ISO 9001における文書管理とは?要求事項や目的、運用方法を解説

2025年10月25日(土) 文書管理

 

ISO 9001の文書管理は、品質マネジメントシステム(QMS)を運用する上で欠かせない要素です。

「ISO 9001の文書管理の目的は何?」「解決できる課題は?」といった疑問を抱く方も少なくないのではないでしょうか。

この記事では、ISO 9001に沿った文書管理とは何かを解説し、それぞれの背景や実務上のポイントをわかりやすく解説します。

文書管理の基本的なポイントに関しては、こちらの記事もご一読ください。

関連記事:いまさら聞けない!文書管理の基本事項と押さえておくべきポイント

目次

ISO 9001の文書管理とは

ISO 9001における文書管理とは、品質マネジメントシステム(QMS)に関わる文書を適切に作成・維持・管理する仕組みを指します。

品質方針や手順書、記録などを体系的に整理し、誰でも最新情報を参照できる状態を保つことが目的です。これにより、業務プロセスの標準化・改善・証跡管理が可能になります。

ISO 9001の文書管理では「必要な文書を、必要な人が、必要なときに利用できる状態を維持すること」が大切なポイントです。

ISO 9001とは

ISO 9001は、国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)が策定した品質マネジメントシステム(QMS)の国際規格です。

製品やサービスを安定して提供し、顧客満足の向上を目指すための基準として、世界中の企業が採用しています。

ISO 9001の構成は以下の10項目から成り立っています。

要素番号 内容
1 適用範囲
2 引用規格
3 用語及び定義
4 組織の状況
5 リーダーシップ
6 計画
7 支援
8 運用
9 パフォーマンス評価
10 改善

とくに「7.支援(Support)」の中には、文書化された情報の管理に関する要求事項(7.5)が含まれており、文書管理体制の整備が必須とされています。

ISO 9001は2026年に改訂予定

ISO 9001は2026年に改訂が予定されています。

主に、倫理・品質文化の強化や、リスクと機会の明確化、気候変動・デジタル化への対応が議論されており、改訂テーマには以下が挙げられています。

  • リーダーシップとコミットメント(5.1):品質文化・倫理的行動の推進を新たに要求
  • リスクと機会の管理(6.1):細分化(6.1.1〜6.1.3)され、リスク・機会の扱いを明確化
  • 気候変動要素の統合(4.1・4.2):2024年改訂内容を正式反映
  • 第4〜10項および附属書A:表現の明確化とガイダンスの拡充

ISO 9001は単なる品質保証の枠を超え、社会的責任や持続的成長を支えるマネジメント規格としての性格を強めていくと考えられます。

文書管理とは

文書管理とは、企業活動において作成・受領した文書を体系的に共有・保管・廃棄まで一元管理することです。

単に文書を保管するだけでなく、バージョン管理や改訂履歴の追跡、アクセス権限の設定など、運用ルールと管理体制を含めたライフサイクル管理が求められます。

ISO 9001の枠組みでは、文書管理プロセスが品質維持の根幹を成しており、組織全体での品質意識と改善活動を支える基盤となるでしょう。

>関連記事:文書管理の成功ノウハウとは?ポイントを抑えた運用で得られるメリットも紹介

ISO 9001の文書管理の目的

ISO 9001における文書管理の目的は、品質マネジメントシステム(QMS)を一貫して運用し、組織全体で品質を維持・改善することにあります。

文書の管理を通して、誰が業務を担当しても同じ水準の成果を再現できる「標準化」が実現されます。

さらに、過去の記録や改訂履歴を正確に残すことで、説明責任(アカウンタビリティ)や外部監査への対応も可能です。

品質上のトラブル発生時にも原因を迅速に特定でき、継続的な改善活動へとつなげられます。

ISO 9001における文書管理は、単なる保管作業ではなく、「品質を保証する仕組みの根幹」として機能しているのです。

ISO 9001における文書管理の要求事項

ISO 9001では、7.5「文書化した情報」の中で文書管理の要件が明確に定められています。

とくに「7.5.3.1」と「7.5.3.2」が、文書をどのように保持・管理すべきかを具体的に規定しています。

それぞれの条項は、文書の可用性・保護・検索性・保存・改訂管理といった、日常的な文書運用の基準です。

7.5.3.1 文書化した情報の管理

7.5.3.1の項目では、文書の可用性と保護体制に関する要求事項が定められています。

具体的には以下の通りです。

品質マネジメントシステム及びこの規格で要求されている文書化した情報は、次の事項を確実にするために、管理しなければならない。
a) 文書化した情報が、必要なときに、必要なところで、入手可能かつ利用に適した状態である。
b) 文書化した情報が十分に保護されている(例えば、機密性の喪失、不適切な使用及び完全性の喪失からの保護)。

引用:JIS Q 9001:2015 品質マネジメントシステム―要求事項 | 日本規格協会 JSA Group Webdesk

品質マネジメントシステムで使用するすべての文書化した情報は、上記の点を管理しなければなりません。

この仕組みにより、重要文書の誤使用や改ざんを防ぎ、常に正しい情報に基づいた業務遂行が可能になります。

7.5.3.2 文書化した情報の管理手順

次に、7.5.3.2では文書の具体的な取り扱い方法についての要件が示されています。

具体的には以下の通りです。

文書化した情報の管理に当たって、組織は、該当する場合には、必ず、次の行動に取り組まなければならない。
a) 配付、アクセス、検索及び利用
b) 読みやすさが保たれることを含む、保管及び保存
c) 変更の管理(例えば、版の管理)
d) 保持及び廃棄

引用:JIS Q 9001:2015 品質マネジメントシステム―要求事項 | 日本規格協会 JSA Group Webdesk

組織は、文書を適切に維持するため、上記の行動を実施する必要があります。

各プロセスを定期的に見なおすことで、ISO 9001の目的である「継続的改善」を進められます。

文書管理が必要な理由

ISO 9001を取得する・しないにかかわらず、企業にとって文書管理は重要です。理由は大きく分けると二つあります。

一つは、文書管理を適切に行うことは、さまざまな課題を解決できる手段となるからです。

もう一つは、法律によって保存義務と保存期間が定められている文書の管理をしなければならないからです。

>関連記事:文書管理とは?ポイントや注意点、システムの導入事例をわかりやすく紹介

文書管理で解決できる課題

文書管理を適切に行うことで以下の課題を解決できます。

保管場所・費用の増大

文書の保存には、保管場所や管理のためのコストがかかります。

紙の文書の場合は、文書管理が適切に行われていないと不要な文書をため込んでしまいがちです。

そのため、事務スペースが狭くなったり、保管場所として外部倉庫が必要になったりして余分な管理コストがかかります。

電子文書の場合は、命名規則が適切に運用されていないと、必要な文書を探すことはできません。

さらにバージョン管理や期限が適切に管理されていないと、不要な文書が増え、どれが必要なものか、どれが最新の文書かがわからなくなってしまいます。

業務効率・生産性の低下

文書を適切に管理できていないと、検索性が低下します。

そのため必要なときに必要な情報をすぐに取り出せず、業務の効率が低下し、生産性も下がってしまうでしょう。

また、必要な情報が共有されないと営業活動に支障をきたしたり、作業にミスやトラブルが起きたりする可能性があります。

リスクマネジメントが困難

文書が適切に管理されていないと、紛失・漏えいなどのセキュリティリスクが増加します。

また、コンプライアンスに関する問題が生じたとき、文書管理が不十分であると説明責任も十分に果たせないことから対外的な信用を失うリスクも大きくなるでしょう。

また、近年は自然災害が大規模化していますが、それによる重要な文書の消失などに対するリスク回避も困難となり、事業継続にも大きな悪影響を与えます。

サービス品質・顧客満足度の低下

文書が適切に管理されていないと顧客への対応に時間がかかったり、不正確な対応や同じことを何度も聞いたりしてしまい、提供できるサービスの質が低下し、顧客満足度も低下します。

法律で定められた文書の管理

企業が取り扱う文書のなかには法令で保存が義務づけられている文書が多くあります。

必要な場合は保存義務のある文書を取り出さなければなりません。

保存・管理が適切にできていない場合、法律違反に問われる可能性があります。

法定保存文書の種類やその保存期間を把握して保存・管理をしなければなりません。

ISO9001の改訂で文書管理がより重要に

近年のデジタル化の進展で、多くの企業では部門を問わずあらゆる業務においてシステム化が進んでいます。

文書も電子データで作成されたり、活用されたりすることが多くなりました。

そこで、ISO9001でも2015年に文書管理の規定が改定され、電子文書の管理や保存についての規定が追加されています。

この改定により、「文書化した情報が適切に管理され、保護されていなければならない」という内容が追加されました。

具体的には、以下のことが求められています。

  • 外部からのサイバー攻撃による消失や情報漏えい、改ざんを防ぐ
  • バックアップを用意する
  • 電子文書へのアクセス権を管理する
  • 電子文書を保存したメディアを適切に管理する

ISO 9001に沿った文書管理を行うメリット

ISO 9001に準じた文書管理をしっかり行うことには多くのメリットがあります。

大きなメリットとしては、「文書管理が必要な理由」で紹介した課題を解決できることです。

それに加えて以下のメリットもあり、文書管理を徹底することでコーポレート・ガバナンスや経営管理力を高められます。

信頼性の向上

ISO 9001を取得すると、高品質な製品・サービスを提供できる体制が整っていることを対外的に証明できます。

それによって高品質な製品・サービスを提供する企業という評価を受け、他社との差別化が可能です。

また、品質を原因とするクレームを減らせます。

顧客満足度の向上

ISO 9001で要求されているレベルで文書管理を行うことで、作業や業務フローのマニュアル化、課題の見える化などを実現できます。

それらの記録によって、迅速かつ適切な顧客対応が可能になり、顧客満足度を上げることが可能です。

ナレッジの共有・継承

社員が個人的に持っているノウハウや知識・経験は、共有が難しいものです。

しかし文書の形で残しておけば、ノウハウを共有・継承し、後進の育成に役立てられます。文書管理によってナレッジの属人化や、ノウハウの消失を防げます。

部門を横断したコミュニケーションの促進

文書管理を適切に行うことで、部門を超えて情報を文書で共有・活用できます。

その結果、業務の相互理解が深まるだけでなく、異なる部門間での協力体制の構築が可能です。

さらに、部門を超えたコミュニケーションを促進できます。

ISO 9001に沿った文書管理を行うデメリット

ISO 9001に沿った文書管理は品質維持に有効ですが、運用にはコスト・労力・時間の3つの負担が伴います。

導入初期はとくに、文書整備やルール策定に多くの工数を要し、短期的には生産性が下がるケースもあります。

運用にコストがかかる

ISO 9001準拠の文書管理を行うには、初期投資と継続運用の両面でコストが発生する点がデメリットです。

文書管理システムを導入する場合は、ライセンス費用・クラウド利用料・運用保守費などが継続的にかかります。

一方で紙媒体で運用する場合も、印刷・製本・保管スペースの確保といった物理的コストが必要です。

管理形態 主なコスト項目
システム導入型 ・ライセンス料
・サーバー費
・保守サポート費
紙媒体型 ・印刷費
・保管棚設置費
・廃棄処理費

短期的には負担が大きいものの、クラウド活用やワークフロー自動化を組み合わせれば、長期的にコストを最適化できます。

一時的に業務負担がかかる

ISO 9001対応の文書管理体制を構築するには、初期段階で相応の工数と人的リソースを要するのが現実です。

既存文書の棚卸しや重複ファイルの整理、版管理の統一、フォーマット整備などを進める必要があります。

また、現場のマニュアルや手順書が属人的に作成されていた場合、改訂や再作成の負担も発生します。

各作業は一時的に通常業務を圧迫しますが、整備後は「誰でも迷わず使える仕組み」が構築されるため、中長期的には業務効率の向上につながるでしょう。

運用ルールの浸透に時間がかかる

ISO 9001にもとづく文書管理では、ルールの徹底と定着までに時間を要することが課題です。

現場社員が従来のやり方に慣れている場合、新しい承認フローや版管理ルールに抵抗感が生じやすい傾向があります。

また、ルールが全社的に徹底されないと、ISO監査の際に不適合と判断されるリスクもあります。

そのため、導入初期は教育・マニュアル整備・FAQの作成を並行して、現場が理解しやすい形で周知を進めることが大切です。

継続的なフォローアップにより、運用ルールが自然に根付く環境を整えましょう。

ISO 9001に沿った文書管理を行うステップ

ISO 9001の要求にもとづく文書管理は、体系的に進めることが重要です。

適切なプロセスを踏むことで、業務の標準化と品質保証を両立できます。

ここでは、文書管理を効果的に行うための基本的な5ステップを解説します。

  1. 管理する文書を決める
  2. 必要な文書を作成・整備する
  3. 文書管理ルールを作る
  4. ツールやシステムを導入する
  5. 周知・教育して運用を定着させる

1.管理する文書を決める

まずは、管理対象となる文書を明確に定義することからはじめます。

契約書・社内規程・手順書・品質記録など、業務に直接関係する文書に加えて、ISOが求める
「品質マネジメントシステム(QMS)に必要な文書」も対象に含めます。

主な管理対象の例は以下の通りです。

  • 契約書・取引基本契約書
  • 品質マニュアル・手順書
  • 作業記録・点検記録・会議議事録

文書の種類と重要度を明確にすることで、後の管理ルール設計や権限設定がスムーズになります。

2.必要な文書を作成・整備する

次に、定義した対象文書に基づいて必要なマニュアルや手順書を整備します。

フォーマット・命名ルール・記載内容を統一し、誰が読んでも理解できる状態にすることが大切です。

既存文書については、内容の重複や古い情報を整理し、ISOが求める「一貫性」と「有効性」を確保します。

たとえば以下のような観点で整備を進めます。

  • 不要な文書を廃止し、最新版を明示
  • 表記・章立てを統一して視認性を向上
  • 改訂履歴を追跡できるテンプレートを採用

この段階で「見やすく・使いやすい」文書基盤を整えることが、適切な運用につながるでしょう。

3.文書管理ルールを作る

ISO 9001対応の文書管理では、「承認・保管・更新・廃棄」のルール整備が必須です。

どの文書を誰が承認し、どの期間保持し、どのように廃棄するのかを明文化しておきます。

代表的なルールは以下の通りです。

項目 内容
承認フロー 作成者 → 部門長 → 品質管理責任者の順に承認
版管理 改訂時に版数・改訂日・変更点を記録
保存期間 法令・契約・社内規程に基づいて設定
廃棄方法 保存期間満了後、電子・紙ともに安全に廃棄

ルールを文書化して社内で共有することで、誰でも同じ基準で文書を扱えるようになります。

>関連記事:絶対押さえておくべき!文書管理に必要なルール策定のポイント

4.ツールやシステムを導入する

効率的に文書を運用するには、文書管理システムやクラウドツールの導入が効果的です。

とくにISO 9001対応では、「最新版を全員が正しく参照できること」が求められます。

検索機能・アクセス権限・バージョン管理・改訂履歴追跡などを備えたツールを選定しましょう。

導入により得られる効果は以下の通りです。

  • 文書の検索時間を短縮できる
  • 不要な重複や誤使用を防止できる
  • 外出先や在宅勤務でも安全に閲覧できる

>関連記事:文書管理システムとは?【2025年最新】おすすめ20選(無料あり)を紹介

5.周知・教育して運用を定着させる

整備したルールやツールを現場に浸透させることも必要です。

仕組みを作るだけでは運用は定着せず、社員が「なぜ必要か」を理解することが欠かせません。

社内研修や操作マニュアルの共有、質問対応窓口(FAQ・ヘルプページ)の設置などを行いましょう。

継続的な教育・フォローアップを通じて、組織全体に「正しい文書管理の文化」を根付かせられます。

ISO 9001に沿った文書管理を適切に行う方法

ISO 9001に沿った文書管理を適切に行うには、「形式的な管理」ではなく実務で活用できる仕組みを構築することが必要です。

ISOの目的は審査合格ではなく、品質の維持・改善を通じた業務効率化にあります。そのため、現場で使いやすい文書管理体制を整えることが最大のポイントです。

たとえば、以下の3つを意識すると実務で機能する管理体制を実現できます。

観点 実務における工夫例
検索性 タグ・階層構造を整備し、誰でも数秒で必要文書を検索できるようにする
一貫性 テンプレートを統一し、改訂履歴や版数を明記して混乱を防ぐ
アクセス管理 権限設定により、機密情報へのアクセスを制御する

 

NotePMでは、ISO 9001で求められる「最新版参照」「改訂履歴」「アクセス制御」を一元的に管理できます。


URL:https://notepm.jp/

社内マニュアルやナレッジをクラウド上で共有でき、ページ作成・フォルダ管理・コメント機能などを備え、組織全体の生産性を高めます。

NotePMのような現場で本当に活用される文書管理ツールを活用すれば、ISO 9001対応もスムーズに実行できるでしょう。

文書管理できるツール「NotePM」の導入事例

ナレッジマネジメントツール「NotePM」は、ISO 9001対応の文書管理を実務で支えることができます。

ここでは、実際に導入した企業の事例をもとに、改善効果と活用ポイントを紹介します。

社内質問箱で問い合わせ業務も効率化|株式会社横森製作所

株式会社横森製作所<

株式会社横森製作所では、動作が遅く不具合の多かった既存の文書管理システムをNotePMに刷新しました。

ISO関連資料や技術仕様書、クレーム報告書、さらに社内質問箱までを一元管理することで、検索性と操作性が飛躍的に向上したのです。

質問対応の効率化と同時に、社内のナレッジ共有やコミュニケーション促進にもつながっています。

>関連記事:【導入事例】文書管理システムを刷新!社内質問箱で問い合わせ業務も効率化 – 株式会社横森製作所

業務のちょっとした悩みもNotePM導入で解消|株式会社エイ・ビー・エム

株式会社エイ・ビー・エム

株式会社エイ・ビー・エムは、形式がバラバラで探しにくかった社内文書をNotePMで統一管理しました。

画像編集・検索・外部共有といった機能を活用し、業務効率化と顧客対応のスピードを向上させました。

全社員が直感的に操作できることから、DX推進の第一歩としても高く評価されています。

>関連記事:【導入事例】社員全員がすぐに使えた! 業務のちょっとした悩みもNotePM導入で解消 – 株式会社エイ・ビー・エム

創業100年の老舗企業のマニュアル文化を大改革|キーコーヒー株式会社

キーコーヒー株式会社

キーコーヒー株式会社では、SCM本部でNotePMを導入し、乱立していたExcelマニュアルを集約しました。

全文検索とリンク機能により「探す時間」が半分以下に短縮され、文書の更新・共有も活発化しました。

さらに、部署別ノートやToDoリストを活用することで、タスク管理や新人教育の効率化にも成功しています。

>関連記事:【導入事例】情報を探す時間が半分以下に。創業100年の老舗企業のマニュアル文化を大改革 – キーコーヒー株式会社

ISO 9001に沿った文書管理に関するよくある質問

ISO 9001の文書管理は、規格の理解や実務運用の中で疑問が生じやすい部分です。

ここでは、とくに質問の多い「保管期限」「電子化の必要性」「認証をやめる理由」について解説します。

ISO 9001での文書保管期限は?

ISO 9001では、文書や記録の保管期限を一律で定めていません。各企業が自社の業務内容・法規制・契約条件に応じて適切な期間を設定する必要があります。

たとえば、製造業では品質記録を5〜10年保管するケースが多く、建設業や医薬品業界などでは法的に長期保存が義務付けられることもあります。

主な検討基準は以下の通りです。

  • 業法や取引契約による保存義務
  • 製品保証・クレーム対応に必要な期間
  • 内部監査や外部審査に必要な記録保持

ISO 9001の目的は「適切な証跡を残すこと」であり、期限自体を統一することではありません。

法的根拠と実務バランスを踏まえ、保存方針を社内ルールとして明確化しましょう。

ISO 9001の文書管理に電子化は必要?

ISO 9001で電子化は必須ではありませんが、効率化の観点から強く推奨されます。

紙の文書管理でも規格上は問題ありませんが、検索や改訂・共有の手間が大きくなります。

一方で電子化すると、改訂履歴やアクセス履歴の自動記録が可能になり、監査対応もスムーズです。

電子化による主なメリットは以下の通りです。

観点 効果
検索性 ファイル名・タグ検索で即時アクセス可能
改訂管理 版数や履歴を自動保存し、最新版を明確化
セキュリティ アクセス制御やログ管理で不正利用を防止

また、クラウド型の文書管理ツールを使えば、拠点間やリモート環境でも安全に共有できます。

ペーパーレス化は単なるコスト削減ではなく、「品質とスピードの両立」に直結する取り組みです。

企業がISO 9001をやめる理由は?

ISO 9001認証をあえて維持しない・更新をやめる企業も存在します。

主な理由は、コストや工数が実務メリットに見合わないと判断されるためです。

審査費用・文書管理の手間・内部監査対応などにリソースを取られる一方で、現場では「実務に直結しない」と感じるケースがあります。

代表的な背景は以下の通りです。

  • 維持審査費やコンサル費用などの固定コスト負担
  • 文書管理・記録整備・監査対応にかかる工数の増大
  • 取引先や顧客からのISO要求がなくなった
  • 組織改革やDX推進により、独自品質基準を設けた

ただし、ISO 9001の枠組み自体は品質マネジメントの基礎として有効です。

認証をやめても、その考え方を内部ルールやツール運用に取り入れることで、品質維持の仕組みを継続できます。

ISO 9001に沿って文書管理を行うと大きな利点を得られる

ISO 9001に沿った文書管理を適切に行うことで、組織の信頼性・業務効率・品質一貫性を高い水準で維持できます。

また、NotePMのようなツールを活用すれば、検索・共有・改訂の全プロセスを一元化し、現場の実務負担を軽減可能です。

形式的な管理にとどまらず、「実際に使われる品質マネジメント」を目指すことで、企業の競争力を長期的に強化できるでしょう。