デバッグツールは、プログラム内のエラーや不具合を検出・修正する際に便利なソフトウェアです。プログラマーが日常的に使用する重要なツールであり、ソフトウェアの品質向上に欠かせません。デバッグをおこなわずに予期しない動作が発生すると、顧客からクレームが来たり企業の信頼を損ねたりする可能性があるためです。
本記事では、デバッグツールの概要や開発言語別のおすすめツール、デバッグのやり方を解説します。デバッグツールを探している方や、日々のデバッグ作業を効率化させたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
開発プロジェクトの情報管理に役立つツール「NotePM」
目次
デバッグツールとは
デバッグツールとは、プログラム開発時に生じた問題(バグ)の特定に役立つツールです。プログラムを作成しても最初から問題なく動作するわけではなく、動作を妨げるバグがしばしば見られます。バグを発見して原因を追究し、修正しなければなりません。
そこで役立つのがデバッグツールです。おもにコードの実行中に発生する問題を検出する役割を担い、プログラムの動作をリアルタイムで確認できる機能を持っています。デバッガと呼ばれることもあるので、2つの言葉を覚えておきましょう。
デバッグツールの機能
デバッグツールのおもな機能は、ブレークポイントの設定やステップ実行、変数の値の監視などです。
ブレークポイントを使えば、プログラムの特定の位置で一時的に停止し、変数の値を確認できます。プログラム内部でどのような処理がおこなわれているか、データが不適切な値になっていないかを確認・監視します。
ステップ実行は、プログラムを一行ずつ実行してコードの動作を確認する機能です。ブレークポイントを指定し、指示を加えながら停止と実行を繰り返して処理状況を詳細に確認します。
デバッグツールは開発に欠かせないツールではありますが、バグを修正するものではありません。バグの原因を探すツールに過ぎないので、不具合の修正は自力でおこなう必要がある点は理解しておきましょう。
デバッグが必要な理由
デバッグが必要な理由は、プログラムの品質を確保し、エラーを未然に防ぐためです。バグを修正せずに公開すると、売上や顧客の信頼損失といった重大な問題になる可能性があります。その後の修正にも経済的・時間的なコストがかかるので、リリース前にあらかじめバグを修正しておくと効果的です。
デバッグツールを利用すると少ない工数でバグを発見できるため、開発速度の向上に大いに役立ちます。
開発プロジェクトの情報管理に役立つツール「NotePM」
デバッグツールの選び方
デバッグツールを導入する際は、以下の項目を参考に選びましょう。
- 対象となるプログラミング言語
- ツールの機能(ブレークポイントの種類、変数の確認など)
- 使いやすさ(操作性、サポート)
まずは、自分が開発するプログラミング言語に合ったツールを選ぶことが重要です。ツールによって得意とする言語が異なる場合があるので、開発言語に対応しているか確認しましょう。
また、機能や使いやすさもツール選びに重要なポイントです。ブレークポイントの種類や変数ウォッチなど、どのような機能が備わっているかを見極める必要があります。しかし、機能が充実していても使いにくければ活用できないため、操作性やサポートの有無にも注意しましょう。
【開発言語別】おすすめのデバッグツール
ここでは、開発言語別のおすすめデバッグツールを紹介します。
- Visual Studio|あらゆる言語に対応
- PyCharm|Pythonに特化
- IntelliJ IDEA|Javaに特化
- Eclipse|Javaに特化
- Xdebug|PHPに特化
- GDB(GNUデバッガ)|C言語に特化
- Xcode|Swiftに特化
自分が使っている言語のデバッグツールを見つけ、ぜひデバッグ作業に役立ててください。
>関連記事:【2024年版】おすすめIDE(統合開発環境)の最新まとめ!Windows・macOS・プログラミング言語別に紹介
Visual Studio|あらゆる言語に対応
Visual Studioは、Microsoft社が開発しているIDE(統合開発環境)です。IDEは開発に必要なさまざまな機能がまとめられたソフトウェアで、テキストエディタやコンパイラ、デバッグなどが備わっています。
IDEの中にはひとつの言語に特化したタイプもありますが、Visual StudioはC#やPHP、JavaScriptといったあらゆる言語に対応しているのが特徴です。WindowsやmacOSのみならず、iOS/Android向けにもアプリを開発できます。
また、デバッグ機能も強力です。ブレークポイントやステップ実行、条件付きブレークポイント、トレースポイントなどで、効率的にバグを特定できます。
Visual Studioの特徴
- Microsoft社が開発しているIDE(統合開発環境)
- C#やPHP、JavaScriptといったあらゆる言語に対応
- デバッグ機能が強力
公式:https://visualstudio.microsoft.com/ja/
PyCharm|Pythonに特化
PyCharmは、チェコに本社を構えるJetBrains社が開発した、Pythonに特化したIDEです。Python開発の定番IDEとして、初心者から本格的な開発者まで幅広く利用されています。またWindowsやMac、LinuxといったさまざまなOSに対応しているのも特徴です。
無料版と有料版がありますが、基本的なデバッグ機能であれば無料版でも十分に活用できます。ブレークポイントの設定、変数値の確認や実行フローの確認が可能です。しかし、無料版はリモートに対応していないため注意が必要です。
PyCharmの特徴
- JetBrains社が開発したPythonに特化したIDE
- WindowsやMac、Linuxに対応
- 無料でデバッグ機能の利用が可能
公式:https://www.jetbrains.com/ja-jp/pycharm/
IntelliJ IDEA|Javaに特化
IntelliJ IDEAは、JavaやKotlin向けのIDEです。先ほど紹介したPyCharmと同じくJetBrains社の開発で、デバッガはもちろん、エディタやコンパイラも利用できます。
デバッガ機能としては、対話的にプログラムを動作させたり、プログラムが使っている変数を表示させたりしながらの支援を受けられます。Null pointer exceptionが発生しうる場所に自動でwarningが表示されるため、本番環境にデプロイする前にバグに気づける点が特徴です。
IntelliJ IDEAの特徴
- JavaやKotlin向けのIDE
- 日本語によるサポートあり
公式:https://www.jetbrains.com/ja-jp/idea/
Eclipse|Javaに特化
Eclipseは、アメリカのIBM社が開発したオープンソースのIDEです。主にJavaの開発に使用されていますが、プラグインを利用するとC言語やPHP、Rubyなど他の言語も使用できます。
オープンソースであるため無料で利用できるにもかかわらず、高度な機能を兼ね備えているのが特徴です。コスト面の負担を抑えたい企業にとっては有益なツールでしょう。ブレークポイントの設定やステップ実行など、基本的なデバッグ機能も問題ありません。
また、豊富なプラグインで自分好みにカスタマイズできるのも魅力です。
Eclipseの特徴
- アメリカのIBM社が開発したオープンソースのIDE
- おもにJavaの開発に使用
- プラグインの利用でさまざまな言語に対応
公式:https://www.eclipse.org/downloads/
Xdebug|PHPに特化
Xdebugは、PHPの開発において欠かせないデバッグツールです。ブレークポイントの設定やステップ実行、PHPのエラーレポート表示改善など、さまざまな機能を利用できます。ブレークポイントを設定すれば、変数の内容をリアルタイムで確認できます。
さらに、リモートデバッグも利用できるのが特徴です。この機能を利用すると、リモートにある環境でデバッグ作業をおこなうのにも役立ちます。
Xdebugの特徴
- PHPの開発に欠かせないデバッグツール
- リモートデバッグ機能搭載
GDB(GNUデバッガ)|C言語に特化
GDBは、GNUプロジェクトが開発した、Unix系システムの多くで利用可能なデバッガです。C言語をはじめとしたあらゆる言語に対応しており、Linuxには標準でインストールされています。
ブレークポイントの設定から変数値の確認、ステップ実行まで、基本的なデバッグ機能でバグの特定に役立ちます。リモートデバッグにも対応しているため、リモートサーバー上でのデバッグも可能です。
GDBの特徴
- C言語をはじめとしたあらゆる言語に対応
- Linuxに標準でインストール
- リモートデバッグ機能搭載
Xcode|Swiftに特化
Xcodeは、Appleが提供しているIDEです。macOSやiOSで動作するアプリを制作する際に役立ちます。Xcodeととくに相性がよい開発言語はSwiftですが、Objective-CやJava、C言語にも対応しています。
Xcodeの特徴
- Apple社が提供している唯一のIDE
- Swiftに特化しているが他のさまざまな言語にも対応
公式:https://developer.apple.com/jp/xcode/
開発プロジェクトの情報管理に役立つツール「NotePM」
デバッグのやり方4ステップ
最後は、デバッグのやり方を4つのステップに分けて見ていきましょう。
- ブレークポイントを設定する
- バグを発見する
- バグの原因を特定する
- 修正をおこなう
ひとつずつ解説します。
1. ブレークポイントを設定する
ブレークポイントとは、デバッグ作業においてプログラムの実行を強制的に一時停止するポイントのことです。これを利用すると、コードの任意の行でプログラムの実行を止め、変数の値やCPU内部のレジスタの内容など、プログラム内部の状態を調べられます。
エラーが発生する具体的な原因をすばやく追究できるため、迅速なエラー修正に大きく貢献します。
2. バグを発見する
バグがないプログラムは、ほぼ存在しません。基本的にバグがあると思い、常に注意深くチェックする必要があります。バグが発生しやすい箇所やブレークポイント周辺を重点的に確認しましょう。
3. バグの原因を特定する
バグを発見したら、具体的な原因を追究します。書いてあるコードに間違い(記載ミス)があったり、書きたかったコードが間違っていたり(認識の違い)など、バグが発生した理由を突き止める作業です。
エラーメッセージを見れば原因がわかるので、表示されたメッセージをもとに原因を特定しましょう。内容がわからない場合は調べてみてください。
4. 修正をおこなう
修正は、バグが発生した箇所のプログラムコードを書き換える作業です。適切に修正できたら、問題なく動作するはずです。
しかし、コードを書き換えると別の場所にバグが生じる可能性もあることに注意しましょう。バグの修正でコードを書き換えたことで、他の部分に影響を与える可能性も考えられます。修正後は、全体的にバグがないか最終確認をおこないましょう。
デバックに関する開発情報をまとめるにはNotePMが最適
デバッグに関する用語の説明や具体的なやり方など、デバッグに関する情報をまとめてマニュアル化・社内共有すると便利です。情報が散らばっていると探すのに時間がかかり、効率的に業務を進められません。
また、社内で同じような質問が飛び交うと非効率的です。生産性の向上も見込めないでしょう。そういった場合にツールを導入すると、社内のあらゆる情報を管理できて便利です。
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デバッグツールで問題を迅速に修正しよう
プログラムのバグを修正するデバッグは、ソフトウェアの品質向上に欠かせません。デバッグツールを利用して、迅速にバグの修正をおこないましょう。
コードのミスによって生じるリスクを最小限に抑えるだけでなく、開発時間の短縮とコスト削減につながります。適切なデバッグツールを選び、ユーザーにとって信頼性の高い製品を提供しましょう。
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