社内SNSとはなにか?導入目的やメリット、成功事例をあわせて解説

2021年10月03日(日) 社内SNS

人手不足、残業時間の増大、社内コミュニケーションの減少など、企業を成長させていくうえで障壁になる課題はさまざまです。これらの解決策は一つではありませんが、大きな効果を発揮する施策として考えられるのが社内SNSです。SNSにはコミュニケーション手段として優れた機能があることや使い勝手が良いことから、個人のプライベートなコミュニケーション手段として電話やメールに代わって利用されています。

このSNSを社内の業務用に利用するのが社内SNSです。社内SNSを導入すると、なぜ企業の課題解決に大きな効果を上げられるのでしょうか? その理由は、多くの企業が自社の抱えている課題の多くは、社内コミュニケーションの不足が原因となって起こり、社内コミュニケーションそのものにも課題があると認識しているからです。そこで、社内コミュニケーションを活性化して、企業が抱えている課題を解決につなげる社内SNSについて、導入目的、メリット、成功事例などを交えて解説します。

社内SNS導入を成功させるために重要な目的の設定

社内SNSは、コミュニケーションツールとして非常に優れていますが、企業で利用する場合は、個人間のコミュニケーションでよく利用されているかどうかというだけで導入しても成功しません。普段、個人間で便利に利用しているSNSの企業向けツールだとしても、社内SNSの場合は、導入目的やメリット、使い方が理解できていないとうまく運用することができません。導入するだけでは成功できません。社内SNSの導入に成功するために必要な社内SNSの基本、企業に必要な問題意識、およびコミュニケーション不足が招く弊害、および導入目的について紹介します。

社内SNSとは

社内SNSとは、従業員間が利用するビジネス用のSNSのことです。

社内コミュニケーション不足は個人の問題ではなく企業の課題

個人のコミュニケーション手段としてのSNSとは異なり、多くの企業が社内コミュニケーションに課題があると認識しているにもかかわらず、社内SNSを業務として利用するために導入している企業は3分の1程度に留まっています。その理由は、多くの企業が社内コミュニケーションが不足しているのは従業員個人の問題であり、社内コミュニケーションの不足が招く弊害の深刻さがあまり大きくないと認識していることが考えられます。

社内コミュニケーションの不足が招く七つの弊害

従業員間のコミュニケーションが活発でないのは、若い従業員を中心に企業への帰属意識が以前よりも低下し、企業内の付き合いよりも個人の付き合いを優先していることなどが一因となっています。確かに従業員個人の意識が変化していることは、従業員個人の問題でもあります。しかし、社内コミュニケーションが不足する原因は、「雇用形態や勤務時間の多様化」「組織風土の問題」「離職率アップ」「組織運営力の欠如」など、企業の責任と考えられる要因も少なからずあります。社内コミュニケーションの不足が招く弊害は以下の七つです。これらの弊害は、直ちに企業業績の悪化に結びつかないかもしれませんが、企業に着実にダメージを与えるために取り除かねばなりません。

1.変化のスピードの速さに追随が困難
現代は、顧客の価値観、新技術、競合会社の動向などあらゆる経営環境の要素の変化が速くなっています。経営環境の変化に追随して効果的な対策を立案するためには、社内コミュニケーションを活発にして、さまざまな情報を広く、速く、多く集めることが必要です。

2.情報の伝達の遅延
情報の集約は、社内コミュニケーションが活発でないと、必要な情報が必要な部署や担当者に行き渡らず、クレームやトラブルに対する対応が遅れて問題が大きくなる可能性があります。悪い情報は意図的に従業員が隠す可能性がありますが、社内コミュニケーションによって、情報を広く、多く集めることで、悪い情報が間接的に予見できる可能性が高まります。

3.企業理念、組織の目的・目標の周知徹底が困難
企業理念、組織の目的・目標などを全従業員へ周知徹底することができないと、活動のベクトルが一致せず、経営者やマネージャーが目指す方向と従業員の目指す方向にズレが生じ経営力・事業推進力が低下します。目の前の業務に注力することはもちろん重要ですが、企業理念や目標といった上位概念の指標はしつこいくらいに発信し続けることで定着につながります。

4.労働意欲・モラルの低下
従業員間のコミュニケーションがなければ、仕事上の信頼関係が生まれにくく、労働意欲の低下が懸念されます。社内コミュニケーションによって、人間関係が良好になることで、離職率の低減や生産性向上にも影響する可能性があります。

5.業務に対する視野や幅を広げることが困難
社内コミュニケーションが不足すると、担当している仕事に対する視野や幅を広げられません。営業職であっても会計・経理知識や、製品やサービスに対する技術的な知識が得られればスキルアップできます。社内コミュニケーションが活性化すれば、横のつながりを持てるため、担当の仕事を超えてさまざまな知識を得られ、広い視野から仕事を眺めることができ、スキルアップにもつながります。部署間の信頼関係も強くなることで組織力も強化できます。

6.属人化された情報・ナレッジの継承と蓄積が困難
効果的なマーケティング手法の知恵、効率的に契約締結するための営業テクニック、製品開発の設計上のノウハウ、事務処理のコツなど業務を遂行するために必要な知識や技術は、文書ではうまく残せません。これら属人化された情報・ナレッジは、社内コミュニケーションがなければ、新しい従業員に引き継いでいけません。放置しておくと従業員の退職、転職で永遠に引き継がれなくなります。このような常時保存・更新が必要なノウハウはコミュニケーションだけではなく文書として可視化・保存しておく必要があります。

7.コンプライアンス違反や不正行為に気づくのは困難
社内コミュニケーションが不足すると、誰が、どのような業務しているのかが分からず、コンプライアンス違反や不正行為が行われても気づくのに遅れます。オープンな社内コミュニケーション文化が醸成されていると、従業員の悩みや不安に関しても早期に共有・対話をすることができるようになります。

社内SNS導入の主な目的

社内SNSは、コミュニケーションの活性化には適した手段であることから、導入すれば上述した弊害を自然になくしたり、軽減できたりする可能性があります。しかし、社内SNSはあくまでもコミュニケーションを良好にする手段でしかないため、社内SNSを導入する目的を明確にしなければ、大きな効果を上げることはできません。社内SNSの導入を成功させるには、社内SNSの三つの機能である「チャット機能」「グループ機能」「ファイルのアップロード・共有機能」を理解したうえで、導入目的を明確に設定することが重要です。社内SNSの導入目的としては、主に以下が考えられます。重要なことは社内SNS導入すれば目的が達成できるのではなく、社内の問題点を明確にし、そのうえで社内SNSをどう活用するのかを十分検討して運用することが必要です。

  • 多様な働き方の実現
  • 横断的なコミュニケーションの実現
  • 情報・ナレッジの共有
  • 業務効率化・生産性向上による残業時間の削減
  • 企業理念や目標の社内への徹底
  • 変化のスピードに対応

なお、「社内SNSとは何か」「社内SNSの主な三つの機能や社内SNSの種類」「社内SNSの導入が必要な理由」「社内SNSの効果と導入の目的」などについては、『社内SNS導入の目的は?企業経営に必要な理由とその効果』の記事で詳しく解説しています。社内SNSの導入を検討する前に一読をしてください。

社内SNSを導入することで得られるメリット

社内SNSは上述のとおり、社内コミュニケーションを活性化し、社内コミュニケーションの不足から発生するさまざまな弊害を防止するメリットがあります。しかし、社内SNSを導入して従業員個々のコミュニケーションの増加を待っているだけでは大きな効果を上げられません。企業として社内SNSのメリットを認識し、組織として最大限の効果を上げられるように運用することが必要です。

次に社内コミュニケーションのメリット六つを紹介します。さらに社内SNSによるコミュニケーションの活性化から生まれる「業務遂行のスピードアップ」「情報共有の質を高める」の二つについて、メリットが生まれる理由を具体的に解説します。

社内SNS導入の六つのメリット

1.コミュニケーションの活性化
2.情報やナレッジの共有・蓄積がスムーズ
3.情報やナレッジの共有が迅速に可能
4.業務のスケジュール管理が容易
5.情報の確認済みの把握が可能
6.時間、空間を超えた多様なコミュニケーションが可能

社内SNS導入で生まれるメリット(1) 業務遂行のスピードアップ

社内SNSでは、「お疲れさまです」「お世話になっております」といった定型の挨拶文は基本的に使わず、ダイレクトに要件だけを伝えます。小さなことですが、これだけでも無駄な時間を短縮できます。また企業向けの社内SNSにはスケジュール機能、タスク管理機能、ワークフロー機能など業務を支援する機能が付加されていることもあり、スケジュールやタスクの進捗をワークフロー上で簡単に管理できます。自分が今何をすべきか、同じチーム、部署のメンバーは今どういった状況であるのかを把握できます。これらをわざわざ連絡を取って確認するといった無駄な時間を大幅に削減できます。さらにほかのメンバーの業務に遅れが出ていた場合、自分に余裕があればすぐに支援できるなど柔軟な対応も可能にします。

社内SNS導入で生まれるメリット(2) 情報共有の質を高める

社内SNSの主な機能の「チャット」「グループ」「ファイル共有」で情報の共有を実現できますが、企業向けの社内SNSには、ナレッジ共有機能を有しているものもあります。過去の顧客とのやりとり、業務マニュアルなどを一元管理すれば、プロジェクトを行うときも、効率的な進め方や必要な情報を知っている人を探して聞く時間を削減できます。また、社内SNSでは、すべての従業員に対して簡単にメッセージを伝えられるので、誰に聞けばよいかわからない問題が発生した場合でも、短時間で回答を得られます。さらに、チームや部署だけではなく、部署の壁を超えたコミュニケーションも活発にできることから、業務を新しい視点で見つめ直せたり、新たなアイデアを創造できたりする可能性も高まります。社内SNSを活用することで、刺激のあるコミュニケーションが実現し、情報共有の質を格段に高くできます。

社内SNSのメリットについてはデメリットも含めて「社内SNS導入の前に知っておくべきメリットとデメリット」の記事でも紹介しています。

社内SNS導入事例から見た成功のポイント

社内SNSを導入して効果的な活用を実際に実現している企業の事例を紹介し、成功するためのポイントを紹介します。

1. コミュニケーション手段を一気に社内SNSに統一し業務効率化を達成

ある証券会社は、社内での情報共有の効率化を目的に社内SNSの活用を開始。この証券会社が社内SNSで成果を上げた最大の要因は、一部の部署で試験的に導入し、その部署ではメールを全面的に禁止し、コミュニケーション手段を社内SNSに限定したことです。メールよりも手軽に情報共有が行われるようになったことで、情報共有が大半の目的であった会議時間を従来の10分の1にまで削減。さらに、これまでは当事者のレベルだけで共有していた小規模トラブルも、社内SNSを使い、部署全体で共有。これにより、深刻なトラブルに発展した際にも情報の行き違いがなくなり、短時間でのトラブル解決を実現しました。

ここでの社内SNS導入成功のポイントは、導入目的が明確だったことはもちろん、中途半端に導入するのではなく、それまでの業務の進め方を一気に変えて、社内SNSに集約したことです。いきなり一気に全社展開を行うと混乱が生じてしまう可能性がありますが、一部の部署で試験的に導入することでこれを回避。成果を確認して、利用範囲を拡大していったことも導入成功の要因です。

2. 経営悪化の原因のひとつである顧客の不満を社内SNSで解決して倒産危機を回避

古い歴史を持つ温泉旅館では、サービス係とフロント間での情報共有が不十分なことから、宿泊客の要望をスピーディーに共有できず、クレームが増加。そうしたことも一因となり倒産の危機に直面していました。そこで、従業員同士の連携不足解消を目的に社内SNSを導入。しかし、単純に導入しただけでは、一部の従業員しか利用しないこともあり、二つの施策を実施。

一つは投稿制限の拡大です。宿泊客からの要望、販促のアイデア、従業員同士の伝達事項など業務に関するあらゆる投稿をOKにすることで敷居を下げ、日常的なツールとして活用を進めました。もう一つは表彰制度を設けたことです。社内SNSの利用頻度が高い従業員を表彰することで、より多くの投稿が集まり、当初の目的である情報伝達不足解消に大きく貢献しました。

3. 新入従業員のフォローアップに社内SNSを活用し早期戦力化・労働意欲向上を実現

ある小売業者は、トップダウンだけではなくボトムアップによる情報伝達、共有を目的に社内SNSを導入。これにより、自社の商品が雑誌や新聞などメディアに紹介されるとき、広報担当が発売される前に、その記事をスキャンして情報を伝えます。各店舗は、この情報によって雑誌や新聞を見た顧客からの質問などに的確で早い対応ができるようになりました。

また、単純な情報共有だけではなく、一つの効果として新入従業員同士のコミュニティグループに新人研修担当の従業員も加えて、新入従業員の日々の悩みや業務への不安に対するフォローをすることで、早期の戦力化、働く意欲のモチベーションアップに大きな効果を上げています。

この小売業者が社内SNS導入に成功したポイントは、グループ機能の効果的な活用です。グループの使い方として、チームや部署、プロジェクト単位でグループをつくるのが一般的です。しかし、広報部門と実際に商品を販売する店舗、同期の新入従業員と新人研修担当者など、部署やチームの垣根をこえたグループを構築。これにより、横断的な情報共有が実現し、単純な情報共有以上の効果を実現できました。

社内SNSの成功事例や成功のためのポイントを、「社内SNS活用事例から見る導入成功のポイント」で紹介しています。

社内SNSの運用ルール決めと管理方法を紹介

社内SNSを導入して成果を上げるには、導入目的を明確にし、さらに運用ルールを決めることが重要です。社内SNSは、コミュニケーションの活性化に導入するだけも一定の効果がありますが、運用ルールを決めて導入しないと単に業務以外のコミュニケーションが活発になるだけで企業としての効果が生まれない可能性があります。導入目的に合った、そして全従業員が参加できるルールを作ること、および運用ルールに沿って運用されているかを管理することも重要です。

社内SNSを利用するためのルール策定

事例で紹介した証券会社では、コミュニケーション手段としてメールの利用を禁止し、コミュニケーションは社内SNSに集約しています。また、事例で紹介した老舗旅館は、社内SNSの利用を高めるために投稿の利用頻度が高い従業員に対し表彰制度を設けることでモチベーションアップを図っています。また、ルールとは異なりますが、ITリテラシーの低い従業員に対する教育も必要です。

運用ルールを作るときは以下のポイントを押さえ、目的によってルールは柔軟に変えて作成します。

  • 導入目的を明確にし、目的に合ったルールにする
  • 企業全体、部署、チームごとに一体感を持って運用できるルールにする
  • 発言に対する否定は少なくし、できるだけポジティブに活用されるルールにする
  • 既存ツールと併用する場合は、使い分けをルールで明確にする
  • 社内SNSの運用を担当するチームを作り、チームの役割をルール化する
  • グループメンバー設定の権限をルールで明確にする
  • ファイル共有はアクセス権限の設定など基本的なルールを決める
  • 管理職が率先して利用しなければならないルールにする
  • タスク管理・スケジュール管理機能の使い方のルールを決める

社内SNSを活性化させるための管理方法

社内SNSによるコミュニケーションを活性化させるには、運用ルールを決めるだけではなく、社内SNSの運用を担当するチームを作り、チームの役割をルール化することが必要です。管理チームは、社内SNSの運用状況をモニターし、必要に応じてルールの改善や利用を推進する対策を実施するなどの管理方法を定めて実行します。

社内SNSを効果的に使う方法と導入前の注意点

社内SNSを効果的に使うにはメリットだけに注目し、メリットを最大限に生かせるようにすることが重要ですが、社内SNSのデメリットを知ってデメリットを抑えた運用をすることも重要です。主なデメリットは以下の五つです。

  • 導入・運営・管理にコストがかかる
  • コストに対して成果を定量的に把握することが困難である
  • セキュリティ機能があるが、情報の漏えいリスクをゼロにすることは厳しい
  • 運用によっては従業員が利用に疲れて利用されなくなるリスクがある
  • よく利用する従業員とあまり利用しない従業員に分かれる

これらのデメリットは、運用方法で解決できる場合もありますが、導入前に注意点として認識し、対策を想定しておくことでスムーズに、かつ効果的に回避できます。

導入・運営・管理コストに対しては、「成果の定量的な把握が困難」に関連しますが、事前に重要目標達成指標(KPI)を設定しておくと効果を可視化できます。

情報漏えいリスクに対しては、例えば外出先での利用でスマートフォンやタブレットを紛失や盗難を想定して、従業員に自覚を促し、同時に運用ルールを定めることでリスクを軽減できます。

従業員間の利用頻度のバラツキに対しては、利用したくなるモチベーション策や手軽に利用できるテンプレートの用意、あるいは教育・研修を実施するなど運用方法を考え直します。また、運用で改善が困難なときは、利用されない別の根本原因が存在していることが考えられます。利用しない従業員の目線で原因を追及して改善策を立案します。

社内SNS導入成功のポイントは目的設定と事前の運用イメージを明確に持つこと

個人間ではSNSのメリットが生かされ、便利なコミュニケーションツールとしてLINE、Twitter、Facebook、InstagramなどのSNSが電話やメールに代わって広く活用されています。社内SNSを導入する企業は増えつつありますが、まだ多くの企業で活用されているとはいえない状況です。社内SNSを導入すれば、便利なコミュニケーションツールとして利用でき、それは企業経営に大きな効果をもたらします。社内SNSの導入を成功させるには導入目的を明確にして導入前に運用イメージを持つことが重要です。

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