タレントマネジメントシステムの効果は?基本機能と合わせて解説

2024年01月04日(木) 人事・労務

少子高齢化で人材不足が問題視されるようになった日本では、限りある社員の能力をいかに見極め、有効活用していくかが重要になりつつあります。そのような状況下で注目を集めているのが、人事戦略のサポートツールである「タレントマネジメントシステム」です。今回は、タレントマネジメントシステムの基本機能をふまえ、導入が進む理由や期待できる導入効果などをご紹介します。

タレントマネジメントシステムの基本機能

データの一元管理

従来の人材マネジメントでは、エクセルや紙などさまざまな媒体でデータが管理されていました。これでは必要なデータの抽出や業務へのアサインがスムーズに行えないばかりか、データが埋もれてせっかくの人材を生かせない可能性もあります。この点、タレントマネジメントシステムでは、すべての社員の経験やスキル、資格や評価などあらゆるデータをシステム上で一元管理します。条件ごとに必要なデータを検索したり、システム上で異動シミュレーションを行ったりするなど、スピーディーかつ柔軟なデータ活用が可能です。

育成計画管理

入力されたデータなどから「求められる人材」と「現実の社員」とのギャップを把握し、求められる人材になるための育成計画を立てることができます。必要な研修を割り当てたり、計画の立案後にPDCAサイクルを回して進捗管理を行ったりするなど、効率良く人材育成を進められます。

目標管理

社員ごとや部署ごとの目標設定や、目標達成率・評価の表示、進捗管理などを行います。システムを通して目標を共有することで、企業全体で目標の方向性を合わせ、経営戦略を確実に実行できるようになります。

データ分析・レポート作成

入力された社員のデータをもとに、さまざまな数値の集計や分析、シミュレーションなどを行います。結果はグラフやチャートなどで「見える化」してわかりやすく表示したり、レポートとして関連部署に送信したりすることも可能です。最適な人材配置や、将来の人材の変化予測などを行う際に役立ちます。

後継者管理

将来リーダーとなる人材の過不足や育成状況、必要なスキルなどを明確にし、求められるリーダー像に近い候補者をピックアップして管理します。専用の育成計画を立案・実施するほか、外部からのヘッドハンティングにも活用可能です。

タレントマネジメントシステムが注目される理由、導入が必要な理由

終身雇用制から成果主義へ

終身雇用制・年功序列制が一般的だった日本ですが、近年は少子高齢化やグローバル化の流れもあり、実力主義へと移行しつつあります。優秀な人材が、適正に評価してくれる企業へ移ることも珍しくなくなりました。このため、優秀な人材の流出を防ぐべく、社員の能力を正しく評価・活用できるタレントマネジメントシステムの導入を進める企業が増えているのです。

労働市場の変化

少子高齢化が進む日本では、今後労働人口が減少し、人材不足に陥ることが懸念されています。労働人口が少なくなれば、優秀な人材を新たに確保するのは難しくなるでしょう。今いる社員のパフォーマンスを最大限に発揮させ、組織全体の生産性を底上げすることが必要不可欠となったのです。このため、個々の社員の能力や適性を見極め、人材を有効活用できるタレントマネジメントシステムが注目されるようになりました。

働き方の多様化

ひと昔前とは違い、現代の労働者は仕事と同様にプライベートも重視する傾向にあります。政府も「働き方改革」を掲げ、過剰労働の是正やワークライフバランスの実現、テレワークなど多様な働き方を推進するようになりました。「長く働く人ほど頑張っている」という評価基準は古いものとなり、働き方に合わせ社員の成果を客観的かつ公正に管理できるタレントマネジメントシステムの必要性が増しているのです。

合理的な人事戦略が可能になる

タレントマネジメントシステムを活用すると、社員のデータをもれなく把握できるため、個人の能力に合わせた人材配置が可能になります。また、実績や素質からリーダー候補を選出して早期に育成を開始したり、組織的な目標を管理したりすることができます。多彩な機能を活用することで、より合理的で有益な人事戦略が可能になる点は、企業が将来的に成長するために欠かせないポイントと言えるでしょう。

タレントマネジメントシステムの導入効果

情報の一元管理による業務の効率化

データを一元管理すると、記録媒体ごとに作業が発生したり、データの抽出に時間と手間がかかったりすることがありません。全社を横断して人材が可視化されるため、リクエストに応じて最適な人材をすぐに選出できますし、データの分析やレポート作成、シミュレーションなどもシステム上で行えます。これまで手作業で行っていた業務を大幅に削減できるため、人事担当者は本来のマネジメント業務に集中できるでしょう。

社員の適性に合わせた配置

タレントマネジメントシステムで社員のさまざまなデータを管理・分析できると、その社員にふさわしい部署や業務を把握しやすくなります。人材配置のミスマッチを防ぎ、適材適所を実現することで社員のパフォーマンス向上が期待できるでしょう。配置を実行した結果、人材が不足している部署などが明確になれば、採用部門と連携して採用活動に役立てることも可能です。

社員のモチベーションを高める

適材適所の配置が可能になると、社員ひとりひとりが「役に立てている」「正しく評価されている」と満足感を抱きやすくなります。システムによって評価基準が明確になるため、評価結果に対する不満や不信の払拭にも役立つでしょう。「頑張れば評価してもらえる」という環境が整うことで、社員が納得感を持って働けるだけでなく、高いモチベーションを維持して能動的な行動につながる効果も期待できます。個々のパフォーマンスが高まれば、企業全体の業績アップも夢ではありません。

おすすめ タレントマネジメントシステム

以下の記事では、おすすめのタレントマネジメントシステムの概要や特徴について解説しています。

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まとめ

さまざまな機能が搭載されたタレントマネジメントシステムは、変化が進む日本の労働市場において重要な役割を担うツールになったと言えます。システムを正しく活用できれば、企業の人事・経営戦略の大きな助けとなるでしょう。すでに数多くのタレントマネジメントシステムがリリースされているので、特徴を見極めながら自社に最適なサービスを選んでみてください。

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