社内の情報共有が非効率で、必要な情報がすぐに見つからないといった課題は、さまざまな企業が抱えています。
部署ごとに情報が分散していたり、古い資料が更新されないまま放置されていたりすると、業務効率が低下してしまうリスクがあるでしょう。
こうした課題の解決策として、低コストで柔軟な構築が可能なWordPressを活用した社内ポータルの導入が注目されています。
本記事では、WordPressで社内ポータルを構築する具体的な方法や手順、注意すべきポイントについて詳しく解説します。
目次
WordPressで社内ポータルを構築するメリット
ここでは、WordPressで社内ポータルを構築するメリットについて解説します。
- 低コストで始められる
- プラグインで必要な機能を追加できる
- テーマを選ぶことでデザインの質を高められる
- 専門的なプログラミングスキルが必要ない
- 容易に管理できる
- セキュリティ対策ができる
低コストで始められる
WordPressは、ライセンス費用がかからないオープンソースのソフトウェアとして提供されています。
基本的に費用として必要になるのは、サーバー代とドメイン代、通信費であり、低コストでの社内ポータルサイトの導入が可能です。
また、無料で利用できるテーマやプラグインが豊富に揃っています。
無料の機能を有効活用することで、コストを最小限に抑えながら、機能的なサイトを構築できるでしょう。
プラグインで必要な機能を追加できる
WordPressには「プラグイン」と呼ばれる拡張機能があり、インストールするとさまざまな機能を追加できます。
例えば、以下のような機能は有料・無料のプラグインを活用すると実装が可能です。
- セキュリティの強化
- 画像の軽量化
- お問い合わせフォーム
- ポータルサイトのログイン機能
- サイト内の検索機能
必要な機能が増えた場合でも、後から追加のプラグインをインストールするだけで対応でき、拡張性が高いのが特徴です。
「テーマ」を選ぶことでデザインの質を高められる
WordPressの「テーマ」とは、サイト全体のデザインやレイアウト、機能がすでにカスタマイズされているテンプレートを指します。
社内ポータルサイトを構築する際、デザインやレイアウトなどを一から設計する必要があるため、工数やデザインの知識が必要になります。
一方、WordPressのテーマを活用すると、すでに整えられているデザインから自社にあわせて改良するため設計や構築にかかる工数の削減が可能です。
担当者はデザインに多くの時間を割くことなく、コンテンツの充実に集中して社内ポータルを構築できるでしょう。
専門的なプログラミングスキルが必要ない
WordPressは専門的なプログラミングスキルがなくても社内ポータルサイトを構築できます。なぜなら、管理画面から直感的な操作でページの作成・更新ができるためです。
担当者はWeb制作の専門知識がなくても、ブログ記事を投稿する感覚で社内報やお知らせを掲載できます。
また、各部署の担当者が直接コンテンツを更新しやすくなるため、社内ナレッジの質が向上するでしょう。
容易に管理できる
WordPressでは、ユーザーごとに「管理者」「編集者」「投稿者」といった権限を設定でき、役割に応じた管理体制が可能です。
例えば、一般社員には閲覧権限のみを与え、各部署の責任者には投稿者の権限を付与するといった柔軟な管理ができます。
資料の作成や編集だけでなく、公開や削除も管理画面から操作できるため、情報の鮮度を保ちやすくなります。
管理機能により、複数人での運用でもスムーズな情報管理が可能です。
セキュリティ対策ができる
WordPressではセキュリティ対策において強力なプラグインが豊富に揃っています。
例えば、以下のような強力なセキュリティ対策がWordPressのプラグインとして用意されています。
- SSL化による通信の暗号化
- ログイン試行回数の制限
- 二段階認証の導入
- ページ閲覧用のログイン
セキュリティ対策を実施すると、情報漏洩や不正アクセスといったリスクを軽減し、安全な社内ポータルサイトを実現できます。
WordPressを活用した社内ポータルの作り方
ここでは、WordPressを活用した社内ポータルの作り方について解説します。
- 社内ポータルの目的を決める
- 必要な機能を明確にする
- 社内ポータルのレイアウトを作成する
- WordPressのインストールと設定を行う
- 社内ポータルのコンテンツを作成する
- 社内ポータルを運用する
1.社内ポータルの目的を決める
社内ポータルを構築する際には、まず明確な目的を定めましょう。
ポータルサイトの目的を定めると、必要な機能や掲載すべきコンテンツの方向性が明確になるためです。もし、目的が明確でないまま進めると、利用されない形だけのサイトになる可能性が高くなるため注意が必要です。
例えば「社内規定や業務マニュアルを一元管理したい」や「部署間の情報共有をスムーズにしたい」など、具体的な目標を設定しましょう。
2.必要な機能を明確にする
ポータルサイトの目的に基づいて、必要な機能をリストアップしましょう。
例えば、情報共有の円滑化が目的の場合は、全社共通のお知らせ掲示板が必要になるでしょう。また、ナレッジ共有が目的の場合は、業務マニュアルのデータベースやFAQの設置が考えられます。
機能リストが、後工程での設計やプラグイン選定、コンテンツ制作の基準となるため、できるだけ詳細に洗い出しましょう。
3.社内ポータルのレイアウトを作成する
社内ポータルを構築する前に、サイト全体のレイアウトを作成しましょう。
レイアウトは、社内ポータルにおける設計図のようなものであり、利用者の使いやすさに直結する重要な要素です。
特に、以下のレイアウト手法を参考に作成するのがおすすめです。
| レイアウト例 | 特徴 |
|---|---|
| カード型 | 個別の情報をそれぞれ独立したカード形式の枠に収めて画面上に配置するレイアウト手法 |
| アイコン型 | ポータル内の各メニューや機能を、それぞれが持つ意味を象徴するアイコンで表現する手法 |
| ヒーローヘッダー型 | 社内ポータルのファーストビューに大きな画像や印象的なビジュアルを配置するデザイン手法 |
また、図表やイラストを挿入することで、わかりやすいデザインになります。
一方、テーマを活用する場合はすでにカスタマイズされているため、作成したレイアウトが実現できない可能性がある点に注意が必要です。
4.WordPressのインストールと設定を行う
社内ポータルを設置するための土台となるレンタルサーバーの契約と、サイトのアドレスとなる独自ドメインの取得を行います。
多くのレンタルサーバーには、簡単にWordPressをインストールできる機能が用意されており、初心者でも安心して作業を進められます。
インストール完了後、管理画面にログインし、以下の設定を実施しましょう。
- テーマの設定
- レイアウトのカスタマイズ
- プラグインの導入
サイトの基本的な外観と機能の構築が完了し、コンテンツを作成する準備が整います。
5.社内ポータルのコンテンツを作成する
WordPressの設定が完了したら、社内ポータルに掲載するコンテンツを作成していきます。
社内ポータルの目的にあわせて社内ナレッジを整理し、以下のようなコンテンツを作成しましょう。
- 情報掲示板
- 社内規定
- 業務マニュアル
- FAQ
- 各部署の連絡先
また、従業員が社内ポータルを活用するためのマニュアルなどを事前に用意しておくと、サイト公開後の運用がスムーズになるでしょう。
6.社内ポータルを運用する
社内ポータルサイトが完成したら、具体的な運用ルールを策定し、運用を開始しましょう。
まず、運用ルールとして「誰が」「いつ」「どのような情報」を更新するのか、といったコンテンツ管理の責任体制を明確に定めましょう。定期的な更新を怠ると、情報が古くなってしまいサイトの利用率が低下してしまうため、コンテンツの管理体制を整える必要があります。
そして、実際に運用を開始し、利用している従業員の声を確認しながら改善していくことで、長期的に利用されるポータルサイトを構築できます。
WordPressで社内ポータルを作る際の注意点
ここでは、WordPressで社内ポータルを作る際の注意点について解説します。
- 利用者が使いやすいように設計する
- 社内ポータルを検索しても出てこないようにする
- セキュリティを高める
- サイトの管理者を決めておく
利用者が使いやすいように設計する
社内ポータルは、利用者である従業員が使いやすいようなレイアウトに設計しましょう。
もし、情報のまとめ方が複雑であったり、直感的に使えなかったりすると社員が利用しなくなる恐れがあるためです。
サイトの設計を検討する際には、実際にポータルを利用する社員から、どのような機能や情報が必要かヒアリングするのがおすすめです。
また、運用後も定期的に社員からフィードバックを集め、使いにくい点があれば改善していくと活用されるポータルサイトを実現できるでしょう。
社内ポータルを検索しても出てこないようにする
社内ポータルは、検索しても出てこないように事前に設定しましょう。もし、設定をしておらず、外部の検索エンジンに表示される状態になっていると社内の機密情報が流出するリスクがあるためです。
社内ポータルを検索しても出てこないようにするためには、構築の時点で以下の手順で設定をしましょう。
- WordPressの管理画面にある「設定」を選択する
- 「表示設定」を選択する
- 「検索エンジンがサイトをインデックスしないようにする」の項目にチェックを入れる
セキュリティを高める
ポータルサイトを構築する際、社内ネットワークを使用せずに外部からでもアクセスできる状態にしている場合はセキュリティ対策を十分に実施しましょう。
WordPress本体や使用しているテーマ、プラグインには、セキュリティ上の脆弱性が発見されることがあるためです。もし、古いバージョンを使い続けるとセキュリティの穴を突かれて不正アクセスされるリスクが高まります。
具体的なセキュリティを高める方法の例は以下の通りです。
- 本体やテーマ、プラグインのバージョンは常に最新にする
- アクセス制限を設定する
- 通信をSSL化する
- 画像認証を使用する
サイトの管理者を決めておく
社内ポータルを円滑かつ継続的に運用するためには、サイト全体の責任者となる管理者をあらかじめ明確に決めておきましょう。
管理者が不在の状態では、情報の更新が滞ったり、トラブルが発生した際に対応が遅れたりする原因となるためです。
ポータルサイトの管理者はメインとサブなど複数名指名し、属人化を防ぐ体制を整えた状態にするのがおすすめです。
WordPressで社内ポータルを構築する際におすすめのテーマ
ここでは、WordPressで社内ポータルを構築する際におすすめのテーマを無料と有料をあわせて3つ紹介します。
- WIING STAFF’S(無料)
- Luxeritas(無料)
- GENSEN(有料)
WIING STAFF’S(無料)
WIING STAFF’Sは、社内ポータルサイトに特化して開発された無料のWordPressテーマです。シンプルかつ軽量な設計になっており、快適な表示速度を実現できます。
また、サイトにログイン制限をかける機能が備わっているため、プラグインを追加しなくても、手軽に社員限定のクローズドなサイトの構築も可能です。
さらに、レスポンシブデザインに対応しているため、パソコンだけでなくスマホからでも利用しやすくなります。
コストを抑えて社内ポータルを構築したい企業にとって、おすすめのテーマです。
参考:HOME-WIING STAFF’SはWordPress専用の社内ポータル向け軽量テーマです
Luxeritas(無料)
Luxeritasは、Webページの高速表示や高いカスタマイズ性が特徴の多機能な無料WordPressテーマです。
ページの読み込み速度が速いため、社員がストレスなく情報にアクセスできる環境を作れます。
また、管理画面から設定できるカスタマイズ項目が600以上と豊富なため、専門知識がなくても自社のイメージにあわせてポータルサイトを構築できます。
多機能でありながらも高速な動作を実現したいという場合に最適な選択肢です。
参考:Luxeritas Theme | SEO最適化、レスポンシブ、高カスタマイズ性、とにかく速い、無料の WordPress テーマ
GENSEN(有料)
GENSENは、国内初の情報ポータルサイト専用として開発された有料のWordPressテーマで、社内ポータルとしても活用が可能です。
まず、GENSENは検索機能に長けている点が特徴です。キーワード検索に加えて、複数のカテゴリーやタグを組み合わせて情報を絞り込める、高性能な検索システムを標準で搭載しています。
また、GENSENはデザインの完成度が高く、カスタマイズの手間を省いてすぐに本格的なポータルサイトを構築できます。
価格は税込43,780円であり、高品質な社内ポータルを構築したい企業におすすめのテーマです(2025年10月時点)。
参考:WordPressテーマ「GENSEN」(tcd050) | ワードプレステーマTCD
社内ポータルを構築するには専用ツールの導入がおすすめ
社内ポータルの構築にはWordPressも有効ですが、専用ツールの導入もおすすめの選択肢です。
中でもナレッジマネジメントツールの「NotePM」は社内ポータルに活用しやすいツールとして注目されています。
NotePMは高い検索性を備えており、タイトルや本文だけでなくWordやPDFなどの添付された資料の本文まで検索します。結果として従業員は情報の取得時間が削減され、業務にすぐ集中できる環境の構築が可能です。
また、NotePMには豊富なテンプレートが用意されているため、一から資料を作る必要がなくマニュアル作成などの効率化が可能です。
実際にNotePMを導入した企業の事例

ERPやEPMのコンサルティングを中心に事業を展開しているADX Consulting。同社では、プロジェクトごとのナレッジやノウハウが社内で共有されておらず、非効率なナレッジ管理や業務の属人化が発生していた点に課題を感じていました。
また、社内からの問い合わせが多く、バックオフィスや各部門の管理者が半日かけて対応しているという課題もありました。
同社は、適切にナレッジマネジメントをしたいという理由からNotePMを導入。導入後は社内ポータルのページを構築し、社員がナレッジを活用できるように運用を開始しました。
現在では、社内のナレッジを適切に管理でき、社内の問い合わせも1日30分にまで抑えられています。
関連記事:【導入事例】ナレッジ共有で社内問い合わせ対応工数が半日→30分に。コンサル会社の成長を支えるNotePMの活用方法 – 株式会社ADX Consulting
社内ポータルで業務効率化させるならNotePMがおすすめ
WordPressは低コストで柔軟な構築が可能であり、プラグインやテーマを活用すると理想の社内ポータルが実現できます。
一方で、構築や運用には一定の技術的な知識が必要であり、セキュリティ対策やメンテナンスも継続的に実施する必要がある点には注意しましょう。
もし、高品質な社内ポータルを手軽に導入して、業務効率化したい場合はNotePMがおすすめです。NotePMは、マニュアル作成やファイル共有、社内FAQといった社内ポータルに必要な機能が揃っており、専門知識がなくても高品質な社内ポータルを手軽に導入できます。
まずは30日間の無料トライアルで、NotePMの機能をお試しください。



