こんにちは。マニュアル作成・ナレッジ共有ツール「NotePM」ブログ編集局です。
アノテーションを効率化するためにアノテーションツールは必要不可欠です。しかし、市場に多くのアノテーションツールが流通しているため、選定に悩んでいる人も多いでしょう。実はアノテーションツールの特徴を理解するだけで、ツール選びが簡単になります。
この記事では、アノテーションツールの具体的な機能・選定ポイント・おすすめアノテーションツール10選などを紹介します。
目次
アノテーションツールとは?
そもそもアノテーションツールの定義が分からない人もいるでしょう。ここではアノテーションツールについて、以下の2つのポイントに分けて説明します。
- アノテーションとは?
- アノテーションの種類
それでは、1つずつ解説します。
アノテーションとは?
アノテーションとはAIが参照するための画像・動画・テキストなどにタグ付けを行い、教師データを作成する行為を指す言葉です。例えばAIにバナナが何なのかを正しく認識させるためには、バナナとしてタグ付けされた教師データを大量に読み込ませる必要があります。 AIに正しくバナナを認識させるためには、教師データのクオリティが重要です。そのため、アノテーションツール選びはAIの性能を左右します。
アノテーションの種類
ここでは、アノテーションの種類について解説します。
- 意味的アノテーション
- 画像・映像アノテーション
- 文節チャンキング
- テキスト・コンテンツの仕分け
- エンティティアノテーション
- 文章意図抽出
それでは、1つずつ解説します。
関連記事:AIによる仕事効率化とは?注意点や活用が進む領域・事例を解説
意味的アノテーション
アノテーションの種類の1つ目は、意味的アノテーションです。テキスト内の単語に対して意味を与えるためのアノテーションです。意味づけの対象となるのは人物や物体の名称・商品名・企業名など多岐に渡ります。 機械学習アルゴリズムにおけるデータの読み込み性能の改善を促し、検索エンジンにおける関連付け性能の向上やチャットボットの学習などに活用されているアノテーションです。
画像・映像アノテーション
アノテーションの種類の2つ目は、画像・映像アノテーションです。画像・動画内の物体や領域に対するタグ付けを通した、画像認識・映像処理の精度の向上を目的とした作業です。 画像・映像アノテーションによって正確にタグ付けされた大量のデータは機密情報の取り扱い・商品リストの分類・自動車の自動運転などの機械学習モデルの発展に貢献しています。
文節チャンキング
アノテーションの種類の3つ目は、文節チャンキングです。名詞・動詞・形容詞といった品詞に対してタグ付けを行うアノテーションであり、文章の意味を正しく読み取らせるために重要な役割を果たします。そのため、チャットボットの開発などの際に重宝されています。 品詞のニュアンスが異なると文章全体の意味が変わるため、文節チャンキングの実施はAIの文章読解力を向上させるうえで大切な作業です。
テキスト・コンテンツの仕分け
アノテーションの種類の4つ目は、テキストやコンテンツの仕分けです。テキストやコンテンツの仕分けは、大量の情報を管理・整理する上で欠かせない作業です。アノテーションの技術は、この仕分け作業を助け、文書をあらかじめ定義されたカテゴリへと振り分ける役割を果たしています。具体的には事前に定義したカテゴリに対して、文書を当てはめていきます。これにより、利用者が関心のあるトピックを迅速に見つけ出しやすくなります。
例としてニュースサイトを考えると、様々なジャンルのニュースが日々掲載されます。そのニュースを「芸能」「スポーツ」「政治・経済」「IT」などのカテゴリに自動的に振り分けるために、アノテーションの技術が用いられています。これにより、サイト訪問者は興味のあるカテゴリのニュースに簡単にアクセスできるようになります。
エンティティアノテーション
アノテーションの種類の5つ目は、エンティティアノテーションです。「エンティティ」という言葉は、データベースや情報処理の領域でよく用いられるものです。データの整理や構築の際に「人」「物」「地名」「事象」「サービス」など、具体的なカテゴリや分類単位として認識される対象のことを指します。
ここで「エンティティアノテーション」とは、これらのエンティティをテキスト中で特定し、それにタグを付ける作業を指します。このタグ付けは、AIがテキストの内容を適切に理解し、その後の処理を正確に行うための基盤となります。例えば、ある文中に「東京」という言葉があった場合、それが地名であることを示すタグを付けることで、AIはこの言葉を単なる文字列としてではなく、特定の地域を指す言葉として正確に認識します。
このように、エンティティアノテーションを適切に行うことは、AIが文書の内容を誤解するリスクを減少させるだけでなく、情報の取り扱いをより効率的・精緻にする上での重要なステップとなります。
文章意図抽出
アノテーションの種類の6つ目は、文章意図抽出です。文脈によって複数の意味を持つ言葉に対して、正しい意味を理解させることを目的としています。 有効活用されている場面の1つが、コールセンターのチャットボットに対する教育です。ユーザーによる質問のニュアンスを正しく認識させるために利用されています。正しく文章意図抽出を行えば、ユーザーが「商品の価格」について質問しているのに「商品の購入方法を質問している」と誤認してしまう事態の発生を防げます。
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アノテーションツールの具体的な機能
ここでは、アノテーションツールの具体的な機能を解説します。
- 対象の抽出とラベル付け
- 自動アノテーション
- データ拡張
- データの出力
- 画像へのコメント
- 進捗管理機能
- アノテーション代行
それでは、1つずつ解説します。
対象の抽出とラベル付け
アノテーションツールの具体的な機能の1つ目は、対象の抽出とラベル付けです。画像内の物体などを抽出してラベル付けを行ったり、音声をテキスト化したうえで任意の単語にタグ付けを行ったりする作業は、アノテーションツールによって効率化できる分野です。アノテーションツールを使用すれば人の手で行うよりも、スムーズにアノテーションを進められます。
自動アノテーション
アノテーションツールの具体的な機能の2つ目は、自動アノテーションです。文字通り、自動的にアノテーションをする機能です。画像内に設置された物体の検出からラベルの付与までアノテーションツールが自動的に実施してくれます。そのうえ、自動アノテーション済みのデータに対して人間の手による個別の訂正もできるため、細部にわたってきめ細かい対応が可能です。
データ拡張
アノテーションツールの具体的な機能の3つ目は、データ拡張です。元画像に対して反転やぼかしなど処理を加えたデータセットの追加を通して、教育データとして用いる画像数を増やせます。 データ拡張によって教育データを追加するメリットとして、新たなアノテーション作業が不要な点が挙げられます。元画像が有していたラベル情報がそのまま残されているため、新たな作業が生じないのは嬉しいポイントです。
データの出力
アノテーションツールの具体的な機能の4つ目は、データ出力です。自社のAIモデルと同じ形式のアノテーションデータに対応させるため、多くのアノテーションツールがYOLO・COCO・CSVなど複数のデータ出力に対応しています。 ただし、ツールによって対応している形式は異なります。ツール選びの際は、必要となるデータ出力形式をサポートしているかどうかも必ずチェックしましょう。
画像へのコメント
アノテーションツールの具体的な機能の5つ目は、画像へのコメントです。タグ付けをした画像にコメントでフィードバックを載せられるため、検証作業時のコミュニケーション効率化に効果を発揮します。アノテーション実施時における組織内の意思疎通を円滑に行いたい場合に魅力的な機能です。
進捗管理機能
アノテーションツールの具体的な機能の6つ目は、進捗管理機能です。作業状況やアノテーション作業データを常にチェックできるため、サービス開発チームのスケジュールを管理する際に、便利な機能です。データのバージョン管理ができるツールも販売されており、幅広い領域の管理に対応できます。
アノテーション代行
アノテーションツールの具体的な機能の7つ目は、アノテーション代行です。アノテーションツールを用いればアノテーション作業の自動化・効率化を促せますが、社内リソースでは処理不可能なほど膨大な量の教師データが必要になるケースもあります。その場合には代行サービスを活用して作業を進めるのがおすすめです。
アノテーションツールの選定ポイント
ここでは、アノテーションツールの選定ポイントについて解説します。
- アノテーションの目的にあっているか
- 対象データの抽出方法が適しているのか
- 優れた操作性であるか
- 作業管理機能有無の確認
- アノテーション作業の委託対応可否
それでは、1つずつ解説します。
アノテーションの目的にあっているか
アノテーションツールの選定ポイントの1つ目は、アノテーションが目的に合っているかの確認です。まず、どのようなアノテーションを行うのか、明確な定義の設定が重要です。そして、その目的に合致する性能を備えたアノテーションツールを探しましょう。 また、構築する予定のAIモデルの機能を踏まえたうえで、提供する教師データを用意する必要があります。AIツールの得意とするカテゴリーは製品によって画像認識・動画認識・自然言語処理に分かれるため、ツール選定は慎重に行ってください。
対象データの抽出方法が適しているのか
アノテーションツールの選定ポイントの2つ目は、対象データの抽出方法に適しているかです。対象となるデータを適切に抽出するには、手法選びが大切です。 画像のデータ抽出を例に挙げると、円形やポリゴンといった図形を用いる手法・オブジェクトの関節などにキーポイントを打つ手法・ペンツールと消しゴムツールを使う手法など、多岐に渡る抽出方法が存在します。自社が取り扱うデータとマッチする手法を採用しているツールを選ぶようにしましょう。
優れた操作性であるか
アノテーションツールの選定ポイントの3つ目は、優れた操作性であるかです。操作のしやすさは業務の効率性とクオリティに直結します。そのため、タスクの種別や進捗状況が簡単に理解できるツールを選ぶ必要があります。 作業を行うスタッフがマニュアルなしで直感的に操作できるか、もし操作が分からなくても簡単に調べられる仕組みの整備ができているかどうかなども確認したいファクターです。
作業管理機能有無の確認
アノテーションツールの選定ポイントの4つ目は、作業管理機能有無の確認です。複数人のスタッフが一緒にアノテーション作業に取り組むのであれば、作業支援機能や管理機能を備えているツールが効果的です。スケジュール管理に活用できるうえ、作業自体の効率化も促せます。 例えば、タグ付け済みの画像にコメントできるツールを導入すれば、フィードバックを行いやすい作業環境が構築できます。自社の作業工程にあった管理機能が搭載されているツールを採用しましょう。
アノテーション作業の委託対応可否
アノテーションツールの選定ポイントの5つ目は、アノテーション作業の委託対応可否です。アノテーション作業の委託に対応しているアノテーションツールも、市場には流通しています。 認定スタッフに高品質な作業を依頼できる制度や専任スタッフによるアノテーションマニュアルの作成や仕様確認など様々なサービスを提供するシステムが存在します。社内リソースを上回るアノテーション作業を行う場合に、特に注目したい要素です。
アノテーションツールおすすめ10選
ここでは、アノテーションツールのおすすめ10選について解説します。
- FastLabel
- harBest Data
- Labelbox
- V7
- Amazon SageMaker Ground Truth
- CVAT
- LabelMe
- VoTT
- Nextremer アノテーションサービス
- TASUKIアノテーション
それでは、1つずつ解説します。
FastLabel
FastLabelは幅広いサービスを提供できる多様性の高さが魅力です。アノテーションツール・教師データ作成サービス・MLOps構築に対応可能なオールインワンソリューションとして評価されています。アノテーション代行・データセットデータ収集・プロジェクト進行機能など多彩な機能を有しているのも長所です。
FastLabelの特徴
- 幅広いサービスを提供できる多様性
- 導入実績100社以上の安心感
- 豊富な機能が揃っており、使い勝手に優れている
harBest Data
データ収集・作成をWebで簡単に発注できるのが、HarBest Dataの特長です。全国に点在するクラウドワーカーがデータの作成を代行してくれます。また、認定されたワーカーのみに依頼することも可能なため、高水準のクオリティを必要とする場合や複雑な条件が必要な場合にも活用できます。
harBest Dataの特徴
- Webで簡単にアノテーションを発注できる
- 認定されたワーカーにのみ依頼し、クオリティを高めることも可能
- 専門家が不在でも、ノーコードでAI開発できる
URL: https://harbest.io/
Labelbox
LabelBoxは精度の高い教師データを効果的に生成できるアノテーションツールです。学習済みモデルの推論結果に基づいてラベル付けを行うため、高い精度のアノテーションを実施できます。精度の低下を引き起こす可能性があるデータを適切に訂正して学習データを改善してくれるため、品質維持の面でも優れています。
Labelboxの特徴
- 精度の高い教師データを生成できる・年間500ラベルまで無料
- 精度低下を起こすデータを自動訂正してくれる
- 直感的な対象抽出を実現する操作性の高さ
V7
V7の魅力は利便性と機能性です。AIを利用した自動アノテーションによって作業時間を大幅にカット可能です。また、手動でアノテーションしたいときも対象をワンクリックするだけで手軽に実施できます。データセット管理・ワークフローの自動化・コメント付与機能などが搭載されているため、あらゆる場面で機能性の高さを発揮します。
V7の特徴
- 自動アノテーションで作業時間を短縮できる・フリープランあり
- ワンクリックの簡単アノテーション機能も便利
- 様々な機能を搭載しているため、活躍するシチュエーションが多い
Amazon SageMaker Ground Truth
独創的なデータラベリングワークフローやワークフォースの構築・管理を目的にしている方にはAmazon SageMaker Ground Truthをおすすめします。優れたデータセットが用意されているため、基盤モデルの微調整およびカスタマイズが可能です。また、専門家によるデータラベリングワークフローの作成・管理の代行サービスも実施しています。
Amazon SageMaker Ground Truth
の特徴
- 独創的なデータラベリングワークフローの構築が可能・無料利用枠あり
- 専門家による作成・管理の代行サービスも提供
- 自動セグメンテーションによってクリックスを減らせる
URL: https://aws.amazon.com/jp/sagemaker/data-labeling/
CVAT
CVATの魅力は、誰でもブラウザで利用できる扱いやすさです。オンラインで無料利用できるのも人気を集めている理由です。サーバーを設定すれば難しい初期設定なくアクセスできます。画像のセグメンテーション・物体検出などに対応したアノテーションツール・自動ラベリングなども実施できます。
CVATの特徴
- ブラウザで簡単にアクセスできる
- 無料で利用できるコストパフォーマンス
- 画像や動画のアノテーションに対応
URL: https://github.com/opencv/cvat
LabelMe
Labelmeの強みはローカルのWebブラウザで使用できる点にあります。機密データに対するアノテーションを行う際に安心できるのは嬉しいポイントです。そのうえ、誰でも無料で利用可能なのも魅力的です。グラフィカルインターフェースを採用しているため、操作性にも優れています。
LabelMeの特徴
- 機密性の高さを備えている
- 無料で利用できる
- 操作性も優秀
URL: https://github.com/wkentaro/labelme
VoTT
VoTTはマイクロソフト社が開発したアノテーションツールです。GUI 操作を導入しているため、専門知識がなくても簡単にタグ付けができます。動画と画像にアノテーションできますがトラッキング機能を有しているため、特に動画を取り扱う際に高い利便性を感じられます。
VoTTの特徴
- 専門知識がなくても操作可能
- トラッキング機能を有しているため、動画のアノテーションに便利
- 出力できるアノテーションファイルの形式が多数ある
URL: https://github.com/microsoft/VoTT
Nextremer アノテーションサービス
Nextremer アノテーションサービスはアノテーションの要件定義から実際のアノテーション作業まで総合的にサポート可能なツールです。また、柔軟な対応ができるのもメリットです。データの追加やアノテーション仕様の変更まで幅広く対応します。また、全工程を国内のデータセンターで実施するため、セキュリティの面でも優秀です。
Nextremer アノテーションサービスの特徴
- 総合的なサポートを実施
- 仕様変更にも柔軟に対応
- セキュリティ面も優秀
URL: https://annotation.nextremer.com/
TASUKIアノテーション
TASUKIアノテーションは高品質・スピーディ・リーズナブルをコンセプトにしています。要件登録システムを完備しているため、ビギナーでも一流の要件定義が可能なツールです。AIによる自動アノテーションと高技能作業によって、コストと作業時間の削減を実現します。メンバーの状況を常時確認できる機能も有しているため、進捗管理や品質管理を通した効率化を促せるのも魅力です。
TASUKIアノテーションの特徴
- 要件登録システムを完備
- 自動アノテーションによる時間とコストの削減
- 進捗管理や品質管理のサービスも提供
URL: https://www.softbank.jp/biz/services/ai/tasuki-annotation/
マニュアル作成・ナレッジ管理が浸透するサービス ⇒「NotePM」
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まとめ
本記事では、アノテーションツールの具体的な機能・選定ポイント・おすすめアノテーションツール10選などを紹介しました。アノテーションツールはアノテーションにかかるコストやリソースを大幅にカットできます。しかし、個性豊かなツールが市場に流通しているため、自社の目的に合ったツールを選定する必要があります。この記事を参考にしながら、自社に最適なアノテーションツールを探してください。
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