顧客理解とは?役立つ分析・調査方法やフレームワークも解説

2025年02月14日(金) マーケティング

顧客理解

マーケティングや営業など、顧客に関わる活動を成功させるためには、顧客理解が欠かせません。なぜなら、顧客が求めていない商品・サービスは、いくら優れた性能があっても買ってもらえないからです。

顧客理解を深めるためには、様々な分析・調査方法やフレームワークの中から目的に役立つ最適なものを選ぶ必要があります。その際、顧客理解を深めるポイントを把握していなければ思うような成果は得られません。

本記事では、顧客理解の意味や必要とされる背景、手法やフレームワークなどを紹介します。顧客に受け入れられるマーケティング活動を行いたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

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顧客理解とは

顧客理解とは、商品やサービスの利用者の購買行動や属性から、そのニーズや考えを見出す取り組みです。購入の意図・不満・感じている価値などを顧客視点で分析すれば、よりよい製品開発やコミュニケーションにつなげられます。顧客理解が必要とされる背景は、2つあります。

  • 購買行動の多様化
  • 効率的な顧客獲得

1つずつ順番にみていきましょう。

購買行動の多様化

昨今、人口減少による市場縮小や情報量の増加により、消費者の選択肢や好みが多様化しています。従来のマス向けマーケティングだけでは不十分なため、One to Oneマーケティング・CX・CEなど新しいアプローチが注目されています。顧客目線での戦略立案と顧客理解が重要です。

効率的な顧客獲得

顧客理解が不足すると的確な施策が打てないため施策の成功率が上がらず、新規顧客獲得に余分なコストがかかります。そのため、マーケティング活動の効率化には顧客理解が欠かせません。

顧客理解に役立つ分析・調査方法

ここでは、顧客理解に関する分析・調査方法を12個解説します。

  • ユーザーインタビュー
  • ユーザーテスト
  • 専門家へのインタビュー
  • 導入事例の分析
  • クチコミ確認
  • ソーシャルリスニング
  • 顧客とのやりとり・問合せ内容分析
  • フロント部門との情報共有
  • アンケート調査
  • 先行提供
  • 顧客としてのサービス・商品利用
  • 従業員のクチコミ確認

それぞれの特徴を把握し、商品や目的に応じて最適な方法を選択しましょう。

ユーザーインタビュー

ユーザーインタビューは、オンラインツールの普及により実施のハードルが大きく下がってきました。既存顧客と見込み顧客、それぞれにユーザーインタビューをすることで、包括的に顧客の声を収集できます。

協力者の募集方法としては、社内の顧客リストだけでなく外部サービスの活用も検討しましょう。実施形式には1対1で詳細に対話する「デプスインタビュー」と、複数人で意見交換を行う「グループインタビュー」があります。

ユーザーテスト

ユーザーテストでは、実際の顧客の行動を観察してより深い洞察を得られます。Webサイトの操作画面を共有してもらい、顧客行動や躊躇しやすいポイントを観察しましょう。

事前に仮説を立てておけば、より効果的な観察が可能です。また、顧客行動の背景にある理由を丁寧に確認することで、貴重なインサイトを得られます。

専門家へのインタビュー

エキスパートインタビューでは、対象業界で豊富な経験を持つ専門家から話を聞くことで、業界特有のニーズや課題について理解を深められます。エキスパートの知見は、その後のユーザーインタビューをより効果的に進める上でも有用です。また、エキスパートと実際の顧客の認識にギャップがある場合、それ自体が重要な気づきとなるかもしれません。

導入事例の分析

導入事例の分析は、特に見込み顧客やエキスパートへのアクセスが難しい場合に有効です。多くの企業がWebサイトで公開している導入事例には、導入の経緯・決め手・効果が詳しく記載されています。自社および競合の事例を丁寧に分析すれば、一層顧客理解を深められるでしょう。

クチコミ確認

レビューサイトのクチコミは、実際のユーザーから率直な意見を吸い出すために有効です。比較サイトを閲覧すると、サービスの長所短所について詳しい書き込みが掲載されています。匿名での投稿が多いものの、改善要望などが率直に記載されているケースも多いため、サービス改善のヒントにしましょう。

ソーシャルリスニング

ソーシャルリスニングは、SNS上で製品やサービスに関するコメントをリサーチする方法です。関連キーワードのモニタリングを行えるツールも出てきているので、そのようなツールを活用すればより効率的にソーシャルリスニングを行えます。

>関連記事:【2025年版】ソーシャルリスニングツール おすすめ12選を徹底比較!(有料・無料)

顧客とのやりとり・問合せ内容分析

顧客とのやりとり・問合せ内容も、顧客理解のために価値ある情報源です。CRMやSFAを活用することで、顧客の期待や課題、興味を持ったきっかけなどを体系的に把握できます。できるだけ多くの声に触れれば、より深い理解につながるでしょう。

フロント部門との情報共有

フロント部門との情報共有は、顧客理解を深める上で欠かせません。営業担当やユーザーサポート部門へのインタビューを通じ、顧客との直接的なやりとりから得られた知見を共有してもらいましょう。商談に同席することやWeb商談の録画を確認することにより、一層深い理解を得ることがおすすめです。

>関連記事:社内情報は2種類。情報共有ツールの選び方や情報共有のコツを解説

アンケート調査

アンケートで定量調査を行うことで、広く顧客の声を集められます。自社が保有する顧客リストへのアンケートだけでなく、外部の調査会社にも依頼した方がよいでしょう。顧客をより深く理解するには、定量調査だけでなく定性調査との併用がベターです。

先行提供

自社製品・サービスを一部の顧客に先行提供することで、新製品や新機能について効果的なフィードバックを得られます。現行製品を活用している協力的な顧客に依頼することで、深い洞察を得られるでしょう。得られた声は、本格展開時のマーケティング施策にも役立ちます。

顧客としてのサービス・商品利用

顧客として店舗やショールームに訪問することは、特に小売や飲食業界で効果的です。プロモーションと接客の両面から、製品やサービスの提供状況を確認できます。また、企業の目指す世界観やユーザー体験を直接体感できることもメリットです。

従業員のクチコミ確認

従業員のクチコミは、企業文化を理解する上で貴重な情報源です。特にBtoBビジネスの場合、個人の意思決定は企業文化の影響を強く受けます。従業員のクチコミプラットフォームで従業員の声を確認することで、より効果的な提案につなげられるでしょう。

顧客理解に役立つフレームワーク

顧客理解に役立つフレームワークのうち、ここでは3種類解説します。

  • カスタマージャーニーマップ
  • STP分析
  • 5W1H

目的に応じて最適なフレームワークを活用しましょう。

カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップは、顧客が製品やサービスを購入・契約するまでの道のりを可視化する手法です。これにより、各段階における顧客の状態を詳しく理解し、適切なアプローチ方法を検討できます。

顧客行動を段階的に促し、最終的な目標達成へと導くには、具体的なユーザー像の定義に加え、各段階における感情・行動・施策の丁寧な検討が必要です。

STP分析

STP分析は、以下の3要素より市場環境を体系的に理解できるフレームワークです。

▼STP分析の3要素

S Segmentation セグメンテーション 市場や顧客ニーズをグループ分け
T Targeting ターゲティング 細分化したグループより狙う市場を絞り込み
P Positioning ポジショニング 自社の立ち位置を決定

これにより、自社の商品やサービスに最適な顧客層を特定できます。

5W1H

5W1Hは、情報整理に役立つフレームワークです。以下の切り口で情報を整理することで、顧客像を深く理解できます。

▼5W1Hの切り口

5W When いつ
Where どこで
Who 誰が
What 何を
Why なぜ
1H How どのように

顧客理解を深めるポイント

顧客理解を深めるには、以下に示す3つのポイントを押さえましょう。

  • 顧客視点に立った分析
  • 顧客インサイトの把握
  • 顧客データの可視化

1つずつ解説します。

顧客視点に立った分析

企業が分析を行う際は企業目線に偏りがちですが、企業目線だけでは顧客の真のニーズを把握することは困難です。顧客を深く理解するため、その環境や背景を理解した上で行動を観察し、心情を分析しましょう。

顧客が置かれている環境がその心情にどのような影響を与え、その結果どのような行動につながるのかを理解しましょう。これにより、実感を伴った顧客理解が可能になります。

顧客インサイトの把握

顧客インサイトとは、購入の決断に至るまでの本質的な購買欲求を指します。「インサイト」には物事の本質を見抜くとの意味があります。

顧客インサイトを把握するには、単に顧客の声を聞くだけでなく、その背景にある思いや環境を理解し、顕在・潜在両方のニーズを把握することがポイントです。

顧客データの可視化

顧客データの可視化も欠かせません。年齢・性別・購買履歴などのデータをカスタマージャーニーマップで整理すれば、顧客の購買プロセスを明確に把握できます。これは顧客理解を深めるだけでなく、具体的な戦略立案にもつながるでしょう。

>関連記事:可視化とは?ビジネス上のメリットや手段・成功させるポイントを解説

顧客理解の結果をマーケティング業務に役立てる流れ

顧客理解を深めた後は、以下の手順でマーケティング業務に役立てましょう。

  • ペルソナ設定
  • チーム内の認識合わせ
  • マーケティングの戦略設計

1つずつ解説していきます。

ペルソナ設定

ペルソナとは、自社のターゲット層となる顧客像を仮想的に作り出したものです。名前・年齢・職種などの基本情報に加え、所属企業の情報や課題なども含めて設定すればより具体的な顧客像を描けます。

これにより、チーム内でのターゲット層への理解が深まり、マーケティング戦略の立案がスムーズになるでしょう。

>関連記事:ペルソナ テンプレート(書き方と事例あり)

チーム内の認識合わせ

作成したペルソナは、マーケティング部門・開発部門・営業部門など全社的に共有しましょう。特に、営業部門は顧客と直接接する機会が多いため、その知見を活用すればペルソナの精度を高められます。また、データ分析やユーザーインタビューの結果も併せて共有すれば、より説得力のある顧客像を構築できるでしょう。

マーケティングの戦略設計

マーケティングの戦略設計を効果的に行うには、カスタマージャーニーマップの作成と市場理解の2つが必要です。カスタマージャーニーマップで顧客の行動や感情を可視化することで、購入プロセスの各段階に合わせて施策を立案できます。また、自社の強みや市場の成長性などについて市場分析を行うことで、より実効性の高い戦略を立案できるでしょう。

まとめ

顧客理解とは、商品やサービスの利用者の購買行動や属性から、そのニーズや考えを見出す取り組みです。購買行動の多様化や効率的な顧客獲得を背景に必要とされています。ユーザーインタビューや先行提供など様々な手法があります。

また、カスタマージャーニーマップなどのフレームワークも活用しましょう。顧客視点に立った分析などが顧客理解のポイントです。分析結果を踏まえてマーケティング活動に応用しましょう。

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