リモートワークでのネットワークセキュリティ対策として注目されているのがVPNです。海外では個人情報保護の目的のためにVPNの導入が進んでいますが、日本の普及率は低い傾向にあります。VPNを導入することで、第三者からの悪意ある攻撃から大切なデータを守ることができる確率が上がると言われています。そのため、VPN導入を進める企業が増加しています。
本記事では、VPNの基礎知識、VPNの活用場面やVPNサービスを導入する際のポイントをはじめ、おすすめのVPNサービスを紹介します。
目次
これだけは知っておきたい!VPNの基礎知識
これだけは知っておきたいVPNの基礎知識は、以下の3つです。
- VPNとは
- VPNと専用線の違い
- VPNのトンネリングとは
それでは、1つずつ見ていきます。
VPNとは
VPN(Virtual Private Network)とは、ネットワーク上に仮想の専用回線を作り、特定のユーザーのみをアクセス可能とする高セキュリティな通信環境です。物理的に回線を構築するよりも柔軟に構築できるため、導入する企業が増えています。不特定多数の人と回線を共有する公衆回線は、暗号化された有料Wi-Fiの通信であっても第三者と共有しているため、秘匿性のある情報のやりとりには不安が残ります。また、近年増えているフリーWi-Fiは通信料が節約できる一方で、悪用リスクがさらに高まります。このような環境でも、VPNを活用すればセキュリティを強化できるため安心して利用することが可能です。
VPNと専用線の違い
仮想環境が普及する以前は、高セキュリティな通信を行うために拠点間を1対1で結ぶ物理回線を敷設することが一般的でした。しかし、導入費用だけでなくランニング費用が高額なうえに複数拠点間の通信が難しいなど課題が多くあります。そこでインターネットや通信事業者の独自ネットワーク上に仮想化技術を用いて専用線を作り、これらの課題をクリアしたのがVPNです。現在は多くの回線事業者が比較的安価にサービス提供していることから、VPNを導入する企業が増えています。
なお、通信品質やセキュリティの信頼性は物理専用線の方が高いため、データセンターと本社間といった大容量かつ機密性の高い通信には物理専用線を敷設する企業も多いです。
VPNのトンネリングとは
一般的に、通信はパケットという一定のデータ形式で送受信を行います。パケット通信自体が特別危険というわけではありませんが、知識を持った第三者は盗聴することが可能です。そこで、VPNではトンネリングを使って通信を行います。トンネリングとは、名前の通りデータの送受信を行う拠点間を繋ぐ閉じられた仮想のトンネルを構築することです。
VPNでは送受信したいデータを暗号化してカプセルに閉じ込め鍵をかけます。鍵は特定の送受信者のみ解除(認証)できるようになっているため、外部の攻撃から大切なデータを守ることができます。このようにデータ送信者と受信者の間に1本のトンネルを通るような閉じた通信を行うため、高いセキュリティ環境で通信を行うことが可能になります。
VPNが活躍する場面
VPNが活躍する場面は、以下の2つです。
- 無料Wi-Fiを利用するとき
- 遠隔の社内LANをコネクトするとき
それでは、1つずつ見ていきます。
無料Wi-Fiを利用するとき
VPNが活躍する場面の1つ目は、無料Wi-Fiを利用するときです。近年は様々な場所で使える無料Wi-Fiは通信料節約のためにも活用できますが、多くの人が使うためセキュリティ面に不安があります。このような際にVPNを利用すれば、課題であるセキュリティを補いながら無料Wi-Fi環境を利用できるため大変便利です。
遠隔の社内LANをコネクトするとき
VPNが活躍する場面の2つ目は、遠隔の社内LANをコネクトするときです。社内LANは社外から遮断された環境で通信を行うため安心して使える一方で、社外との通信に課題が残ります。特に近年はリモートワークが盛んになり、社内に限定した通信では業務が継続できない状況が増えてきました。このような場合にVPNの導入が便利です。社内のセキュリティを守りながら社外へアクセスできるため、社員全員に回線を付与する企業も増えています。
VPN導入のメリット
VPN導入のメリットは、以下の3つです。
- 通信時に高い安全性が確保できる
- 距離を気にせずネットワーク構築が可能
- 低コストで導入が可能
それでは、1つずつ見ていきます。
通信時に高い安全性が確保できる
VPN導入のメリット1つ目は、通信時に高い安全性が確保できることです。VPNはデータの暗号化だけでなくカプセリングや認証などのトンネリング機能を活用しているため、一般的な通信に比べて高い安全性を持っています。顧客情報や決算情報など、秘匿性の高いデータを扱う業務を行う場合は導入の早期検討が必要です。
距離を気にせずネットワーク構築が可能
VPN導入のメリット2つ目は、距離を気にせずネットワーク構築が可能なことです。仮想化技術の特徴として作業場所を選ばないことが挙げられます。物理的な回線を敷設すると工事や設定のために現地へ赴く必要がありますが、VPNの場合は事務所にいながら作業を完了させることが可能です。海外拠点がある場合も国内から対応できるため、経費軽減にも繋がります。
低コストで導入が可能
VPN導入のメリット3つ目は、低コストで導入が可能なことです。物理的な専用線の敷設は、安全な一方でイニシャルコストとランニングコストが高額になるという課題がありました。しかし、VPNの場合は既設の回線を利用して構築できるため低コストで導入できます。ネットワークセキュリティのために、まずは検討したい対策です。
VPN導入のデメリット
VPN導入のデメリットは、以下の3つです。
- ウイルス感染の可能性
- IPアドレス/通信ログの流出の危険
- 通信速度に課題が残る
それでは、1つずつ見ていきます。
ウイルス感染の可能性
VPN導入のデメリットの1つ目は、ウイルス感染の可能性です。通信の盗聴といった第三者からの攻撃に効果が高いVPNですが、導入してもリスクを完全に防げるわけではありません。例えばデータを送受信する端末がウイルス感染している場合は、VPNを通じてネットワーク内に広がる可能性があります。セキュリティ対策は複合的に実施しなければ効果を発揮しないため、端末や機器などの他の対策が疎かになっていないか確認が必要です。
IPアドレス/通信ログの流出の危険
VPN導入のデメリット2つ目は、IPアドレス/通信ログの流出の危険です。2019年にアメリカのVPN製品が攻撃を受け、企業のIDやパスワードが流出する事件が発生しました。VPN装置の脆弱性を突いた攻撃により、日本企業も40~80社が被害を受けたとみられています。メーカーはセキュリティパッチを提供していますが、全ての機器には適用されていないとされており、このように対応が放置された機器に対して継続的な攻撃が行われるのではないかと言われています。どのようなシステムや機器も弱点を完全にゼロにすることはできません。身を守るための情報収集や定期メンテナンスを怠らないことが大切です。
通信速度に課題が残る
VPN導入のデメリット3つ目は、通信速度に課題が残ることです。VPNは通信のたびに暗号化と認証の処理を行うため、サーバーに負荷がかかり一般の通信と比較して通信速度が遅くなります。物理的に接続先までの距離が遠いなどで経由地が多い場合は、処理回数が多くなるためさらに速度が低下する可能性もあります。特にインターネット回線を利用したVPN通信は回線の混雑程度に応じて速度低下が顕著になるので、導入時にキャリアへ実測値を確認しておくことをおすすめします。
VPNを導入するときのポイント
VPNを導入するときのポイントは、以下の2つです。
- オプションでセキュリティが高められる
- カスタマイズが柔軟にできる
それでは、1つずつ見ていきます。
オプションでセキュリティが高められる
VPNを導入するときのポイント1つ目は、オプションでセキュリティが高められることです。VPNを導入しただけではセキュリティ対策としては不十分です。しかし、考えられる全ての対策を自社で行うことは手間がかかるだけでなく、高額な費用が発生するため現実的ではありません。そこで、効果の高い対策を専門技術者に任せられるオプションを取り入れることをおすすめします。近年はネットワークの監視や認証管理、フィルタリングサービスなど様々なセキュリティサービスを提供している通信事業者が多いです。自社の弱点を洗い出し、セキュリティポリシーに照らして対策を行うことが大切です。
カスタマイズが柔軟にできる
VPNを導入するときのポイント2つ目は、カスタマイズが柔軟にできることです。業務に必須の通信回線ですが、まれに何らかのトラブルにより通信ができなくなる場合があります。このような場合に備えて、例えば「冗長構成」を取っていると、すぐに予備回線に切り替えができ被害を最小限に抑えることが可能です。通信の重要度に応じて自社にあわせたカスタマイズを行うことで事業継続性が強化されるため、柔軟な対応ができるかという観点からもサービスを選択することをおすすめします。
VPNサービスおすすめ6選を徹底比較!
ここでは、VPNサービスのおすすめ6選を紹介します。
ExpressVPN
ExpressVPNは、世界94ヶ国にある高速サーバーによって高速通信を実現しているVPNサービスです。事業者は英領バージン諸島に拠点を持つExpress VPN International Ltd.で、日本語のサポートに若干の難はあるもののサービス自体は日本語対応となっており利用には問題ありません。ユーザーのオンライン活動を記録しない高い匿名性を特徴としており、第三者への情報提供は一切行わないといったプライバシー保護を謳っています。
ExpressVPNの特徴
- 高度な暗号化かつ高速通信を提供
- スマホ・タブレット・ルーターなどあらゆるデバイスをカバー
- 全てのプランでサービス開始後30日間全額返金保証あり
URL: https://www.expressvpn.com/jp
NordVPN
NordVPNは、世界中で1,400万人を超えるユーザーに利用されているVPNサービスです。パナマに拠点があり、世界60ヶ国に5,000台を超える超高速サーバーを設置しているため場所や用途に応じて接続先を選択できます。脆弱性を見つけた第三者へ報酬を支払う「バグハンター」制度を設けており、セキュリティ向上に向けた独自の取り組みも特徴です。
NordVPNの特徴
- 次世代の暗号化通信と高速通信の実現
- VPN接続時のユーザー専用固定IPを購入可能
- サービス開始後30日間全額返金保証あり
Private Internet Access
Private Internet Accessは、オープンソースソフトウェアで構築されたVPNサービスです。アメリカを拠点としており、他のハイエンドサービスと比較すると安価に利用できます。サービス自体は日本語に対応していますが、サポートや説明ページが所々英語対応となっているため英語が苦手な方は注意が必要です。メールやチャットによる24時間年中無休のカスタマーサポートを受けることができます。
Private Internet Accessの特徴
- 過去の裁判記録からログ記録を行わないポリシーが実証済み
- 広告ブロックでトラッカーやマルウェアからユーザーを保護
- サービス開始後30日間全額返金保証あり
URL: https://jpn.privateinternetaccess.com/
スイカVPN
スイカVPNは、中国からの接続に人気を博しているVPNサービスです。日本に拠点を持っている国内企業で安価な価格設定となっています。世界45都市にある47のVPNサーバーが利用できるため、比較的安定した通信が可能です。利用料を日本円で行うことができ、クレジットカード支払いに対応しています。日本語で分かりやすく図解されたマニュアルで、初心者でも簡単に利用を開始できます。
スイカVPNの特徴
- 日本語でのサポートを土日も受けることが可能
- 日本国内の法人向けプランあり
- 2週間の無料お試しプランあり
URL: https://www.suika-v1.com/
PureVPN
PureVPNは、世界78ヶ国6,500以上のサーバーから利用できるVPNサービスです。香港を拠点としており、同時接続台数が10台となっているため家族も使用できます。海外の他製品に比べると多少安価な価格設定ですが、日本語対応が十分ではないため英語や中国語に不慣れな方は使いこなすことが難しい可能性があります。7日間0.99ドルで試すことができるプランが用意されているため、気になる方は事前確認しましょう。
PureVPNの特徴
- キルスイッチが柔軟に設定可能
- Windowsの他にiOSやLinux、Firefoxなどを搭載した各種デバイスに対応
- サービス開始後31日間返金保証あり
URL: https://www.purevpn.com/jp/
Millen VPN
Millen VPNは、日本国内の通信事業者が提供するVPNサービスです。レンタルサーバーを提供しているアズポケットが運営しており、75以上のロケーションに1,300以上のVPNサーバーを有しています。シンプルな操作感で、専門知識がなくても導入後すぐに利用可能です。プランは1ヶ月・1年・3年から選択でき、長期間の契約になるほどコストメリットが高くなるようになっています。日本円が利用できてサポートも日本語で受けられるため安心です。
Millen VPNの特徴
- ノーログポリシーで高いプライバシーを確保
- 金融機関と同じレベルの暗号化技術で高セキュリティ
- サービス開始後30日間の返金保証あり
まとめ
本記事では、VPNの基礎知識、VPNの活用場面やVPNサービスを導入する際のポイントをはじめ、おすすめのVPNサービスを紹介しました。情報社会を生きる今、情報漏洩やWeb攻撃の被害についても日常的に耳にするようになりました。自分の身を守るためにも、まずはVPN対策やウイルス対策ソフトのインストールなど、すぐに取り組めるものからセキュリティ強化の対策をおすすめします。
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NotePMの特徴
- マニュアル作成、バージョン管理、社外メンバー共有
- 強力な検索機能。PDFやExcelの中身も全文検索
- 社内FAQ・質問箱・社内ポータルとしても活用できる
- 銀行、大学も導入している高度なセキュリティ。安全に情報共有できる
URL: https://notepm.jp/