い方をwikiとして集約するといいでしょう。
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回答の文字数に制限がある
ChatGPTが回答できる文字数には明確な制限はありませんが、回答が長い場合は途中で途切れてしまいます。2023年3月現在では、対応可能な文字数は最大で500〜700字程度(英語では1,500ワード)です。長い説明を要求するプロンプトを避けたり、長い文章を翻訳する際は何回かに分けて行ったりといった工夫をすることで、スムーズに使いこなせるでしょう。
GPT-4が搭載された有料版の「ChatGPT Plus」では、最大25,000文字程度の出力が可能になりました。ChatGPTに長い説明を求めることが多い場合は、有料版を導入することでスムーズに使えるようになります。
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情報漏洩のリスクがある
ChatGPTはまだ発展途上のツールであるため、ユーザーが入力した情報は学習データとして役立てられます。そのため。会社の機密情報を入力すると、意図せず他の人への回答として表示されたり、ChatGPT自体がハッキングされて情報が抜き取られてしまったりなどのリスクが発生しかねません。
そのため各社ではChatGPTの利用に関するルール作りが進んでいて、みずほフィナンシャルグループでは業務端末からの利用を制限、アマゾン・ドット・コムでは機密情報を入力しないよう社員に注意喚起がされています。情報漏洩を防ぐためにも、マニュアルづくりは欠かせません。
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今後のChatGPTの見通し
ChatGPTがリリースされたことで、これから社会はどう変化していくのでしょうか。現在予想されている社会への影響についてまとめました。
画像入力に対応
OpenAIが開発した最新版の文章生成言語モデル・GPT-4が、有料サービス「ChatGPT Plus」向けに先行搭載されています。これにより、テキストだけではなく画像を使った入力が可能になりました。グラフの画像データを入力して分析してもらったり、資料のキャプチャーを入力して文章やデザインの問題点を指摘してもらったり、といった活用方法が可能になります。やがて無料会員のChatGPTにもGPT-4の実装が予想されますので、さらに活用の幅が広がるでしょう。
精度の向上
GPT-4が優れているのは、対応可能なデータの幅広さだけではありません。GPTの性能を表すパラメーターの数はGPT-3.5の3,000倍以上で、アメリカの司法試験で合格するほどの正確で高度な問題解決能力を持っています。OpenAIの発表によると、不適切な回答や信憑性の低い回答をする確率も大幅に低下されたそうです。また、一度に出力可能な文字数も以前より16倍以上増えました。
大幅に精度が改善されていますが、依然としてGPT-4も架空のソースや嘘の情報を含んだ回答を行うという報告も多数あります。たった6ヶ月の開発期間でこれほどの進化を遂げているため、今後発表されるバージョンではさらに高い精度が期待できるでしょう。
検索習慣の変化
現在のChatGPTは回答の精度に波がある状態です。アップデートが進んで正確な回答が可能になると、検索エンジンに取って代わる可能性もあるでしょう。今はGoogleやYahooなどの検索エンジンで「ググる」のが当たり前になっていますが、かつて調べ物をする場合は百科事典や辞書を使っていました。それと同様に、将来的には人々が検索エンジンではなくAIチャットを使うようになる可能性は十分あります。
そうした変化に備えて、大手の検索エンジンはChatGPTのリリースと同時に素早く対応をしています。Microsoft の検索エンジンBing では、ChatGPTを組み込んだチャットボットが実装されました。GoogleはChatGPTリリース後にAIチャットボット「Bard」を独自開発しました。このように、ChatGPTだけでなく、代替されうるサービスの今後の動向に注目が集まっています。
仕事のあり方への影響
ChatGPTの精度が上がると、弁護士や会計士、医師などのように専門知識をもとに正確な判断を下すことができるようになります。感情に寄り添った表現も得意であるため、精神医学や心理学などの知識をもとにカウンセラーのような役割も担えるかもしれません。専門職に限らず、営業職やテレフォンオペレーターなど、さまざまな職業の業務を代行が可能になります。
AI研究の第一人者である東京大学の松尾豊教授が「これまでのホワイトカラーの仕事ほぼ全てに影響が出る可能性が高い」と提言し、話題になりました。自民党が立ち上げた「AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム」での発言です。2〜3年で身近にも変化が見られるとして、社会の大きな変化を予測しています。
APIを活用した国内向けアプリの増加
2023年3月からChatGPTのAPIが公開されています。これにより、ChatGPTの高性能な言語生成能力を活かしたアプリ・ソフトウェアの開発が可能になりました。利用料は、以前から公開されていたGPT-3やGPT-4のAPIの15分の1まで抑えられています。そのため、資本力のある大企業から個人やスタートアップ企業まで、あらゆる企業や法人にチャンスが開かれていると言えます。ローカライズされた専用ソフトウェアや、開発時に専門知識を学習させたアプリなど、ChatGPTの性能を活かした専門性の高い製品が続々と開発されるでしょう。
DXの促進
ChatGPTは言葉を入力するだけで簡単に利用でき、プログラミングやIT分野の知識はほとんど必要ありません。また、OpenAIから音声認識API「Whisper」もリリースされているため、音声での入力も可能です。この先、音声で出力する機能がプラスされれば、識字率の低い国であっても問題なく利用できるようになるでしょう。ユーザーのITや言語のリテラシーに左右されず、誰でも使えるため、DXが一気に進む可能性があります。かつて固定電話が普及していなかったアフリカに携帯電話が浸透したように、ChatGPIの機能を利用したツールが一気に広まる可能性が高いです。
セキュリティリスクの増大
プログラミング言語を記述できる特性を悪用し、セキュリティ対策の抜け道を狙えるコードを生成する可能性もあります。また、ChatGPTをハッキングし、ユーザーの質問や回答が漏洩してしまうリスクも考えられるでしょう。どちらもChatGPTのガイドラインでは禁止されている行為で、該当するプロンプトの回答を拒否するようプログラミングされていますが、悪用される可能性はゼロではありません。
まとめ
ChatGPTは人間のように高い言語生成能力を持つことから、将来的には社会のあり方を変える可能性があると言われています。ただ、現在はまだ回答の精度に問題があり、仕事で活用するためには人力でのチェックが欠かせません。AIならではのスピード感を活かして、アイデア出しのサポートや誤字脱字などのチェック、要約などに便利に使えます。また、上司や顧客には直接伝えづらい内容を相談することも可能です。今のうちにChatGPTを使いこなして、最先端のビジネス習慣を手に入れましょう。社内でChatGPTのナレッジを共有する際は、クラウド上で簡単に閲覧・編集できるNotePMを活用するのがおすすめです。
NotePM(ノートピーエム) は、Webで簡単にマニュアル作成できて、強力な検索機能でほしい情報をすぐに見つけられるサービスです。さまざまな業界業種に導入されている人気サービスで、大手IT製品レビューサイトでは、とくに『使いやすいさ・導入しやすさ』を高く評価されています。
NotePMの特徴
- マニュアル作成、バージョン管理、社外メンバー共有
- 強力な検索機能。PDFやExcelの中身も全文検索
- 社内FAQ・質問箱・社内ポータルとしても活用できる
- 銀行、大学も導入している高度なセキュリティ。安全に情報共有できる
URL: https://notepm.jp/