一般的にワークフローシステムの導入を検討する企業は、業務改善をして生産性を上げ利益増加につなげたいとの思いがあるでしょう。しかし、ワークフローシステムでできることはどれも同じだろうと、深く検討をせずに選んでしまうのは失敗の要因です。そこでこの記事では、ワークフローシステムの導入に失敗する理由と成功のポイントについて紹介します。
ワークフローシステムを導入する目的
申請から承認までの時間短縮を目指して
組織に属する多くの人が、申請や提案をしても承認されるまでにかなりの時間がかかることに不満を感じているようです。決裁までに経由する承認者の数、予算や内容などの条件が影響することもあるでしょう。しかし、承認者の出張や休暇などで不在のときは、ワークフローが滞留してしまいます。決裁ルートが決められていれば順番を後回しにすることもできません。結果として承認が遅かったがためにビジネスチャンスを逃すこともあるものです。そのため、出先で承認作業を行えるワークフローシステムを導入して、申請から決裁までの時間短縮を図りたいという狙いがあります。
タスクの可視化で進捗状況を把握するため
承認申請のワークフローが適切に管理されていない実態も見受けられます。紙ベースで回覧したりパソコンで作成した書類をメール添付したりするなどさまざまな方法がありますが、ほかの書類やメールに紛れて見落とされている場合もあるようです。どこでワークフローがストップしているのか申請者からはわからず、期限までに承認されないケースも発生しています。ワークフローシステムなら、進捗が可視化できるためトラブル防止に役立つだろうと導入に至るようです。
ペーパーレス化でコストの削減を図るため
社内の申請書類を紙ベースで回覧する企業もまだまだ多いようです。せっかくパソコンで書類を作成しても印刷した後にミスを発見し、再度印刷する場合もあるでしょう。申請が通らず否認されれば、また書類を作って印刷し直さなければなりません。ワークフローシステムを使ってペーパーレス化が実現すれば、印刷コストの削減ができるうえに書類の管理や保管場所が不要になります。第一の導入目的ではないにしてもメリットと感じている企業は多いでしょう。
ワークフローシステム導入で失敗する理由
高機能で設定が難しいため使いこなせない
あらゆる業務の効率を図ろうと多機能のワークフローシステムを導入したところ、さまざまな設定に時間を費やし、運用までにかなりの時間がかかるケースがあります。せっかく設定しても全部の機能を活用しきれず、これなら従来のワークフローのほうが良かったと社員の反発を招きかねません。組織改編や承認ルートの変更の際にも、専門知識を持つ社員に頼らざるを得ない状況では、メンテナンスが追いつかなくなってしまいます。結果的に、期待したほどには業務改善ができていないと感じるでしょう。
費用対効果が自社に見合わない
従来からあまり複雑なワークフローではなかったのに、多機能のワークフローシステムを選んだことで、コストをかけた割にはあまり導入の効果を感じられないというケースもあります。自社のワークフローに合わせた柔軟なカスタマイズ性を持ち、社員のニーズに沿った自社の規模に見合うワークフローシステムを選ぶのが大切です。実際の運用で使わない機能は極力排除しないと、導入しても無駄が生じてしまいます。社員一人あたりのランニングコストに対して、それ以上の導入効果が見込めないのでは導入失敗と感じてしまうでしょう。
ほかのシステムや外部のWebサービスと連携できない
給与計算ソフトや会計ソフト、販売管理システムなどを利用している企業は多いでしょう。部門ごとに管理をすると、それぞれ同じような項目のデータを入力しているにもかかわらず、それらのデータを効率的に活用できていないケースがあります。このような状態でワークフローシステムを導入しても、ソフトやシステムと連携が不可能でせっかく入力したデータを流用できなければ、さらに業務の負担が増えてしまいます。
ワークフローシステム導入を成功させるポイント
課題を洗い出して導入目的を明確にする
ワークフローシステムの導入にあたり、準備を疎かにして見切り発車で導入してしまうのは失敗の原因になります。申請者や承認者から十分な聞き取り調査を行い、何に困っているか、どう改善してほしいのかの課題点を浮き彫りにすることが重要です。そのうえで、ワークフローのルールの整理、帳票類の書式の見直しなど、申請者と承認者両方の視点で効率化できるように検討しましょう。不要な手順やルールは導入前に排除しておきます。これらの下準備をしてこそ、ワークフローシステムの導入による大きな効果を見込めるでしょう。
現場が混乱しないよう従業員への説明とフォローを万全に
いかに業務の改善に効果があることでも、従来の業務内容を大幅に変更することは社員にとって少なからず混乱を与えるものです。社員全員に対して導入に至った背景と経緯をきちんと説明したうえで、導入後のメリットを伝えるなどの根回しをして理解を得ることが必要です。導入後は、機能や操作の説明会を開催したり、個別に質問を受け付けたりするなどのアフターフォローの体制も整えておきましょう。
効果的なワークフローシステムの選定
社内の業務に合わせてシステムを構築して運用するオンプレミス型か、既にできているシステムを利用するクラウド型かを選択することになります。社内に専門知識を持つ社員がいれば良いですが、そうでない場合は円滑な運用をするのが難しいでしょう。
ITスキルがさまざまな社員がいる場合は、誰でも迷いなく直感的に操作しやすいシステムでなければなりません。スマートフォンからの小さな画面でも操作性が良いかどうかは重要です。高機能過ぎるものは逆に使いにくいという意見もあるため、自社に必要な機能に絞ったランニングコストの安いものが長い目で見てお得です。今後の業務拡大によって、徐々にバージョンアップできるタイプのものなら、大掛かりなデータ移行の必要もありません。
おすすめ ワークフローシステム
以下の記事では、おすすめのワークフローシステムの概要や特徴について解説しています。
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まとめ
業務効率化を目的とした導入したワークフローシステムが使い勝手の悪いものでは、費用対効果を見込めません。社員に煩雑な作業が増えただけと受け取られてしまえば、紙ベースの従来のワークフローに逆戻りしてしまう可能性もあります。十分な準備をして、社員の業務効率化と生産性アップが実現できるワークフローシステムを選ぶことをおすすめします。
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