経費精算システムの導入を検討しているものの、それがどのようなシステムなのか、よく分からない企業担当者の方も多くいるでしょう。本記事では経費精算システムとは何か、システム導入のメリット・デメリットなどを紹介します。また、実際の導入事例も紹介するので、自社に取り入れた際のイメージをしてみるとよいでしょう。
目次
経費精算システムとは
経費精算システムとは、会社の事業活動を行ううえでかかった物品購入や交際費などの経費、出張費や交通費などの申請から承認までの業務を円滑にするためのものです。通常、このような経費精算業務は社員が所定の申請書に記入した後、経理担当者や上司に提出し、承認が得られればその金額の払い戻しが行われる仕組みで進められています。しかし、システムを導入することで、申請書ではなくシステムに入力し、精算作業を進めることが可能です。
経費精算システムが注目される理由
経費精算システムを導入することで、申請者と経理担当者の両者にかかる作業の手間を減らす効果が期待されています。また、システムの種類によっては、CSVデータを出力することで経費の分析に活用したり、ほかのシステムと連携させたりできるなど、業務を円滑にする役割を果たすでしょう。ほかにも、クラウド型のシステム導入によって、データの一元管理が可能になる点などが、このシステムが様々な企業から注目される理由といえます。
関連記事:経費精算システムとは?5つの基本機能と製品比較ポイントを紹介
経費精算システム導入のメリット
負担削減・作業効率化を図れる
経費精算作業は、申請者にとっても、経理担当者にとっても手間がかかります。手書きの申請書を出す場合、数が多ければ多いほど、その作業にかかる時間も増えるでしょう。また、うっかり申請期間を忘れてしまうこともあるかもしれません。経理スタッフにとっては膨大な枚数の申請書をチェックすることも時間や負担がかかります。システムを導入することによって、そのような負担が軽減されるほか、作業効率化を高めることが可能です。
ペーパーレス化を可能にする
経費精算システムを活用することで手書き伝票などを保管する必要がなくなるため、ペーパーレス化を促進できます。保管場所も不要になるため、社内の保管スペース削減にもつながります。また、保管や印刷にかかる費用もカットできるでしょう。
ミス防止につながる
システムによっては、ICカードと連携を行い、交通費を自動計算してくれる機能や、領収書から自動で金額を取り込みできる機能が付いている場合もあります。また、レシートの写真を送るだけで申請できるなど、手軽な操作性も魅力です。そのようなシステムを使うことで、入力ミスなどの人為的なミスを減らすことにつながるでしょう。
経費精算システム導入のデメリット
コストがかかる
システムを導入するためには、そのサービスを利用する費用がかかってしまいます。システムはオンプレミス型とクラウド型があり、前者はサーバー設置費用など、初期費用が高額になりやすく、後者は初期費用が安く済むものの、毎月のランニングコストが必要です。また、サービス内容によっても料金は変わるため、導入する前にコストをかける分の価値があるかどうかを考えなくてはいけません。
社員教育が必要
それまで紙の申請書に慣れている作業をいきなりシステムに変えてしまうと、混乱が起こる可能性があります。パソコン操作に慣れていない人にとっては、より手間や時間がかかることも考えられるでしょう。システムでの申請と紙での申請の2種類を容認してしまうと、かえって会計業務が混乱する恐れがあるため、システムを導入する際は操作の講習を実施するなど、サポートが必要です。
必要な機能がない場合がある
経費精算システムには様々な種類があり、搭載されている機能もそれぞれあります。自社で使いたい機能がそのシステムについていなければ、システムのメリットを最大限に活用することができないため、契約する前にどのような機能が必要なのかを検討し、その機能が搭載されているものを選ぶことが大切です。
関連記事:経費精算システムのメリット・デメリットとは?上手に活用するためのポイントも解説
経費精算システムの選定ポイント
導入目的を明確にする
システムを選ぶ前に、導入目的をしっかりと定めることが重要です。サービスには様々な種類があるため、導入目的をはっきりさせておかないと、目移りしてしまう可能性が考えられます。あらゆる便利な機能がついているものもあり、つい多くの機能が備わっているタイプを選んでしまうかもしれません。しかし、その分コストも増えてしまう恐れがあるため、必要なものがついているシステムを慎重に選ぶことが大切です。
カスタマイズ性があるかどうか
数多くあるシステムの中には、カスタマイズ性の高い製品もあります。そのようなものを選ぶと、自社にとって使いやすいシステムに変えることが可能です。すでに必要な機能が全て揃っている製品があれば問題ありませんが、そうではない場合、カスタマイズできるかどうか確認しましょう。
他のシステムとの連携性を確認する
企業によっては、すでに会計ソフトや給与計算ソフトを利用している場合もあるかもしれません。その場合は、それらのソフトと連携できる経費精算システムを選ぶとよいでしょう。他システムと連携可能な製品を導入することで、新しく操作方法を覚える必要もなく、スムーズに運用を開始できるメリットがあります。
関連記事:経費精算システムの製品比較ポイントとは? おすすめ人気製品も紹介
経費精算システム おすすめ9選
上記ポイントを踏まえて、おすすめ経費精算システム・サービスをご紹介します。
マネーフォワード クラウド経費
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マネーフォワード クラウド経費 は、お金の管理に関するサービスを展開している、株式会社マネーフォワードの経費精算システムです。PCweb版、iPhone版、Android版のアプリを備えており、外出時のレシート読み取りが楽にできます。レシートの読み取りはOCR機能、手書きの領収書はオペレーターによる入力代行です。電子帳簿保存法に対応してペーパーレス化を実現するほか、仕訳データの自動登録、申請チェック機能の充実により経理作業の手間を省きます。
マネーフォワード クラウド経費の特徴
- キャッシュレスで経費精算が可能、リアルタイムの送金が可能です。
- 明細情報と連携する従業員用クレジットカードの利用を制御できます。
- 無料家計簿「マネーフォワードME」との連携が可能です。
料金プラン(月額)
• お問い合わせ
マネーフォワード クラウド経費
URL: マネーフォワード クラウド経費
ジョブカン経費精算
ジョブカン経費精算 は、株式会社 Donutsが提供するサービスです。鉄道系ICカードの読み込みや、ジョルダンの乗換案内と連携して交通費を自動算出できます。申請データから仕訳データを生成し、会計ソフトに取り込むことも可能です。仕訳データの出力形式はカスタマイズできるので、現在使っている会計ソフトへそのまま連携できます。すべての機能を体験できる30日間無料トライアルや、メールやチャット、電話でのサポートも用意しています。
ジョブカン経費精算の特徴
- 1人月額400円、初期費用・サポート費用無料でリーズナブルです。
- ファームバンキングデータを自動生成し、振込業務を楽にできます。
- 申請時の入力項目により、承認経路を自動的に変更できます。
料金プラン(月額)
• 400円/1名
ジョブカン経費精算
URL: https://ex.jobcan.ne.jp/
Concur Expense
Concur Expense は、SAP concurが提供するサービスです。国内売り上げシェアNo.1を誇り、株式会社ファーストリテイリング、ヤフー株式会社、日本気象協会など多くの有名企業、団体に導入されています。日本だけでなく世界中で使われており、信頼性の高さがうかがえます。交通系ICカード、法人カードとの連携や、電子帳簿保存法への対応といった基本機能を備えており、領収書の糊付けも不要です。スマホアプリで領収書の撮影、提出、承認までがスピーディーに行えます。
Concur Expenseの特徴
- 経費規程を自動チェックし不正支出を未然に防止します。
- 経費をデータ化して分析し、コスト把握や企業戦略に役立てます。
- タクシー手配など経費精算に役立つさまざまなサービスと連携しています。
料金プラン(月額)
• お問い合わせ
Concur Expense
URL: https://www.concur.co.jp/perfect-expense
クラウド経費精算 freee
クラウド経費精算 freee は、フリーランス、個人事業主、法人事業に向けたさまざまなサービスを展開しているfreee株式会社の会計サービスです。スマホでのレシート撮影や申請、電子帳簿保存法への対応、取引入力や帳簿の作成など多くの機能を備えています。複数レシートの一括申請や、承認ステータスの確認による承認漏れの防止を行うことができ、申請の遅れやうっかりミスへのフォローも万全です。freeeの別サービスと連携することで、より便利に使いこなせます。
クラウド経費精算 freeeの特徴
- タグ機能を利用して部門ごとの経費データを明確に把握できます。
- 「交通費計算freee」との連携で交通費精算の負担を削減できます。
- 「会計ソフトfreee」と連携し、経費精算と会計処理を同時に行えます。
料金プラン(月額)
• 1,980円〜(ミニマム)
• 3,980円〜(ベーシック)
• 39,800円〜(プロフェッショナル)
クラウド経費精算 freee
URL: https://www.freee.co.jp/houjin/keihiseisan/
jinjer経費
jinjer経費 は、株式会社ネオキャリアの経費精算システムです。同社が展開する「人事管理」「給与計算」「勤怠管理」「労務管理」「コンディション管理」「ワークフロー」のプロダクトと組み合わせて利用できるのが特徴で、大手企業から中小企業まで、企業規模にかかわらず多くの会社が導入しています。利用者の声を元に機能を開発しており、契約継続率やサポート満足度も高くなっています。交通系ICカードの読み取りや定期区間金額の自動控除も可能です。
jinjer経費の特徴
- スマホからの申請、承認が可能で、承認ルート設定も細かくできます。
- 会計システムにデータを入れ込む作業や振込業務を簡略化できます。
- 多彩なjinjerサービスと連携し、従業員の手続き関係を一元管理できます。
料金プラン(月額)
• 500円/1名
jinjer経費
URL: https://hcm-jinjer.com/keihiseisan/
Staple
Staple (ステイプル) は、クラウドキャスト株式会社が提供するサービスで、従業員による経費の立て替えや精算作業をできるだけなくすことを目的にして運営されています。Stapleと一体化したプリペイドカード「Stapleカード」を利用して交通費や出張旅費を支払うことで、利用履歴の経費レポート化などが可能です。交通系ICカードの利用履歴を読み取る無料のリーダーアプリも提供しています。スタンダードプランの全機能を利用できる30日間試用版があります。
Stapleの特徴
- 国内初の経費精算サービス一体型法人プリペイドカードを用意しています。
- グッドデザイン賞を受賞した操作性の良いインターフェイスが人気です。
- SlackやChatworkなどのビジネスチャットと連携しています。
料金プラン(月額)
• 600円/1名
Staple
URL: https://staple.jp/ja/home
経費精算システムの導入事例
株式会社ベジテック
株式会社ベジテックでは、経費精算業務をエクセルで行っていたため、社員への精算が完了するまでに時間がかかっていました。しかし、経費精算システムを導入したことで領収書のダブルチェックを全てシステムに任せるなど、業務を円滑に進められるようになり、20〜30人分の作業にかかる時間を約3時間から1時間ほどに減らすことが可能になったのです。また、社員が申請する際もスマートフォンでレシートや領収書を撮影すると自動で入力ができるため、スムーズな申請ができるようになりました。
東京ガスコミュニケーションズ株式会社
東京ガスコミュニケーションズ株式会社では、経費精算システムを活用していたものの、そのシステムには定期区間分の金額を除いた交通費申請機能が備わっていませんでした。そのため、その分だけエクセルで管理し、正しい金額をシステムに入力する形をとっていたようです。しかし、定期区間の自動控除機能がついているシステムを新たに導入することで、かかった交通費から定期区間分の料金を計算して引くなどの手間を削減できるようになりました。それにより、申請ミスが少なくなり、経理部門の負担削減にも寄与したのです。
経費精算システムで作業効率化を進めよう
本記事で紹介したように、経費精算システムを導入することで、従業員の経費申請や経理部門の業務をスムーズにする効果が期待できます。操作に慣れるための社員教育を行わなければいけない点など、気をつけるべきポイントもありますが、手軽に申請できるなど、多くのメリットを享受できるでしょう。システムを導入する際は導入目的を定めて、必要な機能が搭載されているものを選ぶことが大切です。