ナレッジマネジメントは、AIを活用することでより効率的に実施できます。しかし、具体的な活用方法がわからない人もいるかもしれません。
本記事では、ナレッジマネジメントにおけるAIの活用法や、効率化できるツールなどを紹介します。AIを使ってナレッジマネジメントを実施したいと考えている人は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ナレッジマネジメントにおいてAIを活用するメリット
まずは、ナレッジマネジメントにおいてAIを活用するメリットとして、以下の3つを解説します。
- ナレッジの属人化を防止できる
- 企業の生産性を向上できる
- 新入社員の育成を効率化できる
メリットを把握することで、AIを活用したナレッジマネジメントを実施するかどうかの判断材料にできます。AIを活用したナレッジマネジメントに興味がある人は、ぜひ確認してください。
ナレッジの属人化を防止できる
ナレッジの属人化とは、特定の人だけが業務の進め方を把握している状態を指します。ナレッジの属人化が起きていると、業務の進め方を知っている社員が異動や退職をした際に、業務が停滞する恐れがあります。
対話型のAIを使ったナレッジマネジメントで、社内のあらゆるナレッジにすぐにアクセスできるようにすると、属人化を防止可能です。社員の異動や退職が発生した際に、業務が停滞するリスクを減らせます。
企業の生産性を向上できる
社内のナレッジが散在していると、業務を進めるうえで必要な情報を得るのに時間がかかりやすいです。ナレッジマネジメントで社内の知見を一元化し、対話型のAIで検索性を確保することで、欲しい情報をすぐに手に入れられる環境を構築できます。
結果として、業務をスムーズに進められるようになり、企業の生産性の向上につなげられます。
新入社員の育成を効率化できる
対話型のAIによって、業務の進め方をいつでも調べられる環境を作ることで、新入社員が自分で仕事のやり方を理解できるようになります。先輩社員が研修の時間を設けたり、隣で長時間フォローしたりする必要がなくなります。
結果として、新入社員を効率よく育成できるようになるため、先輩にあたる社員は自分の業務に集中しやすくなる点が大きなメリットです。
ナレッジマネジメントにおけるAIの活用法
ここからは、ナレッジマネジメントにおけるAIの活用法として、以下の3つを解説します。
- マニュアルの自動生成
- チャットボットを用いたナレッジの検索
- ナレッジの活用履歴に基づいた改善案の分析
AIを使ったナレッジマネジメントに興味がある人は、ぜひ詳細を確認し、どのように実施すると良いかを考えてみましょう。
マニュアルの自動生成
ナレッジマネジメントの基本は、自分が持っているナレッジをドキュメントに書き込み、ほかの人が理解できる状態にすることです。AIを活用すれば、大まかな内容を指示するだけで、体裁の整ったマニュアルを自動で生成できます。
AIによる自動生成のおかげで、ドキュメント作成の工数を減らせるため、ナレッジマネジメントの効率化が可能です。また、文章作成が苦手なメンバーでも、読みやすいマニュアルを手軽に作成・共有できるようになります。
チャットボットを用いたナレッジの検索
社内にナレッジが蓄積されても、必要な情報がどこにあるかわからず、探すのに時間がかかるケースは少なくありません。チャットボットを導入して、自然言語でAIに質問できる環境を整えられると、求めているナレッジを簡単に探せます。
チャットを使う場合、キーワード検索よりもピンポイントで欲しいナレッジにアクセスしやすいです。
時間を問わずにAIに質問できるため、ナレッジマネジメントの担当者を配置しなくても、疑問点を即座に解決できる環境を整えられる点も魅力です。
ナレッジの活用履歴に基づいた改善案の分析
作成したマニュアルが、実際にチームメンバーの役に立っているかを人力で分析するのは手間がかかります。AIを使うと、各マニュアルの閲覧数や検索キーワードなどを簡単に分析可能です。読まれていないマニュアルについては「内容が古い」「専門用語が多くてわかりにくい」など、原因を提示してくれます。
AIをフル活用することで、ナレッジを常に最新かつ高品質な状態にできるため、チームの役に立ちやすくなります。
AIを使ったナレッジマネジメントの注意点
ここからは、AIを使ったナレッジマネジメントの注意点として、以下の2つを紹介します。
- 自動生成したマニュアルは目視でチェックする
- 環境構築には専門知識が必要
注意点を確認することで、AIを使ったナレッジマネジメントをより効果的に実施できます。AIによるナレッジマネジメントを検討している人は、事前に確認しておきましょう。
自動生成したマニュアルは目視でチェックする
AIによるマニュアル生成は便利ですが、内容をよく確認せずにコピー&ペーストするのは危険です。AIの文章生成には、誤字脱字や不自然な表現が含まれる可能性があるためです。
また「ハルシネーション」と呼ばれる、事実に基づかない虚偽の情報を生成する現象も起こり得ます。業務手順に関する誤った情報がマニュアルに記載され、修正せずに放置していると、サービスの低品質化が起こる危険があります。
AIでマニュアルを生成した後は、誤字脱字の確認やファクトチェックを行い、情報の正確性を確保しなければなりません。
環境構築には専門知識が必要
対話型のAIを搭載したり、ナレッジの活用履歴の分析機能を実装したりするには、相応のシステム開発とインフラ構築の知識が求められます。そのため、AIエンジニアやデータサイエンティストなど、専門知識を有する人材が必要です。社内に専門知識を有する人がいない場合、自社での開発は現実的ではありません。
自社開発が難しいものの、AIをフル活用したナレッジマネジメントを実施したい場合は、AI機能を搭載したナレッジマネジメントツールを使うのがおすすめです。
AIを搭載したナレッジマネジメントツール3選
ここからは、AIを搭載したナレッジマネジメントツールとして、以下の3つを紹介します。
- Qast
- Quick Solution
- saguroot
ナレッジマネジメントツールの導入を検討している人は、それぞれのツールの特徴を把握し、どれを導入するか検討してみてください。
おすすめのナレッジマネジメント・共有ツールについては、以下の記事で詳しく解説しています。
ナレッジマネジメント・共有ツールおすすめ30選|導入のメリットや選び方を解説
Qast

引用:Qast|AIナレッジプラットフォーム|AI × 社内のナレッジで、みんなの業務が動き出す。
| 特徴 | ・社員の質問と回答を共有できる「Q&A」機能 ・AIに質問するだけで、蓄積されたナレッジから答えを導き出す ・ダッシュボードで各投稿の閲覧状況を分析可能 |
| 料金 | 要お問い合わせ |
| おすすめの人 | ・業務上の質問を気軽に投稿できる場を作りたい人 ・ダッシュボード機能のあるナレッジマネジメントツールを使いたい人 ・議事録の要約もAIで効率化したい人 |
| 公式URL | https://qast.jp/ |
Qastは、社員の質問と回答を集約できる「Q&A」機能が特徴的なナレッジマネジメントツールです。多くのQ&Aを投稿してナレッジを蓄積した後に、AIに知りたいことを質問すると、溜まった知見から該当する情報を見つけてくれます。また、ミーティングの音声データから、AIで議事録を自動生成する機能も搭載されています。
URL:https://qast.jp/
Quick Solution

引用:エンタープライズサーチ QuickSolution | 住友電工情報システム
| 特徴 | ・社内のファイルサーバーからクラウドサービスまで、情報を横断検索 ・生成AIを使った検索機能 ・キーワードの位置や各単語の距離を考慮した、高度な検索機能 |
| 料金 | 要お問い合わせ |
| おすすめの人 | ・複数のファイルサーバーやクラウドサービスをすでに利用している人 ・検索性の高いツールを使いたい人 ・シンプルなUIでナレッジを検索したい人 |
| 公式URL | https://www.sei-info.co.jp/quicksolution/ |
Quick Solutionは、住友電工情報システムが開発したナレッジマネジメントツールです。さまざまなファイルサーバーやクラウドサービスから、AIが横断検索して欲しい情報を提供してくれます。クリック操作だけで情報を検索できる「Click Navi」機能も特徴的です。
URL:https://www.sei-info.co.jp/quicksolution/
saguroot

引用:ナレッジマネジメントツール「saguroot」│丹青社
| 特徴 | ・AIによるナレッジの検索 ・生成AIによる、検索した資料の要約 ・SharePointやBoxなどのツールと連携可能 |
| 料金 | 要お問い合わせ |
| おすすめの人 | ・AIを使って、ナレッジ検索や要約など幅広い作業を効率化したい人 ・SharePointやBoxを使っている人 ・セキュリティ対策に優れたツールを使いたい人 |
| 公式URL | https://saguroot.tanseisha.co.jp/ |
sagurootは、AIを使った情報の検索に力を入れているツールです。AIを使うことで、ナレッジの検索はもちろん、検索した資料の要約もできます。資料を要約してもらうことで、見つけたドキュメントに探している情報が含まれているかを一目で判断できます。マイクロソフト社が提供しているサービス「Azure」を導入することで、セキュリティ性能を高めている点も魅力です。
URL:https://saguroot.tanseisha.co.jp/
そもそもナレッジマネジメントとは
ナレッジマネジメントとは、社内の生産性向上を目的に、社員一人ひとりが持つ知識やノウハウを共有することです。
ナレッジには「形式知」と「暗黙知」の2種類が存在します。それぞれの概要や具体例は以下の通りです。
| 種類 | 概要 | 具体例 |
|---|---|---|
| 形式知 | 言葉や図などを使って、複数人で共有できる知識 | ・マニュアル ・業務手順書 |
| 暗黙知 | 個人の経験や勘に基づく、言語化が難しい知識 | ・熟練技術者の勘 ・ベテラン営業担当者の交渉術 |
ナレッジマネジメントを実施する際は、各社員が持っている暗黙知を形式知に変換し、全員で共有することが重要です。
ナレッジマネジメントが重要視される理由
ここからは、多くの企業でナレッジマネジメントが重要視される理由として、以下の3つを解説します。
- 人材育成がスムーズになるため
- 業務の質を安定化できるため
- テレワークを導入しやすくなるため
重要視される理由を把握することで、ナレッジマネジメントを実施するメリットをより深く理解できます。ナレッジマネジメントを検討している人はぜひ確認してください。
人材育成がスムーズになるため
新入社員や異動してきたメンバーは、業務の進め方や専門知識などを新たに習得する必要があります。しかし、教育に時間をかけ過ぎると、案件のスケジュールを圧迫してしまいます。
時間をかけずに人材を育成するには、ナレッジマネジメントを実施し、業務に必要な知識やノウハウをマニュアルとして整理すると効果的です。ベテラン社員が持つ高度なノウハウを文章や図でわかりやすく示すと、新入社員もレベルの高い知識を吸収しやすくなります。
ナレッジマネジメントを実施することで、教育担当者の負担を軽減できるうえに新入社員が早期に戦力化するため、社内の生産性を上げやすくなります。
業務の質を安定化できるため
業務の進め方が個人のスキルや経験に依存する状態では、社員によって業務のクオリティに差が出てしまいます。クオリティを均一化するには、優れた業務ノウハウや成功事例を全社で共有し、業務プロセスを統一させることが大切です。
ナレッジマネジメントで優れたノウハウを共有し、各社員に活用してもらうことで、個々人の業務のパフォーマンスを高い水準で統一できます。結果として、組織としてのサービスの向上につなげられます。
テレワークを導入しやすくなるため
近年、多様な働き方の一つとしてテレワークを導入する企業が増えています。しかし、テレワーク中は上司や同僚が近くにいないため、業務の進め方で気軽に質問できないことが難点です。
ナレッジマネジメントによって、オンライン上で見られるマニュアルを準備することで、業務に必要な情報を自分で確認できるようになります。誰かに質問しなくても疑問点を自己解決しやすくなるため、ナレッジマネジメントはテレワークの導入を後押ししてくれます。
AI以外でナレッジマネジメントを効率化する方法
AI以外でナレッジマネジメントを効率化するなら、業務マニュアルを一元管理できるナレッジマネジメントツールの導入がおすすめです。
中でも検索性に優れているナレッジマネジメントツール「NotePM」の導入が有効です。
NotePMは、WordのようなUIのテキストエディタで、誰でも簡単に業務マニュアルを作成できるツールです。作成したマニュアルは、NotePM内でフォルダごとに整理して保管できます。保管されたマニュアルは強力な全文検索機能で探せるため、必要な情報に素早くアクセスできる点も魅力です。
また、NotePMは情報セキュリティの国際規格「ISO/IEC 27001」に準拠しているため、セキュリティ意識が高い企業でも導入しやすいです。
NotePMでナレッジマネジメントを効率化した事例
ここからは、ナレッジマネジメントツール「NotePM」を導入し、ナレッジマネジメントを効率化した事例として以下を紹介します。
- 住信SBIネット銀行株式会社
- キーコーヒー株式会社
- 税理士法人アーリークロス
それぞれの導入事例を確認することで、NotePMを導入するメリットを具体的に把握できます。NotePMに興味がある人は、ぜひ参考にしてください。
住信SBIネット銀行株式会社

住信SBIネット銀行株式会社はネット銀行を運営している企業です。同社では、複数のツールで情報共有が行われていたため、各ツールにナレッジが分散している課題がありました。
NotePMを導入したことで、社内のナレッジを一元化し、高性能な検索機能によって必要な情報をすぐに探せる環境を構築しました。また、導入後のサポートが手厚い点も便利に感じているとのことです。
【導入事例】最高のデジタルバンクになるために。組織変革を支える社内wikiツール – 住信SBIネット銀行株式会社
キーコーヒー株式会社

キーコーヒー株式会社は、コーヒーの製造・販売を主力事業とする企業です。業務マニュアルが社内に散乱しており、欲しい情報を探すのに時間がかかっていたため、NotePMを使って一元管理することに決めました。
NotePMの導入後、欲しい情報を探す時間が半分以下に削減されました。また、NotePMでToDoリストを管理できるようになったことで、メンバーの案件の進捗具合を一目で把握しやすくなった点も大きな変化です。
【導入事例】情報を探す時間が半分以下に。創業100年の老舗企業のマニュアル文化を大改革 – キーコーヒー株式会社
税理士法人アーリークロス

税理士法人アーリークロスは、創業・事業継承・相続などを相談できる総合型事務所です。各社員のノウハウを共有していないことで、社内で同じ質問が飛び交っていたため、コミュニケーションコストの削減を図るためにNotePMを導入しました。
NotePMを導入することで「不明点を検索したうえで、わからなかったら質問する」という文化を醸成しつつある点が大きな変化です。また、ナレッジをメモ感覚で気軽に書ける点が社員の方に好まれています。
【導入事例】気軽にノウハウを蓄積できるのが魅力。知識をストックし、さらなる事業成長を目指す – 税理士法人アーリークロス
AIやツールでナレッジマネジメントを効率化しよう
本記事では、ナレッジマネジメントにおけるAIの活用法や注意点、効率化できるツールなどを解説しました。
AIを使うことで、マニュアルの自動生成や高度な検索機能が実現できるため、ナレッジマネジメントを飛躍的に効率化させる可能性があります。ただし、導入に専門知識が必要であるほか、生成内容のファクトチェックが不可欠である点に注意が必要です。
社内にAIエンジニアがいない状態でナレッジマネジメントを効率化したい場合は、NotePMをはじめとするナレッジマネジメントツールの活用も検討してみましょう。



