マニュアルの読みやすさは、従業員の理解度に大きく影響します。
実は、マニュアルを作る際に意外と見落としてしまうのが、フォントの使い方です。実際、フォントの大きさや行間などを意識しないとマニュアルは読みにくくなりがちです。
読みにくいマニュアルは現場に浸透しにくく、業務手順が守られず、エラーが起きやすくなるなどの問題を招きます。
現場におけるルールの遵守意識を向上させるために、読みやすいマニュアル作りが大切です。
本記事では、マニュアルに適したフォントの種類やその印象、デザインの注意点をわかりやすく解説します。
目次
マニュアル作成に最適なフォント(書体)は?
マニュアル作成で使うフォントは、デザイン性よりも「読みやすさ」で選ぶことが大切です。ここでは、マニュアル作成に最適なフォントについて解説します。
- 見出し:読者が迷わない「視認性」の高いフォントがおすすめ
- 本文:ストレスなく読める「可読性」の高いフォントがおすすめ
【見出し】読者が迷わない「視認性」の高いフォントがおすすめ
マニュアルの「見出し」には、瞬時に文字の形を認識できる「視認性」の高いフォントを選びましょう。視認性が低いフォントを使うと、読者はどこに何が書かれているかを探しにくく、ストレスを感じてしまうためです。
例えば、線の太さが均一な「ゴシック体」は、遠目からでも文字の形がはっきりわかるため見出しに適しています。ゴシック体は、読者がマニュアル全体を見たときに、「どこにどの項目があるか」を素早く把握しやすくなるでしょう。
読者が迷わず必要な情報にたどり着けるように、見出しに視認性の高いフォントを使うことで、マニュアル全体の使いやすさが大きく向上します。
【本文】ストレスなく読める「可読性」の高いフォントがおすすめ
マニュアルの「本文」には、長文でも疲れずに読める「可読性」の高いフォントが最適です。もし、本文に可読性の低いフォントを使うと、目が疲れやすく内容の理解を妨げます。
例えば、日本語の文章でなじみ深い「明朝体」は、線の太さに強弱があり文章にリズムが生まれるため長文でも読みやすくなります。明朝体の特徴である「はね」や「はらい」が文字の流れを作り、自然に読み進めやすくなるでしょう。
可読性の高いフォントを使うことで、読者は内容に集中しやすくなり、作業手順やルールを正しく理解できるようになります。
【書体別】フォントが読み手に与える印象・イメージ
読み手に与える印象・イメージについて、以下のフォントごとに解説します。
- 明朝体
- ゴシック体
- 丸ゴシック体
明朝体
明朝体は、知的で信頼感のある印象を与えたいときに最適なフォントです。線の太さに強弱があり、筆で書いたような「はね」や「はらい」が特徴で、落ち着きや格調高さを感じさせます。新聞や小説の本文にも使われるため、可読性が高く長文を読んでも疲れにくいでしょう。
マニュアルで明朝体が適しているケースは以下の通りです。
- 詳細な手順説明
- 規則やルールの記載
- 専門的な内容の解説
- 正式な文書の本文
明朝体は、マニュアルでは手順やルールを説明する本文部分で使うのがおすすめです。
ゴシック体
ゴシック体は、力強くはっきりした印象を与えるフォントです。線の太さが均一でシンプルなデザインのため、遠くからでも文字の形を瞬時に認識できます。視認性の高さから、道路標識やWebサイトの見出しなど、人の注意を引きたい場面で利用されています。
ゴシック体が適しているケースは以下の通りです。
- タイトルや章の見出し
- 重要な警告文
- 手順の番号や項目名
- 強調したいキーワード
マニュアルでは、タイトルや章の見出しに使うと効果的です。
丸ゴシック体
丸ゴシック体は、親しみやすく柔らかい印象を与えるフォントです。ゴシック体の角を丸くした形が安心感や親近感を生み、堅苦しさを和らげます。ポップで明るい雰囲気があるため、広告やポスター、キャッチコピーなどでもよく使われます。
丸ゴシック体が適しているケースは以下の通りです。
- 新入社員向けのマニュアル
- 補足説明やコラム
- 柔らかい注意喚起
- FAQ(よくある質問)
新しい環境に慣れてもらうためのウェルカムマニュアルや、補足説明に使うと効果的です。
フォントの色が読み手に与える印象・イメージ
フォントの色が読み手に与える印象・イメージは、以下の通りです。
| 色 | 主な印象 |
|---|---|
| 赤色 | ・強い注意喚起 ・危険・緊急 ・必須遵守 |
| 黄色 | ・明るく目立つ ・注意を促す ・警告ほどではない注意 |
| 青色 | ・冷静さ ・信頼感 ・落ち着き・誠実さ |
それぞれの色の特徴やおすすめの利用シーンについて、以下より詳しく解説します。
赤色
赤色は、読者の注意を強く引きつけ、危険や緊急性を伝える効果があります。マニュアルでは、重要な警告や必ず守るべきルールに限定して使うと効果的です。
マニュアルで赤色が適しているケースは以下の通りです。
- 禁止事項の明記
- 操作を誤ると重大な問題につながる箇所
- 安全にかかわる重要な警告
- 緊急時の対応手順
赤色を多用すると重要性が薄れ、読者にストレスを与える原因になります。本当に強調したい箇所だけに絞ることで、重要な情報を確実に届けられます。
黄色
黄色は明るく目立つ色で、読者の注意を促したいときに適しています。赤色ほど強い警告ではありませんが、有彩色の中でもっとも明るく、人の目を引きやすい色です。
踏切や工事現場の看板のように、注意喚起のニュアンスを伝えるのに向いています。
黄色が適しているケースは以下の通りです。
- 覚えておくと便利なポイント
- 補足的な注意事項
- 手順の中での重要なコツ
- 参考情報の強調
黄色は、背景色によっては読みにくくなるため、コントラストに注意しましょう。
青色
青色は読者に冷静さや信頼感を与え、落ち着いた印象をもたらす色です。企業のWebサイトや資料で多く使われるように、誠実さや知的なイメージを演出できます。
青色が適しているケースは以下の通りです。
- 本文中の補足情報
- クリックできるリンクテキスト
- 参考資料への案内
- 冷静な判断が必要な箇所
安心感を持って情報を読んでもらいたいときに有効ですが、緊急性や危険性を伝える用途には向きません。
見やすいマニュアルに共通する4つの特徴
見やすいマニュアルの特徴は以下の4つです。
- 読み手に合ったフォントサイズを選定する
- フォントの太さで文字を強調する
- 行間や文字間を適切に設定する
- 写真やイラストでデザイン性を高める
読み手に合ったフォントサイズを選定する
フォントサイズの選び方は、見やすいマニュアル作成の基本です。文字が小さすぎると読者は目を凝らす必要があり、大きすぎても一度に目に入る情報が減ってしまいます。
マニュアルで適したフォントサイズの目安は以下の通りです。
- パソコン:16px
- スマートフォン:16px以上
- 印刷物:10.5〜12pt
誰が何の端末で読むかを考えてサイズを統一することで、読みやすさが向上し、情報の理解もしやすくなります。
フォントの太さで文字を強調する
フォントの太さを変えると、情報の重要度を視覚的に示すことが可能です。太字は人の目を引き、文章にメリハリが生まれるため、どこが大切かを一目で把握しやすくなります。例えば、見出しや本文中のキーワードを太字にすると効果的です。
太字が適しているケースは以下の通りです。
- 手順の重要なポイント
- 覚えるべきキーワード
- 注意すべき事項
- 作業の区切り
適切にフォントの太さを使い分けることで情報が明確になり、マニュアル全体が読みやすくなります。
行間や文字間を適切に設定する
適切な行間や文字間を確保すると、文章の圧迫感が減り、読みやすさが向上します。
行間や文字間の目安は以下の通りです。
- 行間:文字サイズの1.5〜2倍
- 文字間:文字サイズの0.05〜0.1倍
例えば、文字サイズが16pxの場合、行間は24〜32pxが目安です。日本語は漢字やひらがな、カタカナが混在するため、適度な余白をとることで可読性が高まり、読者はストレスなく内容を理解できます。
写真やイラストでデザイン性を高める
写真やイラストを活用すると、文字だけでは伝わりにくい情報が補われるため、読者の理解が深まります。人間の脳はテキストよりも画像を速く処理でき、直感的に内容を把握できるためです。
画像やイラストを活用するとわかりやすいケースは以下の通りです。
- 操作画面のスクリーンショット
- 手順を示すフローチャート
- 注意点を表すアイコン
- 完成イメージの写真
文字と画像を組み合わせることで、マニュアルは視覚的にわかりやすくなり、情報の理解度も高まります。
マニュアル作成時のフォントに関する注意点
マニュアル作成で注意すべき主なポイントは次の4つです。
- 色の使いすぎには注意する
- 強調すべきポイントの多用は控える
- デザインが特殊なフォントは選ばない
- 環境依存や有償のフォントの使用は避ける
色の使いすぎには注意する
マニュアルで使う色は、基本的に3色以内に絞るのがおすすめです。色数が多すぎると、読者がどこに注目すべきかわかりにくくなり、かえって読みづらくなる原因となります。
色ごとの役割の目安は以下の通りです。
| 色 | 役割 | 代表色の例 | 主な使い方 |
|---|---|---|---|
| ベースカラー | 背景と十分なコントラストを持ち、可読性を担保する基調色 | ・黒 ・濃いグレー |
・本文テキスト ・通常の見出し ・汎用要素 |
| メインカラー | ブランドを想起させ、デザインの統一感を出す色 | ブランドカラー (例:コーポレートブルーなど) |
・見出しや強調見出し ・ボタンの既定色 ・図版の主要要素 |
| アクセントカラー | 注意喚起や重要語を強調する差し色 | ・赤 ・オレンジ |
・警告・注意 ・重要キーワード ・リンクやバッジの強調要素 |
強調すべきポイントの多用は控える
文字の強調を多用すると、マニュアル全体がまとまりのない印象になり、どこが重要なのかわかりにくくなります。太字や下線、文字色変更などは、本当に必要な箇所に限定しましょう。
強調の使い方の例は以下の通りです。
- 重要なキーワードは太字にする
- 注意が必要な点は色を変える
- 補足情報は注釈や別枠で示す
あらかじめ強調のルールを決めておくと、誰が更新しても統一感のある見やすいマニュアルになります。
デザインが特殊なフォントは選ばない
マニュアル作成では、読みやすさを重視し、装飾性の高いフォントを避けるのがおすすめです。デザインが特殊な書体は、読者が文字の形が認識しづらく、長文を読む際には負担になります。
避けるべきフォントの例は次の通りです。
- 筆記体のような装飾のあるフォント
- デザイン性が強く読みにくいフォント
- 極端に細すぎる/太すぎるフォント
マニュアルの目的は内容を正確に伝えることです。そのため、誰もが読み慣れているゴシック体や明朝体など、可読性や視認性の高い標準的な書体を選びましょう。
環境依存や有償のフォントの使用は避ける
マニュアル作成では、環境依存フォントや有償フォントの使用は避けましょう。環境依存フォントとは、特定のパソコンにしか入っていないフォントのことで、レイアウトの崩れや文字化けの原因になります。
文字化けなどが起きると、マニュアルの読者が理解できなかったり、共同作成者が作業できなくなってしまったりするなど、トラブルが発生します。
複数人で共有する社内マニュアルでは、誰の環境でも同じ見た目になる標準フォントを使うのが安心です。
マニュアルの作成を簡単にするにはツール導入がおすすめ
マニュアル作成や運用を簡単にするには専用ツールの導入がおすすめです。専用ツールでは、高機能エディタで誰でも簡単にマニュアルを編集できたり、閲覧権限を柔軟に設定できたりします。
マニュアル作成ツールの中でも、特にナレッジマネジメントツール『NotePM』がおすすめです。NotePMがおすすめな理由は以下のとおりです。
- テンプレートが豊富に揃っている
- 検索性が高い
テンプレートが豊富に揃っている
『NotePM』には業務マニュアルや操作手順書など、用途別のテンプレートが多数用意されています。フォントサイズや見出し階層が初めから整っているため、作成者ごとにデザインがばらつく心配がありません。
テンプレートを選び、項目を埋めるだけで統一感のある文書が完成し、作成時間を大幅に短縮できます。デザインに悩む時間が減る分、本質的なコンテンツ作成に集中できる点が大きなメリットです。
検索性が高い
『NotePM』は検索性が高いため、マニュアルを探す時間が短縮され、業務効率化が図れます。NotePMではキーワードを入力するだけで、WordやExcel、PDFといったファイルの中身まで全文検索が可能です。
必要な情報を探すのに時間がかかっていた場合、NotePMの検索機能を活用すれば、大幅に業務を効率化できます。
マニュアル作成ツール『NotePM』導入の成功事例

ホタルクス株式会社は、70年以上の歴史を持つ照明器具メーカーです。同社はNotePMを導入し、問い合わせ対応の効率化に成功しています。導入前は多数の紙資料に情報が分散し、知識を持つ担当者に依存していました。また、必要な情報を探すのに時間がかかり、顧客対応のスピードが遅くなることが課題でした。
NotePMを導入したことで、情報を一元管理できるようになり、WordやPDFなど添付ファイル内の全文検索も可能になっています。その結果、電話の保留時間は3〜4分から1分未満に短縮され、問い合わせ対応時間が半減し、応答率も約10%向上しました。
検索性が向上したことで、誰でも必要な資料をすぐに見つけられるようになり、担当者の負担が軽くなりました。顧客対応の品質も改善され、社内業務全体の効率も高まっています。
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フォントを意識して読みやすいマニュアルを整備しましょう
マニュアルは正確な情報があっても、見にくいと活用されません。視認性や可読性の高いフォントを選び、文字サイズや行間、色の使い方も統一することで、誰でも迷わず読める資料になります。
マニュアルの本文には明朝体、見出しにはゴシック体など、役割に応じて使い分けると効果的です。強調や色は必要な箇所に絞り、過剰な装飾は避けましょう。
フォントやレイアウトを意識することで、情報が伝わりやすくなり、業務効率の向上にもつながります。



